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2021年12月30日 (木)

2022年教育の変容始まる(12)帰国生に人気の学校が映し出す日本の学校の4カテゴリー

★昨日、日能研の倍率速報で、あくまで中間報告段階ですが、2022年とい時代を読み解きたいので、リストを出しました。すると、大妻中野の諸橋先生と聖学院の児浦先生から、まだ反映されていないようですが、実際の数字はこうですよと連絡がはいりました。それを加味してリストを作成し直したので、それを改めて掲載します。この時期はこういうズレがあるのですが、このライブ感がまたいろいろなウネリの兆候を感じさせてくれます。

★どういうことかといと、各シンクタンクが集計して、サイトに反映する時に、多様な変化にすぐには対応できません。最終的にまとめればよく、今は過渡的な流れで、おおざっぱな傾向を受験生の保護者と共有しようというわけですから、国際生入試や帰国生入試のように、一般試験に比べて複雑な入試の種類を毎年設定している場合、当然すぐには反映しないものです。

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★このことの意味は、入試の多様性だけではなく、同じ試験でも受け方の多様性も生まれているということです。これが中学入試市場の創意工夫あふれる風が毎年吹く理由です。市場は無風状態では停滞し鬱屈します。風がそれを吹き飛ばし、勢いづけます。今回のメールのやりとりで、大妻中野や聖学院は、その風を生み出すキースクールだということが実感できました。なるほどですねというわけです(微笑)。

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★そして、表を作り直して気づいたことがあります。それは、国際生・帰国生入試を行う学校は3つのカテゴリーに分けられるなあと。思考力という点では、今国際生入試や帰国生入試を行っている学校は、IBのTOKのエッセンスを研究し尽くしているので、ロジカルシンキングだけではなくクリティカルシンキングやクリエイティブシンキングをカリキュラムのベースにするのは当然だという話はこれまでしてきました。

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★しかしながら、リーダー論でいえば、3つのカテゴリーに分けられそうです。どういうことかというと、日本はまだまだ学歴階層社会です。ですから、ここでどんなリーダーを育てようかと言うと、国際生・帰国生入試を実施している学校は、多様性を受け入れているわけですし、IBを意識していますから、その垂直的階層秩序でトップをとればよいというリーダー論でないことは推測に難くありません。

★ですから、このカテゴリーには上記表の学校は属しません。するとどうなるか。1つは垂直的階層秩序を受け入れざるを得ず、その中で水平的多様性をその秩序の内側から変えていくリーダーを育てようというタイプ。2つ目は、垂直的階層秩序の中に入っていくもよし、水平的多様性を自ら創る側に立つのもよしというバランスタイプ。3つ目は水平的多様性リーダーを生み出すのだというタイプです。

★こう見ていくと、国際生・帰国生入試を実施ている学校を見ていくことで、日本の学校は4つのタイプがあることが映し出されたことになります。座標系で表すとわかりやすいですが、ここでは次のように、象限順に列挙しておきます。

1 水平的多様性秩序と垂直的階層秩序のバランスを考慮する

2 水平的多様性秩序に偏る

3 水平的多様性秩序も垂直的階層秩序も考慮に入れない

4 垂直的階層秩序に偏る

★こうわけてみると、国際生・帰国生入試を実施している学校は、ほとんどが1ですね。

★では差がないではないか、実感と合わないと思う方もいるでしょう。その通りですね。学校選択は、この微妙な差異を認識しようとするかしないかで方針が変わります。

★この微妙な差異を探究するというコトは、水平的多様性≧垂直的階層性か水平的多様性<垂直的階層性というバランスの分岐点をどうするかという関数的な視点に立つということです。

★点だけみるか関数的に見るか、モノだけみるかコトもみるか、要素還元主義か構成主義か、インストラクション重視かコンストラクション重視か、シンパシーかエンパシーか、海外の中高では、「哲学」という授業があります。IBではTOKという授業があえります。いいわるいはべつにして、先進諸国は小中高時代にものの見方について学びます。メタ認知視点といえば、最近ではわかりやすいのかもしれませんね。

★このものの見方を学ぶことによって差異がみつけやすくなります。逆に学ばないと、差異になかなか気づかないわけです。改めて中学入試市場は、このような差異を見出すトレーニングの場にもなっているということが了解できます。実は最近では大学入試もそうなってきています。

★そうなっていないのは、小学校入試と高校入試です。さて、ここをどうしたらよいのか。よしあしは別にして、今年はバイデン大統領が民主主義サミットを実施しましたね。2030年、知の開国を迫りに黒船がまたやってきます。日本の生徒全員が1か2のものの見方ができないと大変なことになります。2022年は、そうならないように仲間と共に歩を進めようと思っています。

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