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2022年1月31日 (月)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(42)インターナショナルスクールのバージョンアップの時代

★明日から東京は中学入試が本格化し、すぐそのあとに、高校の一般入試、半ばを過ぎると難関私大、そして3月に国公立大学の入試と移行する。まさに日本は沸騰受験列島。そこに新型コロナ感染の第6波がぶつかり、家庭内感染をしないようにあらゆる手段を講じ緊張しているのは受験生のいる家族。もちろん、それは入試を運営する教師も同じです。そんなわけですから、勤務校のオンライン授業の様子をみながら、他校の仲間の先生方や同僚とネット上などで情報収集しています。

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★そんな中で、仲間たちが新しいインターナショナルスクールの動きについて情報交換しているのを知りました。今までは、インターナショナルスクールは1条校ではないので、日本の高校卒業資格がとれず、IBやAレベルなどのシステムを入れていました。

★それはそれでよいのではと思うのですが、それだと費用が1条校の私立学校より何倍もかかるし、IBやAレベルの高スコアをとる生徒は一握りです。限られたグローバルリーダーを輩出する拠点としてはよいのかもしれませんが、経済格差や教育格差を超えて、ニューコモンズとか新しい資本主義とか議論されているこの時代にはマッチしないわけです。経営的にマッチしないというコトよりも、すべての子供の未来を考えたときに、今の教育システムを変えるのではなく、強化するというパラドクスにもなってしまいます。

★そこで、いろいろなインターナショナルスクールのバリエーションやバージョンアップが生まれ始めたのです。

★どうなるかはわかりませんが、2022年度の教育が始まる準備としての受験の最中だからこそ、そのような話が出るし、聴こえてくるのでしょう。

★そんなことを思っているときに、こんな記事が目に入りました。「東大よりハーバード 開成、渋幕に異国のライバル校」(NIKKEI STYLE キャリア 2022年1月30日)がそれです。

★話の中身は、すでに本ブログでも取り上げていたことです。欧米の名門パブリックスクールやインターナショナルスクールが上陸してくるよということです。ただ、記事にはこうあります。

<東京大学を受験ヒエラルキーの頂点とする考え方が変わりつつある。東大よりも米ハーバード大学など海外有名大学への進学を目指す高校生が増えている。グローバルな舞台で活躍する人材になるためには欧米の名門大で学び、人脈を形成することが圧倒的に有利だ。国内進学校の勢力図も変わるかもしれない。

「今夏に英国の名門パブリックスクールのハロウ校が日本に進出してきます。新たな脅威になるかもしれませんね」。 >

★どうやら知の黒船脅威論の発想があるようですね。たしかに、日本の学歴社会が崩れるからよかったというよりは、世界の経済格差をより先鋭化するシステムに移行するのは困ります。しかし、この「脅威論」は、一部の学校にとっての話で、つまり3%の子どもたちの話であって、97%にとっては、ウェルカムなのです。

★選択肢が増えることはいいことでしょう。それに、たしかに能力主義は欧米でもありますが、これからは、脱能力主義について、多くの海外の大学は考えるようになります。その背景には、知はニューコモンズとして、すべての民主主義国家の共通財になっていくからです。この動きは、すでに世界中のオンライン授業で動き始めています。実はハーバードでもその動きを模索し始めています。

★どうなるかまだまだわかりませんが、2008年ころからTPPの話が出たときから、この動きは始まっています。東日本大震災や政権交代などで当時のTPPの話はだいぶ縮小していますから、教育のTPP化の件は忘れられていますが、パンデミックショックや民主主義の危機が再び浮上してきたということかもしれません。

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