【速報】工学院の大学合格実績今年も飛躍 その意味の重要性
★今年2月、首都圏中学入試が本格化した中で、本ブログのアクセスランキング6位に工学院大学附属中学校(以降「工学院」)が位置していました。もともと人気があったのですが、この2月にベスト10位以内をキープするというのは、近年初めてでした。しかも、その記事は昨年のものですから、明らかにユニークユーザーはググっているわけです。しかも、今月に入ってもその勢いは続いています。その理由は何か、生徒募集の勢い、グローバル教育、PBL型授業、ICT教育などを追跡してきました。それぞれ魅力的なわけですから、人気は当然だということはすでに本ブログで語ってきました。あとは、大学合格実績です。ここ数年右肩上がりですから、人気の理由はここにもあります。では、今年はどうなのか、同校の進路指導主任鐘ヶ江暢子先生に尋ねてみました。
(工学院の大学合格実績の飛躍は、垂直的階層化を水平的多様性へ価値の大転換を牽引する象徴になるでしょう)
★すると、また大学合格実績は伸びていました。大飛躍といったほうがよいでしょう。まだ、速報段階で、3月いっぱい集計は続くそうですが、判明分をご紹介します。
【国公立大学】12
東京工業大学、北海道大学、東京医科歯科大学、東京学芸大学、電気通信大学、
東京農工大学2、新潟大学、東京都立大学3、防衛大学校
【海外大学】12(浪人を含むと14)
【早慶上理ICU】30(浪人を含むと33。慶應が3人いるところまでは確認できている)
早稲田大学4、慶應義塾大学7、ICU 1、上智大学12、東京理科大学6
【GMARCH】49(浪人を含むと51)
青山学院大学5、中央大学9,法政大学9、明治大学10、立教大学14、学習
院大学2
【工学院大学】71
★そして早慶上理の数は、過去最高だそうです。
★一般選抜と総合型選抜の合格者の割合とか、各大学の学部学科とか、どんな海外大学に合格したのかは、最終的な集計がでたところで、再度鐘ヶ江先生にインタビューしてみたいと思います。また、大学は何も上記だけではなく、まだまだたくさんあるわけです。東京薬科大学とか成城大学などの結果も気になるところです。
★よく、大学合格実績の話をすると、合格実績だけが指標ではない、実績について語るのは何か違うなどと言う方もいます。もちろん、結果だけみると、そういう成果主義的なイメージになるのかもしれませんが、それは工学院には当てはまりません。実は、工学院の大学合格実績は、その結果までのプロセスが従来型の教育と違うということが決定的に重要なのです。
★今年のこの実績を出した卒業生は、工学院が21世紀型教育を本格的に推進した2期目に入学してきた生徒で、いわば21世紀型教育2回生です。
★昨年の1回生の合格の仕方が、グローバル教育、ICT教育、PBL型授業、思考コードをベースに、多様な外部とのコラボレーション活動というプロセスを経て生まれました。今年もその伝統は継承されています。しかし、アップデートもあったでしょう。ここもインタビューしたい項目です。
★私が1回生、2回生にこだわるのは、生徒のみなさんには直接かかわっていないのですが、鐘ヶ江先生、田中歩先生をはじめとする工学院の先生方と21世紀型教育創出にかかわったからです。今中学受験業界ではすうかり広まっている「思考コード」を現場で最初に形にしたのは工学院の先生方でした。
★PBL型授業にハーバード流儀のアクティビティや慶応大学の井庭教授の多様なパターン・ランゲージ・カードを活用したのも工学院が先駆けです。私のかかわりは、思考コードベースのPBL型授業でしたが、先生方は世界をかけめぐり、さらに多様なプロジェクトをデザインしていきました。
★ケンブリッジやラウンドスクエア、インタナショナルスクール、海外協定大学推薦制度(UPAA)、多くの大学などとのコラボレーションは、他校では真似ができないジョイントです。
★しかし、何より驚いたのは、グローバル・プロジェクトというオリジナルのグローバル教育を確立したことです。これがいかに画期的かというと、すべての生徒が参加する破格のグローバル教育だということです。同校にはインターナショナルコースがありますから、一般的には、こんな破格のプロジェクトには、限られたそのコースの生徒しか参加しないものですが、工学院はすべての生徒が高2の時期に取り組みます。
★しかも、その時期に探究論文という自分の興味・関心のあるテーマを見出し、1万字以上の大論文を書き、最終的にパブリック・オーディエンスにプレゼンするプログラムも同時並行で実施しています。
★グローバル・プロジェクトはSDGsともリンクしています。
★したがって、工学院の教育は、グローバル化、デジタル化、グリーン化というZ世代が自分たちの社会を創っていくときの重要項目を統合的に教育しているのです。独自の21世紀型教育を確立しています。その教育活動の結果、上記のような大学合格実績がでたわけです。
★それぞれの生徒の個性や才能に応じて進路指導もなされています。効率よく合格実績を出すことだけが目標だと、そのような学校は、これほどの教育活動や行事を行いません。ひたすら一般選抜の入試問題から逆算したプリントを学んでいくわけです。
★2014年から先生方とかかわりながら、一方で当時は首都圏模試センターのフェローリサーチャーでもあったので、よく工学院が模擬試験会場になったとき、受験生の保護者向けの説明会でスピーチをしました。私立中高一貫校の新しいウネリも当然語りました。今では当たり前になりましたが、当時は新タイプ入試の話などは新しすぎたようです。21世紀型教育も今では一般名詞になりましたが、当時は???だったようです。。
★それで、スピーチの後に、よく保護者に質問を受けました。みなこう質問したものです。「21世紀型教育は魅力的ですが、進路保証はありますか?」と。また、受験業界の中でも、高偏差値の学校に絞った塾予備校からは、何を言っているのか謎だと言われました。心の中では、歴史を振り返れば、イノベーションなくして未来はないのは明らかで、どんなにすばらしい20世紀型学習ツールも、それだけにしがみついていると、Z世代の生徒は将来困るだろうと。でも、成果主義には、実績をみせるしかないので、2020年、2021年まで粛々と先生方と歩いていこうと思ったものです。
★今回のパンデミックショックと今揺らいでいる国際秩序は、2014年当時からいっていた未来は予測不能だということに相当します。予測不能な事態が迫って来た時こそ21世紀型教育は力を発揮するとも語ってきました。実際オンライン授業へのシフトは工学院は見事でした。
★そうそう忘れていけないのは、機械モデルとしての21世紀型教育と共感的コミュニケーションベースの生態系モデルの21世紀型教育があります。工学院は、言うまでもなく、後者です。どちらが、未来のモデルになるかは、今後がまた楽しみです。
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