Discover 私立一貫教育2022 東京私立中学合同相談会 変化と普遍 本質と革新(05)「先進性」とグローバル教育の新しい意味付け
★Discoverのコンセプトブックの第3章は、「先進性 グローバル教育」です。そして次の4節に分けて展開されています。
・国際理解教育の始り
・1970年代~国際理解教育の広がり SDGs及び探究の原点
・1980年代~グローバル教育へシフト 模擬国連も立ち上がる
・21世紀のグローバル教育の始り ウィズ・コロナ及びポスト・コロナのグローバル教育へ
★「先進性」というと、最近ではinnovativenessという言葉が浮かぶかもしれません。もちろん、第4章でイノベーティブ教育としての先進性が扱われていますが、3章ではグローバル教育というイノベーションが生まれる背景に焦点をあてています。そもそも先進性とは世界の痛みをどう克服するかからはじまる国際的な問題意識に対応するアクションだという立場にたっているようです。
★ですから、国際理解教育→グローバル教育→新しいグローバル教育という流れになっています。その背景には、たとえば、「平和」形成のあり方の変遷があります。
★どうやら、このような言葉の変化は、広報用のコピーライトではないということのようです。学校の時代認識と市場のニーズがときどき微妙にズレるのは、この問題意識をどれくらい共有できているかですが、建学の精神にこだわらないと、市場に振り回されることもあるかもしれません。今回私立学校のコミュニティが主導する説明会であるために、そのことが見えました。市場が作る合同説明会だけだとそのズレが見えず、本質が見えないまま学校選択をすることになります。複眼思考ができる両方の場があることが重要だと改めて感じました。
★この章の最後の3つのパラグラフを紹介しましょう。私立学校の独自の創意工夫の息吹が伝わってきます。
「IBなどを導入するも、独自のグローバル教育を創るも、いずれにしても2011年から2014年にかけて、各私立中高一貫校は新しいグローバル教育の創意工夫に取り組みました。ところが、2020年以降、新型コロナ・ウイルス感染防止対策を各国がそれぞれ行ったため、ロックダウンや渡航時の隔離期間、オンライン授業などが壁になって、日本に在留する留学生が減っています。
しかし、中学入試における出願総数の右肩上がりは止まりません。これは、ウィズ・コロナ及びポスト・コロナ時代に、私立中高一貫校のリスクマネジメントの独自の創意工夫が評価されたこと、オンラインなどを活用しグローバル教育を止めなかったこと、なにより生徒の命・健康・学力を守り抜いてくれるということに大きな期待がかかっているためです。
それに加えて、もう一つ大きな変化があります。それは、かつて海外大学進学はごく一部の高校に限られていたのですが、今では21世紀型教育を推進している私立中高一貫校ならどこでも、世界大学ランキング100位以内の大学に入学できるようになったのです。グローバル教育は、グローバリゼーションの象徴的な動きの1つであるフラット化を促進してもいるのです。」
★最後のパラフラフにこれからのグローバル教育の本当の目論見が見え隠れしますね。それが何かは、東京私立中学全体の説明会だったので、はっきりとは記述しなかったのでしょう。しかし、私立中高一貫校の新たな未来が見える人には見えます。
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