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2022年2月26日 (土)

学校が変容するというコト(14)個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会

★1月14日に、中教審内に新設された「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」。2月7日に第1回のミーティングが開催されたようです。

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★文科省によると、設置の目的は、こうあります。

1.設置の目的
○ 「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」(令和3年1月中央教育審議会答申)を受けて、デジタル化などの社会変化が進む次世代の学校教育の在り方について検討する必要。
○ 児童生徒への学習指導・生徒指導の在り方や環境整備について、特にGIGA スクール構想に基づくICT 環境の整備と活用を進める中で、教科書・教材のデジタル化を推進するとともに、既存の教科書・教材との関係を整理し、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実することが求められている。
○ このため、多様かつ専門的な見地から横断的に議論し、検討内容を必要な施策に結び付けていくため、初等中等教育分科会に本会議を設置する。

★そして、検討事項は、こうなっています。

2.主な検討事項
個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実するための、

(1)一人一台端末等を円滑に活用した児童生徒への学習指導・生徒指導等の在り方について
(2)教科書、教材、関連ソフトウェアの在り方について
(3)学校内外の環境整備の在り方について 

★要は、今回のパンデミックショックで実施がはやまったGIGAスクール構想と「主体的・対話的で深い学び」の両立をすぐにも実施しなくてはという話です。しかしながら、ICTを使えば個別最適な学びと協働的な学びは一体化してすてきだなんてことはないのであって、そこは現場でがんばってねということでしょう。

★端末をどう使うか、デジタル教科書やオンラインのためのプラットフォームやアプリをどうするか、Wifiやクラウドをどうするかなどなどはとても現場では大事なことであり同時に個別解が大量に増え、とても大事な生徒の存在そのものが置いてかれることもしばしばです。

★そうならないために、メンバーの一人である上智大学の教授奈須正裕さんの上記写真の本はおススメです。

★ただし、小学校のケースメソッドなので、高校にはなかなか適用できないこともあります。

★いや、小学校から解決できないで先送りされてきた問題が高校で噴出しているのです。そこはICTは逆効果だったりするし、協働学習が傷を深める結果にもなってしまいます。

★つまり、そこでこそ個別最適化が大事なのですが、現状ICTを活用した個別最適化は、マッチングしないのです。ICTがダメなのではないのです。問題が正しく把握されていないのです。

★そして、結局そこは明らかにすることは難しいところです。

★このメンバーが想定している生徒は、およそ日本の生徒の70%くらいでしょう。統計的にはなかなか効果的ではないかということになるのかもしれませんが、なかなか切ないですね。

★私立学校というNPO型法人で、なんとかサポートしていくしかないようです。しかし、そこには補助金の量が少なく、本当にたいへんです。なぜ補助金が少ないかというと、個別最適化や協働学数と言っていながら、ベースが教科学習なのです。

★その教科学習の学び方が、個別最適化で柔軟に対応されず、1人も残さずきっちり履修させることが個別最適化だという前提があるため、その前提を実行しがたい場所には、補助金がたくさんでないのです。本当に困っている部分に回ってこないのです。どうしてそうなるかは、学校の問題ではなく、そこを利益にしようという団体があり、そこを規制することは政府ができないでいるからですね。

★そんなことをしたら、困っている生徒の行き場所がなくなるからです。

★そして、その教科学習から解放できないのは、共通テストがあるからです。実際には共通テストを受けずに進路を決めている生徒も多いのに、にもかかわらず教科学習を卒業のハードルにするのです。

★教科学習が壁にならない生徒は、全体の60%にすぎないのです。のこりの40%に対する個別最適化の議論が必要です。

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