学校が変容するというコト(06)「キャリアガイダンス vol.429 2019.10」は重要な意味を問いかけています。②
★前回ご紹介した「キャリアガイダンスvol.429 2019.10」で語られている「普通の学校」は、生徒がwell-beingな未来を創れる学校という意味が込められています。たしかに、そうですが、結構ラディカルです。当時の編集長の山下さんのことは多くの学校の先生方がよくご存じの通り、めちゃくちゃ紳士/真摯ですが、知的ユーモアに満ちています。「普通」という柔らかい表現に誘われて読み続けて興奮してふと振り返るとめちゃくちゃ高い視座に立っています。落語はそのギャップはオチになり、がくんと落ちて笑いが巻き起こりますが、山下さんのは、ゆるやかな坂に気づかずいつの間にか山の頂に立たされ、そこから振り返ると傾斜が絶壁かと思えるほどであることに気づきます。やられたという笑みがもれます。これがユーモアってやつでしょう。
★同誌には、“Most Likely to Succeed”の映画をプロジュースしたテッド・ディンタースミスの講演抄録が掲載されています。「世界を変える唯一の方法は、献身的なノーと言わない人々の小さなグループから始まる」で締めくくられています。
★おおそうだ!と思った瞬間、やられたと思います。その理由は簡単ですよね。献身的なノーと言わない人々の小さなグループと言うことそれ自体がめちゃくちゃハードルが高いからです。
★テッドのかかわっているHTH(ハイテックハイスクール)が、ラディカルにできるのは、チャータースクールだからでもあります。自治体と保護者や民間がコラボレーションしてつくる学校です。日本にもありますが、米国の場合、州によっても違いますが、シリコンバレーエリアだと、教育委員会のメンバーは立候補制ですから、保護者も参加できます。おまけに、豊かなエリアですから、公立学校も税金が豊かに注がれるでしょう。おまけに、オバマ大統領の時にはつくられましたが、日本のようなナショナル・カリキュラムはありません。
★地域の大学と現場の教師が研究コミュニティーをつくりながら、ち密で柔軟なシラバスをつくりながら公立学校を運営するところもあります。
★ひとり現場の教師ががんばるわけではないのです。だから、自然と献身的なノーと言わない人々の小さなグループができやすいのです。ホームスクールという制度もありますが、めちゃくちゃ濃い教育コミュニティが広がっています。
★したがって、テッドの実験が日本で行われるには、まずコミュニティを創る必要があるということです。NPOとか民間企業が学校を支援するという柔らかいコンサルテーションはなく、コミュニティを創り出すリーダーシップ=コミュニティーシップが必要です。
★しかし、これもまた自分の学校がまず大事だという段階の日本では、とてもコミュニティシップは期待できません。
★テッドのような投資家あるいは起業家あるいは慈善事業家(?)、つまり資金調達ができる人とトニー・ワーグナー(ハーバード大学教授)の二人のような協力者がコミュニティシップをも持ち合わせているという大前提をつくるのはいかにしたら可能か。
★山下さんに誘われて緩やかに見えたスロープを登ったものの、いざ戻ろうと見降ろした時には、そこはもう断崖絶壁のスキージャンプ台です。さてはてどうしましょうか(笑;)。
★ということで、コミュニティを創りたいと思います(微笑)。
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