明治学院の「研究実践紀要」の意味 「新しい人」に
★明治学院中学校・明治学院東村山高等学校の校長伊藤節子先生から「2021年度研究実践紀要第44号」をいただきました。毎年学内の先生方が新しい学びや教育活動に挑戦したその過程とプロダクトが掲載されています。新しいことを表面的に取り入れるだけではなく、学院全体で創意工夫して検証する先生方のこのような行為は、教育の根っこの部分をつねに新しくする大切な活動(リゾーム的ですごいです)です。勤務校でも行いたいのですが、そう簡単ではありません。それゆえ、本当に素晴らしいことだと感じ入ります。
★しかし、今回の紀要は、もう一つ同学院のミッションが反映されていることを明らかにしています。
★まず、新型コロナウイルス感染症の状況に応じながら、その都度伊藤校長が意思決定して、現場の先生方が創意工夫して教育を続けた軌跡が克明に記述されています。これは、コロナ禍における日々の教育活動を記録することによって、また同じようなことが起きた場合の重要な資料として役立てようということです。
★そして、これを紀要として、多くの学校と共有することで、自校だけではなく他校へも参考になるのではないかというクリスチャンスクールとしての奉仕の精神の現われでもあるでしょう。
★「学校図書館」の活動記録は、読書の在り方についてもう一度きちんと考えなくてはならないと刺激を受けるほどの多元的記録でした。
★家庭科の調理の授業が、調理を目的にするのみならず、ICTの活用や「ルーブリック」作成、「お弁当新聞」という表現活動にまでいたる多様な活動であることに驚嘆しました。常に新しい挑戦をしていることが了解できます。
★「聖書植物園」という発想は、勤務校のパウロの森の今後の活動のヒントに大いになりました。キリスト教にとって「庭園」というのは深い意味があることを、今更ながら思い出しました。
★ボランティアの10年の歩みは、キリスト教学校の真骨頂です。これは勤務校も大切にしていますが、このような表現はしていません。
★このように、同紀要に掲載された数々の挑戦は、たしかにイノベーション教育の側面もありますが、伊藤校長は「新しい人になる」ことなのだと語ります。
★この「新しい人」とは、ノーベル賞作家の大江健三郎さんが大切にしている思いです。新約聖書の中にあるエフェソへの信徒への手紙4-22~24の箇所にそれは記されています。伊藤校長も同じ箇所を引用し、「研究実践紀要」の意味を語っているのです。
★「この1年で私たちは古い人をぬぎすて新しい人になった といえるのかもしれません」という言葉を確信=革新をこめて語られるているのです。
★その境地に、私も歩んでいけるよう精進したいとつくづく思いました。なぜなら、エフェソへの信徒への手紙を書いたのは、使徒パウロ自身だからです。
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