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2022年5月20日 (金)

Discover 私立一貫教育2022 東京私立中学合同相談会 変化と普遍 本質と革新(06)イノベーション教育 さりげなくラディカル 

★Discoverのコンセプトブックの第3章のⅡ「先進性 イノベーション教育」は、さりげなくラディカルで、どうコメントしてよいか戸惑っています。イノベーションと言ったら、受験業界では、一般に、エベレット・M・ロジャース、ジェフリー・ムーア、クレイトン・M・クリステンセンという見識者の名前がでてくるのですが、ここでは、シュンペーター一色なのです。

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★シュンペーターは、偉大な20世紀経済学者の1人ですが、その影響力は計り知れないのです。経済のみならず民主主義や包括的な社会理論への根本的な思想を生み出し、その影響はあのハイエクにまで到っているのです。ハイエクと言えば、リバタリアンです。

★その根っことして位置付けられるシュンペーターを前面に出すというのは、未完の資本主義、未完の民主主義をいかに未来に完成させるのかという私立学校の気概があふれているということでしょう。

★もちろん、「イノベーション」という言葉を経済学で最初に使ったのはシュンペーターと言われているし、民主主義と教育について日本の教育に影響を与えたデューイと同時代人(シュンペーターの方が24歳若いけれど)であるということもあるでしょう。現在のアメリカの経済学の基盤をつくったのはシカゴ学派といわれていますが、デューイのプラグマティズムもそのシカゴ大学やコロンビア大学で生まれています。一方、シュンペーターは最終的にはハーバード大学の教授に就任します。ハーバード大学では、デューイとプラグマティズムをともに影響し合ったジェームズもいたし、いろいろあってハーバード大学にかかわりはしたものの結局教授になれなかった天才パースもいました。

★バーボンを飲み交わしたかどうかはわかりませんが、天才たちの思想の影響はあふれていたでしょう。

★私立学校は、経営と教育の両輪です。ケインズを批判したシュンペーター、ヘルバルトを批判したデューイと親和性を有するのは、ある意味なっとくがいきます。明治時代に私立学校が立ち上がった時、私立学校は官学に常に敵視されていました。隙をみせると廃校にされていました。ケインズやヘルバルトは、官僚に迎え入れられました。それと価値を異にするシュンペーターやデューイに私学が影響を受けるのもわかるような気がするのです。

★それにしても、シュンペーターのイノベーションの定義を、教育に置換え、さらにそのイノベーションを生み出す5つのイノベーションを学校現場に適用するとどうなるのかまで、超具体的に記述しているこの章は、公立学校向けの教育論や教職教養、教育学では語られないし、受験業界でもその手前のイノベーター理論やイノベーションのパラドクスを扱うので精一杯でしょう。

★東京私学教育研究所所長平方邦行先生恐るべしです。

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