GWEで伊東先生が聖パウロ学園について語る パウロモデルの役割
★今年の5月の連休の初日29日の夜、GLICC代表鈴木裕之さんに、GWEで聖パウロ学園の教育のエッセンスについて、同学園入試広報部長・企画戦略室長伊東竜先生と対話する機会を頂きました。想像を絶する多忙な鈴木さんが、久々にゆっくり過ごせる大事な時間をシェアしていただきありがとうございました。伊東先生とは、言うまでもなく聖パウロ学園の教育の真髄をいかに広報するのか、その戦略について毎日のように語っています。そして、話が盛り上がるのは、そのパウロモデルともいえる教育の真髄は、聖パウロ学園の生徒にとってのみ有益なのではなく、日本の高校生300万人にとっても有益なはずだという点です。
★もちろん、聖パウロ学園だけで300万人を背負うというわけではありません。そうではなく、パウロモデルとしての教育の広報が、高校受験生とシェアするだけではなく、もっと広範囲に浸透させることによって可能になるわけです。パウロモデルをきっかけに多くの高校生が不安や悩みを脱して幸せな生き方ができる教育環境空間がたくさんできることを期待するわけです。その意味で、今回の<GLICC Weekly EDU 第77回「聖パウロ学園 伊東先生との対話ーZ世代に役立つパウロ・モデル」>という番組は大いに助かります。
★GLICCのGWEに登壇する先生方は、私立中高一貫校の先生方がほとんどです。この私立及び公立中高一貫校に通う生徒は、日本全国の中高生600万人の10%である60万人です。中高一貫を経験する高校生は30万人です。
★しかし、聖パウロ学園は高校だけの共学校ですから、残りの270万人の高校生が対象なのです。教育でメディアが大学進学実績で一喜一憂する情報を流していますが、対象は、中高一貫校と公立の進学重点校などに限られます。
★そして、そのような学歴社会的な価値観が教育格差を生んでいるわけですが、その格差を聖パウロ学園は、なくす奇跡を起こしているわけです。そんな大上段に構えるような話は、ふだんの説明会では時間の都合もあるし、知りたい情報の優先順位から言えば低いので、しませんが、教育における社会課題は、270万人の高校生にふりかかっているのですから、GWEのような番組では少し触れさせていただきました。
★そのようなパウロモデルを、プラグマティックにいかに実践しているかについて、伊東先生が語ってくれました。とはいえ、やはり説明会では詳しく触れない点についても伊東先生は丁寧に語ってくれました。
★探究ゼミのシステムや研究者と教科の教師と伊東先生のようにコンサルテーションができる教師のコラボレーションの探究コミュニティが出来ているという話は、そこまで学校説明会では語れません。
★また、パウロの森を活用したプログラムで生徒がどのような刺激を受けたり好奇心を旺盛にしたりするか目に浮かぶような具体的な話が聞けました。体育の乗馬プロラムは、もちろん鈴木さんも驚いてくれましたが、馬と生徒のコミュニケーションの状態についてもふだんは聞けないような心温まる話に思わず聞き入ってしまいました。
★それから、夜のパウロの森を彷徨うシカの映像もちょっとおもしろいですよ。
★さらに、鈴木さんは、伊東先生の「PBL授業」と「放課後学習のヴェリタス、カリタス、100分学習」の明快な比較に大いに興味を持っていただけました。PBL授業は、教科の授業ですが、教科書を超えて、常に社会課題や自然現象の課題を意識しながら課題解決の深い学びになっていきます。一方で進学のための自己陶冶として自己マスタリープロジェクトしての放課後学習のスイッチの切り替えのバランスのよさについて、鈴木さんは質問を伊東先生に投げかけていました。
★なぜそんな両方の合力を導くことができるのかという驚きだったようです。それについて伊東先生は丁寧に具体的な状況を挙げて語っていました。
★もともと寮制学校だったいうこともあり、自律分散協働系はある意味パウロの文化だし。スクールモットーが、「人にしてもらいたいことは何でも人にしなさい」という黄金律が日常化しているということだなと、ふだんは自分たちでは当たり前になっていて気づかないのですが、鈴木さんの視点に改めてここは形式知化をしておこうと気づきました。ありがとうございます。
★それから、伊東先生は数学科でもあり、MM(Math Meeting)において入試問題と思考コードとPBLを結び付けた対話や議論をしているという授業のバックステージについても語りました。これも鈴木さんは興味を抱いたようです。
★工学院の教務主任田中歩先生とお互いの学校のPBLの話についてよく語るのですが、工学院は、グローバル教育やPBLは最高を目指しますが、聖パウロ学園は20%を目指します。これが中高一貫校と高校だけの学校の典型的な違いだなと思います。
★中高一貫校は、市場の原理で競争が激しいわけです。最高レベルの鎬を削るわけです。ところが高校だけだと、市場の原理はあまり働かないので、誰もが手が届くというレベルからはじめて最終的に高いハードルを生徒自身がいつの間にか飛んでしまうという状況をつくることが大切です。
★自律分散協働系というのは、寄り添いながらも手放して生徒自身が偏差値などの囚われ人から解放される状況を創り出すということです。このパウロモデルが思わぬ成果を生み出します。伊東先生は、それを、八王子・多摩エリアの教育関係者からパウロミラクルと呼ばれていると語りながら、具体的な教育の仕組みを語っています。このパウロモデルは、学校選びのみならず、日本の教育が幸せを作らないシステムではなく幸せをつくるシステムになることのヒントになればと思います。
★今、世界は軍事力と政治経済力と教育力の不均衡状態になっています。軍事力に頼らない幸せなシステムはいかにして可能か。教育に携わる私たちは、そのために、知恵を出し合いたいものです。鈴木さん主宰のGWEは、そのコミュニティ空間になっていると改めて実感しました。いつも本当にありがとうございます。
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