教師の資産と資本(01)2冊の本にヒントあり
★教師不足が、現場では喫緊の課題。勤務校の高校生が、小学校の運動会で、様々な運営ポイントを支援してくれないでしょうかと要請がありました。ボランティアはカトリック校として大切にしているので宗教担当の教師がコンサルテーション。なかなか良い動きで感心していたのですが、20人以上参加と聞いて少し驚きました。
★いくら地域で生徒数が多い小学校と言っても、そんなに受け付けの係りの人数がいるのですか?と尋ねたところ、競技の誘導など、運営の支援というか、本来なら教師が行うようなところまでお手伝いさせてもらえるのだというのです。なるほどうちの生徒は普段からそういうことは慣れているから担当教師はGOと意思決定をしたのでしょう。
★参加できない保護者からオンライン中継をして欲しいなど、従来なかったようなニーズが増えたためということのようです。
★勤務校のように小規模な高校だと、在校生が中心になって運営するので、教師もフル回転ですが、運営者が足りないということはありません。しかし、たしかに小学校の場合は、そうもいかないでしょう。
★DXによって、新たな仕事も生まれ、たしかに従来の発想では、教師の数は足りません。
★これから、このようなことは多くの学校で起こることでしょう。それなのに、教師になりたいという大卒者が減少気味というニュースは、困りますね。
★デューイだったら、教師は民主主義社会の形成者だと言うでしょう。今年のダボス会議のテーマは、パンデミック・ウクライナ・核問題などと世界の関係です。たくさんテーマがありますが、その中でインパクトのあるものは、メンタルヘルスです。
★医療と教育がかかわります。医療従事者も教育従事者も、今後極めて重要な役割を果たしていきます。
★しかし、日本の場合は、教師は進学実績をサポートする役割が前面に出ているのかもしれません。本質的な教師の存在意義を共有する場がなかなかないのでしょう。
★教職課程をとるにしても、私学適性検査を受けるにしても、参加する学生は、そもそも教師とは何か、何かしら考えていますが、それ以前に、仕事を選ぶ段階で、教師という役割の意義が共有されないまま、メディアでネガティブ情報が流されているわけです。
★教師の役割を考えることは、人生を豊かにすることだし、社会を健全にすることだし、世界同時的な社会課題に向き合うことでもあります。ダボス会議でも、ライフシフト時代に、その重要性は語られます。特に今回はどのテーマもSDGsに結びつけられて議論が行われています。
★そのSDGsに対してもデメリットの話に偏った情報を提供するメディアも多いのですが、あらゆる物事はメリットとデメリットの両方があり、トレードオフの局面にぶつかるものです。それをいかに解決するか。教師はとても大切な役割を日々果たしているのです。
★ただ、それが目に見える形で伝わらないので、精神論的になりがちです。
★そこで、ビジネス資本に対して教師資本とか教師資産という形で、新しいBS(バランスシート)を考えたいと思います。もちろん、現段階ではメタファーにすぎませんが。
★上記に挙げたハーグリーブス教授も、山本崇雄先生も、人的資本と社会関係資本の力があります。よって書籍にしてちゃんと経済にできるのです。だれでもが出版できるわけではないと批判される方もいるでしょう。それはそうです。しかし、これは一例であって、アウトプットする限り人的資本や社会関係資本がまずは資産としてたまってきます。そうしたら、DXの時代ですから必ず善き経済循環を生み出せるようになるはずです。
★昨今のビジネスでは起業家精神が資産や資本になります。教育ではクリエイティブなリジェネレート(CRG)精神が資産や資本になります。リジェネレートとは再生とか革新の意味ですね。
★ハーグリーブス教授も山本崇雄先生も、まさにクリエイティブなリジェネレート精神の持ち主です。このCRG精神は、人的資本と社会関係資本からも生まれてきますが、もっと強烈になるには、意思決定資本とミッション資本を展開できるかどうかにかかっています。
★お二人は、意思決定資本とミッション資本の持ち主でもあります。
★生徒の学びとは、この起業家精神かCRG精神のいずれかまたは両方を学ぶと自律分散協働系の生きる道を開くことができます。お二人の本をヒントに、起業家先進及びCRG精神が教師からも生徒からもいかにして生まれてくるのか考えてみたいと思います。どこまで進めるかは私もわかりませんが。。。
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