2022年教育の変容始まる(01)中高一貫校を選択するとき、高校の教育の質を調べることが大事になる C軸クラスを生み出す高校かどうか。
★中高一貫を選択する際に、大学進学実績を調べないということはないでしょう。もちろん、大学ランキングの上位校にどのくらいはいっているかというお話ではありません。もっとも、現状は多くの場合、それどまりという感じでしょうか。しかし、なぜそうなるかというと、中学入試の際、教育の中身は中学に目が向き、高校の教育の中身は、その延長上だと憶測し、その結果大学進学実績がでるのだと勘違いしているからです。
★2022年は戦後8回目の学習指導要領改訂が高校でも本格実施されます。7回目までにはなかった「創造性」を養う教育が加わります。実はこの項目、2007年に改訂された学校教育法で、高等学校の条文の中に新しく明記されたものなのです。時代は、クリエイティブクラスですから、すでに「創造性」の重要性は広がっています。GAFAの存在などはその象徴です。しかし、今までは、そんな「創造性」は教育ではあまり重視されてこなかったのです。
(自然を歩く小道には、クリエイティブな光、ケアリングな空気、コンバージョンを誘う風がある)
★ところが、2011年3月11日、創造力/想像力の欠如が地域を、国を、世界を破滅に導くことが全世界にテレビだけではなく、SNSで拡散したのです。そこで、文科省は、改正学校教育法を遵守すべく「創造性」を高校で具体的に養うことを学習指導要領に盛り込んだのです。盛り込んだからには、大学入試にも盛り込まざるを得なかったのですが、うまくいきませんでした。とはいえ、総合型選抜で、確実に広まってもいます。
★なぜうまくいかなかったのかというと、中高一貫校という、全国の中高生の10%しか占めない領域だけで盛り上がり、90%は盛り上がらなかったのです。そもそも教育改革の座長や東大総長は、武蔵や開成、麻布、慶応出身者の場合が多く、彼らの眼は、10%の中の偏差値分布であって、その中で偏差値ランキングを是正しよという話です。
★しかし、中高一貫校は、全体から見れば、偏差値65以上の領域に入っています。その中の偏差値の話です。入れ子になっていて閉鎖的な市場でのお話です。世間一般に響くはずがなかったのです。
★ですから、高校全体に目を向けることが大事だということだし、全体に今度の学習指導要領がいかに適用されるていくのかということをしっかりモニタリングする時代なのです。
10%は first classの話です。
90%は creative classの話です。
★ここまでは、2011年3月11日のリフレクションからはっきりみえてきたのです。
★しかし、今回のパンデミックでもう一つのクラスが注目を浴びるようになりました。それはエッセンシャルワーカーの極まりない重要性です。そして、それは医療従事者のみならず、広い範囲で同じような使命を帯びて、にもかかわらず、仕事の環境が悪いとネガティブな反応ばかりがクローズアップされるハラスメント日本社会が浮き彫りになりました。その弱い立場の人びとを支えるクラスをcaring classと言います。そして、そこに教師も位置付けられています。
★実は学校教育法には、これは幼小中高通じて明記されていますが、「健康」を養しなうということが刻印されています。この「健康」の概念は、パンデミックショックで、身体的健康、心の健康、人間関係の健康という立体的な概念が明らかになっています。そして、これらを包括するマインドフルネスやスピリチュアリティの健康も議論されるようになっているのです。
★高校全体の教育に目を向けたとき、今までは、10%のファーストクラスが勝ち組で、残りの90%は負け組という抑圧社会だったのを、つまり垂直的秩序重視だったのを、90%の中から年収2000万くらい生み出す、クリエイティブクラスやケアリングクラスという思考コードでいうC軸クラスを生み出す動きがうまれるのです。C軸クラスは水平的多様性を生み出し、全体を物心両面から豊かにしていきます。
★2030年までに、政府は外国高度人材を何十万人と受け入れようとしています。それはとっくに始まっています。彼らはこのままではファーストクラスの仲間入りですから、日本の90%の子どもたちは負け組になっています。日本国内の抑圧力だけではなく、グローバルな抑圧力をくらうのです。
★それでは困るのです。世界の多様な人々とコミュニケーションをとり、コラボしていくことは大事ですが、そこには、民主国家である限りは、自由・平等・友愛が保障されなければなりません。その準備のために、2022年から、高校の教育はファーストクラス、クリエイティブクラス、ケアリングクラスが互いにケミストリーを生み出す中身に変わるのです。中高一貫校を選ぶとき、高校の領域が、そのような変容を目指しているかどうかモニタリングする必要があります。
★そして、この動きを始めているところが周りに増えてきました。私が親しくしている首都圏模試やGLICC、カンザキジュクも動き始めました。今はまだ、清浄な水を森の中から、それぞれ小さな流れや、地下水脈でコンコンと湧かしているだけですが、それがやがて大海のダイナミックな波となるでしょう。
★つまり、2022年は、C軸クラスを輩出する高校がどんどん生まれてくるというわけです。そうでなければ日本はヤバイわけです。そうそう、C軸クラスは、クリエイティブクラス、ケアリングクラスともう一つあります。この変容の動きを生み出すコンバージョンクラスです。
★探究は、この3つのクラスを生み出す場となることでしょう。そして、それが総合型選抜に直結し、その人材が大学で研究し、社会に出たとき、日本の社会や世界を水平的多様性の社会にコンバージョンすることになるでしょう。
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