Discover 私立一貫教育2022 東京私立中学合同相談会 変化と普遍 本質と革新(02)表現の変化 本質を重視
★今回の東京私立中学相談会は、言うまでもなく高校だけの私立学校は参加していません。勤務校は高校だけですから、私は行く必要はなかったのですが、今回のイベントの本質的なコンセプトの部分について、委員長である東京私学教育研究所の所長平方邦行先生のお手伝いを少しさせていただいたということもあり、具体的な状況に浸りたいと思い参加しました。
★また同僚の企画戦略室室長伊東竜先生(入試広報部長)ともいっしょに行き、私立中高一貫校と私立高校の違いと共通点を見出し、今後の経営戦略のアイデアをリサーチをするというのももう一つの目的でした。PBLとしては、まずはフィールドワークです。
★さらに、首都圏模試センターの情報誌「shuTOMO」の編集者・表現者の1人北岡優希さんとも合流し、私がお世話になている先生方を紹介するというのも目的でした。北岡さん自身、取材の新たな視点を探索するフィールドワークリサーチだったと思います。
★今、首都圏模試センターは、取締役代表の山下一さんと取締役・教育研究所長北一成さんが、新しい情報誌を発刊しています。かなり斬新な情報誌で、中学入試動向の確固たるデータを基盤に、新しい教育展開のみならず、従来の教育の中にある目に見えない本質を可視化する新しい表現に挑戦しています。
(生徒と共に未来をwell-beingにする教育を行っている強烈な私立男子校の聖学院の様子)
★そのために中学入試情報のチェンジメーカーを集めています。北岡さんはその1人です。本質をどのようにわかりやすく表現するか。今までの文字ベースの表現だけでは、本質部分を書き込んでいくと小難しくなります。それゆえ、短絡的に難しいからと拒絶され、わかりやすく表現するために本質部分を切り離す表現になりがちです。正解のない時代に、正解のあるわかりやすい表現をするという、編集の矛盾をいかに乗り越えるか、首都圏模試センターはそこにチャンレンジしています。
★そして、実に興味深いのは、東京私学教育研究所が、今回のイベントのDiscoverのガイドブックをパンフレットからコンセプトブックに切り替えたということです。
★従来は、広告代理店に依頼して、監修するというやりかたでしたが、今回は文章それ自体から、平方邦行先生を中心に書き下ろし、デザインから細部に至るまで、平方先生がデザイナーに事細かく編集フィードバックしていきました。
★そのため、今回のコンセプトブックは、私立学校の教師、広報部長、校長、文部科学省のワーキンググループの委員という経験を重ねた平方先生の広く高い視座が反映しています。
★中学入試市場で、私学の各学校の情報を校長や広報部長が語ってきたということはありますが、コンセプトブック丸ごと私学人が書くということは画期的なことです。しかも、東京私立中学全体の教育のコンセプトですから、具体的な学校に偏る部分が一切ないのです。ザ・東京私立学校のコンセプトブックになっているのです。
★受験市場のライターが取材しても、外から見えることしか表現できません。しかし、今回は、学校の日常を知らなければ、見ることができない内容が詰まっています。氷山モデルでいえば、海面下のことも踏まえて書かれているところが随所にあります。
★私立学校は、経営と教育の両輪によって成り立っています。どんなに新しい教育をやりたくても、経営の枠組を知らなければ、何もできません。多くのコンサルタントは、意外にも私学の経営の論理を知らないかのように、無視した発言が多く、現実的ではないことが多いのです。生徒募集が成功すれば何でもできると思っているかのようです。学校の経営者が理想的で、コンサルタントが現実的だとすてきな協力関係が生まれるのです。
★しかし、学校経営者が理想と現実の一致を模索しているのに、教育コンサルとの多くは、空虚な夢を押し付けてくるということも多いのです。その点首都圏模試センターの山下さんは、経営者ですから学校経営者とシンクロする洞察力をもち、その洞察力をベースに理想と現実を一致させる企画を立案実施していくのが北さんです。
★私学と共に未来を創る本質を大切にする教育コンサルト人材が首都圏模試センターに集結しています。
★表面的に新しい教育・古い教育と分断するのではなく、新しくても本質が軽んじられていては生徒の未来はありません。古くても本質が大切にされていれば生徒の未来はあります。その見極めの洞察力と判断力が、私立学校の市場では重要になってくると思います。
★最近北岡さんとコラボしているのは、北岡さんは思考コードを活用したPBLのファシリテーターができる方だからです。ああ、それから押し付けるのではなく、寛容です。寛容こそクリエイティブクラスに必要なのですが、才能と技術があっても、寛容の精神がないコンサルタントは多いですね。ともあれ、才能、技術、寛容性が揃てちるところが北岡さんを尊敬するところです。勤務校の伊東先生も思考コードとPBLを自在に使うクリエイティブクラスです。このような若いコンサルタントと教師が出現する時代であるとういことでもありましょう。
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