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2022年1月21日 (金)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(23)聖学院・麻布・武蔵・早稲田政経・海外大学という思考力入試でみえる新しいトランジション

★入試問題は学校の顔というのは、中学受験業界では人口に膾炙されて久しいですね。1990年ごろに灘の日置先生が語っていたのが、全国の私立中学受験に飛び火したと記憶しています。今では、アドミッションポリシーーカリキュラムポリシーーディプロマポリシーという3ポリシーで語られるのが通例ですが、この時期だと、「入試問題は学校の顔」という表現がぴったりです。

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★入試問題はもちろん、選抜テストですが、こんな学びをいっしょにやろうよ!というメッセージも含まれる両義性があります。もし、この両義性がない入試問題を出題しているとしたら、それは受験生が未来に向かって学びませんから、中学受験はディストピアですね。しかし、両義性があるから、希望の灯がともります。

★この両義性を豊かに内包している入試の代表例が、聖学院の思考力入試であり、麻布や武蔵の4教科入試です。そして、それは早稲田の政治経済の入試につながっています。もちろん言うまでもなく海外大学のアプリケーションはそうなります。

★GLICCの代表鈴木さんは、麻布や武蔵の入試問題は4教科入試だけれど、他の4科目入試に比べて破格の思考力入試と言ってよいのではないかと。

★なるほどそうですね。そして、今挙げた学校の入試で問われる思考力は、論理的思考で終わらすに、批判的思考や創造的思考にまで発展しています。

★したがって、新しい価値を生み出そうとする人間力が養われるのが、これらの学校の共通した特色ですね。

★ここまで破格ではないのですが、適性検査型入試も思考力が大いに必要です。新タイプ入試の標準モデルは適性検査で、この試験のバリエーションが多様になっているのが、新タイプ入試の特色です。

★中学入試でも新タイプ入試は随分増えました。実は全国の公立の高校入試も適性検査に近いカタチになってきています。そして、大学入試における総合型選抜はこれにつながっていきます。

★その中で、先述した学校の思考力入試(麻布や武蔵もこのカテゴリーにいれています)は、大人も解いていてドーパミンが溢れ出て覚醒されるほど、知的魅力にあふれています。このような問題で学んで中学に進むとさらにその先で社会において共に価値を生む活躍ができると思います。この成長の軌跡を新しいトランジションと呼びたいと思います。一般的には大学と企業という限定的な結びつきを言います。最近では、高校にまで降りてきていますが、まだまだです。私はさらに小学校からのトランジションもあるなあと感じているわけです。

★麻布も武蔵も、もう出願の締め切りを迎え、前年対比100%を超えています。

★聖学院は、まだまだ締め切りは先ですから、順調に100%超えに向かっています。すでに国際生入試は終わっていて、出願の前年対比221%でしたから、一般入試も超えるでしょう。

★開成や筑駒も思考力問題は出題します。いい傾向です。ただ、いくつかの問題の中に、思考力問題があるという組み立て方です。先述の学校のように、すべてが思考力問題であり、なおかつ試験全体を通してストーリーがあるというシステム思考的あるいは構成主義的なつくりにはなっていません。

★これは思考に対する考え方の違いで、どちらでもよいのですが、思考力入試は、どちらかというと文化人類学や哲学、AI的なディープラーニング系の発想がベースにあります。どちらを好むかはそれはそれぞれの価値観によります。

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