バックステージの対話が支える入学式・対面式・始業式などの教育活動①
★聖パウロ学園の校舎の1階のうち全日制の職員室は、オープンスペースをパーテンションで仕切って、教師スペースと会議室スペースに区分けしています。パーテーションはしっかりしていますが、天井が高いということもあり、仕切りの上部は空間が開いています。風通しがよいわけで、声も筒抜けです。もちろん、守秘義務が必要なミーティングがあるときは、別室にこもりますが、それはよほどのときがないとあまり使いません。
★ですから、授業、行事の準備であるバックステージの息づかいは響きとなって先生方みんなで共振しながら毎日を過ごしています。学校生活は喜びと苦難の山あり谷ありの連続ですが、その両方を体験して感動するスペースは舞台だけではなく、舞台裏であるバックステージでも同じです。
★ですから、私は、一日そのバックステージとしての職員室にいて、隣の会議室で議論している先生方のパッションと愛情を聴くのが大好きです。職員室で、教科の先生方が授業の企画運営やテストの作り方、評価の仕方について真剣に語り合っている姿、成績処理に集中して立ち臨んでいる姿を目にして、いいチームだなと心の中で微笑んでいるのもいい感じです。
★入学式を執り行うこの季節は、聖パウロ学園に限らず、どこの学校も対面式、始業式、オリエンテーション、模擬テスト、部活紹介などなどめちゃくちゃスケジュールが詰まっています。
★ですから、バックステージの息づかいは集中力と俊敏さの様相を呈します。ふだん私は朝一番に職員室に入り、グループセッション(イントラネット)にあるスケジュール関係を、ホワイトボードに書きます。一日のスケジュールを自己確認することと、誰が出張なのか有休をとっているのか、そして日々の生徒の出席状況のデータをまとめます。一日のメンバーの状況を確認することは基本です。
★どこの学校でも学校法規で定められている「学校日誌」をつくりますが、勤務校でも日直といっしょに作成するための準備が朝の時間でもあります。その準備を朝していると、7時ちょとすぎたところで、おはようございますと職員室に先生方がやってきはじめます。私は、それほど遅くまで残らないので、そこから先は、何かあれば朝連絡が入ります。朝の会で情報共有する内容を説明にくる先生方が8:05までに増えてきます。
★行事が目白押しになると、段取り表を持って、これでどうでしょう。ここは少し工夫しますがどうでしょうとなります。感染症対策のここがいまいちなんですが、情報共有しますがどうですか。家庭内感染の生徒の状況の報告もあります。行事の度に、確認に来るのは、ここで校長の話ですが5分でお願いします。今回は普通に話してくださいとか。。。
★そんな朝から始まりますが、佳境に入ると、私がつく前にすでに段取り準備をはじめに職員室に来ている先生方がいます。入る前にドア越しに漏れている光で、こんなに早く来てくれて、お疲れ様となるわけですが、何か事件があって私をまっているのかもしれないと一瞬思いながら、ドアを開けると、明るい挨拶が聴こえてホッとするわけです。
★入学式の準備の時は、まだ生徒は春休みですが、生徒会を中心に生徒も準備をしにやってきています。先生方と準備をしている息吹も響いてきます。授業が始まると、休み時間ごとに生徒が質問や行事の準備のために先生方を呼び出して話し合っています。昼休みや放課後はさらにヒートアップします。
★どの行事も、このようなバックステージの準備や会場設営(これがなかなか大変です)の時間に比べれば、一瞬です。密度が高ければ高いほど、先生方にとっては、バックステージにかけた力が感動に変わります。もっとも、感動している間もなく次々と教育活動を行っていくわけですが。
★4月新年度を迎える時に、1年の教育活動の見通しを立てるために、重要なコンパスは、「年間計画表」と「時間割」です。聖パウロ学園は、変形労働時間制をとっていますから、柔軟な勤務の時間を「年間計画表」に埋め込みます。それを「時間割」に反映します。部署の会議も時間割に埋め込みますが、柔軟な活動ができるように、企画戦略室による調整が日々見直されます。
★それから大事なことは、中期計画の準備をスケジュールの中や時間割に埋め込むことです。どうやってか?それは授業ーテストー評価ー指導要録の連続体に「思考コード」を埋め込み、それをモニタリングする新しい人事をスタートさせることによってです。つまり、スケジュール表の物理的な時間にはそれは見えないのですが、各部会や教科の活動の中に埋め込み、それをモニタリングする人事とその共有を既存の会議に包摂することによってです。スケジュールの立て方は、直線的時間と円環的時間の統合に拠るのが変形労働時間制の肝です。
★事務室のメンバーが、勤務状況の管理をしてくれますから、変形労働時間制を持続可能にするために、データを持ってきてモニタリングしてくれます。「学校日誌」を日直と一緒に作ることによって、そのモニタリングの共有もできます。マネジメントと生徒や先生方のメンタル・フィジカル・ソーシャル・スピリチュアリティの息吹を感じるために必要な行為です。このバックステージの息づかいの雰囲気でいろいろなことが洞察できます。
| 固定リンク
« Gのチカラ(06)創造的対話が「知識と思考を身に着ける」コンセプトレンズ=「対話思考コード」を生成する | トップページ | バックステージの対話が支える入学式・対面式・始業式などの教育活動② »
「21世紀型教育」カテゴリの記事
- PISA2022結果に対するメディアの反応 メタ認知でモニタリングを(2023.12.06)
- 今後の中高における生成AI活用の重要性(2023.12.05)
- 2024年中学入試(07)今年も工学院は人気 共感的コミュニケーションの可視化 生成AIだからこそ(2023.12.05)
- 2024年中学入試(06)湘南白百合の海外大学進学準備教育(2023.12.04)
- 2024年中学入試(05)小泉信三賞が認める富士見丘の高校生活(2023.12.03)
「創造的対話」カテゴリの記事
- PISA2022結果に対するメディアの反応 メタ認知でモニタリングを(2023.12.06)
- 今後の中高における生成AI活用の重要性(2023.12.05)
- 2024年中学入試(07)今年も工学院は人気 共感的コミュニケーションの可視化 生成AIだからこそ(2023.12.05)
- 2024年中学入試(06)湘南白百合の海外大学進学準備教育(2023.12.04)
- 2024年中学入試(05)小泉信三賞が認める富士見丘の高校生活(2023.12.03)
「高校入試」カテゴリの記事
- 今後の中高における生成AI活用の重要性(2023.12.05)
- 2024年中学入試(07)今年も工学院は人気 共感的コミュニケーションの可視化 生成AIだからこそ(2023.12.05)
- 2024年中学入試(05)小泉信三賞が認める富士見丘の高校生活(2023.12.03)
- 2024年中学入試(03)昭和女子大学附属中学校・高等学校 どこよりも進化する生徒プロンプトエンジニア(2023.12.02)
- 2024年中学入試(01)國學院久我山中 理科の入試問題 骨太に進化(2023.12.01)
「聖パウロ学園」カテゴリの記事
- 聖パウロ学園高等学校 小島綾子校長 新しいリーダー像に挑戦(2023.10.17)
- 聖パウロ学園エンカレッジコースの阿部滉先生 大学地域連携学会第3回大会登壇 生徒が開く地域の人々との本来的な関係性(2023.10.14)
- 聖パウロ学園高等学校 生徒1人ひとりの内面の光こそが重要であるという 新しいカトリック学校(2023.10.08)
- 聖パウロ デジタル・グリーン・ワールドを創る人的資本が生まれる環境着々(2023.09.27)
- 対話関係を生み出す分解・統合・変形ワークショップ 伊東竜氏とコラボして➋(2023.09.10)
最近のコメント