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2022年5月16日 (月)

Discover 私立一貫教育2022 東京私立中学合同相談会 変化と普遍 本質と革新(03)建学の精神の新しい意味付け 

★Discover2022のガイドブックは、見事なまでにコンセプトブックになっています。その象徴的なが第1章「建学の精神と黄金律」です。東京私立中学184校が集結する合同相談会ですから、各学校の建学の精神をすべて並べるか、一切具体例は挙げないで語るかのどちらかなのですが、平方先生は各学校の建学の精神一覧は掲載しませんでした。それは、保護者が興味のある学校のサイトをスマホで開いてすぐに知ることができるからです。また、一部の学校の建学の精神を例として挙げれば、公平性を欠きます。

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★したがって、書くとしたら、建学の精神の本質部分を書く以外にないわけです。建学の精神は大切ですが、その本質を2000字強で記述するものは、今までに語られたことはありません。個々の学校の建学の精神は語られることもあるし、それが抽象的に教育活動に反映しているという言説はよくあることです。

★しかし、東京私立中学の建学の精神の本質を包括的に記述することはなかなか困難です。

★ところが、平方先生は、次の3つのセクションに分けて物語っていきます。

・共通の世界を抱くことの大切さ

・建学の精神は、生徒自身の成長物語のテーマ

・建学の精神と黄金律

★学校選択の際に、受験生のメンタルモデルが学校の雰囲気に合うか合わないかは重要だというアプローチから始まります。そして、1人ひとりの自分の物語を歩んでいくのだけれど、通奏低音にあるテーマはそれぞれの学校の建学の精神なのが私立学校なのだと。だからこそ卒業後も私立学校の同窓力は勢いがあるのだと。

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★建学の精神が、1人ひとりの才能を開き、個性的な技術を身に着ける。そして社会貢献へという物語編集の通奏低音であるという生徒個人に向けて語る記述はあまりみたことがないし、それこそ本質的です。

★そして、その本質があるからこそ、ニューヨーク国連本部のギャラリーにディスプレイされているノーマン・ロックウェルのモザイク画に刻まれている黄金律に結びついているのだと。

★建学の精神の1人ひとりの才能に染みわたることが世界性を豊かにしていくことにつながるのだという建学の精神の物語。

★ここまで明快に語ることができるのは、受験市場のライター側からはなかなか語れません。能力の問題ではなく、目の前の生徒に建学の精神が反映していく過程を経て卒業していく姿全体を共経験していないので、確信をもって書けないのです。私立学校が学習指導要領をミニマムとしかとらえないのは、この普遍的で具体的で個別最適な建学の精神があるからです。残念ながら、従来型のコンサルタントやライターは、客観的事実にこだわらざるをえません。したがって、学習指導要領を金科玉条のように持ち出すのです。それは仕方がありません。よりどころは、そこしか見当たらないのですから。

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(大正自由教育の本質は今も生き続けているし、これから再び出番がきます。成城学園の青柳先生が熱心に語っています)

★しかし、私学人にとっては、建学の精神が生徒1人ひとりの中で物語を展開していくのは、確信をもって客観的な事実なのです。この確信が映し出されている部分を引用紹介します。

「中高6か年で、建学の精神を軸に自分の物語を描くのですが、実はそれは卒業後も生涯続きます。自分の未来は誰も予測ができません。描くのは自分です。立ちはだかる壁は、未来も現れます。その壁は自分の内側から不安や悩みとして出てくるときもあります。自然の猛威や社会的事件に対する恐れや他者との関係の間に立ちふさがる壁などもあるでしょう。

しかし、大丈夫です。不安や恐れ、苦悩を解決する判断の指標は、<建学の精神>です。自分の物語は、当然自分ひとりの物語ではありません。自然や社会そして他者の精神とのかかわりすべてが詰まっています。生徒が描き続ける、その関係性の中で壁を乗り越えていく行き先は、その都度well-being(幸せ)でなければならないはずです。保護者の方々はそう祈り見守り続けるはずです。

well-beingとは、他者との関係の中で、自分の才能や言動が他者に貢献できていると実感した時訪れます。その一見小さな行為が、気象変動で猛威を振るう自然を穏やかにし、紛争や格差を生み出すような行き過ぎた利益主義を公正な社会活動に回復することになります。

それは、今回のパンデミックショックや国際秩序の揺らぎに見舞われた私たち人類が思い知ったことです。

そして、そのエゴを廃し、磨き上げた自分の才能を他者に貢献するというメンタルモデルが、中高時代に身に着けた<建学の精神>であることは、私学出身者はみな自覚しています。なぜなら、人生の壁に直面し、乗り越えるたびに、母校の<建学の精神>を思い起こすことになるからです。 」

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