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2022年1月

2022年1月31日 (月)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(42)インターナショナルスクールのバージョンアップの時代

★明日から東京は中学入試が本格化し、すぐそのあとに、高校の一般入試、半ばを過ぎると難関私大、そして3月に国公立大学の入試と移行する。まさに日本は沸騰受験列島。そこに新型コロナ感染の第6波がぶつかり、家庭内感染をしないようにあらゆる手段を講じ緊張しているのは受験生のいる家族。もちろん、それは入試を運営する教師も同じです。そんなわけですから、勤務校のオンライン授業の様子をみながら、他校の仲間の先生方や同僚とネット上などで情報収集しています。

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★そんな中で、仲間たちが新しいインターナショナルスクールの動きについて情報交換しているのを知りました。今までは、インターナショナルスクールは1条校ではないので、日本の高校卒業資格がとれず、IBやAレベルなどのシステムを入れていました。

★それはそれでよいのではと思うのですが、それだと費用が1条校の私立学校より何倍もかかるし、IBやAレベルの高スコアをとる生徒は一握りです。限られたグローバルリーダーを輩出する拠点としてはよいのかもしれませんが、経済格差や教育格差を超えて、ニューコモンズとか新しい資本主義とか議論されているこの時代にはマッチしないわけです。経営的にマッチしないというコトよりも、すべての子供の未来を考えたときに、今の教育システムを変えるのではなく、強化するというパラドクスにもなってしまいます。

★そこで、いろいろなインターナショナルスクールのバリエーションやバージョンアップが生まれ始めたのです。

★どうなるかはわかりませんが、2022年度の教育が始まる準備としての受験の最中だからこそ、そのような話が出るし、聴こえてくるのでしょう。

★そんなことを思っているときに、こんな記事が目に入りました。「東大よりハーバード 開成、渋幕に異国のライバル校」(NIKKEI STYLE キャリア 2022年1月30日)がそれです。

★話の中身は、すでに本ブログでも取り上げていたことです。欧米の名門パブリックスクールやインターナショナルスクールが上陸してくるよということです。ただ、記事にはこうあります。

<東京大学を受験ヒエラルキーの頂点とする考え方が変わりつつある。東大よりも米ハーバード大学など海外有名大学への進学を目指す高校生が増えている。グローバルな舞台で活躍する人材になるためには欧米の名門大で学び、人脈を形成することが圧倒的に有利だ。国内進学校の勢力図も変わるかもしれない。

「今夏に英国の名門パブリックスクールのハロウ校が日本に進出してきます。新たな脅威になるかもしれませんね」。 >

★どうやら知の黒船脅威論の発想があるようですね。たしかに、日本の学歴社会が崩れるからよかったというよりは、世界の経済格差をより先鋭化するシステムに移行するのは困ります。しかし、この「脅威論」は、一部の学校にとっての話で、つまり3%の子どもたちの話であって、97%にとっては、ウェルカムなのです。

★選択肢が増えることはいいことでしょう。それに、たしかに能力主義は欧米でもありますが、これからは、脱能力主義について、多くの海外の大学は考えるようになります。その背景には、知はニューコモンズとして、すべての民主主義国家の共通財になっていくからです。この動きは、すでに世界中のオンライン授業で動き始めています。実はハーバードでもその動きを模索し始めています。

★どうなるかまだまだわかりませんが、2008年ころからTPPの話が出たときから、この動きは始まっています。東日本大震災や政権交代などで当時のTPPの話はだいぶ縮小していますから、教育のTPP化の件は忘れられていますが、パンデミックショックや民主主義の危機が再び浮上してきたということかもしれません。

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2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(41)市川中の「社会」の入試問題 意欲的かつ新しい問題のモデル

★今年の市川中の「社会」の入試問題は意欲的だったし、新しい問題のモデルだと直感しました。社会に限らず算数や国語、理科もそうでしたが、ファクトとオピニオンの両方を数多く問うていたのは社会でしたので、その意味を少し考えてみたいと思います。

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★これまで、社会の入試問題というと歴史的地理的政治経済的な事実としての「知識」を知っているかどうかストレートに問われてきました。ところが、今回の市川の問題は、「知識」の活用と「意見」にまで広がっています。しかも選択肢で創意工夫しています。大学入学共通テストの選択肢の作り方の一部を活用しているといえるかもしれません。

★「意見」が選択肢で出されるというのは、想像しにくいかもしれません。なぜなら、意見なのですから正解はないのではと思われるでしょう。しかし、意見でも事実誤認の場合や論拠が誤っている場合、推理が誤っている場合などが埋め込まれているのです。

★創造的思考力は問わないけれど、論理的思考力や批判的思考力を問うと、選択式の問題で対応できます。問題を作成する側は大変ですが、すばらしいチャレンジです。

★教科試験の中でしかも選択式形式で、十分に「思考力問題」を出題できるというのは新しい傾向です。今後のモデルになるのは必至ではないでしょうか。

★それにしても、最終問題の課題文が、斎藤幸平さんの『人新生の「資本論」』から出題されているのには驚きました。たしかに、気候変動や新しい資本主義について注目されている時代ですから、この本が扱われるのは当然のような気がしますが、本来ならなかなか難しいはずです。というのも、どの学校でもSDGsや貧困問題に関する探究を懸命に進めているのに、斎藤幸平さんのこの本を読むと、それは間違っている表層的だ、根本をみていないと、マルクス的な視点でバッサリ切られてしまいかねないラディカルな内容だからです。

★もちろん、批判的思考としては大事なのですが、学問的な成果以上の活動の導きを説いているようにも見える部分も少なくありません。大学の社会学部や経済学部の入試問題としては、扱われるかもしれませんが、中学入試では難しいだろうと思っていました。

★ところが、市川中は、文章をそのまま扱うのではなく、「中略」することで、そのような箇所に触れないように配慮しています。この配慮がまた絶妙です。

★いずれにしても、市川中は昨年も、アマルティア・センの本から出題しています。新書レベルの文章が解読できることが前提になっていることと、テーマから言って、社会課題に対する意識と批判的思考力が求められているのは間違いないでしょう。

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★グローバル教育とは、いまここで世界の課題を洞察できる視点を身につけられるかどうかです。市川中の教育の奥行きを入試問題でたっぷり感じ取ることができます。

★同校の問題は、麻布や武蔵、成城学園のように教科の問題がすでに思考力入試になっているのです。市川中の今回の問題もそうでした。しかし、市川の受験生数は3000人弱です。インパクトがあります。この傾向は今後各学校に広がるかもしれません。

★知識の定着、活用をベースに論理的思考や批判的思考にまで広がる入試問題。中学受験勉強が本質的な学びに転換する時代がやってきたのでしょう。

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2022年1月30日 (日)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(40)大妻中野 グローバル×多様性×思考力 柔らかく強く広く深い学びがベース

★大妻中野の出願総数の前年対比も、90%を超えました(同校サイトの出願状況2022年1月30日現在と首都圏模試センターの出願倍率速報2022年1月28日現在資料による)。2月3日、4日はこれからまだまだ増えますから、最終的には100%を超えるでしょう。

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(GLICC Weekly EDU 第23回「New Power Schoolへの道ー大妻中野中学校・高等学校 諸橋先生との対話」)

★同校は、国内外の生徒からすでに確固たる人気を確保しています。

★言語も英語だけではなく、フランス語も学ぶ機会があるので、いろいろな国から帰国生がやってくるという意味だけではなく、多言語に根づいている多様性が広がっているわけです。

★グローバル教育とか多様性とか思考力とかいう言葉は、どこの学校でも使いますが、それらの言葉の目に見える意味とその背景にある奥行きある意味の両方を洞察する教師陣が同校には揃っているのです。

★同校において21世紀型教育は今や当たり前です。しかし、目に見えない背景や奥行きをしっかり根付かせる教師陣がこれほどいる学校はそう多くないでしょう。

★洞察力、国際的なネットワークコーディネート力、学校としての決断と現場の自由裁量の意志決定がしっかりつながっているディシジョンキャピタルの3つの力を自在に活用できる教師陣が揃うには、8年以上かかると言われています。

★そういう意味では、伝統と21世紀的革新のバランスを本格的に生み出し始めたのは、2013年ころからですから、今まさに質の高い教師陣が活躍する時を迎えたのでしょう。

★未来に向けて新しいそれでいて安定した教育環境が出来上がったといえます。それゆえ、安心して未来の見通しを立てたいという受験生が集まってくるのでしょう。

教頭諸橋先生によると、今年から、その新しくそれでいて安定した教育環境が生み出す実績があらゆる領域で生まれてくるということです。今年2022年、2023年と当面この高人気は続きます。

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2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(39)聖ドミニコ学園 グローバルでイノベーティブな教育とケアの精神の教育 市場が気づき始める

★聖ドミニコ学園は、二子玉川と用賀中間地点で国分寺崖線上の閑静な住宅街にあります。幼稚園から高校までの総合学園です。非認知的能力をベースに、そのうえに認知能力を構築していく完璧なまでの教育を実践しています。それゆえ、中学入試から同学園に入学するのは、その体験がないのに大丈夫かという不安もあります。しかも、小学校まで共学校で、中学から女子校になりますから、男子が外に出る分の募集定員です。たっでさえ一学年の定員がそもそもスモールサイズですから、中学からの募集定員は本当に少ないわけです。今まで、敬遠されがちだったのは、自然なことです。しかし、それが変わり始めています。

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(聖ドミニコ学園の理事長山崎先生との対話)

★というのも、スモールサイズの教育が今重要であるという価値の転換が起きているからです。また、非認知的能力というのは、中学から高校で取り返すことができます。それは多言語、PBLなどの対話の機会がたくさんあれば、学力だけではなく、感性や他者の痛みに共感し、乗り越えようとする情熱やアイデアが生まれるものです。

★ただ、それは、やはり少人数でなければその対話の時間をたっぷり経験できないでしょう。

★そして、少人数だから目立ちませんが、国内外の大学進学実績は申し分ないし、インターナショナルコースもパワフルになってきています。ドミコ学のように、欧米の精神性の基盤をつくった聖ドミニコの普遍的精神を、現代社会に応用していく探究学習は、今必要とされている探究の時間や総合型選抜に大いに有効でもあります。

★用賀から二子玉川にかけて、三田国際、目黒星美(来年からサレジアン国際学園世田谷になります)という21世紀型教育を推進する学校が密集しています。

★聖ドミコ学園も、21世紀型教育を推進しています。どうやらこの意味でも、偏差値や大学進学実績の競争ではなく、本質的な教育の質のクオリティの競争/共創が生まれているエリアですね。

★したがって、中学受験市場一般というより、二子玉川ー用賀ー桜新町ー都立大エリアは、他に昭和女子大附属、八雲学園などやはり21世紀型教育は当たり前という質の高い教育を実践している学校が存在しているエリアです。

★このエリアにおいて、聖ドミニコ学園の教育もまた確実に注目されつつあるわけです。

★したがって、日能研倍率速報(2022年1月29日現在)で、志願者総数の前年対比は、すでに100%に到達しています。これからまだまだ増えるでしょう。すでに富士見丘が脚光を浴びていますが、サイズ的には聖ドミニコ学園も同じくらいです。そして、富士見丘と21世紀型教育において共通する部分も多いのです。ドミコも、もっと注目される時代がやってくるでしょう。

※今月の前半、一般財団法人東京私立中高協会の理事長・校長定例会で、山崎理事長とお会いしました。そのときは、まだ出願の出足が遅かったので、何か戦略戦術はあるだろかという話しになりましたが、教育内容の質が時代の要請とマッチングしているのだから志願する受験生はいるはずですという結論になりました。その通りになりましたね。

それから、山崎理事長が、若い教師が育っていて、新しい教育の取り組みに意欲的ですということも語られました。そのときふと、そのような先生方もたまには学校説明会で語るとよいかもしれないと思いました。同時に、従来から言われている8年から10年教師経験を積まないと、プロフェッショナルとして成熟しないという話は、どうやらグローバル体験とデジタル体験とダイアローグ体験が、以前とは違い濃厚になってきた昨今では、もしかしたら3年から5年で早熟するのではないかというアイデアも思いつきました。

なるほど、聖ドミニコ学園の時代は、すぐそこまでやってきているというわけですね。

参照)→GLICC Weekly EDU 第33回 聖ドミニコ学園理事長山崎昭彦先生との対話―「カトリックの普遍的革新的精神とは」

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2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(38)文化学園大学杉並の人気の理由 新しい21世紀型教育推進校

★首都圏模試センターの出願倍率速報(2022年1月28日現在)によると、文化学園大学杉並(以降「文杉」)の出願総数の前年対比は、126.0%。ここ数年毎年右肩上がりで、今では国際生、帰国生、ファッションが好きな生徒、スポーツが好きな生徒、STEAM探究心が旺盛な生徒、東大を含め世界大学ランキング100位以内の大学に行くんだと燃えている生徒などなど、多様な生徒が共生共存している学校です。

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(高校ではなく、中学の英検取得の状況です。驚きですね!)

★とにかく、1人ひとりのかけがえのない価値を開花するために必要な教育環境、学習ツール、グローバル環境、デジタル化、グリーン化などなどなんでも導入する多角的多面的複眼的発想が溢れています。

★そのことは、GLICC代表鈴木さんと文杉の染谷先生が対話しているYouTubeをご覧いただければ、すぐに了解できます。

★ダブルディプロマの先駆け校であり、今では、そのカリキュラムを中1から学べるようにもなっています。21世紀型教育の先進校ですが、さらにSTEAMのAが世界でも5位以内に入るレベルのファッションデザインの感性を有しています。

★自然と社会と精神を世界の最高レベルのアート感性でつなげることができる21世紀型教育校は、文杉意外にないでしょう。ノーベル物理学賞受賞者のファインマン博士は、好奇心、開放的精神、なぜ?という探究心が大切だと語っていますが、その3要素満載の学校、それが文杉です。

★もちろん、進学実績は驚くべき飛躍を果たしています。

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2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(37)順天 宇宙的視野の歴史的理性と共感力の響き

★首都圏模試センターの出願倍率速報(2022年1月28日現在)によると、出願総数の前年対比は110.5%。最終的にはまだまだ増えるでしょう。その人気の理由は、宇宙的視野の歴史的理性と世界の痛みをひきうける共感力が学内に響き、それが生徒の内面にも響いているからということでしょう。それを実感したのは、2016年からSGH校の取り組みの一環として実施しているグローバルウィークの取材や実際にそこでワークショップをさせていただいたからでもあります。

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(写真は同校サイトから)

★このグローバルウィークというのは、1週間(5日間)学内が大学の講義や市民講座で溢れる設定になっています。一日中、大学の教師、企業やNPOなどの団体、OB、他校の起業家高校生など毎年80ぐらいもの講座が実施されています。

★学究的、探究的、多様性、越境性などのキーワードが溢れ出てくる学びの機会です。事前事後学習は当たり前です。講義もほとんどが対話型、PBL型です。大学のゼミのような感覚かもしれません。

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(Global Week 2019になぜか私も参加。理性と想像力の世界を生徒の皆さんと共に経めぐりました)

★テーマは本当にたくさんあるので、生徒自身が選択して立ち臨みます。大人気の講師の講座は満杯になります。私の講座は例によってマイナーでしたが、自分の意志で選択してきてくれたので、1人ひとりの課題意識が高く、自分の生き方を追究する想いも強く、対話は拡散と収束、広がりと深まりの世界がパッと展開していきました。

★終わった後も、質問というより、生きることについて興味深い対話の時間となったのを鮮明に記憶しています。

★もちろん、当時の私の仕事は取材が中心でしたから、自分の講座以外も、別の日にリサーチしました。やはり同じようなクールでホットな想いが溢れ出ていたのを覚えています。

★そのような想いが溢れるのは、やはり同校の教育の質が、宇宙的視野の歴史的理性を伝統として有し、その時代その時代に生まれ出でる世界の痛みと身近な出来事を越境して結びつける共感力がベースになっているからだと確信しています。伝統と革新のケミストリーの起点はどうやら痛みの共有であるのかもしれませんね。

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【速報】和洋九段女子中 1/31(月)入試直前オンライン説明会・個別相談会開催!画期的ケアの精神!

首都圏模試センターによると、和洋九段女子中が、明日1月31日(月)入試直前ミニ説明会及び個別相談会をオンラインで開催。2月1日直前に説明会・個別相談会を実施する発想は、ふだんからオンライン授業を変幻自在に実施している同校だからこそ生まれてくるのだと思います。

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★たしかに、入試直前、受験生は緊張しますし、不安もあるでしょう。ご家庭で、塾で緊張をほぐし、不安を解消する環境をつくるのは受験ではあるあるです。そして、パンデミックショック前は、入試当日、早朝から塾の先生方が並び、受験生に声をかけ、握手をして励ますシーンはある意味中学受験の風物詩でした。

★しかし、今年も新型コロナ感染防止のため、早朝塾の先生方方が正門前に並んで応援することはできません。

★すると、和洋九段女子は、前日に、学校の先生方が自ら中学受験生を励まそうと行動を起こしたのです。

★同校は、グローバル教育、PBL授業など21世紀型教育の推進校で、昨今注目を浴びています。しかしながら、21世紀型教育の真骨頂は、生徒1人ひとりの心の不安や壁を解消する生徒理解力にあります。そして、この理解力の根底にあるのは、困っている人や弱い立場に立たされている人々をケアする共感力と行動力です。

★このケアの精神こそが、クリエイティビティを生みます。共創的な動きを生み出します。

★心理的安心安全の内面の教育環境を積み上げてきた和洋九段女子中学だからこそこのような意思決定ができたのです。素晴らしいですね。

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2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(36)女子聖学院と聖学院男子 揃ってNew Value Schoolとして市場が評価

★クリスチャンスクールとしてグループ学校である女子聖学院と聖学院が、そろって出願総数前年対比100%を超えました。東京エリアの総出願者数は、今のところまだ86%(日能研倍率速報2022年1月30日現在)という中で、それを上回る勢いです。首都圏模試センターの出願倍率速報(2022年1月28日現在)によると、女子聖学院は108.9%、聖学院男子は111.5%です。

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(左から聖学院の広報部長児浦先生、女子聖学院の広報室長佐々木先生。両先生は広報活動やセミナーなどで協働的な活躍をしています。)

★両校とも、21世紀型教育を行い、生徒が破格のNew Valueを生み出していく学校です。そのことを中学入試マーケットが評価したという結果になりました。

★かつて私が取材した時に、両校の教育出動の熱と生徒のみなさんの世の中の心の壁を崩そうという革新的な活躍に驚嘆したことがあります。それはパラリンピックの選手団を応援する協働企画に両校の生徒が取り組んでいるシーンに立ち会ったときのことでした。

★その活動は、その後、もちろん実践に活かされます。その取り組みは幾度かメディアにも取り上げられたほどです。そして、この活動は、両校にとっては、多くの社会貢献活動の1つにすぎません。

★グローバル、グリーン化、デジタル化など未来を見据えた教育のクオリティは言うまでもなく突き抜けているのですが、形式的な社会貢献を超えて、人々の心の痛みを受けとめ、心の壁を取り除く、内面革命に挑む両校生徒のみなさんの姿は、他の追随を許さないでしょう。

★その意味で、破格のNew Value Schoolと言えましょう。

★今後も両校はZ世代及びα世代の希望のプラットフォームとして多方面に影響力を発揮するでしょう。

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2022年1月29日 (土)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(35)三田国際が突き抜けている意味 新しい教育BSの誕生 出願動向からも見える

★首都圏模試センターの出願倍率速報(2022年1月28日現在)によると、三田国際の一般入試の総出願数前年対比は90.4%。今のところ東京エリアの共学校全体の出願状況は前年対比85%くらいですから、同校は100%を超える勢いがあるということです。受験生は、2月1日以降も直前で出願をしますから、国際生も合わせると今年も総志願者数は3000人を超えるでしょう。

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★このことは、単に人気がある、それゆえ偏差値が高くなったからもはや高峯の花、名門校入りしたよねというだけのお話ではありません。もちろん、そういう見方も間違いではありません。

★しかし、名門中学校の作り方の理屈から言えば、そのような有形アセットだけではなく、無形のアセットが、三田国際で養われるため、ぜひ自分の子を入れたいのだという意志を受験生・保護者が強烈に持っているという凄まじさです。

★そういう保護者が3000人強いるなんて奇跡でしょう。

★たいていは、難しと敬遠されます。だいたい難関校の倍率は3倍行けばよいはずです。しかし、三田国際は10倍を今も超えるのです。しかも、今年からはコースの区別なく、英語で授業するシステムが整っているわけです。

★1条校のインターナショナルスクールです。このシステムは、三田国際にしかありません。ですから、国際生・帰国生・英語に興味がある生徒が、みな集まってきます。

★もちろん、英語という教科だけはなく、他教科も英語で学べるわけです。理数系にも力を入れています。いわば多言語主義でサイエンスマスベースの学びの環境が貫徹しているわけです。

★三田国際が突き抜けているのは、このシステムにありますが、それは氷山の一角で、見える部分です。その水面下では、教師のプロフェッショナルキャピタルによって生徒の無形アセットが生成されています。そしてその産出力が凄まじいのです。

★たぶん、この氷山の一角のところまでは、誰もがわかります。しかし、出願している方々のみが、水面下の目に見えない、教育キャピタルと学びのアセットの関係に気づいているのでしょう。

★ビジネスのキャピタルとアセットと教育におけるキャピタルとアセットの差異は、21世紀型経営者や起業家精神旺盛なグローバル市民にしか、まだ理解ができない新しいバランスシート(BS)の考え方です。

★2023年は、このNew BSを見通すことが出来る保護者の方々が、三田国際にさらに殺到します。New BSの考え方ができないと、NEW VALUEは生まれないのです。それがライフシフト時代に対応できるといおうことです。そのことをすでに実践している三田国際。その意味で突き抜けているのです。

★私が、他の学校と従来のBSで比べて三田国際を論じることが、最近少ないのは、比較する項目基準が他にはないからです。何せ、突き抜けているのですから。

★もしそのことに気づく市場プレイヤーが増えたら、三田国際志願者は、2023年入試では5000人超えるでしょう。それだけの人が気づけば、日本の経済は復活する希望が生まれますよ。

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2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(34)中学入試はライフシフト時代に対応できるトランジション生成の拠点

★今日は午後から理事会なので、朝は、抹茶を点てながら、中学入試の動向を見ていました。ここのところ、複数の教育関係者とやりとりをし、中学入試はライフシフト時代に対応できるトランジション生成の拠点に転換しているかもしれないと対話しています。そして、その学びの体験をしないで高校入試に立ち臨む生徒には、いかにして別角度であるいは別の方法で、そのトランジションの体験を創っていくのか議論しているわけです。

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★そんなことを想起しながら、ログ解析をみていると、いきなり2年前の記事にアクセスが集中していたので、おもしろいと思い、少し調べてみました。その記事は「2020首都圏中学入試 厳しい受験 vs 選択眼の質向上 SAPIX・早稲田アカデミー・日能研の実績を通して」です。このページの平均滞在時間は2分弱ですから、アクセスしてくださった方は読んでいただいている可能性が高いですね。ありがとうございます。

★「選択 SAPIX ホンマノオト21」と検索エンジンに入れると、出てきます。SAPIXのところを早稲田アカデミーあるいは日能研に置換えても出てきますから、おそらく、学校選択や塾選択でサーチしている方々でしょう。中学入試直前の土曜日、最終的な判断をしようとしているのかもしれませんね。

★そして、ホンマノオト21を知っている方ですから、偏差値で選択しようとは考えていない方々だと思います。この記事の趣旨は、こう書いてあります。

「実際、首都圏では、受験生・保護者―私立中学―塾―模試センターなどの連携・協働して中学入試に臨むようになってきています。合格以上に生き方まで考えるプラットフォームが中学入試マーケットです。中学受験マーケットは、合格のみを考える場です。どちらに移行するかは説明するまでもないような気がします。 」

★この記事には、表現は違いますが、中学入試を2年前からライフシフト時代に対応するトランジション生成の拠点としてとらえていた自分がいて、変わらないなあと。ただ2年前から、共感してくださる方が方々が増えつつあると感じることもできました。感謝。

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2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(33)成城学園 想像力は知識より重要である。

★首都圏模試センターの出願倍率速報(2022年1月28日現在)によると、成城学園の出願総数の前年対比は、91.5%。人数でいえば、あと101人で100%を超えるので、2月1日までには到達するだろうと思いながらもふと疑問が浮かびました。それは、成城学園の伝統的かつ革新的教育の質については、中学入試のマーケットでは定着しています。それゆえ、もう少し100%に接近していてもよいのではないかという疑問です。

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★そこで、同校のネット出願のページを調べてみました。すると、なんと26日で1回目も2回目も締めきられていたのです。つまり、この前年対比の結果は26日から動いていないというわけです。

★ネット出願だから、前日ギリギリまで開いているだろうと思い込んでいました。この締め切りの「設定」は実におもしろいですね。そういえば、麻布、開成、武蔵もはやばやと締切っています。

★成城学園は2回目については、直前受付として「2022年2月1日(火) 17:00~2022年2月2日(水) 15:00」を設定しています。最終的には、ここで前年対比は、100%を超えるでしょう。

★私立学校の広報というのは、ビジネスキャピタル的な発想というより、プロフェッショナルキャピタルとしての発想が前提になっています。そのキャピタルの前提は3つありますが、この締め切り日の設定は、そのうちのディシジョンキャピタルが作用しています。

★同校サイトの校長・副校長のブログを開くと、アインシュタインのこんな言葉が飛び込んできます。「Phantasie ist wichtiger als Wissen, denn Wissen ist begrenzt. 想像力は知識よりも重要である、というのも知識は限られているからだ。」

★ドイツ語やフランス語も選択できる環境なので、このような「言葉」が刻まれるのでしょうが、多言語と想像力という発想が根付いているのがわかります。26日で締め切って、直前受付をまた設けるという意志決定。ここには、そのような発想を大事にしてくれる志願者へのメッセージが込められているのでしょう。

★昨年の国語の問題では、二人の登場人物のものの見方の違いについて、比較分析をして、記述する問題が出題されていました。社会では、戦争と技術革新の関係を推理して論述する問題が出題されていました。

★まさに知識を問うて終わるのではなく、想像力の翼を広げる問いを出題しています。

★知識は伝統です。想像力は革新的な発想を生み出します。締め切りの「設定」という決断にも、成城学園のクオリティが反映しているとは!感動です。

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2022年1月28日 (金)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(32)ようやくビジョンが見えかけてきました。八雲と工学院のラウンドスクエアショック!を通して。別角度で成城学園の新しい感じ方についても。

★ラウンドスクエアの加盟校の八雲学園と工学院のコンパラティブスタディ(比較研究)を続けてきて、ようやくビジョンが見えてきました。私の中では「ラウンドスクエアショック!」です。ここに導いてくれたのは、首都圏模試センターの山下社長とGLICCの鈴木代表とカンザキジュクの神崎社長です。ありがとうございました!

★3人とも、思考コードを自在に活用されているので、生みの親(?ということになっているようです)である私は大いに刺激を受けたのです。本日、鈴木さんとGWE<GLICC Weekly EDU 第64回「2022年中学受験 東京神奈川エリアの入試直前。アルファ世代が見る未来とは」>で、次の図を提示して語るシーンが出てくると思います。

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★この図によって、なぜ山下社長が、新しい教育のトルネードに私たちを巻き込み、なぜ鈴木代表が英語塾ではなく英語ベースの受験塾を経営し、なぜ神崎社長が自分の当たり前が当たり前でない日本の教育に気づき、その問題・課題を解決しようと教師コミュニティーを創っているのか、それらの謎が解けます。

★この解決こそ、中学受験生の新しいトランジションとしてのライフシフトを拓くカギです。直前になっても、なかなか最後の1校の選択に迷うという場合もあります。そのような保護者に贈る誰も語ったことのないここだけの話になると思います。

★そして、今回の話は、中学受験体験をしないで高校受験から新しいトランジションに接続したいと思っている高校受験生にも贈りたいと思います。

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2022年1月27日 (木)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(31)八雲学園 破格過ぎて見えない学びの領域の存在

★2022年1月27日現在(日能研倍率速報)、八雲学園の中学入試の出願総数の前年対比は90%に達しています。2月1日までには、100%は超えるでしょう。そして2月5日の未来発見入試は最終的には膨らむので、前年度に比べさらに増える結果となるでしょう。本来は、もっとはやい速度で100%を超える教育の質なのですが、都立大という高級住宅街にあるので、少し敷居が高く感じられ、その心の目隠しが、八雲の奥行あるそして高い品質の教育を見えなくしている可能性があります。ぜひ心の目隠しを外してみてください。見たことのないシーンが広がるはずです。

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(トップページに入ると、在校生の受験生のメッセージを見ることができます)

★明日、GLICCの代表鈴木裕之さんと本邦初の目からウロコという話をします。

★それは、気づくと、ある意味、恐ろしい現実の話です。八雲学園の本質を見ることができない日本の教育が、いかにグローバルな視野から見ると、決定的に危ういのかという話だからです。

★あまりに大きな球は、近くにいると全貌が見えないと同じ感覚です。

八雲学園の本質を、明日以降ご紹介したいと思います

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2022年1月26日 (水)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(30)工学院の大飛躍の風。実感!本質的な話。

★前回ブログで工学院を紹介したところ、すぐに田中歩先生からメッセージがはいりました。俊敏力と気遣い力。まずは、そのメッセージを紹介いたします。

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(同校のサイトを開くと、生徒による多様なプロジェクトが花開いていることが了解できます)

「ありがたいことに今年は急に出願が増えました。その理由は、生徒一人ひとりがプロジェクトを考え、whyやhowを問うことを授業で行い続けた結果かもしれません。教頭の奥津先生をはじめ、各学年の先生がこの状況でもできることをオンラインとリアルを併用し、学びの範囲を学内にとどめずに行ったことがゆっくりと、でも確実に浸透し始めたのかもしれません。

また、この間同僚から次のような話を聞いたところです。<ピンチヒッターで授業をしに行った時に、中1なのに物事の視点や考え方の切り口が多くなっていたり、対話して目的へという姿が見られたのはうちの教育をこの1年受けたからかなと思う>と言ってました」と。

★本当にふだんから共感的コミュニケーションを大切にしている歩先生のメッセージですね。わかりやすいし、同僚性を大切いしているということがわかります。ロジカル、クリティカル、クリエイティブな思考を生み出すプロジェクトを生徒が主体的に共創しているのだということもわかります。

★パンデミックを軽やかに乗り超えられるハイブリッド授業をニューノーマルにしたということもわかります。もちろん、最初は苦労したと思いますが。

★そして、これはやはりラウンドスクエア加盟校同士の交流や英語の哲学、科学、文学の授業がなせる業でしょうが、生徒がコンセプトレンズを身につけているということです。グローバル教育の真骨頂は、英語は当然で、なんといってもコンセプトレンズを身につけられるかどうかなのです。

★残念ながら、日本の教育は部分解ばかり詳細に丁寧に広がり、全体解を必要とするアクロバティックな問いが投げかけられないのが現状ですから、しかたがないのですが、グローバルな世界で活躍するには、全体解、つまりコンセプトレンスを自ら身につけられるセルフリフレクション能力が必要です。

★これを生み出す教師がプロフェッショナルキャピタルを有することができるのでしょう。

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2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(29)工学院 大飛躍の風。

「2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(25)工学院 New Value School 学びの生態系が拡張」で、工学院大学附属中学校・高等学校(以降「工学院」)の生徒募集が前年対比を超えるのではないか、それはすべての生徒がそれぞれの興味と関心をグローバルでイノベーティブで、クリエイティブな学びや探究に広げていく高い教育の質があるからではないのかというような趣旨のことを書きました。そして、それは2月1日を待たず、証明されました。

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★同校教務主任の田中歩先生によると、出願総数の2022年1月24日同日前年対比で150%弱だそうです。すでに帰国生の前年対比は126%です。そして、なんといっても、この段階で、出願総数も、実受験者数も昨年の最終の数を超えてしまったそうです。工学院には、大飛躍の風が吹いていると言えましょう。

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★首都圏模試センター発刊の「しゅとも11月号」の特集「進化する授業、進化する教師」で、田中歩先生が取材されています。「対話から1人1人に最適な学びを提供する個別最適“家”」というペルソナが与えられています。

★このタイトルを見たときに、アンディ・ハーグリーブスの“Professional Capital”という本を想いだしました。2013年に出版された本で、21世紀型教育機構を創設する時に、共有した本です。ここから21世紀型教師としてSGTを生み出そうと田中歩先生や聖学院の児浦先生と考え、活動を開始したわけです。

★最近、ライフシフトという本も邦訳され、有形資産から無形資産へという流れがでてきています。まさに工学院の教師は無形資産そのものだし、ライフシフト時代をサバイブする今のZ世代、それからちょうど中学受験生であるα世代が無形資産を生み出すような教育環境を作りだしています。

★ライフシフトで語られている有形資産と無形資産とハーグリーブスのいうビジネスキャピタルとプロフェッショナルキャピタルは、完全に一致はしませんが、重なる部分も多いですね。貸借表の資産と資本の違いとか、そういうことではもちろんないでしょう。あくまでもメタファーでしょう。

★本間はよく教育現場で金の話をするけしからんとお𠮟りをうけることも多いのですが、ライフシフトでは、教師は大事なケアリングクラスです。また、ダボス会議で議論され続けているグレート・リセット時代におけるクリエイティブクラスです。そんな教師が富裕層になる必要は毛頭ないし、なりたいとも思っていないでしょうが、ゆとりのある豊かな精神を持続可能にするキャピタルは必要だと思います。ハーグリーブスも、同書の中で、次のように語っています。

“ When the vast majority of teachers come to exemplify the power of professional capital, they become smart and talented, committed and collegial, thoughtful and wise. Their moral purpose is expressed in their relentless, expert-driven pursuit of serving their students and their communities, and in learning, always learning, how to do that better.

Hargreaves, Andy; Michael Fullan. Professional Capital: Transformng Teaching in Every School . Teachers College Press. Kindle 版.”

★deepl翻訳によると「大多数の教師がプロフェッショナル・キャピタルの力を発揮するようになると、彼らは賢く、才能があり、献身的で仲間思い、思慮深く、賢明な教師になります。彼らの道徳的目的は、生徒と地域社会に貢献するために、専門家主導で絶え間なく努力し、より良い方法を常に学習することに表れています。」少しおかしなところがありますが、私が訳するよりよほどわかりやすいので、そのまま掲載しておきます。

★工学院の教師は、まさにプロフェッショナル・キャピタルですね。大飛躍の風が吹くはずです。

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2022年1月25日 (火)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(28)東京の私立共学中高一貫校の人気校から見えるコト New Value School

★2月1日まで1週間。日能研倍率速報(2022年1月24日午後6時現在)によると、東京の共学の私立中高一貫校の出願総志望者数の前年対比は、75.3%。業界予想では中学受験人口は今年も増えているというこlとですから、最終的には100%前後になるでしょう。そんな中、2月1日の入試ですでに100%を超えている学校を列挙してみましょう。次の入試は、東京2月1日共学入試の33%シェアです。この数字は人気校を示唆する数字でもありましょう。

1:品川翔英 第1回  277.6%
2:明星 2科特別選抜1回  193.9%
3:武蔵野大学 適性検査型  177.8%
4:新渡戸文化 2/1午後  166.7%
5:宝仙理数インター 第1回プレゼン型/英AL  155.2%
6:目黒学院 第2回  154.5%
7:目黒学院 第1回  150.0%
8:三田国際学園 2回(ISC) 148.9%
9:桜丘 第1回  143.8%
10:桜丘 第2回  137.6%
11:工学院大学附属 第1回A 134.5%
12:聖徳学園 2/1AO 133.3%
13:文化学園大学杉並 第1回/適性検査型  129.1%
14:新渡戸文化 2/1午前  126.7%
15:目黒日本大学 2/1午後 124.4%
16:聖徳学園 2/1PM①  122.7%
17:実践学園 教科1回  122.4%
18:駒込 第1回  122.2%
19:玉川学園 一般第2回  120.7%
20:東星学園 第1回一般  120.0%
21:日本工業大学駒場 第2回115.7%
22:玉川学園 一般第1回  114.9%
23:郁文館 第1回iPclass選抜114.3%
24:多摩大学聖ヶ丘 第1回 113.9%
25:文教大学付属 第1回  112.3%
26:八雲学園 第1回  112.2%
27:中央大学附属 第1回  111.7%
28:品川翔英 第2回  111.0%
29:順天 第1回A  111.0%
30:立正大学付属立正 第1回/午後 111.0%
31:目白研心 第1回2科・4科/適性 110.6%
32:成蹊 第1回  110.3%
33:宝仙理数インター 第1回2科・4科 110.3%
34:文教大学付属 第2回  109.2%
35:郁文館 第1回総合  108.8%
36:帝京八王子 第1回B  107.7%
37:武蔵野 第1回  106.9%
38:国士舘 第1回  106.1%
39:立正大学付属立正 第1回/午前 105.5%
40:安田学園 1回先進特待  104.6%
41:城西大学附属城西 第1回午前  104.6%
42:目白研心 第2回2科・4科  103.6%
43:八雲学園 第2回  102.3%
44:渋谷教育学園渋谷 第1回  101.3%
45:多摩大学聖ヶ丘 第2回  101.1%
46:穎明館 第1回  100.8%
47:かえつ有明 2/1午前2科・4科  100.3%
48:かえつ有明 2/1午前思考力特待 100.0%
49:工学院大学附属 第1回B  100.0%
50:広尾学園小石川 第1回  100.0%
51:東海大学菅生 第1回A  100.0%

★こうしてみると、ライフシフト時代へ対応している学校がほとんどです。今後の人気校の条件かもしれません。

★すなわち、グローバル化、グリーン化、デジタル化、アントレを教育環境や内容で実施しているところという意味です。

★ライフシフト時代に対応しているということは、New Valueを生み出す生徒が巣立つということです。

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2022年1月23日 (日)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(27)昭和女子大学、iUは、New Value 大学

★中央公論2022年2月号の特集は「もがく大学再生の道」。「トップが語るアフターコロナの大学論」で、早稲田大学、関西学院大学、昭和女子大学、東京工業大学、国際教養大学、金沢大学、iU、東北大学のトップが語っています。いずれもパンデミックによってダメージを受けはしたが、新たな気づきや発見があった。そこをポジティブに展開していこうというトーンは共通しています。その中で、新しい政策やイノベーション、プラットフォーム、大学の使命の提案のみならず、学生一人ひとりのNew Valueをダイレクトに生み出す実践のケースを語っていたのは、昭和女子大学とiU 情報経営イノベーション専門職大学(以降「iU」)で、参考になりました。

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★昭和女子大学の坂東理事長・総長は、国際教育に力を入れていたのが、リアルスペースが活用できなくなって、ダメージを受けたものの、それをグッドクライシスと捉え直し、オンラインで新しい国際交流や研究会を行い、まさにピンチをチャンスに変えたコペルニクス的転回発想を語っています。それはしかし、同時にオンライン格差を生み出しているわけであり、それを解決するには、学生に対する個別最適化というAI頼みだけではなく、個別支援活動をしているというケースメソッドを紹介していました。

★それができたのは、中規模大学だという量と質の均衡を語っていたのはなるほどと。結局デジタル化はメンタルや人間関係、身体の健康などケアリングとセットになっていないとうまくいかないし、大学の教師やスタッフと学生のコミュニケーションがうまくいかないとという話です。

★つまり、デジタルーケアリング、大学人ー学生の2軸がつくる4座標のどの象限も満たされていなければならないということでしょう。デジタルー大学人の話に偏ったり、大学人ーケアリングに偏っても、機能的だけれどハッピーになれなかったり、想いは伝わるけれど突破できない不満が生まれたりするわけです。

★この昭和女子大学の高品質の実践は、おそらく昭和女子大学附属中学にも反映しているのでしょう。現時点で、中学の出願数が前年対比100%を超えている入試がはやくも出てきています。

★同グループは、学生1人ひとり、生徒1人ひとりのNew Valueを生み出す学びや研究を行っているのだと思います。

★中規模と言えば、iUもそうですが、何せあの中村伊知哉学長です。海外大学に目を向けたかと思うと、一気呵成にに学生1人ひとりのNew Valueを生み出すことに目が向きます。MITやスタンフォードのエッセンスを凝集し、多様なコミュニティをワクワクしながら学生がプロデュースする起業機会を創っています。

★両大学から、やはりライフシフト時代を牽引する学生が輩出されるビジョンとメソッドが見えました。グローバル化、グリーン化、デジタル化が三位一体になっていて、それを自在に拡散凝集できるのは、コミュニティを企画運営できるダイアローグの生産力に尽きる感じがします。この生産力をGGDDとしましょう。

★いまのところ、ドイツ人が1000万かせぐ場合の労働生産性に対し、日本人は650万の労働生産性しかありません。働き方改革が進まないわけです。働き方改革をして、労働生産性があがるには、GGDD能力でワクワクしながら起業できるアイデア資本主義がポイントになるでしょう。

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2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(26)新しいトランジションを生き抜くためのカンザキジュクとGLICC

★昨日、GWE(GLICC Weekly EDU 第63回「パンデミックで、中学受験と大学受験が直結。新しいトランジションー神崎史彦先生との対話」)で、ゲストの神崎史彦先生とGWE主宰者鈴木裕之さんと対話して、明快に見えてきたコトは「中学受験からライフシフトに向かう新しいトランジション」ということです。そのあと、鈴木さんとそれぞれ別々の企画案のスライドを交換しながら、より確信に変容しました。それについては、来週鈴木さんと対話する中でよりはっきりしてくるコトでもあります。

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(この課題について今後考察していきたいと思います。)

★いずれにしても、昨日の対話は、何か決定的な見通しが見えてきました。なぜそうなったのかというと、やはり決定的な本が出版されたからです。神崎先生の新著「ゼロから1カ月で受かる 大学入試 プレゼンテーション・グループディスカッションのルールブック」KADOKAWA (2022/1/21)がそれです。

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(新しいトランジションをサバイブするための思考本を列挙しましたが、これらの本をメタ認知する本が神崎先生の書です。)

★カンザキジュクもGLICCも中学受験から大学受験までの機会があり、しかもそこで行う学びは、思考コードでいうC軸思考を中心とした問いのシステム思考です。ですから、両塾とも中学受験における新タイプ入試や英語入試をレバレッジとして2089年に完成するライフシフトへの「新しいトランジション」を生み出していく学びのスペースです。

★神崎先生の新著は、プレゼンテーションやディスカッションのハウツー本でありながら、そこにいたるシステム思考の構築の多角的なアプローチが開陳されている哲学書でもあります。現実と理想のギャップを解消したプラグマティックな書といってもよいのではないでしょうか。

★120年前に世の中にでたデューイやパースのPBLや3つのダクションというプラグマティズムを完全に現代化しています。もちろん、そのために、神崎先生は文化人類学やアートなどの多角的な見識も活用しています。オムニバス形式で本質的なThinking Toolsも紹介されていますから、教師も生徒も保護者も必見の書になっています。合格に行き着くためでもありますが、ライフシフトへの新しいトランジションを自らそして仲間と共に創っていく哲学書でもあります。プレゼンテーションとディスカッションがカップリングされている背景にはそういう趣旨があるでしょう。

★この神崎先生の新著を端緒に、新タイプ入試という問いの塊を思考する=対話する中学受験体験を生徒が、さらに大学受験で同様に思考の塊の問いにどっぷりつかる=対話する総合型選抜や小論文を学ぶ大学受験体験をするとライフシフト時代をサバイブしていく新しいトランジションを描けるということが了解できる上昇気流に乗ることができました。

★同時に、中学入試や帰国生入試の体験がないまま高校入試をして大学受験をする生徒が40%います。今のところ新しいトランジションに乗っているのは、中学受験や帰国生入試の体験者で、この生徒はまだ高校卒業生の10%しかいないのです。高校受験体験者が大学入試をしようがしまいが、その中学受験生の3年間や海外帰国生の体験のエッセンスをどのように学ぶのかが大きな課題であることも現れ出でました。そして、この課題に神崎先生の新著は大いに役立ちます。

★今回のGWEは、奇しくも神崎先生の新著出版日でもありました。創刊記念対話にもなりました。仕組んだわけではありません。偶然の必然が成り立ったわけです。歴史が動くときとはそういうことでしょう。神崎先生、鈴木さん、それからライブの要所要所でコメントメッセージを送ってくださった藤牧先生、ありがとうございました。すてきな時となりました。

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2022年1月22日 (土)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(25)工学院 New Value School 学びの生態系が拡張

★東京の私立中高一貫校の中学入試の志願者総数はゆっくりですが、2月1日に向けて増えてきています。日能研倍率速報(2022年1月22日現在)によると、東京エリアの共学校の志願者総数前年対比は70%。2月1日には100%を超えるでしょう。そんな中工学院大学附属中学校は、この時点ですでに92%です。平均より出願のスピードはかなり速いですね。2月1日には当然100%は超えるでしょう。とにかく、勢いがあるということでしょう。それでは、その理由は何でしょう。

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★それは、明らかに、すべての教育活動の密度が高いからです。学校説明会に行けば、密度の高さは、熱を伝えますから、すぐにわかりますが、いかなくても同校のサイトは更新率が高いーつまり更新率の高いサイト表現というのも教育活動で密度が高いわけですーので、その高品質が伝わってきます。

★よく、SNSやオンラインでは熱は伝わらないという話がでますが、それは表現するものがいつも定番だからです。

★表現したいものが無限にあれば、それはリアル以上にリアルがこぼれ出るのです。リアルは限られた時間と空間で表現していますから、実はリアルではありません。リアルの部分集合しか伝えられないのです。もちろん、伝えるパフォーマンスの高さというものが重要ですが、パフォーマンスはすでに表現であって、リアルそのものではないのです。

★工学院は、とにかく多様な教育活動をアウトプットしています。なぜこれだけの活動を表現できるのでしょうか。

★それは、極めてシンプルです。一部の生徒だけが脚光を浴びているのではなく、生徒1人ひとりがみな発信できる教育活動が拡張しているのです。

★そして、部活でもサイエンスでもオンライン国際交流でも演劇でも、デジタルは当然活用するのですが、なんといっても言語と数学ベースの智慧が浸透しているのです。この智慧は工学院の教師と生徒両方の共通財産です。

★当然これは彼らにとっての無形資産です。ライフシフト時代です。未来はこの無形資産こそNew Valueを生み出します。そして、この価値はお金に置換えることもできます。心と現実の両方が融合してこそwell-beingです。

★かつては中高生の10%しかファーストクラスにはなれませんでした。

★工学院に行けば、そんなのは関係なく、みんなが心と金の両方を年収2000万くらい稼げるようになるでしょう。

★そんな馬鹿な!本間はまた妄想を抱いていると言われるでしょう。でも、そうならないと日本の経済はしぼみますよ。新しい資本主義とか所得倍増とはそういうことでなければ。

★いい加減目の前のことだけ考えるのはやめて、絶望を希望に変えるライフシフトをキャリアデザインの目標にする工学院のような多様かつ高密度の教育をしなくてはなりません。

★八王子に工学院があることによって、New Valueを生み出すことの魅力に、多摩エリアの受験生が気づくでしょう。同エリアにある勤務校もNew Value Schoolへとがんばります(微笑)。

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2022年1月21日 (金)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(24)富士見丘 New Value School

★2022年1月20日現在の日能研倍率速報によると、富士見丘の出願総数は前年対比106.7%。現時点で東京の女子中高一貫校の出願総数の前年対比は68.2%ですから、人気があることを示唆するものです。帰国生に人気の学校から国内生にも広くその価値が注目され始めました。世間はようやく気づいたのか、遅いなあというのが実感ですが、同校に通って自分の価値と社会をwell-beingにする新しい価値を多様なグローバル市民と創っていく生徒がたくさん卒業していくことは、未来社会に希望が広がります。

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(写真は同校サイトから)

★なぜ注目を浴びているのか、どれほど魅力的な教育なのか、破格に素敵な女性が活躍しているのか、論より証拠、オンラインで公開される「WWL課題研究発表会」にぜひご参加ください。目からウロコ、日本にこんな質の高い、そして社会貢献実装という理想と現実を統合させている学校があるのかと驚くことでしょう。

★そのうえで、改めて卒業生(予定)91名の昨年の12月時点での大学合格実績を見てください。なるほど成果の一つとして、大学合格実績もでるのは当然だということになるでしょう。大学の一般入試はこれからですから、下記の実績はさらに増えます。

早稲田大学     1名
上智大学      6名
国際基督教大学   1名
青山学院大学    5名
学習院大学     1名
中央大学      5名
法政大学      3名
立教大学      3名
成蹊大学      4名
成城大学      2名
明治学院大学    2名
立命館大学     1名
津田塾大学     2名
東京女子大学    4名
日本女子大学    5名
駒澤大学      1名
東洋大学      1名
白百合女子大学   3名
清泉女子大学    3名
フェリス女学院大学 2名
順天堂大学     1名
東京医療保健大学  1名
東京都市大学    1名
東京農業大学    1名 

まだ富士見丘を知らない受験生は、まずはサイトを開いてみてください。思ってもいなかった希望の未来が広がるはずです。

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2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(23)聖学院・麻布・武蔵・早稲田政経・海外大学という思考力入試でみえる新しいトランジション

★入試問題は学校の顔というのは、中学受験業界では人口に膾炙されて久しいですね。1990年ごろに灘の日置先生が語っていたのが、全国の私立中学受験に飛び火したと記憶しています。今では、アドミッションポリシーーカリキュラムポリシーーディプロマポリシーという3ポリシーで語られるのが通例ですが、この時期だと、「入試問題は学校の顔」という表現がぴったりです。

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★入試問題はもちろん、選抜テストですが、こんな学びをいっしょにやろうよ!というメッセージも含まれる両義性があります。もし、この両義性がない入試問題を出題しているとしたら、それは受験生が未来に向かって学びませんから、中学受験はディストピアですね。しかし、両義性があるから、希望の灯がともります。

★この両義性を豊かに内包している入試の代表例が、聖学院の思考力入試であり、麻布や武蔵の4教科入試です。そして、それは早稲田の政治経済の入試につながっています。もちろん言うまでもなく海外大学のアプリケーションはそうなります。

★GLICCの代表鈴木さんは、麻布や武蔵の入試問題は4教科入試だけれど、他の4科目入試に比べて破格の思考力入試と言ってよいのではないかと。

★なるほどそうですね。そして、今挙げた学校の入試で問われる思考力は、論理的思考で終わらすに、批判的思考や創造的思考にまで発展しています。

★したがって、新しい価値を生み出そうとする人間力が養われるのが、これらの学校の共通した特色ですね。

★ここまで破格ではないのですが、適性検査型入試も思考力が大いに必要です。新タイプ入試の標準モデルは適性検査で、この試験のバリエーションが多様になっているのが、新タイプ入試の特色です。

★中学入試でも新タイプ入試は随分増えました。実は全国の公立の高校入試も適性検査に近いカタチになってきています。そして、大学入試における総合型選抜はこれにつながっていきます。

★その中で、先述した学校の思考力入試(麻布や武蔵もこのカテゴリーにいれています)は、大人も解いていてドーパミンが溢れ出て覚醒されるほど、知的魅力にあふれています。このような問題で学んで中学に進むとさらにその先で社会において共に価値を生む活躍ができると思います。この成長の軌跡を新しいトランジションと呼びたいと思います。一般的には大学と企業という限定的な結びつきを言います。最近では、高校にまで降りてきていますが、まだまだです。私はさらに小学校からのトランジションもあるなあと感じているわけです。

★麻布も武蔵も、もう出願の締め切りを迎え、前年対比100%を超えています。

★聖学院は、まだまだ締め切りは先ですから、順調に100%超えに向かっています。すでに国際生入試は終わっていて、出願の前年対比221%でしたから、一般入試も超えるでしょう。

★開成や筑駒も思考力問題は出題します。いい傾向です。ただ、いくつかの問題の中に、思考力問題があるという組み立て方です。先述の学校のように、すべてが思考力問題であり、なおかつ試験全体を通してストーリーがあるというシステム思考的あるいは構成主義的なつくりにはなっていません。

★これは思考に対する考え方の違いで、どちらでもよいのですが、思考力入試は、どちらかというと文化人類学や哲学、AI的なディープラーニング系の発想がベースにあります。どちらを好むかはそれはそれぞれの価値観によります。

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2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(22)鎌倉女子大中等部・高等部にみる未来の教育

★鎌倉女子大中等部・高等部は、来年2023年同法人が80周年を迎えます。その事業の一環として新校舎建設が行われ、昨年7月から中等部・高等部は新校舎で学んでいるようです。直接訪れたことはありませんが、同校のサイトや動画を眺めると、ここに脱偏差値の未来の教育があると感じました。首都圏中学受験生は、全国の小6の3%です。

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(写真は同校サイトから)

★エッと思う方もいらっしゃるでしょう。そして、3%のうち3分の1の受験生が中学受験する学校しかメディアは注目しません。もちろん、心ある中学受験情報誌もありますから、公平に取り扱いますが、広告費用を出さなくても取材される学校は、やはりその3分の1なのです。つまり、全国の1学年のうちの1%の話が盛り上がっています。お受験だとかドラマになる話とは、その領域の話です。

★顕微鏡でみるような話が、すべての日本人の生活を規定しているかのような非科学的な感情で受験が語られている可能性があります。

★この錯覚は、特に大学入試でひどいですね。国公立大学や難関私大だけが大学のようなランキング表が春になると雑誌を埋め尽くしますが、日本には、800弱大学があるのです。年々増えてもいます。

★そして、この大学のうち、話題になるのは、国公立大学と私大のうち100大学です。なぜって、これらの大学だけで、全志願者の80%以上を占めてしまうからです。

★しかしながら、全国の大学進学率は他の国に比べ低いですが、それでも50%強です。

★鎌倉女子大中等部・高等部は、神奈川の学校です。リクルート進学総研のサイトで公開されているリポート「18歳人口推移、大学・短大・専門学校進学率、地元残留率の動向2020年」によると、神奈川県の大学進学率は57.%%で、全国で5位です。1位は東京ですが、それでも64.7%です。同校の大学進学率は、65.3%(2021年:同校サイトから)です。

★世の中は、グローバル化、グリーン化、デジタル化と叫ばれていますが、新校舎が建つ以前からその3つに対する多様な学びのプログラムは同校はすでに実践して実績を積み上げています。

★したがって、このような学びの空間が新校舎には埋め込まれているはずです。

★学校説明会で、以上のようなことを同校自身が説明しているかどうかはわかりません。このようなことは、今ではサイトを調べれば誰でもわかりますから、豊かな進取の気性をお持ちの保護者がリサーチをして、1%の話に乗らずに、我が子の未来を描きながら選んでいた李、面倒見のよい塾の先生方がアドバイスをしている可能性もあります。

★2021年1月20日現在日能研倍率速報の数字を集計してみると、現時点で同校総出願者数の前年対比は、141.9%です。

★鎌倉女子大中等部・高等部は、脱偏差値の新しい価値観を拡大する教育を行っている学校の1つでしょう。

★同校が注目されるコトの意味は、未来の教育のヒントを示唆しますね。

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2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(21)新しい松下村塾 宇宙船地球号づくりのために

★宇宙船地球号(Spaceship Earth)とは、未来建築家バックミンスター・フラーが1963年に発刊した構想です。2089年にその構想は実現しますが、その実現の担い手が、今のZ世代と中学受験生のα世代です。そして、宇宙船銀河(Spaceship Galaxy)を操縦するのが、さらに次のC世代(ガンマーではなく、コンヴァージョン世代と私は呼びたいのです)だと妄想しています。

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★宇宙船地球号ではありませんでしたが、19世紀末に海洋船地球号を構想したのが八畳一間の松下村塾の2代目塾頭吉田松陰です。ここから明治という近代社会を構築した人材が多く輩出されたことは有名です。

★今、宇宙船地球号や宇宙船銀河を構築し操縦しようという人材を輩出する新しい松下村塾が桜新町と二子玉川に出現しました。どちらもリアルスペースは小規模ですが、サイバースペースは地球規模です。

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★GLICCとカンザキジュクがそれです。本日夜には、GLICCのジュク頭鈴木裕之さんとカンザキジュクのジュク頭神崎史彦さんと対話します。

★両塾は、アプローチはまったっく違うのですが、言語能力と創造的思考力をベースにした新しいジュクです。しかしながら、共通点は、中学入試→高校入試・大学入試→ライフシフト時代を生きる宇宙船地球号操縦という新しいトランジションを生み出す現代の松下村塾です。

今年の中学入試や大学入試の問題予想にもつながる理想と現実を融合した対話になります。お楽しみに。

 

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2022年1月19日 (水)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(20)東京の私立女子中高一貫校動向から見えるコト

★東京の私立中高一貫校の出願数が増え始めました。たとえば、日能研倍率速報によると、2月1日の東京の私立女子中高一貫校の出願数の前年対比は78.2%(2022年1月18日午後6時現在)です。昨今はインターネット出願が多いため、締切ぎりぎりに出願するケースが多く、出足が遅いので、ゆっくり増えていくという感じです。そんな中で、すでに2月1日の入試で100%超えている女子校(2月1日)があります。並べてみます。

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(学校の新コンセプトレンズ)

東京女子学院 第1回午後 214.3%
淑徳SC 第2回  200.0%
東洋英和女学院 帰国生  166.7%
淑徳SC 第1回  163.6%
瀧野川女子学園 第1回  160.0%
実践女子学園 第1回  156.8%
中村 特待生/2月1日  155.9%
京華女子 第1回午後/2科・4科型  136.1%
京華女子 第1回/適性検査型  133.3%
昭和女子大附昭和 D  124.5%
東京家政学院 2/1午後  123.5%
麹町学園女子 2/1午前  116.7%
大妻中野 第1回グローバル115.4%
中村 一般/2月1日  114.3%
富士見丘 適性検査型思考力114.3%
北豊島 一般  113.8%
麹町学園女子 2/1午後  109.3%
玉川聖学院 多文化共生  106.7%
女子学院   106.4%
実践女子学園 第2回  104.8%
東京家政大学附属 第1回(セレクト)101.6%
十文字 思考力型  100.0%
川村 セレクト①  100.0%
目黒星美学園 発想力  100.0%

(日能研倍率速報2022年1月18日午後6時現在)

★新タイプ入試、帰国生入試、午後入試など多様な入試を行ったり、革新的な教育内容を行ったりしているNew Power Schoolなどが目立ちます。一方で女子学院のように普遍的な教育を行っている学校も出願数が多いわけです。

★大学も動いています。そしてそのような大学への新しいキャリアデザイン観にシフトしている学校もでてきています。

★ここは、意識のシフトなので、明確な指標がありませんから、かなり独断と偏見になりますが、ライフシフトに対応できるかどうかが今後は大切なような気がします。

★その意味で、New Power Schoolであるかどうかというより、New Valueを生み出せるあるいは大切にする学校であるかどうかということがポイントになるのではないかと思っています。上記の学校を眺めていて、学校の新コンセプトレンズが生まれてきたような気がしてならないのです。

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2022年1月18日 (火)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(19)教えないことは教えることで、教えることは教えないこと。

★昨日、新渡戸文化中高の山本崇雄先生と少しお話しできたのですが、教えない授業の極意に触れたような気がしました。これについては、今度山本先生にお話をお聞きしようと思いますが、どうも世の中は、メタファーという理解をなかなかできなさそうです。とはいえ、言葉は、そもそも言葉である以上メタファーです。「鉛筆」という言葉は、✎そのものではないでしょう。それでも理解できてしまいます。しかし、理解しているということは、「鉛筆」と✎が一致している確率の話で、推論にすぎません。

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★ですから「教えない授業」も、本当は「教える=a×教えない」という関数です。関数といのは、グラデーションと置き換えても良いですね。置き換えることができること自体、言葉はメタファーです。

★有名なピアソンとギャラガーの学びを生徒が引き受ける度合はグラデーションで、どこのポジションで教える教えないかで、それは違うわけです。極端に100%教えない「極」を語っているのか、教師と生徒の両極の間のどこか辺りなのかは、授業の展開によって刻一刻と変わるのです。

★ですから、不動の教師一方通行型講義という極に拘泥するのはやめましょうよというのが山本崇雄先生の考え方だと思います。

★メタファーは言葉の関数だし、AIの場合理解一致度の確率の高低でしょう。とはいえ、メタファーは身体性とかかわっているので、AIがなかなか人間を超えられない点でもあります。

★それに、読解で、理由はどこに書いていますか書き抜きなさいという問題も、ずばり書いてあるからズレるはずがないと思っていますが、そのアイデンティティを保証するエビデンスは何でしょう。こんな一見当たり前のことも、私たちは本当は語り尽くせないのです。

★今の教育はそれを無視しがちですね。かりに一方通行でなくても、この言葉はメタファーの度合いが高いか低いかで、メタファーでない存在はないのかもしれないということを対話できなければ、それはただの相互通行型のカタチに過ぎないのです。

★逆にこのことを意識して一方通行型で講義をしていた場合、ダイレクトに語っていることではなく、インダイレクトなことを相手に考えさせることになれば、それは実は教えない授業です。

★でも、また本間の妄想だということになるでしょう。

★しかし、AIの理解は確率の問題です。頑なな軸や極、定義などの固定主義は、AIに勝てるわけでがありません。知の身体性の回復、言葉のメタファー機能の回復が必要な時代です。

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2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(18)大学入学共通テスト2つの「万歳論」 サバイブ力が鍛えられる?

★「万歳」は本来祝いの所作ですが、その所作のカタチから転じて「お手上げ」という意味もあります。今回の大学入学共通テストに対する受験生や教師、受験業界人、一般市民の反応は、まさにその両方でしたね。なぜそうなるのか。たとえば、世界史Bの次の問題をみてみましょう。

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★これを見てどう感じますか?一般市民は、ウラマーとかスーフィーなんて知らないよ、難しいんじゃない。塾講師は、織り込み済やや易しいかな。教師は、共通テストでこんな細かいところまで出すなんて、まあ念のためと思っていたからよかった。受験生は、予想していたよ、難しい、適当などなど様々。

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(絶版ですが、池田央先生の本はわかりやすく勉強になりました。数学的な見識も知りたい場合は、高橋信氏の本は参考になります)

★テスト測定学を研究し、その成果を入試センターに提案している専門家は、完全解答にしているから、技術的に難しくなっているし、IRT(項目反応理論)からいえば、信頼性はともかく、妥当性、正当性に欠くなどなどとなります。

★塾予備校の入試問題分析研究センターでは、さらに誤答や正解への認知科学的な痕跡を計算します。この問題は知識暗記で解けるのか、文章を読んで理解する技能で解けるのか。次の4パターンで考えます。

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★ウラマーもスーフィーも、山川出版の「世界史B」に掲載されています。意味もほぼゥの選択肢のまんまです。ただし、記載されている箇所は、本文の下段の「注」の書かれている場所です。塾や予備校では、ここまで記憶するように指導しますから、イもゥも知識暗記でできるとなるでしょう。

★塾予備校に行っていなければ、教科書の読み込み次第では、上記の図では、他の3つのパターンのいずれかですね。

★ゥの選択肢は、与えられた文章を読めば理解できます。いわゆる読解問題ですから、暗記していなくても読解技能で解けます。

★しかし、イは文章には書いてありませんから、記憶していなければ、カンであっているかどうかによって得点できるかどうかが決まりますね。

★そのカンですが、たとえば、ウラマーの最初の音U、スーフィーの最初の音Sを思い浮かべ、イスラムの文化はヨーロッパキリスト教にも影響を与えています。中世は、キリスト教もイスラム教同様、法源は聖典です。ですから、神の法と人間の実用的な法は結びついていました。

★つまり、スピリチュアリティとユージュアルは密接に結びついていたわけです。それで、Sの方が神に関することで、Uの方が実用的なことに関することだから、なんか語源的に関係あるのではないかと推理して、たぶんめちゃくちゃ間違っていると思うのですが、そのような主観的な想いで推理して正解してしまうということもあります。

★そんな感じで、偶然にもできたとしても、推理という理解でアプローチしたわけです。そういう意味では、推理と読解というイもウも両方とも「理解」でできるというパターンもあるわけです。

★「知識」+「知識」、「知識」+「理解」、「理解」+「知識」、「理解」+「理解」どの考え方でアプローチしてもいいわけですが、確実なのは、山川の教科書「世界史B」を覚えていた方が正解率は高いかもしれません。しかし、これは解答集を覚えたうえで答え合わせするのと同じ行為です。

★しかも、ゥの方は「理解」であっていても、完全解答ですから、イを「理解」のアプローチで間違った場合、不正解になります。

★この行為はしかし、すてきではないですか。それなのに。。。と感じる教師もいるかもしれませんね。

★テスト測定学的には、信頼性がチェックされます。

★結局、選択肢の問題であっても、わからないときには、カンを覚醒すればよいわけです。推理、この場合はアブダクション型推理ですから、予測不能な事態にであったら、サバイブするときに必要な能力です。

★大学入学共通テストはサバイブ力を鍛えるテストとしては素晴らしいというわけで「万歳!」です。

★とはいえ、たった1問の分析で、こんなに時間がかかるのです。専門家以外、本当のところは誰もわからないし、テスト測定学やIRTのことを知っている現場の教師もそんなに多くないのです。ですから、メディアが取り上げているあるいはSNSで出回っている分析は実はあまり科学的ではないということです。完全にお手上げです。そういう意味で「万歳;」です。

★まっ!私の場合は、PBLで3つのダクション=三角ロジックを養うのを楽しんでいるわけですから、「万歳!」の意味で大学入学共通テストを受け入れています。

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2022年1月17日 (月)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(17)高校が変わる 大学が変わる 価値共創の時代へ

★昨日、重なる困難な出来事にあいながらも、大学入学共通テストが終わりましたが、20日から千葉エリアの中学入試が本格的にスタートし、東京は22日から高校の推薦入試が始まります。沸騰受験列島ですね。そんな多忙と緊張の中、首都圏の私立の高校の先生方と対話をする機会に遭遇しました。みな伝統と革新のバランスを取りながらプログレッシブにコラボしていこうという学校でした。様々なアイデアがでて、大いに勉強になりました。その後数分ですが、革新性を実践して突き抜けている新渡戸文化中高の山本崇雄先生(統括校長補佐)と電話ミーティングをしました。なるほど!となったわけです。

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★多くの先生方の話と想いを聞きながら、私の眼鏡には上記のようなコンセプトレンズが装着されました。2011年から昨年まで、21世紀型教育を仲間と推進してきました。そして高偏差値の大学を目指すことを目的にするのではなく、海外の大学も含め、生徒1人ひとりの才能に適合したキャリアデザインをしようと邁進してきました。

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★その結果、上記のような明快な市場が二つできたわけです。しかしながら、New Power Schoolは、10年もやっていると、進学実績もでるようになり、A2A3はB2B3、C2C3にシフトするようになりました。

★一方で、大学も高偏差値で満足せず、偏差値が高くてもそうでなくても価値ある大学を目指すようになってきました。すると、そこに合わせて従来の進学校も教育の質を転換してきたために、B1C1からB2C2、B3C3にシフトするようになっています。

★なんと離れていたNew Power Schoolと高偏差値大学を目指していた進学校は、重なり合おうとしているのです。もちろんそれぞれ差異はありますが、全体集合としては重なるのでしょう。

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★つまり、今日の対話を通して、このような価値のシフトが起きているのではないかというコンセプトレンズを装着することができました。このコンセプトレンズを多くの学校や受験生、保護者と共有できたなら、すべての生徒が価値共創のポジショニングを獲得できます。

★また、本間は夢みたいなことを言っていると言われるかもしれません。高3生100万人が、価値競争をするのではなく、価値共創をするようになれば、一気に中高生600万人が、価値共創ベクトルに進みます。

★フィンランドの教育やシンガポールの教育が素敵だと言うのはもちろん構いませんが、もっと足元をみませんか?日本の中高生600万人だけで、フィンランドやシンガポールのそれぞれの総人口550万人に相当するのです。少子高齢化を憂う前に、教育格差や経済格差、生産性格差を解決するカギは、足元の中高生600万人が全員クリエイティブ、ケア、コラボレイティブな3C資質能力を多様な仕方で有することです。

★どうやって?そのスーパーモデルは新渡戸文化の教育です。山本崇雄先生に学びたいと思います。もちろん、勤務校は勤務校らしい道を歩みながら。

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2022年1月16日 (日)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(16)大学入学共通テスト 中学受験と直結 藤原辰史さんの視点

★昨日から行われている大学入学共通テスト。パンデミックに対するリスク管理、自然災害による中止など危機管理、刃物で切り付けられる危険など足元そのものが予測不能な状況下での受験です。これらの事態や事件は、偶然重なったのか、何らかのつながりがあるのか、今のところわからないですが、この受験制度がなければ、起こらなかったものばかりでもあることを考えると、私たちは、対症療法ではなく、Upstream思考(上流思考)ができるか問われているのかもしれません。

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★それにしても、引用箇所が妥当だったかどうかは、メディアがあれこれ言っている部分もありますが、今回の国語で藤原辰史さんの文章が出題されたことの意味は考える価値がありそうです。

★宮沢賢治のよだかの星の生きることの難しさ、食べるものと食べられるものの入れ子のような連鎖での痛みをどう解くのか。今回のパンデミックはある意味、宮沢賢治がすでに問うていた問題を私たちの足元に突き付けています。

★それに対し、藤原さんは、歴史学者として環境史的な側面から全く違う問いを投げかけています。

★現代国語の問題として、文学そのものを読解するというより、今回のように「食べる」という身近なことを巡る多角的な認識を受験生がどのように柔軟に解読するのか問うのは、果たしてどうなのだろうという声もあるでしょう。

★しかしながら、一方で、インターナショナルスクールやイギリスのパブリックスクールが日本に上陸する中、TOKのようなグローバルな認識能力を養う必要性があるのも事実です。とはいえ、それを欧米のように文学と哲学にきちんと分けてカリキュラムを組むのではなく、国語の中で行えというのは無理がある可能性もあります。

★探究があるじゃないかと言われるかもしれませんが、それであれば、国語の共通テストの存在の意味はどうなるのでしょう。

★私自身はTOKも必要だし、文学も必要だと思いますが、それを国語の中ですべて求めるのであれば、学習指導要領や教職課程の見直しをしてからだと思います。

★そうでないから、読解なのか学際的認識論なのか現場が戸惑う中途半端な問いにならざるを得ないのかもしれません。もっとも、現場の国語教師は、すべて織り込み済みで柔軟に創意工夫をしています。

★そこにいくと、総合型選抜だと、自由に柔軟に組めるわけです。せっかくこのような入試タイプもあるわけです。しかもこの入試で入学するっ生徒の数はまだ全体の10%くらいだとしても、80%の大学でこの制度を使っているわけです。

★それぞれの制度の役割や機能を明快に整理して、多様な入試制度を明らかにすることによって、多様な生徒の個性や才能にマッチングする入試制度ができるでしょう。

★それはともかく、藤原辰史さんの文章の意味に戻りましょう。2020年4月2日に岩波書店が運営するwebサイト『B面の岩波新書』に「緊急寄稿」として公開された「藤原辰史:パンデミックを生きる指針——歴史研究のアプローチ」は記憶に新しいでしょう。当時40万件を超えるPVがあり、大反響を呼びました。

★政府が、特措法をつくって、1回目の緊急事態宣言を出す間に、藤原辰史さんは寄稿したのです。

★それは科学万能主義でも道徳主義でもない、地球市民としてそれぞれが足元をクリティカルシンキングとケアの精神をもって生きる指針を提案したものです。そして、それが心ある市民の前提になりました。

★ですから、藤原辰史さんの文章を出題するというのは、共通テストという目前のハードルではあるけれど、足元から世界を見て、世界の痛みを感じ、世界を創る知性を特別な専門家だけではなく、市民一人ひとりが学び社会実装することを暗黙知として提示しているということでしょう。

★大学受験勉強がたんなる偏差値競争に終わってしまうのではなく、well-beingをどうやっ手に入れるかを考え行動しようとすることにつながるのなら、大学受験の学びは、豊かになるし、競争に勝てないからと苦しむことはないでしょう。

★これは中学受験にも当てはまります。高校受験にも当てはまります。

★教育の節々で行われるテストというのは、資格試験とは違って、このような意味あいがあってこそ「生きる」ということに立ち向かえる善き機会になると思います。もちろん、捉え方一つで、どんな制度でも、いかようにも考えることができるでしょう。

★しかし、自己責任論で終わらせるのではなく、今回の政治経済の共通テストの中でも問われていた「公共の福祉」の意味合いを、公共の試験制度であるのであれば、持たせるのは、実用的なことだと思います。

★ちなみみ、栄光という私立男子中高一貫校は、すでに昨年の国語の入試で上記表紙の藤原辰史さんの本から出題していました。共通テストの倍以上の長文を出していました。そして、問いは記述式です。

★中学入試問題が大学入試問題に直結するわかりやすい証しでしょう。

★なお、今回の共通テストで黒井千次さんの文章も出題されていましたが、黒井さんの作品も、フェリスや麻布ですでに出題されています。しかも、やはり記述論述形式です。

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2022年1月15日 (土)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(15)教育と多様な大学入試が直結する時代

★本日は大学入学共通テストということもあり、父母の会の始まる少し前に、会長の呼びかけに集まってくださった保護者の方々と「勤務校の教育と多様な大学入試」が直結していることについてミニワークショップを行いました。推薦入試の出願日でもありましたから、広報の副部長で数学科の伊東先生ともいっしょにファシリテーションしました。

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(ワークショップで使った資料やワークショップシート)

★最初は、多様な大学入試の動向情報をペアワークで読み解き、保護者の方々がプレゼンしていきました。夏期や探究ゼミで伊東先生と行っているワークショップのさわりの部分だけですが、同じように展開しました。

★偏差値ではなく、志望者の数や学科の数をいくつかの視点できりとったデータを読み解きました。偏差値にかかわりなく、ジャンプして合格できるパウロマジックの秘密を少し共有できたかもしれません。

★勤務校の先生方は、偏差値とは違うマッチング情報を独自に掘り起こしながら進路指導していきます。そのことを実際に現場で指導している伊東先生と私の考えを重ね合わせながら保護者の方々と共有していきました。

★そのあと、思考コードを活用して、各入試の特徴と授業や多様な教育活動との対応を共有していきました。

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(数学科のミーティング 東工大の問題を分析しているシーン)

★思考コードについては、たとえば、数学科の入試問題研究のミーティングで活用したりしています。また先日は、理科の教師とパウロの森の越境的なプログラムをつくる対話で羅針盤として使ったりしています。最近では、進路指導のときに、入試のタイプとどこまで学ぶのかあるいは指導するのかモニタリングする意味で先生方と語り合っています。

★思考コードの活用については、伊東先生がわかりやすく説明してくれました。「数学科のミーティング」でも「探究ゼミ」でも「父母の会のワークショップ」でも思考コードを共有すると勤務校の教育の一貫性が改めて見えてくることに気づきました。

★そして、教育と受験が矛盾しないということについても気づいている自分がいて、意外でもありました。

★勤務校を受験する生徒を迎えながら、一方で大学受験をしている在校生のことに想いを馳せながら、保護者の方々と同僚といっしょにワークショップができるのは、学校ならではのシーンだなとしみじみ感じ入った次第です。本当にありがとうございました。

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2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(14)今日から大学入学共通テスト 留学生の思考力に対する考え方とシンクロするか?湘南白百合の水尾教頭のメッセージ大切。

★今日から2日間、大学入学共通テストが始まります。昨年からセンター試験から切り替わって2回目ですね。英語4技能や記述、CBTなど当初の目論見は果たせなかったですが、選択肢であっても思考力を埋め込もうという文科省や入試センターの努力の痕跡がみられたというのが昨年の大方の評判です。今年はどうでしょう。受験生が単語としての知識を暗記(「知識暗記」と呼んでおきましょう)するのではなく、それぞれの知識がシステムや関係性の中でどのように使わているのか「知識思考」(と呼んでおきましょう)や関係性の中から未知の知識を推理する「知識思考」を発揮できるテストであることを期待しています。

★しかしながら、まずはオミクロン株の爆発的感染拡大の中ですから、体調をマネジメントして臨んで欲しいと勤務校の受験生だけではなく、すべての受験生のことを想い祈っています。文科省も受験機会確保の路線で動いています。頭が下がります。しかし、同時に昨年に引き続いてコロナ禍の受験を通して、学びの概念や思考力の概念も変わってきたような気がします。

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★それは昨夜、今東大で研究しているイラン出身のフラさんとGWE(GLICC Weekly EDU 第62回「『世界』で生きる学びとはーイランからの留学生フラさんとの対話」)で対話したときにしみじみ感じました。勤務校の小島嵩先生ともちょうど話していた内容ということもあって、なおさら重要だなと感じています。

★どんなことかというと、「知識」の扱い方の違いです。先述したように「知識暗記」と「知識思考」という差異があるということです。今までは「知識暗記」「論理的思考」「創造的思考」と分類してきました。それは間違っていないのですが、フラさんは政治学を学ぶ前提として言語について深い考え方を持っているし、小島先生も国語の教師で言語を極めています。

★そのために、言語は形式的表現と内容的表現(外延と内包というのが適切かもしれませんが)のカップリングになっているという考え方を暗黙知かもしれませんが持っているような気がします。

★ですから「知識=暗記/思考」「論理=思考/暗記」「創造=思考/暗記」という考え方で語っているわけです。そして、暗記とは形式知なのだと。

★つまり、「知識」も「論理」も「創造」も「形式知」と「思考」という暗黙知を形式知化しようという「作用知」の両義性があり、そのどちらを図とするのか地にするのかで、同じ「知識」「論理」「創造」という言葉を使っていても、内実が変わるということです。

★そこを確認しながら対話できるのかフラさんや小島先生だったのだと気づきました。

★たとえば、ローマ滅亡史において、年代や人物や文化や経済のそれぞれの細項目の「名称」は、暗黙知を形式知化しようという作用知を発動する思考の産物であるから、その名称つまり「知識」の背景にある滅亡史のシステムや構造を明らかにしてそこまでを「知識暗記」による「形式知」化しておけば、現在の国際政治における経済状況や税金の問題に、その「形式知」の背景の「作用知」を適用することによって、打開策を見出すヒントになるわけです。

★フラさんが母国とオランダ、日本で学んだり研究したりしている中で、その作用知を稼働させる言動は必然的に生まれているようです。比較政治学や比較文化論というコンパラティブスタディの視点が対話の中で見え隠れしていたのは、そういう理由があったのかもしれません。

★もし、受験が「知識暗記」と「知識思考」の統合、あるいは「形式知」「暗黙知「作用知」の連合がなされたなら、受験競争という概念は、「偏差値競争」から「思考の質の競争」になるでしょう。

今注目されている湘南白百合の広報部長をしている教頭水尾先生は、毎日のように多くの受験生の保護者からいろいろな相談を受けています。そしてそのとき、必ず、親子でいい入試にしてくださいね、と声をかけるのだそうです。中学入試は、同時にキャリアガイダンスにもなっているのですね。

★水尾先生は、一人ひとりにストーリーがあることを忘れず、学校側も「良い入試」を生み出していきたいのだと。すてきですね。水尾先生ご自身、自分の経験から、自分にとって、受験は、良い入試だったので、受験の学びは、人生のいつかの時点で振り返って、そこから今があると自分にエールを送り続けることができる起点になることを祈っていますということです。

★それは、中学受験生だけではなく、高校受験生にも大学受験生にもあてはまるでしょう。今日の大学入学共通テストも、コロナ禍を乗り越えられる「良い入試」となって欲しいと祈っています。

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2022年1月13日 (木)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(13)東京・神奈川の中学入試動向 やはりNew Power Schoolのウネリと湘南白百合のインパクト

★東京・神奈川エリアの中学入試は、2月1日から一般入試が始まります。したがって、まだ両エリアとも出願総数は前年対比60%を超えていません。10日から始まった埼玉は100%を超えていますし、20日から始まる千葉エリアは現段階で70%は超えています。したがって、いずれ千葉も東京も神奈川のいずれも90%以上はいくでしょう。100%と断言できないのは、オミクロン株の急爆発の影響があるかもしれないからです。

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★そのような中、現段階ですでに前年対比100%を超えている学校があります。シングルスクール、共学校わけずに、前年対比の大きい順にならべてみました。

★みてください。湘南白百合の隕石が東京・神奈川エリアに衝撃を与えています。

★カトリック校で、大学進学実績がよいわけですから、特に変化する必要はないのですが、入試問題、カリキュラム、探究活動、生徒による教育空間の自主デザインなど、生徒自身の自己変容、学校の自己変容が広く世の中に伝わっています。

★2月1日の横浜共立をはじめとする神奈川の人気女子校が直接影響を受けている可能性があります。

★品川翔英、捜真、横浜創英、横浜女学院、新渡戸文化、武蔵野大、北豊島、宝仙理数インター、三田国際、工学院は、何かとメディアで取り扱われているラディカルなNew Power Schoolです。

★実践女子、フェリス、横浜雙葉は、グローバル教育、論文編集、探究活動などもともと先進的な教育活動で有名です。それが新学習指導要領の変化を先取りしていたので、さすがということになっているのでしょう。

★明星、青山学院英和学院は、急激な大学進学実績の成果はインパクトがあるのだと思います。

★変化のパターンは多様です。それぞれ内容は違うでしょうが、何であれ、ブレイクスルーする曲線を描いているところは、それぞれの価値を尊重する受験生や保護者が集中するというのは市場の当然の流れということなのでしょう。

★いずれにしても、New Power Schoolの勢いがよいことは明らかではないでしょうか。しかも、湘南白百合のように、伝統を守っていても今すぐに困ることはないにもかかわらず、伝統と革新を統合する大胆な動きを生み出すところには、人気が高くなるということでしょう。

GLICC Weekly EDUで、湘南白百合の教頭・広報部長の水尾先生と対話したことがありますが、そのときから同校はブレイクするなと思っていました。ぜひご視聴ください。

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2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(12)千葉の中学入試動向 New Power Schoolのウネリ

★1月20日から千葉エリアの一般入試としての中学入試が始まります。1月20日の入試の志望者総数の前年対比は85.7%(日能研倍率速報2022年1月12日午後7時現在)ですが、まだ2週間以上あるので、おそらく90%は超えるとは思いますが、新型コロナウイルスの第6波の影響があるため、ちょっと読みにくいですね。しかしながら、そんな中で次の9校は、前年対比100%を超えています。また昭和学院は、新タイプ入試の再編成をしているので、昨年と比較できませんが、好調のようです。

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★それにしても、上記表の学校の多くは、変わらないために変わるという、いわば不易流行型のNew Power Schoolですね。もちろん、質だけではなく実装も重視し、その結果大学進学実績も出しているし出そうとしています。

★渋谷教育学園幕張は、22日の1次試験もはやばやと前年対比100%超えていますが、この意味でのNew Power Schoolのロールモデルです。隣接の茨城県の公立の中高一貫校化の波に対応するには、同校のようなロールモデルを参考にして独自性を開発していくことが千葉エリアとしては必然なのかもしれません。

★それから昭和学院の一般入試の制度は、新しいロールモデルかもしれません。すべてが新タイプ入試という発想です。

★埼玉エリア、千葉エリアのNPS(New Power School)のウネリは東京のウネリと合流してさらに大きくなるかもしれません。メタバースについて異論反論もありますが、パンデミックの影響で国内でさえもリアルな移動が不安定な今、海外のリアルな移動はそう簡単ではありません。

★安心安全、便利、コストを考えれば、教育メタバースは当然の流れになります。

★NPSのウネリと教育メタバースのウネリがさらに合流することによって、一気呵成に教育の大きな変化が、行政の政策の速度を追い越すかもしれません。

★2021年の大学入試改革は動きは重かったですが、2025年あたりからは、大学も生き残りをかけていきますから、がらりと変わるかもしれません。

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2022年1月12日 (水)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(11)埼玉の中学入試動向と大学入試の動向の関連性 多様性へ

★本日、埼玉の中学入試における一般入試は3日目。日能研倍率速報(2022年1月11時午後7時現在)によると、78件の入試が行われました。志願者数の多い順に10件を並べてみました。

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★78件の志願者合計は、32,218人。上記表の10件の志願者合計は18,999人。10件で、約60%シェアです。この学校群の人気の凄まじさを示しています。

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★ポイントは、この表の学校は、いずれも、上記の座標の縦軸を上向きに向かって教育環境を変化させていて、なおかつ進学実績にも力をいれているということです。二兎を追って二兎とも得ようとしている学校です。質のみならず現実的なサバイバル力の実装を目指しています。

★ですから、入試もいろいろな形のものを実施し、多様な才能を受け入れています。

★これは、今の大学入試が、一般選抜のみならず、総合型選抜に代表される多様な入試を行っているのと同期しています。

★今では、総合型選抜は、国公立私立大学の約80%の大学で実施されています。とはいえ、入学者の割合は、まだ約10%です。

★したがって、中学入試も新タイプ入試が増えてはいますが、入学者の割合から見れば、90%は一般選抜=4科目2科目入試ですね。

★それゆえ、二兎を追って二兎をゲットしようというバランスをとっています。

★ただ、国立大学の二次試験=個別独自入試は、かなり骨太の論述が多く、早慶上智を除く多くの私立大学とは異なり、すでに思考力入試です。

★そういう意味では、早慶上智を除く私立大学の一般選抜入試以外は、そのすべてが骨太の思考力を有する入試にシフトしているといえます。

★国公立大学と早慶上智の一般選抜は知識力≧思考力、私立大学は知識力、総合型選抜は、思考力をそれぞれ問う入試になっています。共通テストは知識力>思考力という感じです。

★2022年以降は、中学入試も大学入試も、知識力と思考力の組み合わせの4つのパターンに合わせて多様な入試問題の設定が定着するということでしょう。

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2022年1月10日 (月)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(10)本日10日から首都圏中学入試本格化 埼玉入試・東京と神奈川エリアの出願始まる。人気の理由の変化の兆し。

★本日10日、首都圏中学入試は、埼玉から一般選抜が本格的に始まりました。同時に東京と神奈川エリアの私立中高一貫校の出願が始まります。多くの場合インターネット出願ですから、今日が日曜日であっても出願可能なのです。首都圏中学入試が一斉に始まったわけです。とはいえ、登録準備自体は12月末ぐらいから各校行っていますから、生徒募集の動向をみながら、ギリギリまで柔軟に募集戦術が動いているのがこの時期です。ですから、入試日は20日に千葉エリアの中学入試が本格実施、2月1日が東京・神奈川エリアの中学入試が本格実施なわけですが、学校のバックヤードでは昨年末から首都圏は一斉に本格化しています。

【図1】

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★さて、埼玉入試の出願状況はどうでしょうか。日能研倍率速報(2021年1月9日午後5時現在)では、すでに埼玉エリア全体の出願状況は昨年比126.2%です。ベスト10を列挙してみます。

1:国際学院 1/10午前  221.7%
2:西武学園文理 特待  216.0%
3:武南 第1回午後  207.0%
4:武南 第1回午前  192.7%
5:栄東 A日程①  157.9%
6:春日部共栄 第1回午後  156.8%
7:埼玉栄 第1回医学/難関/進学  153.3%
8:埼玉栄 第2回医学/難関大  144.7%
9:細田学園 一般1回  136.5%
10:春日部共栄 第1回午前  132.4%

★こうしてみると、どこの学校も、【図1】のように教育環境が変化していることがわかります。もちろん、2011年段階の環境もまだまだ併存しているところが多いでしょうが、三田国際のように完全に21世紀型教育にシフトしている学校もあります。いずれにしてもどの学校も、論理的・批判的・創造的思考(思考コードでいう「B軸×C軸思考」)を学べる教育環境になっています。

【図2】

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★しかし、たとえば武南のように教育環境の変化だけではなく、そのB軸×C軸思考を社会実装できる大学に進むキャリアデザインを展開しているところが人気があるという動きがあるような気がします。上記の学校はみなそうでしょう。

★21世紀型教育校とかもっと広い意味ではNew Power Schoolという私立中高一貫校は、2021年まではまだ期待値で人気が不安定でした。ところが、2021年に、国内のみならず海外大学も大量に進学できる実績を出しました。

★東大に何人いれるではなく、Z世代が自分たちで未来や世界を創っていくC軸思考を身につけ、それを自分のやりたい分野や領域で生かせる=社会実装できる大学はどこかというキャリアデザインが新しい学びの環境の中でなされてきたわけです。その結果、コンピュータサイエンスやバイオテクノロジーやでアート思考と工学を連合できる学部に進みたいと思ったとき、海外大学の方が研究環境が整っているあるいは海外にしかないなどと判断したら、チャレンジするという時代に2021年からなったわけです。グローバルでイノベーティブな進路指導と言ってもいいかもしれません。2022年中学入試は、どうやらそこに注目した動きになっている可能性があります。

★したがって、教育環境の変化という質の変化だけではなく実質的な成果も出しているところに人気が集まるという時代に突入したのかもしれません。

★量の競争か質の競争かから質と実質の積のスコアという新たな量の競争に突入したということです。パンデミックショックによって、経済と命の両方を統合するには、理想と現実の統合が必要だというのは世界同時的に身に染みているわけですから当然と言えば当然です。

★理想ばかり言っていないで現実が大切だという20世紀の発想は、ようやく終焉を迎えましたが、同時に21世紀初頭の未来への期待値だけでは生きていけないのだという認識も広まりました。21世紀も四半世紀を迎えます。そのときにパンデミックショックに遭遇しました。

★理想と現実を統合し逞しくサバイブしていくにはいかにして可能か。そのためには、自分一人では生きていけないのだけれど、他者依存でもなく、自己実現でもなく、それぞれの才能を見出して協働しながら自分も社会もサバイブしていける新しい生き方=ライフシフトの時代がやってきたということでしょう。

★小学校6年生は、100万人はまだいますが、このような意味でのネオサバイバルな能力資質を実装できる教育環境を整備している場は、私立公立問わず中高一貫校です。しかしながら、ここは、10万人しかまだ学べません。

★残りの90万人にも同様の環境を作りたいものです。それには高校全体がネオサバイバルな生き方を学べる環境にシフトする必要があるでしょう。まずは勤務校から頑張りますが、連帯のネットワークもつくっていきいたいと思います。そう埼玉の中学入試の動向を眺めながら思った次第です。

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2022年1月 8日 (土)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(09)価値ある学校とは何か?どこか? 志向性が変わってきたと報告入る。

★あまりのタイミングの良さに驚愕。昨日偏差値マッチング競争から個性マッチング競争へシフトしつつあるということについて、鈴木裕之さん(GLICC代表)と対話したばかりでしたから。それは何かというと、私が信頼しているジャーナリストーグローバル視野、イノベーティブ視角、SDGs視野、新しい学びの視点かつ社会学的視座を総合的に有しているーから、中学受験の相談を受けていたら、そのご両親は「〇〇のような学校が、入学時の偏差値よりもっと価値のある学校生活が送れる気がする」と語っていましたと連絡があったのです。

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★そしてその〇〇のような学校は、5つあって、その80%が昨日鈴木さんが一覧表にしていた学校と重なっていたのです。鈴木さんも、グローバル視野、イノベーティブ視角、SDGs視野、新しい学びの視点かつ社会学的視座を総合的に有しているので、必然的に重なるのでしょう。そもそも、お二人とも英語が堪能というか日常的に使っています。

★さらに、この時期、当ブログのアクセスランキングは、10日から始まる埼玉入試の受験者動向の記事がベスト3位入りするのが通例であるはずですがーもちろんベスト10入りはしていますー今回1位は「2022年教育の変容始まる(12)帰国生に人気の学校が映し出す日本の学校の4カテゴリー」なのです。

★ご両親が選択候補にしている「〇〇のような学校」は共学校ですが、同記事の共学校リストの60%は重なているのです。もっとも、ご両親が第一志望にしているその学校は、同記事を書いた時点ではまだ帰国生の出願状況を公開していなかっただけで、公開されると当然そのリストに入りますから実質80%は重なっているのです。

★また、重なっていない学校も、グローバルには相当力を入れているのですが、大学合格実績の良さが光っているので、英語入試や帰国生入試に力を入れていないために、リストに反映されていないだけです。教育の内容はたしかに価値ある生活を送れる学校でしょう。

★それにしても、価値ある学校とは、ご両親にとっては受験業界基準ではないわえです。ご両親はお子さんが学園生活をしたときに価値あると感じるかどうかという自分たちの基準をしっかり持っているということがポイントです。偏差値はある意味、他者の価値観の数値化です。それゆえ参考にはするけれども、あくまでも自分たちの主観を大切にするということなのです。

★とはいえ、独りよがりの恣意的な基準ではなく、先述のようにジャーナリストに相談する、つまり対話しながら自分たちの基準の時代の要請や変化との親和性も探っています。

★そのような対話が結局鈴木さんやそのジャーナリストなどに代表されるように類似した価値志向性とシンクロしていくわけですから、ある市場性を有することになります。市場というのは客観的なニーズで成立するのではなく、あくまで主観的なニーズで成立するのが健全ですね。現象学的社会学の視座から言えば、相互主観というわけです。主観どうしが共感し合い、ある類似した主観がモノではなくコトとしての関係性を生み出していくということでしょう。

★モノからコトへとはソニーなども商品コンセプトを打ち出す時に今世紀初めにすでに活用していて、ioT時代によく言われるようになっていますね。学校教育も新学習指導要領ではモノからコトへ路線です。要素還元主義から構成主義へと言われています。アクティブラーニングへのシフトがその象徴です。

★要するに、これは偏差値マッチング競争から個性マッチング競争に実質シフトしていることを示唆しているのではないでしょうか。まずは2025年から2030年にかけて時代は確実にウネリ出しました。プロジェクト89は、こうして誰かがけん引するのではなく、相互主観的な共感型生成力によって稼働していくのです。そう感じた瞬間でした。連絡をくださったジャーナリスト氏に感謝。

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2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(08)偏差値マッチング競争から個性マッチング競争へ 新しい視点。

★昨日、GWE(GLICC Weekly EDU 第61回「『ライフ・シフト』から入試を考えるー新しい時代における新しい学びとは」)でGLICC代表鈴木裕之さんと対話しました。「ライフシフト」から見てみると、入試制度や学び方、サバイバルの方法などが変わるという流れになりました。

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★偏差値と教育格差と経済格差の現状を確認し、それがライフシフトのウネリで変わるという話です。対話の中で、階層社会が、偏差値マッチング競争から個性マッチング競争に変わることによって、水平的多様性が見えてくるのだと。それは遠い話かというと、2025年から2030年のうちに、動き出すので、中学入試で併願を考える際、最後の詰めとして、この情報を考慮すると未来が開けてくる可能性があるという話です。

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★初っ端から、2021年の東大文Ⅱの帰国生入試「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する経済対策として、主要先進国をはじめ多くの国において、企業に対し補助金の支給や融資条件の緩和が行われている。このような企業支援政策のメリットとデメリットを論じたうえで、あなたの考えを述べなさい。(外国学校卒業学生特別選考(2021年2月25日・26日 小論文・学力試験実施))」からライフシフトの話に入りました。最後は、英語入試∧帰国生入試∧新タイプ入試∧C軸思考発想を行い人気のある学校のリストも鈴木さんは公開。

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★中学入試と大学入試とライフシフトが密接な関係になっている対話が展開。このようなこと自体、本邦初公開。また、中学入試や大学入試で扱われる発想を学べる書籍も紹介しました。

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★いろいろな発見がありました。ぜひ、ご視聴ください。

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2022年1月 6日 (木)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(07)中学入試研究は時代の精神を読み解くヒントになるし、中学入試問題は大学入試問題の傾向ともシンクロする。

★よく本間の勤務校は高校だけしかないのだから、中学入試について研究しても無駄ではないかとアドバイスをいただきます。まあ、その通りなのですが、少なくとも3つ理由があります。1つは、高校入試を行っている私立学校は中等教育学校はむしろ少なく、高校からも募集する学校が多いのです。そういう意味では、中学入試も研究するのは、広報戦略的には当たり前です。

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★2つめは、中学入試と高校入試の両方を実施する私立学校は、基本的には先鋭的で先進的で先見性のある私立中学の方向性を高校においても当然引き継ぐわけです。したがって、そのビジョンを探索するにあたって、中学入試を研究することによって、それはダイレクトに了解できるのです。勤務校もその研究成果を21世紀型教育機構で学び、高校だけですが21世紀型教育を推進していると提唱し、ある一定の評価を得ているのはそういうわけなのです。

★3つめは、明日のGWE(GLICC Weekly EDU 第61回「『ライフ・シフト』から入試を考えるー新しい時代における新しい学びとは」)で、GLICC代表の鈴木さんと対話しますが、中学入試問題と大学入試問題は、その傾向がシンクロしているのです。英語入試や新タイプ入試がどんどん開発されている中学入試問題は、驚くべきことに、英語と現代文と幾何においては公立の高校入試問題のレベルを超えてしまっているのです。

★中学入試が右肩上がりの理由の隠れたそれでいて本質的な理由は、3つめが大きいのだと思います。中学入試における保護者の学校選択視点は、パンデミックショックによって拡大したオンライン説明会でしっかりその辺までアンテナをはっているわけです。

★世の中的には、説明会はやはり対面的でないとといわれていますが、それはたしかに情緒的な雰囲気というのが合う合わないかは大きな意思決定要素ですから必要なのですが、それだけで選択する時代は中学入試では終わりました。でなければ、新タイプ入試が受け入れられてそこに希望を見出す保護者は増えないはずです。

★ちなみに、上記書籍は、2022年大学入試の素材になる本ですが、中学入試でもそのコンセプトは素材として活用されるはずです。

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2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(06)10日埼玉中学入試 前年対比すでに112.4%。

★2022年1月6日午後5時現在(日能研倍率速報)、10日の埼玉エリアの中学入試の出願数は、前年対比112.4%。パンデミックショックにもかかわらず、いやそうだからこそか、昨年も中学受験者数は増えましたが、今年も右肩上がりは続くという業界予想は的中しそうです。

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★しかも出願数増を牽引している学校は、明らかにNew Power Schoolです。グローバルでイノベーティブでプロジェクト型授業を実施ている学校が圧倒的多数です。出願数が前年対比110%を超えている学校を次に挙げてみます。

国際学院 1/10午前: 221.7%
西武学園文理 特待: 205.3%
武南 第1回午後 : 178.9%
武南 第1回午前 : 169.3%
栄東 A日程①  : 157.9%
春日部共栄 第1回午後: 150.7%
春日部共栄 第1回午前: 127.1%
東京成徳大学深谷 第1回: 125.0%
聖望学園 第1回 : 122.9%
大宮開成 第1回 : 122.3%
西武学園文理 第1回 : 120.9%
埼玉平成 2科・4科/第1回:116.3%
国際学院 1/10午後 : 111.1%
(日能研倍率速報2022年1月6日午後5時現在)

★New Power Schoolの質の差異はあるでしょうが、Z世代やα世代の欲求する新しい学びの環境づくりをしている学校は上記のリストで過半数を超えています。西武文理や栄東のように出願数を大量に集める学校がNew Power Schoolであるというのは、埼玉の私立中高一貫校の教育を変容させる大きな要因になっているのでしょう。

★New Power Schoolは2011年ころは東京エリアからスタートしましたが、今や埼玉でも広がっているということは2030年に向けて教育のポジティブな変容に拍車をかけることになるでしょう。

★プロジェクト89はある意味ムーンショットですが、そこに行き着くまでの2030年はルーフショットになります。その目標はNew Power SchoolはC軸クラスを生む土壌を耕すということです。10日から本格的に始まる埼玉の私立中高一貫校のベクトルはどうやらそこに向かっているといえるかもしれません。しばらくウオッチしていきましょう。

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2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(05)今年の中学入試問題はα世代の未来のヒントになる!はず。

★今年の中学受験生は、z世代ではなく、α世代。1989年に最後の昭和世代が生まれました。その100年後の2089年は昭和世代は100歳以上になっていますから、人生100年時代と言えど、ほぼいなくなっているでしょう。私もその1人です。そして、Z世代も70代以上になっています。最初のα世代も、70歳にならんとしています。

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★そして、明治時代に「円」が生まれ、郵便制度が生まれてから去年は150年を迎えていました。この節目に着目して、現代がどう変わり、未来がさらにどのように変容するのか、当然問い返す入試問題は出題されるでしょう。普遍的で未来的な私立中高一貫校の教師は、そのような多面的多角的な教養を持っているものです。

★ただ、未来を漠然と予想しなさいと問うのではなく、貨幣や郵便という情報交換・流通のインフラがリアルとサイバーの両空間で行われるようになった歴史を思考し、パンデミックショックを通過して、さらにメタバースへと変容する社会を暗記知識ではなく、多くの資料から論理的に組み立てる機会を設定したうえで、予想しなさいと問いかけるでしょう。

★これは未知なる予想ですから、演繹推理だけでもなく、帰納的推理だけでもなく、仮説推理(アブダクション)も必要とします。未来を予想するには、この3つの推理を巧みに組み合わせる「三角ロジック」思考が必要ですね。

★この思考は別名創造的思考と呼び、思考コードでいうC軸思考です。演繹思考と帰納思考だけだとB軸思考です。

★昭和世代は、論理的と言ってもB軸思考どまりでしたが、Z世代、α世代はC軸思考まで拡張しています。

★C軸思考を要する問題は、大学入試の総合型選抜と帰国生入試、TOK、Aレベル、オックスブリッジの口頭試問ぐらいですが、中学入試の思考力テストを典型とする新タイプ入試や一般入試でも麻布のような入試問題は、必要とします。

★私たち昭和世代は、2089年にZ世代やα世代が、昭和のメリットを生かしながら、デメリットを払拭してwell-beingな世界を創るC軸思考をトレーニングする環境を作ることができるだけでしょう。

★そして、目の前のα世代が、さらにZ世代の世界のメリットを生かしながらデメリットを払拭する新しい世界を創って欲しいものだと祈ることができるだけでしょう。もしかしたら、メタバースを超えて、遺伝子上のタイムマシーンの世界がノーマルとなっているかもしれません。

★遺伝子は、過去も保存しているけれど、そもそも未来を構築する因子があるわけですから。しかも、人間以外の遺伝子もそうなっているわけです。多様性のゲノム解析の未来はどこまで拡張しているのでしょう。

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2022年1月 5日 (水)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(04)学校雰囲気

★正月三が日のホンマノオト21のアクセスランキングをみて驚きました。6位にランクインした記事が2020年11月19日 (木)のものだったからです。それは「学校選択を考える(01)偏差値と大学合格実績で考えて問題ない。ただし、学校の雰囲気をお忘れなく。モデルは、かえつ、聖学院、工学院、静岡聖光学院、八雲。」という記事でした。

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★再度読んでみて、なるほどこれは、教師がクリエイティブクラス、ケアリングクラス、キャリアデザインクラスというC軸クラスであると学校の雰囲気がよくなる。すると、生徒募集は増え、増えることによって必然的に学校全体の質もアップし、結果的に偏差値も大学合格実績も飛躍するというここ最近論じていることに一致するなあと。コロナ禍の時に、しかも勤務校に勤める以前の記事だけに、仮説と現場の実感と合っているなあと自己了解しました。

★プロジェクト89の構想の一貫性をつらぬく一つの条件だと改めて気づきました。正月三が日の当ブログのアクセスランキング15は次の通りです。

1:2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(02)2021年12月...
2:2022年教育の変容始まる(12)帰国生に人気の学校が映し出す日本の学校...
3:2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(03)プロジェクト89...
4:2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(01)2021年10月...
5:2022年教育の変容始まる(05)「基礎学力観」を変える学校、つまり思考...
6:学校選択を考える(01)偏差値と大学合格実績で考えて問題ない。ただし、学校の雰囲気をお忘れなく。モデルは、かえつ、聖学院、工学院、静岡聖光学院、八雲。
7:2022年教育の変容始まる(06)帰国生に人気の学校の実用的な意味 20...
8:2022年教育の変容始まる(10)「基礎学力観」は思考コードの見方を変え...
9:2021年私学展(5)八雲学園 近藤彰郎理事長・校長を支える教師の意味の...
10:2021年中学入試情報(39)横浜創英 応募者総数 前年を上回る!工藤勇...
11:2022年教育の変容始まる(13)カンザキジュク 自己変容=ライフシフト...
12:2021年中学入試情報(38)工学院大学附属 応募者数 前年を上回る勢い...
13:2022年教育の変容始まる(07)帰国生に人気の学校の実用的な意味 20...
14:2022年中学入試 三田国際の「超人気」の意味。
15:洗足学園 今年も人気 その理由の向こうに見える時代のウネリ。 

★あれから1年以上経って、この学校雰囲気が最良のモデル校は、さらに増えています。いずれご紹介したいと思います。

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2022年1月 4日 (火)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(03)プロジェクト89へ3つのステップ

★元旦多摩川河川を妻とシニアウォーキングしていると、遠くに富士山が見えました。静岡県や山梨県から見る富士山も、東海道新幹線や飛行機から眺める富士山も美しいですが、こうして多摩川河川から見える富士山もいいですね。もっとも接近すると、様々な問題もあって、存在とはこういうものだとまた別の真理も知ることができます。いずれにしても古来より日本の国の顔の1つであることに変わりはないでしょう。多面的だけれど普遍というわけです。

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★学校説明会で時々話すことがありますが、どこからみても美しい富士山と同じような形をしているのに、裾野の一部だけが注目される山があります。それを皆さん知っていますか?海外にはないのに日本にはあって、それによって生徒の皆さんはいつも思い悩まされます。それは偏差値というベルカーブです。富士山を眺めながら、この偏差値カーブも偏差値65以上という10%だけではなく、100%がいろいろな意味で素敵なんだということにしたいと思うのです。

★評定平均が3ぐらいだとか偏差値50だとか言われ自己肯定感を低くしている君も、冨士さんだったら多摩川河川からでも見える頂上に位置しているわけです。悩むことなんてないんですよ。それぞれの場所で、それぞれの個性とオリジナルの才能を発揮するクリエイティブクラスやケアリングクラス、キャリアデザインクラスとして自分の力を発揮して、年収1000万以上稼げるようになるのは可能なのが、本来の公平な教育なのですから。

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★現状は偏差値ランキングは教育格差を生み出し、そのまま経済格差を生んでいます。10%の偏差値65以上の生徒が、企業のうちの10%の大企業に進んで、1000万以上の年収を稼ぎますが、それ以外は、サラリーとして1000万稼ぐのはなかなか難しいのです。この単純な現状の事実を教育現場では語りませんね。おっとここでは母集団が高校1年生100万人ですから、中高一貫校はここでいうその10%にあたります。

★ともあれ、それなのに、起業家精神だとか経営学科への総合型選抜対策だとか、社会実装だとかいいながらサラリーの話は授業の中でしないでしょう。どうしてでしょう。それはいろいろありますから、ここでは述べません。

★それにサラリーは低いけれど、税金の関係で新車をバンバン乗り回し、なんか大企業に勤めているのと同じような、いやそれ以上の暮らしをしている人々もたくさんいます。とはいえ、それも中小企業の勝ち組で、みんながそうだというわけではありません。

★ですから、上のベルカーブの図式は極端すぎますが、まあ、超富裕層や富裕層、準富裕層、準々富裕層までをファーストクラス、それ以外をマスクラスとシンプルに分けたほうが、日本の場合はわかりやすいでしょう。そして、それが学歴社会に重なってしまうのです。

★どうです?こういう具合に事実を認識し直したら、どう感じますか?そう、何が自由、平等、博愛なんだとなるでしょう。

★サラリーの数字は本当はどうでもよいのですが、これによって私たちの生活や心のゆとりが影響を受けてしまうしたらどうですか?この状況を改善しないで、自己肯定感を高く持てなんてますますおかしいと思いませんか?

★日本の教育現場では、驚くほど批判的思考というのが人気がないんですね。リフレクションという言葉は大好きなのにね。

★クリティカルシンキングもリフレクションも同じメタ的な思考なのですが、日本人は前者を批判的思考と訳し、後者を反省と訳し区別してしまっています。だから、現状をきちんと分析せずして、自己肯定感を高めようなんて平気で言えるんです。

★もちろん、現状をそう簡単に変えることなどできないのだから、にもかかわらず自己肯定感を高め続け、機会を狙おうという本質的な意味を体現している方々もたくさんいます。

★しかし、それとて、人口の3%でしょう。

★7%の人は変えなくても、その中でポジションをとって勝ち組になればよいと無意識の内に思っているのかもしれません。

★ところが、パンデミックは、このことを赤裸々にしてしまいました。片方では悪戦苦闘を強いられているのに、もう片方では株価が上がり悠々自適の生活をできてしまっているのです。なんということでしょう。

★いやいや、このパンデミックは、実に公平で、そういう生活をしている人に、それでよいの?と突き付け、新しい資本主義を考えなくてはあかんと思わせるよういにしたのです。同時に、エッセンシャルワーカーの方々にスポットをあて、さらに弱い立場にある方々のサポートこそが文明国の証なのだと言わしめるようになったのです。そして、それをサポートするクリエイティブクラスが前面にでてきているのです。

★そして、このような新しいクラスの登場にライフシフトを形づくるキャリアデザインクラスも誕生してきました。この3つをC軸クラスと私は呼んでいます。

★当面2030年までは、ファーストクラスは慈善事業化になってがんばってもらって、マスクラスは、みんなC軸クラスになりましょう。年収1000万以上稼げますよ。

★そんな馬鹿な?!そう思って、マスクラスのままでいてもよいですが、C軸クラスになってみんながwell-beingを共有する方がいいと私は思います。

★そんなわけで、まずは隣近所からこのことを共有するのがここ1,2年のステップです。そして2030年までには、C軸クラス教育を完成させ、最終的には、2089年にみんなC軸クラスでwell-beingな世界を創るというわけです。ただし、これはまだ日本だけの話なので、22世紀はこれを日本のα世代が布教していくことになります。

★できるわけがないという方もいるでしょうね。すべての始りは、そういう不安に満ちています。いっしょに不安を解消しながらスリリングでワクワクするようなフロンテア精神を拡張しましょう。プロジェクト89スタートです。

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2022年1月 3日 (月)

2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(02)2021年12月アクセスランキング 「基礎学力観のコペ転」注目か?

★今回のパンデミックが新しい動きを加速させていることは確かで、そのルーフショットがあらゆる領域・分野で2030年にマインドセットされています。ムーンショットは2089年あたりでしょう。昭和世代が全員100歳を超えますからね。そしてそのとき今の若きZ世代もまた70歳台から100歳になっていますから。

★20世紀を牽引してきた価値観やシステムでは2030年、2089年に飛躍はできません。やはり発想の大転換をせざるを得ません。それは教育の世界でも同じです。そんなことについて、2022年に向けて昨年の12月毎日のように仲間と対話をしました。その話題を昨年の12月は書き続けていたということもあり、驚いたことに「基礎学力観のコペ転」に関する記事が、12月のホンマノオト21のアクセスランキングで1位になっています。驚きです。

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★この手の記事は、中学入試直前で1位になることは今までありませんでした。ホンマノオト21のカテゴリーアクセスは、相変わらず「中学入試」からアクセスする数が圧倒的に多いので、このタイプの記事が10位以内にあることはあっても、今まで1位ということはありません。やはり2022年は何か大きなウネリが起こっているのかもしれませんね。

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3:【速報】かえつ有明中学校 2022年国際生入試 出願また増える
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19:2022年教育の変容始まる(07)帰国生に人気の学校の実用的な意味 20...
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22:存在の意味の創造(01)生徒理解における相互のズレの軌道修正の過程 超越...
23:中高一貫校選択のための学校新分類(4)八雲学園のポジショニングはもちろん...
24:2022年から基礎学力の概念が変わる。 鈴木裕之さんとの対話で。
25:2021年変わる中学入試(14)海外大学へそして偏差値至上主義の無化へ加...
26:宝仙理数インター 生徒が輝ける学校  新宿から10分の好立地
27:2022年教育の変容始まる(11)生徒理解を「相互創造」そして「世界モデ...
28:2022年教育の変容始まる(08)帰国生に人気の学校の実用的な意味 20...
29:変容生成は、こちらとあちらのチームが自然と協働する仕掛けを創造するという...
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2022年ホンマノオト21で描くビジョンを考える(01)2021年10月から12月アクセスランキングでリフレクション

★2022年1月3日、日本でも、再び、新型コロナウィルスの感染症が拡大しはじめました。緊急事態宣言が解かれてしばらく収まっていたかのようにみえましたが、三密回避、マスク装着、アルコールで手や指の消毒などの対策への気持ちが緩むやすぐにクラスターが生じるというのは、今までと変わらないわけです。このウィルスがインフルエンザ―化するまでには時間がかかりそうです。

★したがって、まだまだ今回のパンデミックは、人類にとことん、利益至上主義的経済やその結果としての環境破壊に対し、断固たるしっぺ返しを迫り、ちょっとでも、その片鱗が見えようものなら猛威を振るうということなのでしょうか。従来の人類社会の欲望の資本主義社会という前提や価値観を変えよといわんばかりです。

★私たちが、対処療法ではなく、政治経済社会システムやイノベーションの方向性、生への価値観などを変え、弱い立場の人びとを排除しないでケアできる社会になるまで、新型コロナウィルスは猛威を振るうぞというわけでしょう。

★このような意識や認識は、言うまでもなく、私一人が持っているわけではなく、世界の人びととシンクロしています。ですから当然、教育の世界でも同じようなウネリが生まれています。

Photo_20220103192101

(宇宙船地球号システムと人類のwell-beingに向けて教育出動をしている聖学院のサイトから。昨年11月に実施した沖縄平和学習のリフレクションをレゴやワークショップシートを活用して行っているシーン)

★そのウネリがこの「ホンマノオト21」のアクセスランキングにも反映しています。緊急事態宣言が解除された直後の2021年10月から12月までのホンマノオト21のアクセスランキング50位内をまずは列挙してみましょう。

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★ここに出てきている学校は、いずれもパンデミックが警鐘をならした今の垂直的秩序による欲望の社会システムをなんとかしようという探究活動やグローバルな視野でone earthを実現しようというビジョンを実現する教育を実践している学校ばかりです。

★またそのために学校現場で基礎学力観のコペ転を提唱している記事、思考コードで多様な才能を見出す提案をしている記事などにアクセスが集まっています。もちろん、「ホンマノオト21」自体はローカルコミュニティの話かもしれませんが、話題になっている学校は教育の世界でも注目されていますから、やはり教育の世界もパンデミックが転換を迫っていることを受けとめ希望の松明を燃やそうとしていることが了解できます。

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