筑駒の2022年の国語入試問題で出題された詩の意味。18歳の時に書いた谷川俊太郎さんの詩「合唱」の歴史を超える深い意味。
★今春の筑波大附属駒場中学校の国語の入試問題で出題された詩が意味することは重い。1950年、谷川俊太郎さんが18歳の時に書いた「合唱」という詩が出題された。第一連は、こう始まる。
遠くの国で物のこわれる音がして
幾千万のちりぢりの会話が
終日僕を苦しめる
★この詩は、1950年4月21日に書かれているから、1950年6月25日にソ連が38度線を超えて朝鮮戦争が勃発する以前に書かれている。すでに第二次世界大戦が終わるや、危機は訪れていたから、18歳の谷川俊太郎さんは、耳を澄まして、心を痛めていたのだろう。
★この詩には、戦争のことは具体的に何も述べられてはいない。だから、かえって、今の状況下で詠まれてもおかしくない。
★それほど、人類の痛みは、変わらないということだろう。
★谷川俊太郎さんの18歳の痛みは、戦争以外にも学校の問題をも見抜いている。谷川さんは、学校をやめ、大学に行くのもやめる。痛みを抱えながらどうやって生きるのか。詩を創作しながら、合唱の意味に魅せられる。
★それにしても詩人というのは、世界を見通している。第3連で、詩人は、はやくもグローバル化を既に予想し、苛立ち、グリーン化の大切さに思いを寄せる。
★そして第4連では、恐ろしい予言がなされる。デジタル化のもたらす悲劇をすでに予想している。
★にもかかわらず、合唱という人類のささやかだけれど、それを防ぐことができる魅力をそっと述べて終えている。
★核による抑止力か、合唱による安全確保か。
★ウクライナ侵攻が始まった2月24日よりも前に、2月3日、中学受験生に問うたのである。
★2月1日に麻布が社会の入試問題で「難民問題」を問うた。大きな話題となった。
★問題が解ける解けないの前に、偏差値が高いとか低いとか言う前に、東大たくさん合格させるかどうかを問う前に、このような問いを出題する学校の価値についてもっと語り合う受験業界や文部科学省であって欲しい。いや、まずは自分の学校の価値をもう一度考えてみようと思う。
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