Gのチカラ(06)創造的対話が「知識と思考を身に着ける」コンセプトレンズ=「対話思考コード」を生成する
★学校の毎日は、対話のフロー体験の連続です。この対話のフロー体験とはいったい何ものでしょう。これについて、語ることができる仲間は、学校だけではなく世の中でも、まだまだ少ないので、いろいろなところで葛藤や紛争が起こっています。遠くの国だけではなく、近くの生活でもそうです。特に今の学校教育は、教科の中に、あるいは最近の探究の中に収納されるジャーゴン(わかりやすく説明するという物象化言語)を使っての対話が対話だと物象化(先入観・固定概念化)されているため、なかなか大変です。学歴社会だとか高校受験の制度の偏差値主義は、そのような対話でますます強化されてしまいます。
★私たちの身の回り及び遠くの世界においても、常に「現象」というものが発生しています。この「現象」とは、自然と社会と精神の化学反応によるものであり、この3つの循環や関係性が不完全である場合が、今のところほとんんどで、そこから生成される現象は、それゆえ、精神の荒廃、身体へのダメージ、気候変動、戦争などの葛藤を常に含んでいます。
★この現象の背景にある、自然と社会と精神の関係性の循環度を感じることはできても知ることは常に限定的です。感じ取れればそれでよいという考え方もありますが、やはり具体的な変容を生み出す必要があります。知識や思考は、現象を直接つかむことはできず、常に「物象化」されたままです。世の通念としての物象Cをある人は物象Aとつかみ、他の人は物象Bとしてつかみとるわけです。
★日常の対話(A軸)によって、物象C=物象A=物象Bに修正される段階にいくのがやっとです。しかし、物象Cを生み出している3つの関係性が生み出している現象に接近しているかどうかは無自覚です。かりに直感的に感じたとしても、立ち尽くすだけか、心地よい心の安定を求めて現実をさけてしまう場合が多いのです。
★ですから、次のステージに進みましょう。そこを自覚的にリフレクションしていくモニタリング対話(c軸)では、物象化が起きていることに気づきます。しかし、ここでもまだ、物象化の分析で終わります。しかし、これは、対話が日常対話から始まるのをよしとするから、限界にたどりついたという自覚で終わるだけでなのです。ここまで来るのに膨大な時間を費やしていますから。
★ですから、最終的なステージだと思われているところから始める方が合理的です。もし、初めから物象化を紐解き、関係性の再構築をする脱システムを創ろうという創造的対話(C軸)を相互に行えるメンバーが増えれば、自然と社会と精神の循環度を上げるシステムへとコペルニクス的転回が起こるでしょう。
★今の受験システムでは、この創造的対話を身に着ける体験をして先に進める入試制度は、海外大学の入試制度やIBのTOKや欧米の哲学などの対話ぐらいかもしれません。
★そうはいっても、日本の受験業界では、そのような入試制度はないわけですから、忍び寄る物象化というウイルス以上に質の悪い生権力を寄せ付けない創造的対話をやりながら、日本の受験システムを自覚的に戦略的に見極めながら活用していくしかないでしょう。
★A軸対話やB軸対話は、偏差値ランキングがつきますが、創造的対話は信頼関係を勝ち得るかが評価です。物象Cという氷山の一角の水面下の自然と社会と精神の関係性の不足部分や弱みの部分を修復する新たなシステムを創造することが、葛藤や紛争を乗り越える対話です。
★聖パウロ学園では、創造的対話を忘却しない、つまり物象化された現存在的な知識を自覚的に身に着けることをしつつ、創造的対話によって装着の質を変容させる重層的な対話コードシステムが作動するようなシステム作りをしているわけです。あくまで、「身に着ける」であり、理論を知ることではないのですが、20%は、実践知のみならず理論知も学ぶ必要はあります。
★そのシステムが構築できれば、リーダーフルな状況をさらにアップデートできます。
★物象化言語で語るしかないので、それを使うわけですが、それをそれぞれが解体修復しながら創造的内省対話ができるようになればよいわけです。それには、メタファーと集合論とトポロジーとサイエンス(文理学際的)を日常の中であたかも日常対話として自在に活用できるストーリーテラーが必要です。このストーリーの創造は、各行事などの段取りの編集によって「身に着く」わけです。
★聖パウロ学園に希望があるのは、少人数が故に、教師も生徒も「段どる」実践知によって創造的対話を「身に着ける」ことができる機会があふれていることです。例年通り同じというマニュアル発想は捨て、変容させながら段どる文化を生み出すことによって、ワークショップ型研修にもなります。
★あらゆる段取りに小さな変化を挿入するコト。小さな変更が大きな変化を生み出します。もちろん、大事なことは、その小さな変更において創造的対話をすることなのです。これが伝統と革新の両ベクトルの合わせ技です。
★これであれば、すべての人々が限界を超えるウネリを創造することができます。教科書を使わない。既成の誰かが創った探究を捨てる。でも、教科の授業は行われているし、探究の授業は行われるわけです。そんな小さな変化が大きなウネリとなるでしょう。
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