成城学園の魅力を支える物語スパイラル
★青柳先生の成城学園の魅力を語るその方法の中に、魅力が映し出される仕掛けがあります。今回青柳先生は、3の累乗のスパイラルで語りました。大きく3章に分け、さらにそれぞれの章を3節に分類して語っていきます。その章や節の順番は、思考コードでいうA軸からはじまりB軸、C軸という広がりで話していきます。
★しかし、おもしろいのは、A軸の章であっても、鈴木さんと対話することによって、A→B→Cのサイクルを回転させる対話になっていきます。随所にそのような話になりますから、デノテーション(外延:要するに形式知)の話の中からコノテーション(内包:要するに暗黙知)を見える化していきますから、そのたびに、小さな花が開花し、視聴している側は魅せられます。
★対話とは、デューイにとっては、ダイアローグです。ダイアローグとは、このような物語スパイラルを広げ上昇気流を生み出していく弁証法のことも意味しています。これもまたリベラルアーツの伝統ですね。ソクラテスの対話から始まって、デューイが批判的に継承したヘーゲルの弁証法です。
★官僚主導の近代教育のベースをつくり、今も継承されているヘルバルト主義は、このヘーゲルの対話を切り捨てる立場から出発します。
★成城学園が大正自由教育のスタースクールであり、先生方が未完の民主主義の教育を完成させるべく今もチャレンジしている姿が、青柳先生の物語る仕掛けに魅力的に映し出されています。
★ヘーゲルは哲学者としてよりもギムナジウムでカリキュラム改革を行った校長先生の顔の方が私にとっては親近感があります。詩を愛し、芸術を愛し、たくさんの生徒や学生と対話をし、紆余曲折を超えたからこその幸せな5人家族との暮らしを送り、最後はコレラに感染しこの世を去ります。VUVAの今の時代に重なる生き方ですね。
★そして、対話と歴史を重視していたのですが、ヘーゲルは若いころ、実は話下手だったというのは、どこか興味深いですね。
★デューイは、民主主義という立場からヘーゲルと対峙しましたが、ヘーゲルの生徒や学生と哲学対話をしたところには、PBLの根っこを見つけていたのかもしれません。
★青柳先生が、学園生活そのものがPBLですからと語ったととき、デューイが教育は人生の準備ではなく、人生そのものだと言ったことを思い出しました。そして、大哲学者と言われているヘーゲルが、まだ哲学者として地盤を固められない時代に、中等教育で活躍し、そのとき生徒と共につくった今も読み継がれている「哲学入門」が、のちの大哲学に発展したというのを思い出しました。
★中等教育が成城学園のような教育の魅力を生み出すとき、ヘーゲルがそうだったように、すでにそこに未来が開花しているということでしょう。その花の咲いている姿に魅了されない人はいないでしょう。
★さて、この魅力を、成城学園の在校生が先生方と一緒になって説明会を作り、公開します。まさに生徒にとって、説明会作りもPBLです。同校のサイトにはこうあります。一部紹介いたします。詳しくはサイトをご覧ください。
さて成城学園中学校高等学校では、小学校4年生から6年生のお子様を対象とした学校見学会“成城学園に集まれ!!2022”を開催します。中学受験を考えている皆様に成城学園の雰囲気を感じていただければという思いから、体験型の見学会を企画して今年で20年目を迎えます。コロナ禍により一昨年度は中止、昨年度はオンラインでの開催でしたが、今年は従来の形に戻して開催することを計画しています。
内容としては「成城学園での学校生活」をよりイメージできるように「体験教室」と並行して「見て!聞いて!私たちの学校」と題した学校紹介を行います。 「見て!聞いて!私たちの学校」では在校生が生徒の学校での様子や部活動、行事について紹介します。この学校紹介は、説明会等での保護者向けの説明ではなく、小学生に向けて成城学園の魅力を紹介する形で行います。また、「体験教室」は科学実験やクイズなどの他に、成城学園の伝統ともいえる芸術やスポーツの分野での企画をそろえ、皆様をお待ちしています。この2つの企画の両方に参加していただくことで、成城学園が大切にしている教育について、保護者の方だけでなく、実際に入学するお子様にもご理解いただけると考えております。
★成城学園の魅力をぜひ満喫してください!
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