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2022年2月18日 (金)

学校が変容するというコト(05)「キャリアガイダンス vol.429 2019.10」は重要な意味を問いかけています。

★パンデミックショック直前に発刊された「キャリアガイダンス vol.429 2019.10」は、今読み返すと極めて重要な視点が掲載されています。当時、私は中高一貫校の学校との付き合いが中心でしたし、高校だけの学校も21世紀型教育を推進していました。そのため、編集長の山下真司(当時)さんの巻頭言の次の言葉は、見過ごしていました。

<では、新学習指導要領の前文や総則に記されている「持続可能な社会の創り手」を育てるために、どのように学校づくりに取り組んでいけばいいのでしょうか。新たな学びをカリキュラムの中核にして、リソースを集めて新しい学校を創る、そんな先進的な事例もあります。しかし、いわゆる多くの“普通の学校”はどうすればいいのでしょうか。そして、先生方に求められるものとは?

未来を目指した改革こそが、多くの生徒たちの将来、そして社会が変わっていくことにつながると信じています。doingではなくbeing 先生方の思いと強みを大切にしながら、未来を共創する学びに取り組む学校が増えていくことを願っています。> 

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(このイラストの吹き出しがポイントです)

★今、私の勤務校は高校だけですから、中高一貫校とは違う高校の具体的状況について、以前よりは少し見えてきました。日本の教育において、大事なコトは、山下さんの指摘する「普通の学校」が、教員の思いと強みを大切に「未来を創る主体」を育む学校づくりへ共に向き合うことです。

★そのためには、学校の組織カルチャーがどう変容し、教員のメンタル(あるいはマインド)がどう変容するとよいのか、それが問題なのだなあと。

★そのヒントは、同誌でインタビューされている菊地栄治教授(早稲田大学)の語りにあります。

★菊地先生は、教育社会学で苅谷剛彦先生もポジティブに引用していますから、私立中高一貫校に関しては、教育社会学の多くの教授がそうなように批判的かもしれないなあと思いながら読みました。

★どうやら私学の歴史的な経緯からきちんと検証し、たんに富裕層の子弟が通う学校だからという批判はしていないことに気づきました。私立公立両方の問題を社会科学的に冷静に見ているのです。

★私立中高一貫校でも、併設型は高校入試があり、そこは菊地先生が構想している高校改革のビジョンが当てはまります。よって、そのような公平な視点で論じている菊地先生の本も読んでみようと思うに至りました。

★いずれにしても、しばらく、高校1学年は100万人います。私立中高一貫校と公立中高一貫校に通学している生徒は約10%です。たしかに、この10%の生徒の通う学校は、新たな学びをカリキュラムの中核にして、リソースを集めて新しい試みをしています。

★しかし、パンデミックショック以降明らかになったのは、10%のみならず、他の90%の「普通の学校」こそが、すべての生徒がwell-beingになるための学びの機会を設定する必要があります。

★そのための学校の組織カルチャー、教員のメンタルはどう変わるとすてきなのか?同誌を大切なヒントにしたいと思います。もし、100万人通うすべての学校が変容したら、日本の政治経済社会はディストピアを脱することができるはずです。学校教育はいろいろ批判されますが、実は重要な無形資産が蓄積されていく機関です。そんなことに改めて気づきました。山下さん、ありがとうございます。

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