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2021年12月

2021年12月30日 (木)

2022年教育の変容始まる(13)カンザキジュク 自己変容=ライフシフトを志向する生徒と教師の拠点になりました。

★昨夕、二子玉川に移転し、名称も変更し、仕事も大シフトしたカンザキジュクに立ち寄りました。4月から私は八王子に単身赴任していたので、いつもZoomかチャットでしか対話ができませんでした。仕事納めとなって、ようやく二子玉川に帰還できたので、真っ先に挨拶に行きました。そして、リアル神崎先生に会えたのです。先生らしいおしゃれで居心地の良い空間デザイン。心地よく対話ができました。心理的安全性はこのような空間がアフォーダンスしてくれるんですね。さすがコンストラクショナルなというかアーキテクチュアルなPBLの達人です。

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★カンザキジュクという名称変更は、塾ではなくジュクだというわくです。宿であり祝であり熟であるわけです。つまり、自己変容の軌跡のゲートを表現する言葉です。

★神崎先生とここのところ対話していて、実際に二子玉川に帰還してそう感じました。4月から私はある意味、この歳でライフシフトしたわけです。同時に神崎先生もライフシフトしました。二子玉川の地は、私にとって帰還の地であり、神崎先生にとってはスタートの地であり、神崎先生は最近先生方の勉強会をハイブリッドで開いていますが、その先生方にとっては、学びの地であり、生徒にとっては人生を描くキャンバスの地です。

★本がずらりと並ぶカンザキジュクは、まさにこの「地」が「知」のスクランブルとして自己変容する空間ですね。

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★神崎先生自身の仕事は一見変わっていませんが、その方法論やスタイルは変わったし、先生自身のメソッドは、共通財として無料ではありませんが、知の無形資産を共創できるという点では格安というかリーズナブルな対価で共有されるようになりました。

★また仕事自体、一匹狼的なスタービジネスではなく、コラボレーションやチームをつくる自分ではなく、その人材をつくる、つまりチームを<つくる>人材を<つくる>ゲートロールプレイを<つくる>役割という新しい仕事にシフトしています。<つくる>が三重にメタ化されるリーダーシップです。

★また、本間は何を言っているかわからないといわれるでしょうが、まあカンザキジュクで学んでみてください。するとゲートロールプレイを生み出す役割が何なのか実感できます。

★コーチンでもなくファシリテーターでもなく、スーパーバイザーでもなく、プロデューサーでもなく、カウンセラーでもなく。このゲートロールプレイを生み出す役割については、今回二人がそれぞれにライフシフトしたときに共感しました。シンパシーというよりエンパシーです。

★ある縁で(カトリックでは神の計画と言います)、鹿児島純心の校長久松先生と3人でZoom対話をした時に、それは訪れました。

★その後、それぞれがゲートロールプレイを生み出す役割に覚醒していったのかもしれません。

★2030年から2089年に向けて始まる大きな新しいウネリ。その準備が2022年からスタートします。

★私たちのライフシフトは、その局面に立ち臨むときに降りてきたわけです。

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★そして、このライフシフトの渦は、私たちだけではなく、すでにここ数日の間に私が対話をした70人の仲間とはエンパシーの波動が広がっています。

★神崎先生は神崎先生で私とは違う仲間ともっとたくさん対話をしています。

★すると、年末、2022年に向けて意識するしないにかかわらずライフシフトのエンパシーの波動が200人以上に広がったというわけです。

★絶望を希望に変える自己変容=ライフシフトの拠点づくりが各所で始まりましたね。その節点=ノードがハイブリッドで、ゆくゆくはメタバースで多様に結合し拡張するビジョンが見えてきました。その拡張するための思考スキルは、置換によるセンスメイキングです。この思考スキルを身に着けるとゲートロールプレイを生み出す役割を担うことができます。意外とシンプルな思考スキルがゆえに、気づきにくいですね。

★まずは、カンザキジュクに集いましょう。

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2022年教育の変容始まる(12)帰国生に人気の学校が映し出す日本の学校の4カテゴリー

★昨日、日能研の倍率速報で、あくまで中間報告段階ですが、2022年とい時代を読み解きたいので、リストを出しました。すると、大妻中野の諸橋先生と聖学院の児浦先生から、まだ反映されていないようですが、実際の数字はこうですよと連絡がはいりました。それを加味してリストを作成し直したので、それを改めて掲載します。この時期はこういうズレがあるのですが、このライブ感がまたいろいろなウネリの兆候を感じさせてくれます。

★どういうことかといと、各シンクタンクが集計して、サイトに反映する時に、多様な変化にすぐには対応できません。最終的にまとめればよく、今は過渡的な流れで、おおざっぱな傾向を受験生の保護者と共有しようというわけですから、国際生入試や帰国生入試のように、一般試験に比べて複雑な入試の種類を毎年設定している場合、当然すぐには反映しないものです。

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★このことの意味は、入試の多様性だけではなく、同じ試験でも受け方の多様性も生まれているということです。これが中学入試市場の創意工夫あふれる風が毎年吹く理由です。市場は無風状態では停滞し鬱屈します。風がそれを吹き飛ばし、勢いづけます。今回のメールのやりとりで、大妻中野や聖学院は、その風を生み出すキースクールだということが実感できました。なるほどですねというわけです(微笑)。

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★そして、表を作り直して気づいたことがあります。それは、国際生・帰国生入試を行う学校は3つのカテゴリーに分けられるなあと。思考力という点では、今国際生入試や帰国生入試を行っている学校は、IBのTOKのエッセンスを研究し尽くしているので、ロジカルシンキングだけではなくクリティカルシンキングやクリエイティブシンキングをカリキュラムのベースにするのは当然だという話はこれまでしてきました。

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★しかしながら、リーダー論でいえば、3つのカテゴリーに分けられそうです。どういうことかというと、日本はまだまだ学歴階層社会です。ですから、ここでどんなリーダーを育てようかと言うと、国際生・帰国生入試を実施している学校は、多様性を受け入れているわけですし、IBを意識していますから、その垂直的階層秩序でトップをとればよいというリーダー論でないことは推測に難くありません。

★ですから、このカテゴリーには上記表の学校は属しません。するとどうなるか。1つは垂直的階層秩序を受け入れざるを得ず、その中で水平的多様性をその秩序の内側から変えていくリーダーを育てようというタイプ。2つ目は、垂直的階層秩序の中に入っていくもよし、水平的多様性を自ら創る側に立つのもよしというバランスタイプ。3つ目は水平的多様性リーダーを生み出すのだというタイプです。

★こう見ていくと、国際生・帰国生入試を実施ている学校を見ていくことで、日本の学校は4つのタイプがあることが映し出されたことになります。座標系で表すとわかりやすいですが、ここでは次のように、象限順に列挙しておきます。

1 水平的多様性秩序と垂直的階層秩序のバランスを考慮する

2 水平的多様性秩序に偏る

3 水平的多様性秩序も垂直的階層秩序も考慮に入れない

4 垂直的階層秩序に偏る

★こうわけてみると、国際生・帰国生入試を実施している学校は、ほとんどが1ですね。

★では差がないではないか、実感と合わないと思う方もいるでしょう。その通りですね。学校選択は、この微妙な差異を認識しようとするかしないかで方針が変わります。

★この微妙な差異を探究するというコトは、水平的多様性≧垂直的階層性か水平的多様性<垂直的階層性というバランスの分岐点をどうするかという関数的な視点に立つということです。

★点だけみるか関数的に見るか、モノだけみるかコトもみるか、要素還元主義か構成主義か、インストラクション重視かコンストラクション重視か、シンパシーかエンパシーか、海外の中高では、「哲学」という授業があります。IBではTOKという授業があえります。いいわるいはべつにして、先進諸国は小中高時代にものの見方について学びます。メタ認知視点といえば、最近ではわかりやすいのかもしれませんね。

★このものの見方を学ぶことによって差異がみつけやすくなります。逆に学ばないと、差異になかなか気づかないわけです。改めて中学入試市場は、このような差異を見出すトレーニングの場にもなっているということが了解できます。実は最近では大学入試もそうなってきています。

★そうなっていないのは、小学校入試と高校入試です。さて、ここをどうしたらよいのか。よしあしは別にして、今年はバイデン大統領が民主主義サミットを実施しましたね。2030年、知の開国を迫りに黒船がまたやってきます。日本の生徒全員が1か2のものの見方ができないと大変なことになります。2022年は、そうならないように仲間と共に歩を進めようと思っています。

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2021年12月29日 (水)

2022年教育の変容始まる(11)生徒理解を「相互創造」そして「世界モデル構築」に結びつけるにはゲートロールプレイが重要でした。

★今年は日本大学文理学部の准教授土屋弥生先生に「生徒理解」のフッサール哲学による考察と現場における活用方法について学びました。そして体育科の阿部先生が実施しているその実践研究にも学びました。

★数学科の伊東先生とはセカサク(世界の作り方)ワークショップを協働し、その後多様なプロジェクトでそれを実践的に展開しました。

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★それによって、次の3つのテーマを今後深めていくことになりました。

①生徒理解における間主観妥当性の本質直観による生成。

②ロカール間主観的世界を世界モデル構築を介してグローバル間主観的世界にシフト。

③①と②を結び付けるには、ゲートロールプレイが必要かもしれないという仮説検証。

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★結局はこれらは対話システムなのですが、このシステムを体得すると2030年に向けてライフシフトがしやすくなる社会ができるのではないかと。

★このようなシステムを組織化したり、それができる人材開発が可能になるからです。コーチングやファシリテーターだけでは解決できない問題がいつもありますが、それを解消するには、ゲートロールプレイが重要です。これは今年の体験で気づきました。

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2022年教育の変容始まる(10)「基礎学力観」は思考コードの見方を変えればシフトする

★今年は首都圏模試センターの社長山下さんと日本&東京私学教育研究所の所長平方先生と「思考コード」について対話を深めることができました。心から感謝申し上げます。その過程で最終的に気づいたことは、いつまでも「読み・書き・そろばん」や「知識・技能」を「基礎学力」ととらえていては、2030年を希望の社会にできないということでした。「基礎学力観」のコペ転(コペルニクス的転回)こそ大事だと。

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★基礎学力とは、正答率が高いやさしい問題を解ける力というわけではなく、予測不能な困難な出来事に対応できる瞬発力と対処療法ではなく、根本的に解決する勇気だと気づいたのです。

★サバイバルスキルこそ基礎学力なのだと。すると、上記のように、20世紀型教育における基礎学力領域である「A1+A2+B1+B2」は、21世紀型教育における「A3×B3×C1×C2×C3」にシフトするということですね。

★「A1+A2+B1+B2」をまずやってから、「A3×B3×C1×C2×C3」を学ぶというのでは、多くの子どもたちが到達しないことはもはや説明するまでもないでしょう。

★そんなことをやっていては、2030年は、高度人材が70万人も足りなくて、12万人ほど高度外国人材を受け入れなければならないという時代を迎えます。多様性はよいことですが、今のままの社会の発想だと、新たな階級構造ができてしまうでしょう。

★協働できる状態にするには、日本人の方も基礎学力観をシフトしておく必要があるわけです。水平的多様性では、基礎学力観のズレを修正しておかなければ成立しません。

★「A1+A2+B1+B2」はもはやAIなどICTによるデフォルトでよく、「A3×B3×C1×C2×C3」の学びを行っている最中に、調べながら行っていくというのが「基礎学力観」になるでしょう。

★こうすることで、1人当たりのGDPがようやく倍増するのです。

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2022年教育の変容始まる(09)ライフ生成的PBLプログラム

★今年は27日が仕事納めとなりました。そこから毎日友人と静かにリフレクションの日々です。いろいろありましたが、最後に一つの大きなプロジェクトが立ち上がりそうです。本当に首都圏エリアの仲間の先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。勤務校の仲間の1人も参加してくれました。本当にありがとうございます。

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★今年は、日々いろいろな出来事がありました。ハッピーなこともいっぱいあったし、逆になんとかしなければならないとサポートプロジェクトチームを幾つか立ち上げて切り抜けたり。ワンチームの力のすばらしさをこんなに実感できたことはありません。もちろん、その過程はみんなで知恵をしぼりました。

★最後の最後まで、保護者の方々と対話も出来ました。そして2022年から始まる新プロジェクトのミーティングへと。と思っていたら、1人の生徒が分厚い「絶望を希望に変える経済学」という本を大事そうにかかえてやってきました。「先生、読みました。自分のやりたいこともようやく見えてきたような気がします。年明けたら、また前の時のように対話をお願いできますか」と。もちろんと返事をしました。次のミーティングがせまっていたので、それ以上あまり対話ができませんでしたが。

★「学年末試験」の邪魔にならない程度にねと余計なことを言ってしまいましたが、もともと期末1か月前にこの本の話題になり、期末の邪魔にならないようにとそのときも言っていたことを思い出しました。

★彼とは創立記念行事の時のコンセプトについて対話したり、夏期中のセカサク(世界の作り方)講座でいっしょに学んでいたので、すれ違ったり、バス停で出会ったりしたときにときどき話していました。もちろん、彼一人ではなく、小さな学校ですから多くの生徒とそうなるのです。

★人から勧められた本は読まないものだからなあといいながら、いろいろ紹介しました。おもに高3生で、総合型選抜やカトリック枠の面接や口頭試問の対策で、先生方から〇〇にイレギィラー問答や変化球の問いをお願いしますと依頼されて行っていました。彼らはランチタイムを切り詰めて対話しにやってきました。

★正義論や哲学問答に、マーケティングの思考実験問題や、パンデミック下の医療や看護、救命救急の問題点と法制度の不備について問答したり、生物資源問題やニューコモンズ、メタバース論などについても問答しました。その中で、上記の本が課題図書だというので、読書会みたいな対話もやりました。

★そんなことをやっていたので、雰囲気を察知したのでしょう。そろそろ進路を決める時期ということもあり、高1や高2の生徒がすれ違いざまに一瞬だけれど深い質問をしてくるわけです。高3生は、最初は試験対策がメインですが、そのうち世界が広がり深まりますから、それもいいけれど、卒業試験準備ちゃんとやるんだよと言わざるを得なくなることもありました。

★ゲームのポジティブな効用や起業家精神について鼻を膨らまして語る生徒もいました。いつ入試なのかと聞くと、3日後ですというので、話はこれぐらいにして、準備しようかと。わかりましたと階段を軽やかにあがっていく生徒の後ろ姿に、立ち臨む姿勢を感じました。

★私は教科の授業も進路指導もするわけではありません。私のところに来るまでに相当準備を先生方としてくるわけです。それを感じたとき、学校全体がPBLだと感じ入りました。人生を自らデザインするように生徒が成長していくには、学校全体のあらゆる教育活動のプロジェクトのアンサンブルこそが本当のPBLなのだと実感したのです。

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★夏休みに入るまでは、自分の考えや言葉は、先生方や生徒に届くだろうかと不安でした。実際小難しいことをいうという前評判がありましたし、わかりやすく話すことが求められもしました。

★ところが、先生方と対話を続けていくうちに、それは私の方の問題であって、小難しいとかわかりやすいということではなく、相互に理解できる、相互に創造する過程が大事なだけだということは了解しました。何事もいっしょにやってみる。でも、つかず離れず。距離感というより響きの間ということのほうが、今の自分には納得がいきます。

★保護者と話す時も、ストレートにどうしたらいっしょによくしていけるのか考えましょうという対話の方が、響き合うということも身に染みました。

★終業式や始業式、イベントや説明会があるとき、上記の4冊の本とシンクロするような話をしているのだとあとからですが気づきました。ですから、この本によるとという話にはなりません。引用の時は別ですが、自分の考えを自分の言葉で語ってしまっています。あとから、本を読んで、同じことが書いてあるじゃないかとなぜか安堵するわけです。

★おそらく当面、上記4冊の本に書いてあることと同じようなことを語るのが、2022年だろうなあと。デヴィッド・グレーバー氏のは、超ラディカルなので、そこまでは言わないと自分で歯止めをかける鏡としてとても参考になります。上流思考は、結局はシステム思考ですが、やはり上流と下流という言い方がシステムという関数的なイメージより了解しやすいということでしょか。表現方法の勉強になりますね。

★2089年からバックキャスティングするには、最小限ノヴァセンの考え方は大切だなと思っています。未来をといいながら、2030年くらいのことしか見ていないという自分がいるので、それこそ上流思考でもっと先から考えなくてはとモニタリングになります。

★そして、ライフシフトは、総合型選抜の効用を共有する時にヒントになることでしょう。

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2022年教育の変容始まる(08)帰国生に人気の学校の実用的な意味 2030年が見える③男子校(東京)

※この記事掲載後、聖学院の広報部長・国際部長・21教育企画部長の児浦先生からメールがありました。「国際生入試、オンライン15、学校実施16で国際生合計31名で、過去最高です」と。快進撃ですね。この同校の教育活動の意義については、今度改めて述べたいと思います。

★前回土曜、男子校を見ていきます。

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★特徴的な海城と聖学院の存在です。男子校の帰国生入試は、かつて東大合格者を出すための目的が露骨でしたが、海城学園が高校入試を廃止し、その募集分を中学入試の帰国生入試にシフトしたことによって一変しました。東大の件はもちろんそのままですが、海外大学進学準備教育に変わりました。上記のリストは聖学院以外は、みなその路線に動いているでしょう。

★海城学園は2013年から、IB研究の拠点校になっています。多くの学校が学びにいったことでしょう。海城の取材も多かったですね。もちろん、今も多いです。

★そんな中で聖学院は、別路線で突き抜けています。

★同校では帰国生入試と3つの思考力入試は、グローバルでイノベーティブな資質能力に道を開きました。もちろん、他の男子校のように、2科4科入試もありますから、垂直的階層秩序でサバイブしていく人材も確保しています。

★しかし、学内の40%くらいは、水平的多様性により、垂直的階層秩序のもたらしてきたメンタル面、ソーシャル面の複雑な社会課題を解決する資質能力をもっている才能者がいます。

★これによって、垂直的階層秩序に飛び込んでいく仲間にエールを贈り、その体制の内部から弱い立場にある人々をケアする行動を促す相乗効果を生みだしています。この考え方は開成の初校長高橋是清の教育で育った聖学院初校長石川角次郎の発想が継承されています。

★多くの男子校は、基本はファーストクラスを目指しますが、聖学院はファーストクラスだけではなく、クリエイティブクラスやケアリングクラスも育てます。

★一握りの富裕層だけでは、2030年には日本社会はおかしくなるのは毎日メディアが取り上げています。しかし、その具体的な対策は、従来型の垂直的階層秩序の権力を活用しておこなうものが多いし、多くは対処療法です。

★男子校は、意識してはいないでしょうが、この古い構造のジェンダー問題輩出装置の中でファーストクラスを目指すことになりがちです。ここをリフレクションして、海城学園をはじめ帰国生入試を実践する男子校はっ苦心しているわけですね。

★それに対する一つの根本的な解決策を聖学院は身をもって示しているといえましょう。

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2022年教育の変容始まる(07)帰国生に人気の学校の実用的な意味 2030年が見える②女子校(東京)

※本記事を掲載後、大妻中野の教頭諸橋先生から、最終的にトータル120名になったと連絡を頂きました。ありがとうございます。快進撃ですね!表は最終的な数字ではありません。中間報告です。いずれまとめます。

★前回同様、東京の女子中高一貫校の帰国生入試の出願動向を見てみましょう。出願数10人以上のリストです。

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★昭和女子大附属昭和や富士見丘はスーパーグローバルハイスクール(SGH)認定校だったし、大妻中野もSGHアソシエート校でした。当然TOKのエッセンスは研究済みです。

★頌栄女子、共立女子、大妻、東京女学館、山脇、立教女学院、白百合学園、実践女子、江戸川女子、田園調布学園は、もともと帰国生から注目されていましたが、2013年以降、TOKはやはり研究済みですから、バージョンアップしていることは推測に難くありません。特に立教女学院はIB校になるかどうか相当研究しましたが、米国聖公会の先鋭的な教育と独自のプロジェクト学習を久しい前から開発していたため、必要なしと判断したぐらいです。

★神田女学園の10人は、飛躍です。ここから同校の快進撃が始まる予告だとみなすこともできます。ダブルディプロマやダブルディグリーの効果ですね。

★いずれも海外大学進学準備教育は織り込み済みだし、TOKのエッセンスや哲学も同様です。

★それから、コロナ禍にあって、帰国生がスムーズにアクセスできるのは、ICT環境が整っているからでもあります。

★2030年に、メタバース、NFT、SDGs、高度人材育成、海外教育機関の日本上陸、新しい経済社会、脱炭素社会などなどすべての領域で次のステージへというマインドセットがなされています。教育はどうでしょう。動いてはいるのです。しかし、10%ぐらいが動いているにすぎません。帰国生がサバイブするために選択している学校は、もちろん、そこに位置しています。

★10%で満足していたら、日本はたいへんなことになるのは、火を見るより明らかです。その絶望を希望に変える教育をわたしたちはチャレンジする必要があるのは言うまでもありません。

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2022年教育の変容始まる(06)帰国生に人気の学校の実用的な意味 2030年が見える①共学校(東京)

★数ある入試の中で最も先鋭的かつ先進的な考え方で実施されているのが中学入試。中でも昨今の帰国生入試と新タイプ入試は2030年の社会のあり方を見据えています。したがって、未来ビジョンや理念、理想に燃えていますが、その実、極めて実際的・実用的な根拠をもって実施されています。小学校入試や高校入試、大学入試も2030年に向けて実用的な意味づけを学ぶには格好のモデルです。

★2022年中学入試の倍率速報でどんな学校が人気なのか?現段階で10人以上集めている東京の私立中高一貫校を見ていきます。まず共学校から。

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★こうしてみると、2つの実用的な意味が見えてきます。1つは、海外大学進学実績をすでにあげているもしくはその期待値が高い学校ばかりです。たとえば開成に行かなくても、世界大学ランキングで東大級あるいはそれ以上の大学に入れるのです。しかも、そのための環境はPBLやアクティブラーニングなど現地校の学びの環境を継続できる可能性が高いのです。帰国生に人気がでればでるほど、その環境は充実していきます。上記表の17校は、すべてそのような学びの環境になっていますね。もちろん充実度の差異はあるでしょうが。

★それからもう1つ実用的な理由は、哲学のエッセンスを盛り込む日本の学習指導要領にはない学びができるということです。もちろん日本の学習指導要領でも、やろうと思ったら総合学習や探究の時間でできないことはないのですが、担当教師によってやったりやらなかったりでしょう。

★ところが、帰国生が期待している学びは哲学的エッセンスが必要なのです。なぜか?そのような本質的で、人間の存在やその痛みについて考えることが社会課題を対処療法的に考えるのではなく、根本的なところから解決できるようになるからであり、気候変動やパンデミック、民主主義の危うさに直面している今だからこそ必要なのだと。もちろん、それもありますが、海外では哲学という授業が大学入試に役立つからです。エッ!?そんな実用的な理由なのと思うかもしれませんが、まあそうなのです。

★ただし、日本の倫理社会のような選択肢問題が中心なのではありません。たとえば、カタツムリに意識はあるか?エンパシーとは何か?を論じなさいというエッセイライティングの力も必要なのです。

★ただ、哲学というと、プラトンだカントだヘーゲルだフッサールだ、いやそんなのは古いガブリエルだメイヤスだとかギリシア時代から現代にかけて数え切れない程哲学者がいて、偏らないように生徒と思考を共有にすることはなかなか難しいですね。

★そのため、現代はつ哲学の一般化が図られています。その典型がIBのTOKです。ですから、上記17校は、IB校でなくても、TOKのエッセンスを研究し、独自の方法で取り入れています。文化学園大学杉並や三田国際(まだ公開されていないので、上記には掲載されていませんが、少なくとも300人は集まっているでしょう)などのようにダブルディプロマを実施しているところは、提携した海外校のカリキュラムの中に盛り込まれています。

★かえつ有明の国際生や工学院のインターコースなどでは、英語で哲学を学ぶ講座が開設されています。

★開智日本橋は、土屋先生という哲学専門の教師がいるぐらいです。もっとも、同校はIB校です。

★成城学園や成蹊、ドルトン東京学園は、もともとそのような哲学や全人教育をベースにしています。

★八雲学園や工学院に代表されるように、ラウンドスクエアなどの国際的な私学のネットワークに加盟していると、そこでの交流はそのベースに哲学がありますから、自然と哲学ベースの学びの環境が広がっているところもあります。

★2030年は、海外大学のみならず、海外の中高も日本に続々上陸しています。上陸と言ってもリアルではなくメタバース上での話になると思いますが。また、高度外国人材も、高度IT人材が70万人くらい不足しますから、たくさん受け入れることになるでしょう。したがって、今までの外国語教育やICT教育では、帰国生は満足しません。

★かくして、帰国生のニーズは、時代の要請に通じる部分もたくさんあります。

★したがって、帰国生に人気の学校は、そのニーズや時代の要請に対応していく柔軟で強烈な教育力を日々生成しているということでしょう。理想と刻一刻変化する現実の一致を実践していくのが実用的なものの見方・行動力です。

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2021年12月26日 (日)

2022年教育の変容始まる(05)「基礎学力観」を変える学校、つまり思考コードの新しい見方をする学校が人気か!? 千葉・埼玉エリアの倍率速報から

★前回、2022年中高一貫動向として、C軸クラス(クリエイティブクラス、ケアリングクラス、キャリアデザインクラス、コンバージョンクラス)を輩出する学校が続々増えるのではないかと述べました。そして増えるには、同時にC軸クラススクールは、ファーストクラススクールに肩を並べるようになる人気がでてくるという勝算があるからです。そろそろ各シンクタンクが倍率速報を公開し始めますから、リサーチしていきたいと思います。

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(首都圏模試センターが思考コードのロゴをデザイン)

★C軸クラスというのは、思考コードでいえば、C軸の資質能力が高いと同時に、A3とB3をC3に包摂できる資質能力でもあります。この資質能力の潜在力を見出す新タイプ入試を設定したりカリキュラムデザインをしていたり総合型選抜準備や海外大学進学準備ができるキャリアデザインプログラムを実施している学校がNew Power Schoolだし、21世紀型教育校です。まとめてC軸クラススクールとしておきましょう。

★今までは、A1+B1が基礎学力でした。しかし、今後はA3×B3×C軸(C1×C2×C3)が基礎学力となるでしょう。C軸クラススクールは、まだ無意識なのかもしれませんが、そのウネリを創り出していると思います。その証拠に、2022年は、このC軸クラススクールが人気になるはずです。

★2021年12月24日現在(日能研倍率速報)、まだまだ始まったばかりですが、千葉・茨城エリアですでに前年対比100%を超える学校を並べてみます。

光英VERITAS 第一志望 142.0% 
千葉明徳 第一志望 137.0%   
千葉明徳 ルーブリック評価型 133.3%  
茗溪学園 第1回 131.3% 
昭和学院 推薦 124.1%   
千葉日本大学第一 自己推薦 107.8%

★いずれも、C軸クラススクールです。日大グループは、2月が終わってみなければわかりませんが、ガバナンスがどうあれ、中高は、おそらくみな人気がでたという状況になると思います。日大日吉や札幌日大をみればわかるように、New Power Schoolの教育デザインを構築し始めているからです。

★埼玉エリアはまだはじまったばかりですが、同エリアで最初にNew Power Schoolに舵を切って久しい栄東は、相変わらず生徒を集めています。また、定期テストよりも日々の個別最適化テストに力点を置き始めて、長時間学校にいることから、必要に応じて学校環境を活用し、自宅で自分の時間で学ぶ将来のメタバースラーニングに対応できるGRITをトレーニングしている(同校が意識しているかどうかはわかりませんが)春日部共栄も生徒が集まっています。

★茨木も、自治体の大量公立中高一貫校化の流れに対応すべく私立中高一貫校も踏ん張ています。茗渓学園のように、公立中高一貫校を突き抜ける教育にチャレンジしている学校はやはり人気がありますね。

★この突き抜ける教育にチャレンジするには、基礎学力観が変わらなければ成就しません。A1+B1からA3×B3×C軸へ基礎学力観が変わるいわば「基礎学力のコペ転」こそ2022年のウネリのエネルギー源となるでしょう。

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2022年教育の変容始まる(04)沸騰受験列島から多様なキャリアデザイン列島へ

★沸騰受験列島は2月から3月上旬までが定番でしたが、ここ数年は、10月からすでに受験シーズンは始まっています。もともと小学受験は10月からはじまりますし、大学の多様な推薦型入試も始まります。高校入試もいわゆる本番は1月から2月にかけてですが、11月から12月にかけて各学校で入試相談に向けての準備がピークになるのもこの時期です。そして、12月には中学における帰国生入試やエリアによっては推薦入試がスタートします。したがって、沸騰受験列島は、1年の半分は、そういう雰囲気になっているのが現状ですから、もはや日常ということでしょう。

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★ですから、受験ではなく、日々自分の人生をどうするか考え、各年齢に応じた自己と他者の関係物語=ライフ物語を紡いで生きているということですから、キャリアデザインを日々しているのが私たちだととらえるのがよいのではないでしょうか。受験は、節目節目の特別なイベントですが、ライフ物語を妨げるシステムであってはならないわけです。むしろ節句やクリスマスのように互いの幸せへのゲートとしていっしょに突き抜けようとするポジティブなイベントとしてとらえたほうがよさそうです。

★それが、なぜ受験地獄の門のようにとらえられてきたのでしょう。それは、本来共通財の知識を、競争財として使い、あたかもその財を持てる者と持てない者を分断するかのような雰囲気があったからでしょう。そのようなイリュージョンを創り上げてきたからでしょう。

★オイルショックやパンデミックショックなどのように、本来共通財であるトイレットペーパーや食材、マスクなど買い占め、スーパーマーケットやコンビニの棚が空っぽになってしまう光景を私たちは世界各地で目撃しているわけですが、受験シーズンは、まさに同じような構造になっているのではないでしょうか。

★そんなことに気づいた学校がNew Power Schoolであり21世紀型教育校です。このような学校は知識は共通財として思考や創造、判断などによってライフ物語を編集していくときに活用しますが、競争財としては使わなくなっています。

★ですからどれだけ競争財を持っているかで入試を行うわけではないのです。むしろこれからいっしょにライフ物語を編集しいく才能があるかその素養があるかその意志があるかをみる入試を設定するようになっているのです。そして入試問題は学校の顔ですから、そのようなライフ物語を協働編集していくカリキュラムデザインがなされているし、そのような物語を志望理由書やアイデア企画書としてプレゼンできる機会を設定している大学入試に挑むわけです。

★とはいえ、まだまだ日本の大学は知識を競争財として使う入試を実施していますから、それに適合したくない生徒は海外大学に活路を見出すようになってきていますね。この流れは、海外大学や海外の私立学校の日本上陸を促してもいます。ですから国内の大学も、文科省以上に目覚めはじめているわけです。

★このウネリが、沸騰受験列島を、多様なキャリアデザイン列島に変容させていくし、させているのだと思います。

★1989年から100年かけて壮大なウネリが生まれています。それはC軸クラスが地から図に転換するウネリです。つまり1995年からクリエイティブクラスが誕生し、2011年にその活躍が前面にでてきました。そして2020年、このパンデミックショックがケアリングクラスの重要性を前面に押し出しました。2030年は、新しい経済政治社会においてライフ物語の協働編集をするキャリアデザインクラスが前面にでるでしょう。

★思考コードでいえば、C軸発想とA3B3C3ラインの座標系を自在に活用できるクラスです。この視座全体をコーディネートできるクラスがコンバージョンクラス(コペ転クラス)です。コンバージョンクラスは、ほかのクラスの全体集合です。

★そして、2022年は、多様なC軸クラスの時代を開く希望の学校が続々出現してくるエポックメイキングな時代になるでしょう。中学入試の倍率速報を各シンクタンクが公開する時期ですから、C軸クラスを輩出するNew power Schoolや21世紀型教育校の勢いをみていきましょう。

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2021年12月25日 (土)

2022年から基礎学力の概念が変わる。 鈴木裕之さんとの対話で。

★昨日のクリスマスイブは、GLICC代表鈴木裕之さんと対話。2089年からバックキャスティングしてみていくと、2022年中学入試をきっかけに、「基礎学力」の概念が変わるということについて対話をしました。あるいは、思考コードの見方が変わると置き換えてもよいかもしれません。

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GLICC Weekly EDU 第60回「shuTOMO11月号&12月号から2022年度中学入試を読むー【合格実績至上主義】から【自己変容型マインドが育つ学校選び】の時代へ」 

★なぜ「基礎学力観」が変わるかというと、社会生活を支える言語やデジタルツールのバージョンアップがすさまじいからです。また、求められている思考力の質も変わるからということです。1989年から2020年の期間中に、2021年から2089年までに、Z世代がカタチづくる未来社会の萌芽があるというのも今回はじっくり対話しています。

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★「基礎学力観」がどう変わるかは、首都圏模試センターの新しい思考コードのロゴで対話しています。これについては是非ご視聴していただけると嬉しいです。

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★そのような上流思考で対話しながらも、いまここで合格するための勉強法についても紹介しています。直前合格ノートの話です。

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★さて、1789年フランス革命の時から、100年サイクルで社会が大きく変わる出来事が起きています。2089年、Z世代が70歳以上になっていますが、そのときまでに彼らがつくる社会構想力を培う学びは、いまここで中学受験でも生まれているのです。

★大きな変化は、この小さな変化を全うするところから始まります。2089年には、私たち昭和世代は、100歳を超えています。私は当然この世にはいません。いままでの基礎学力観でいくと、それは20世紀昭和社会の継続です。昭和世代はそれでよいのでしょうか。孫のために変えないと、それはある意味絶望の軌跡を描くかもしれません。そうならないように、希望の軌跡を描くには、やはり基礎学力の概念を変えることでしょう。昭和世代は悟りの境地に入りましょう(汗)。

★それを提案しているのが首都圏模試センターの思考コードであり、その啓蒙書が同センターが編集・出版している「shuTOMO」です。

★新しいアイデア、それを啓蒙する新しいメディア。2022年中学入試は、この新しい枠組みを受け入れ始めています。それを知るためにも上流思考は大切です。詳しくは、ぜひ同番組をご視聴ください。

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2021年12月23日 (木)

2022年教育の変容始まる(03)中高一貫校を選択するとき、高校の教育の質を調べることが大事。ポスト・アントロポロセン=ノヴァセンを議論しその手段を実装できる高校はどこ?

★今日の日経新聞のいくつかのタイトルは、2030年に向けて動いているテーマが目につきました。パナソニックがメタバースに参入するとか、岸田首相が新たな資本主義で日本が世界をリードするとか、NTTと東大が、米中の量子コンピュータ開発競争を、2030年には超える新型量子コンピューターを開発しているとか。

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★岸田首相の新しい資本主義のベースにはデジタル田園都市構想があるので、やはりこれらに共通するのは、みな光エネルギーを情報ビッドに変換する話です。化学と物理と数学の話。田園都市ですから、環境問題の話もあり、そこには光エネルギーをニューロン物質に変換する話と電子で直接置換する話のせめぎ合いの話が横たわっています。

★そんなことを考えていたら、今回のパンデミック前夜に出版された「ノヴァセン」(NHK出版で翻訳本がでたのは2020年4月でした)を書いたジェームズ・ラヴロック博士を想いだしました。

★100歳を超えているにもかかわらす、今流行りのアンソロポロセン(人新生)を超える考え方を構想している方です。同書の帯に落合陽一さんがコメントしているのもやはりなあと。

★デジタルネイチャー論者ですから当然ですね。

★これらの話が2022年の高校の新学習指導要領本格実施年度にどんな関係があるのか?大ありでしょう。2030年は、SDGsの1つのゴールだし、それまでに、デジタルサイエンスを充実させ、IT高度人材を輩出しないと、12万人不足するので、高度外国人材をよびこまなくてはならないということになっています。

★グローバルだ、多様性だと言いながら、在留外国人の全人口比は、諸外国に比べてて超低いのです。2%いかないともいわれています。やはり知の鎖国状態ですね。それをいきなり開国というのですからうまくいくでしょうか。

★コンピューターがビッドからQビッドに変わるわけですから、アントロポロセンがノヴァセンにいよいよ移行するというのも直観的にはわかります。というか、そのことは創造的思考自体が、もの創り思考から直観的創造思考に転換するということも示唆しています。

★2025年には、「情報Ⅰ」が大学入学共通テストの科目になりますが、その内容は、政府がいろいろなところで出している話ですが、まだまだ従来のITの話で、新しいITの話ではありません。2030年に間に合うのかなあ。

★ダイヤモンドオンラインでは、経済における米中覇権競争から日本は完全に脱落したということをデータで物語る記事も、今日目にしました。

★このようなランキング競争を生み出す垂直的階層秩序の発想をなんとかしなくてはならないのですが、その現実が眼前にあり、他人ごとではなく、日本における経済格差拡大に拍車をかけるわけです。しかも、日本の垂直的階層秩序は、学歴社会と同根であることも未だ解消されていませんから、経済格差は教育格差に通じます。

★ラヴロック博士は、この事態そのものは、アンソロポロセンのネガティブな側面だが、同時にそのネガティブをポジティブにかえるテクノロジーやデジタル社会ができてきたではないかと。自律した超人的なAIの登場は歓迎すべきであり。人類と新しいデジタル社会の共生があるいは融合がノヴァセンの誕生なのだと。

★2022年の高校の新学習指導要領は、創造的思考を開いたわけですが、この創造的思考を、量子ビッド感覚の直観的思考やSF思考で捉え返して、新しい教育を行っている高校があるとするならば、そこは希望でしょう。

★おそらく、開成(岸田首相の母校)、麻布、武蔵、工学院、聖学院、文化学園大学杉並、三田国際といったところは、そこも射程に入っていると思います。もちろん、勤務校は、カトリック校ですから、ラヴロック教授が黙示録をベースに考案したガイア理論にも親和性があります。今住学と理科教諭などとパウロの森アース構想を練っています。もっともまだアナログですが(汗)。

★ともあれ、自律的超人的AIが量子コンピューターによってさらにパワフルになるのですから、人間の方は、その先をいく直観的創造思考を養うしかないでしょう。。。。

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★ラヴロック博士の著書“The Earth and  I”の絵本の最後のページに記されたアインシュタインの言葉をここに記します。みなさんはどちらの人生を選びますか?そしてどちらの人生を歩む教育をする学校を選びますか?

 There are two ways to live your life.

One is as though nothing is a miracle.

The other is as though everything is a miracle.

 

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2021年12月21日 (火)

2022年教育の変容始まる(02)中高一貫校を選択するとき、高校の教育の質を調べることが大事。工学院の場合。

★中高一貫校を選択する場合、高校の教育の質を調べてみることが大事だというのが、本シリーズのテーマです。なぜかということについては、前回少し述べましたから、ここからは具体的事例などを通して考えてみましょう。まずは多摩エリアで最も先進的と評判の高い工学院大学附属中高(以降「工学院」)です。

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★工学院というと、グローバル教育とICTが当たり前のように融合している教育がルーティンになっています。上記の写真は、インドの高校とオンラインで開催したイベントのロゴです。このサイトを見てもらうと、高校生がこんなハイレベルなフォーラムを企画運営するのかあと驚くことでしょう。

★しかも、これは2つの意味で同校の象徴的な教育活動なのです。1つは、このような活動はレベルの違いはありますが、すべての高校在校生が体験するということです。これは非常に驚きです。というのも、工学院は中高一貫校ですが、高校入学組が、中学入学組の倍以上なのです。

★高校から入ってきても、同様の教育活動を体験できるということが凄まじいですね。私の勤務校もがんばっていますが、高校だけの学校の事情というのがあって、ここまではいきません。ですから、そのエッセンスをいつも同校の教務主任の田中歩先生から学ばせて頂いています。

★もちろん、うちでなければできないこともありますが、グローバル&イノベーティブな教育については、虚心坦懐、教えてもらうのが一番です。本当にいつもありがとうございます。

★さて、もう一つの意味は、このイベントのコンセプト「みんな1人ひとりフェミニストに」です。このテーマを探究にしているということは、エンパシーを大事にしているからということを示唆しています。そう、共感的コミュニケーションベースの教育が工学院の中高のエンジンです。

★高校段階では、どうしても大学進学路線に特化しがちで、ファーストクラスになって勝ち組になるかどうかだけに目が行くものです。ところが、工学院は、中学だけではなく、高校でもクリエイティブクラス、ケアリングクラス、コンバージョンクラスというC軸クラスを輩出する教育がなされています。中高一貫組だけではなく、高校入学組もその環境の恩恵に浴することができます。

★高校入学組は、基礎学力という面では中高一貫組よりもある程度、高校受験を経験しているので、高いかもしれません。それゆえ、互いの違いを相乗効果を生み出すテコに使えます。そのテコとはまさにエンパシーベースのケアリングなのです。

★それから、このような教育環境を企画運営する先生方がすでに上記のC軸クラスであるということが結局大事なのです。

★オーストラリア研修、小論文コンクール、グローバルプロジェクトを各学年団がみな協働して行いますから、その企画運営の段階で、C軸クラスのトレーニングができるという組織になっています。

★勤務校も、そのような仕掛けのある組織態ですが、工学院をモデルにして、もっと意識をしてチャレンジしていきたいと思います。

★ともかく、2022年高校の新学習指導要領が本格実施されることを機に、全国の高校がC軸クラスを輩出する動きを広めていくと、日本の教育格差、その格差と相関している経済格差を解決していく契機をつくることができると思っている今日この頃です。

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2022年教育の変容始まる(01)中高一貫校を選択するとき、高校の教育の質を調べることが大事になる C軸クラスを生み出す高校かどうか。

★中高一貫を選択する際に、大学進学実績を調べないということはないでしょう。もちろん、大学ランキングの上位校にどのくらいはいっているかというお話ではありません。もっとも、現状は多くの場合、それどまりという感じでしょうか。しかし、なぜそうなるかというと、中学入試の際、教育の中身は中学に目が向き、高校の教育の中身は、その延長上だと憶測し、その結果大学進学実績がでるのだと勘違いしているからです。

★2022年は戦後8回目の学習指導要領改訂が高校でも本格実施されます。7回目までにはなかった「創造性」を養う教育が加わります。実はこの項目、2007年に改訂された学校教育法で、高等学校の条文の中に新しく明記されたものなのです。時代は、クリエイティブクラスですから、すでに「創造性」の重要性は広がっています。GAFAの存在などはその象徴です。しかし、今までは、そんな「創造性」は教育ではあまり重視されてこなかったのです。

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(自然を歩く小道には、クリエイティブな光、ケアリングな空気、コンバージョンを誘う風がある)

★ところが、2011年3月11日、創造力/想像力の欠如が地域を、国を、世界を破滅に導くことが全世界にテレビだけではなく、SNSで拡散したのです。そこで、文科省は、改正学校教育法を遵守すべく「創造性」を高校で具体的に養うことを学習指導要領に盛り込んだのです。盛り込んだからには、大学入試にも盛り込まざるを得なかったのですが、うまくいきませんでした。とはいえ、総合型選抜で、確実に広まってもいます。

★なぜうまくいかなかったのかというと、中高一貫校という、全国の中高生の10%しか占めない領域だけで盛り上がり、90%は盛り上がらなかったのです。そもそも教育改革の座長や東大総長は、武蔵や開成、麻布、慶応出身者の場合が多く、彼らの眼は、10%の中の偏差値分布であって、その中で偏差値ランキングを是正しよという話です。

★しかし、中高一貫校は、全体から見れば、偏差値65以上の領域に入っています。その中の偏差値の話です。入れ子になっていて閉鎖的な市場でのお話です。世間一般に響くはずがなかったのです。

★ですから、高校全体に目を向けることが大事だということだし、全体に今度の学習指導要領がいかに適用されるていくのかということをしっかりモニタリングする時代なのです。

10%は first classの話です。

90%は creative classの話です。

★ここまでは、2011年3月11日のリフレクションからはっきりみえてきたのです。

★しかし、今回のパンデミックでもう一つのクラスが注目を浴びるようになりました。それはエッセンシャルワーカーの極まりない重要性です。そして、それは医療従事者のみならず、広い範囲で同じような使命を帯びて、にもかかわらず、仕事の環境が悪いとネガティブな反応ばかりがクローズアップされるハラスメント日本社会が浮き彫りになりました。その弱い立場の人びとを支えるクラスをcaring classと言います。そして、そこに教師も位置付けられています。

★実は学校教育法には、これは幼小中高通じて明記されていますが、「健康」を養しなうということが刻印されています。この「健康」の概念は、パンデミックショックで、身体的健康、心の健康、人間関係の健康という立体的な概念が明らかになっています。そして、これらを包括するマインドフルネスやスピリチュアリティの健康も議論されるようになっているのです。

★高校全体の教育に目を向けたとき、今までは、10%のファーストクラスが勝ち組で、残りの90%は負け組という抑圧社会だったのを、つまり垂直的秩序重視だったのを、90%の中から年収2000万くらい生み出す、クリエイティブクラスやケアリングクラスという思考コードでいうC軸クラスを生み出す動きがうまれるのです。C軸クラスは水平的多様性を生み出し、全体を物心両面から豊かにしていきます。

★2030年までに、政府は外国高度人材を何十万人と受け入れようとしています。それはとっくに始まっています。彼らはこのままではファーストクラスの仲間入りですから、日本の90%の子どもたちは負け組になっています。日本国内の抑圧力だけではなく、グローバルな抑圧力をくらうのです。

★それでは困るのです。世界の多様な人々とコミュニケーションをとり、コラボしていくことは大事ですが、そこには、民主国家である限りは、自由・平等・友愛が保障されなければなりません。その準備のために、2022年から、高校の教育はファーストクラス、クリエイティブクラス、ケアリングクラスが互いにケミストリーを生み出す中身に変わるのです。中高一貫校を選ぶとき、高校の領域が、そのような変容を目指しているかどうかモニタリングする必要があります。

★そして、この動きを始めているところが周りに増えてきました。私が親しくしている首都圏模試やGLICC、カンザキジュクも動き始めました。今はまだ、清浄な水を森の中から、それぞれ小さな流れや、地下水脈でコンコンと湧かしているだけですが、それがやがて大海のダイナミックな波となるでしょう。

★つまり、2022年は、C軸クラスを輩出する高校がどんどん生まれてくるというわけです。そうでなければ日本はヤバイわけです。そうそう、C軸クラスは、クリエイティブクラス、ケアリングクラスともう一つあります。この変容の動きを生み出すコンバージョンクラスです。

★探究は、この3つのクラスを生み出す場となることでしょう。そして、それが総合型選抜に直結し、その人材が大学で研究し、社会に出たとき、日本の社会や世界を水平的多様性の社会にコンバージョンすることになるでしょう。

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2021年12月19日 (日)

国際生・帰国生入試が予告する2027年の教育を牽引する学校

★この時期はまだ国際生入試・帰国生入試の全貌は見えないのですが、全貌が見えたときには「3%の穴」が塞がって、重要なコトが見えなくなります。それゆえ、現在進行形の中で、「3%の穴」が塞がっていない間に、未来を覗きましょう。未来と言っても、次の学習指導要領の改訂の議論が本格的に始まる2027年という近未来ですが。

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(八雲学園は、中3生全てがカリフォルニア州のサンタバーバラに海外研修旅行にいきます。例年は、2月以降ですが、今回はパンデミックが小康状態であるうちに戦略的に渡米しています。体験を重視している八雲学園のグローバル教育ならではの決断です)

★この時期(12月18日現在)、国際生・帰国生入試において、すでに昨対比100%を超えている学校があります。私のネットワークや日能研倍率速報から、次のような学校がそれです。思いつくまま順不同で列挙します。

八雲学園

工学院

聖学院

富士見丘

文化学園大学杉並

三田国際

かえつ有明

海城 

攻玉社

昭和女子大附昭和

広尾学園小石川

逗子開成

神奈川大学附属

★昭和女子大附属昭和が、2027年の新たな教育のスーパーロールモデルだということは、前回述べました。そして、上記に挙げた学校も2027年の新たな教育を牽引していく学校です。

★ただし、ロールモデルになるには、教育の課題を解決す公共性がなくてはなりません。独自の教育で時代を引っ張っていくことは可能だし、大事ですが、一方ですべての学校が転換できるモデルとなることも重要です。

★学校現場におけるロールモデルリーダーと、時代を切り拓くリーダーとは分けて考えたほうがよいですね。

★たとえば、ラウンドスクエアに加盟している八雲学園や工学院のように、みななれるかといったらそうではないでしょう。すべてのクラスがインターナショナルコースと言っても過言でない程、全教科英語の授業になっている三田国際のようにすべての学校がなれるかといったらそれはハードルが高いでしょう。

★マインドフルネスに満たされていて、すべてのクラスすべての教科でアクティブラーニングが行われていて、グローバル教育も充実しているかえつ有明もまた独特です。

★いずれにしても、上記の学校が行っている現在の教育が、すべてではないですが、2027年の新学習指導要領に盛り込まれていくでしょう。そのことの意味する重要性は、説明するまでもないでしょう。

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国際生・帰国生入試が予告する2027年の教育を拓くロールモデルとしての昭和女子大学附属昭和中

★2027年。この年は、2030年の3年前。当然わさわさ動き出します。第9回目の学習指導要領改訂の動きが活発化する年でもあります。今回の学数指導要領は戦後8回目の改訂で、来年2022年から高校で本格実施されます。7回目までと決定的に違うのは、2007年に改正された学校教育法に盛り込まれた「創造性」の育成をようやく指導要領に反映させたということです。中教審などで行われてきた議論の中で「創造的思考力」という言葉も生まれましたが、まだまだ直接的に反映したはいません。「主体的・対話的で深い学び」という言葉の中に包摂されてはいますが、図ではなく、あくまで地です。

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★それでも、創造性育成を意識した学習指導要領になっています。ですから、現場では創造性を意識したチャレンジングなカリキュラムマネジメントが行われているダイレクト創造的思考教育現場と、とりあえず論理的思考力をやって知識習得だけではないよとしている消極的創造的思考教育現場と大きく分かれています。

★では、受験生や保護者は、もし創造的思考を育成する学校はどこなのか、つまり前者のような学校はどこなのかと欲した時、何を指標にしたらよいのかということいなります。それは、意外と簡単だけれど、これまた意外と知らない人が多いのです。

★それは、ずばり、昭和女子大附属昭和中のような学校をロ―ルモデルとするということです。同校の帰国生入試は、12月18日現在で、昨対比141%(日能研倍率速報)です。同校はもともとSGH(スーパーグローバルハイスクール)指定校で、帰国生に注目されていましたが、ハーバードやMITなどの海外大学の研究成果にまで視野を広げたグローバルなスーパーサイエンスコースを設定しています。

★従来は英語だと文系というようなイメージがありました。特に女子校ではそうですが、それを一気呵成に崩してしまったのです。まさにコペルニクス的転回。

★ジェンダーなどの問題は、世界でも大問題になっていますが、それを思想的に変えていくというより、科学の力を社会実装することで転換してしまうパワーが帰国生に注目されているのだと思います。

★相変わらず、帰国生をたくさん集めて東大を頂点とする学歴階層秩序で頂点をめざすという学校もあるでしょうが、本来帰国生は世界を舞台として自分の才能を生かせる能力を磨きたいわけです。そして、それは国内生も同じでしょう。

★その本来的な能力を磨く環境を国内外の生徒に提供できているのが昭和女子大学附属昭和中です。現状の共学校でももちろんジェンダー問題を社会課題として設定できるのですが、まだまだ男女の差を意識できない無意識のフィルターがあり、それを払拭するところから始まるので、時間がかかります。

★その点、女子校自らがグローバルでイノベーティブな知恵を実装するというのは先行的に動けます。その意味で昭和女子大附属昭和中高は、スーパーロールモデル校です。2027年の第9回目の学習指導要領の範として注目の的になるでしょう。

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GWE鈴木裕之さんの「国際生・帰国生入試」の潮流の読みの先見性

17日金曜日、GLICC代表鈴木裕之さんが、自身が主催するYoutube番組で、「国際生・帰国生入試」の潮流の読みを語り尽くしました。その先見性は、今後の日本のグローバル教育の転換の理由を示唆してもいます。ぜひご視聴ください。

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【写真はGLICC Weekly EDU (GWE)第59回「shuTOMO 7月号からグローバル教育を考えるーグローバル教育の4つのカテゴリー」から加工】

★またGLICCサイトも貴重なニュースも流しています。合わせてご覧いただけるとより時代の変わり目に気づけるでしょう。たとえば、サイトの記事「サレジアン国際学園 海外帰国生入試追加開催!」には、こうあります。「インターコースを打ち出す人気校が、英検準1級保持の生徒でもなかなか合格できなくなりつつある現状、インターナショナルクラスの共学校というコンセプトを今年度から打ち出したサレジアン国際学園は、当然注目の的です。」

★GWE番組とGLICCサイトを重ね合わせると、インターコースや国際学級を持っている広尾や三田国際、かえつ有明が、「国際生・帰国生入試」で準1級クラスの受験生を集め競争がますます激しくなると、準1級の生徒は、併願校として「国際生・帰国生入試」を設定している学校を探すことになる。入試問題は学校の顔だから、そのようなタイプの入試を設定する学校のグローバル教育の質は必然的に高度化する。

★2030年にかけて、外国高度人材を日本政府はどんどん受け入れるから、彼らの子弟の学びの場にもなっていく。

★イギリスのパブリックスクールが日本の学校と連携し始めてもいるから、ますますこのようなグローバル教育のニーズは高まります。

★ただ、グローバル教育のあり方は、パンデミックショックもあって、海外研修旅行だけ行っているだけではうまくいかない。鈴木さんは4つのカテゴリーを提示していますが、人気校はその4つのカテゴリーをすべて包括している可能性がみえてきています。

★特に鈴木さんが例として挙げる学校はみなそういう4つのカテゴリー包括型です。

★簡単に言ってしまえば、三田国際のように一条校でインターナショナルスクール化していくということでしょう。これが新しい私立学校のあり方です。エッ!?そんな馬鹿なあと思われる方もいるでしょう。世界とつながるということはそういうことなのだとコペルニクス的転回をそろそろした方がよいのかもしれません。これが鈴木さんの意図するグローバル教育の転換ステージと言うことでしょう。

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2021年12月16日 (木)

キャリアガイダンス440号 越境という名のリバタリアニズムの流れを解放

 ★キャリアガイダンス440の表紙を埋めているキーワードは「越境」。越境という名詞が目に入ると、フッサールのエポケーが思い浮かぶが、表紙をめくって驚いた。フッサールではなく、デヴィッド・グレーバーが前面にでてきているからだ。めちゃくちゃアナーキーなアクティビストな学者で、昨年亡くなった。もちろん、グレーバーが前面に出てくるわけではなく、グレーバーに親和性のあるブレイディみかこさんがオープニングメッセージを語っている。それでも、みかこさんの新著「他者の靴を履く~アナーキック・エンパシーのすすめ」を紹介しているから、寸止めではない。

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★アナーキーな感覚は、無政府主義とつながるから、何かピラミッド型組織の高校のキャリアガイダンスとしてはかなり過激のようにおもわれるかもしれない。しかし、東大法学部、一橋大学法学部、慶応大学法学部、青山の法学部の法思想は、リバタリアニズムが底流にあって、法の最終判断は市場だという考え方に通してしまう。もっとも、グレーバーは、その市場すらまだまだ封建的だとえぐるわけだから、そこはさすがにブレイディみかこさんを起用したのだろう。

★それでも、希望の道標も、フードロスに実践知をもって立ち臨む篠田沙織さんの波乱万丈な自己越境という人生を描いている。SDGs的には当然なのだが、今高校で行われているSDGsには、篠田さんほどの意識や悩みがない場合が多いだろう。あくまで、資本主義の修正に役立つだけ。そこをそれでいいのかとばかり、えぐっているのが、今回のキャリガイダンスだ。東大、一橋、慶応、青山に通じる雰囲気なのだから、たしかに先見性や先進性のレンズをもって編集されているのだろう。

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★とはいえ、5つのアプローチの越境の高校の事例ケースは、さすがに教育制度の枠内の小さな越境で、そこを超える話は大学でという編集になっている。

★ただ、特集最後の記事を執筆している青山学院大の香川秀太准教授は、大部分を学習の転移としての心理学的なアプローチの第三の越境の話ではあったが、最終節では、今回のパンデミック・ショックで資本主義の矛盾が世界同時的に明らかになったがゆえに、その矛盾とそれと連動している生徒1人ひとりの主観的な痛みに授業の中でどう向き合えるのか、つまりその社会制度と主観が矛盾の響きを奏でる状況をどう変容できるのかを問うている。

★すごすぎる。今流行りの探究の問いのデザインなんて議論は、そこにはまったくささらない表層的でその矛盾を生み出す側の、グレーバーの言葉を借りればブルシッド・ジョブを行ってその痛みに寄り添わない階級のお話で、それとは真逆の立場のケアリングクラスの重要性に気づく必要があるのだという文脈を香川准教授は匂わせる。

★世の中がニューコモンズや人新生をテーマに、そして岸田政権までもが新しい資本主義を掲げているから、思い切りこのテーマで編集しているのかもしれない。

★学校の働き方改革や学校ガバナンスに批判の眼が向いている昨今。当然、保守的な編集はできないのも了解できる。

★さてはて、高校現場ではどうそれを判断したらよいのか。今の高校生の状況下における存在(現存在と言った方がわかりやすいかもしれません)が、根源的なそれでいてそれぞれ違う存在そのものを見出すには、やはりケアリングクラスの登場しかないのかもしれない。

★結局黄金律ということである。たしかにこのルールは人間的な国や組織を越境したところにある。NY国連が掲げている超越論的な本質存在への越境。しかし、それができたら、国際平和は簡単だが、そうはいかないのが歴史である。キャリアガイダンスの野望は、どうやら壮大。そして、このような対話ができるかえつ有明の佐野先生と金井先生が、ちゃんと記事の中に登場しているのは、その壮大な編集意図の真実性を証明しているといえる。実に巧みで感動した。

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SHIBUYA AWARDS 2021 も実はNFT活用

★FDesign株式会社の社長本間ナナの作品が、「SHIBUYA AWARDS 2021」に入選。なんでも、電子署名をしたというから、それってNFT?なのと尋ねるとそうだということです。NFTについては美術手帖にも記事が載っていて、アート市場では大騒ぎのようです。今年の夏に小学校3年生のデジタルアートがものすごいお金に化けたというのは記憶に新しいですが、その母親というのも芸大出身者で、そもそもサイバースペース上のアート市場に興味をもっていたらしいのです。

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★日本のアート市場は、ニューヨークやロンドン、東南アジアに比べ小さくて、アーティストは苦労しながら活動を続けています。しかし、このサイバースペース上のNFTは、新たな市場創出になるというので、話題騒然のようです。

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★本間ナナは、女子美の大学院で染物やフレスコ、油絵などを、芸術文化人類学や欧米の新しい哲学者の視点に学びながら作品を描いてきました。ふだんは子供のための絵画教室をボランティア的に実施しています。世田谷美術館で、女子美の大学院生と子どもたちの作品をコラボ的に展覧会も実施したりしています。

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★作品は市場で評価されることも大事なので、ギャラリーで共同展示もしているようですが、なかなか。そんなときに、SHIBUYA AWARDS 2021が、web上で目に入ってきたようです。しかも、NFTとしての企画でもあります。はたしてどうなるか(笑)。

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FDesign株式会社は、本間ナナとメイとで運営しています。アートボランティアには、女子美のメンバーがサポートしてくれています。それぞれに活動をしていますが、特にメイの活動はめちゃくちゃコラボレーティブです。

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★日本でも東大や京大出身の若いアートディレクターがアーティストとコラボして、美術展を行っていますが、メイやナナの活動は、今後メタバースの中でNFTを活用した新たなアート市場創出のウネリの予兆でしょう。日本のアーティストのクリエイティブクラスとして仕事が成り立つ時代がやってきているのかもしれません。

★つまり、美大に行っても食えないよという時代は20世紀の話で、21世紀は個を追究してクリエイティブな活動をしている人材の道が開けたということでしょう。

★そういうえば、私立中高一貫校の女子美も人気です。その理由は、こういうところにつながるのかもしれません。まだ気づかれていないことですが。

 

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2021年12月15日 (水)

【速報】かえつ有明中学校 2022年国際生入試 出願また増える

★かえつ有明中・高等学校の広報主任内山誠至先生から教育関係者あてに国際生入試の総出願数の情報がリリースされました。総出願数は709件で、昨年対比106%です。563(2019年)→668(2020年)→672(2021年)→709(今年)と毎年記録更新です。帰国生でこれだけの出願数があるところはほかにありません。国際生が全生徒25%シェアというのも頷けます。

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(写真は、同校サイトから)

★海外大学進学者も増えているのは、当然です。

★時代の先端を進みながら、心理的安心安全という居場所づくりをしてマインドフルネの空気が広がっている学校です。このような柔らかく多様性のある良好な雰囲気が、かえつ有明が人気である理由でしょう。このような雰囲気があるからこそ、Uのカーブを描きながら生徒はそれぞれの根源的存在に触れることができます。

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2021年12月14日 (火)

2030年までに 人間の認知・非認知能力が変わる(汗)~UniversalityからMetaversalityへ それに対応できる学校がサバイブできる

★SDGsの端緒の1つは「成長の限界」の警鐘だったでしょう。そのレポートのメイン著者ドネラ・メドウズが、1989年にベルリンの壁が崩壊した後、「世界が100人の村だったら」をメーリングリストに流しました。すると、それがネットロアでレジェンドとなって語り継がれ、世界に広がりました。今では、統計的な数字が改訂されて第6版まで出版されています。

★2000年にドネラは亡くなりました。しかし、その友人らが彼女の発想であるシステム思考を、いやループ思考と言った方がわかりやすいかもしれませんが、その発想を様々なバリエーションで引き継ぎ拡散しました。その引き継ぎの時のコンセプトは、誰が唱えたか実は諸説あるのですが、ともあれ、“Think global, act locall.”でした。

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★このコンセプトに基づいて、グローバル市民は、SDGsや新しい資本主義へと議論し活動し世界を変えてきました。

★そして、その世界を変える活動において、ドネラも活用したものは、webでした。webがなければ、“Think global, act locall”は、哲学者や思想家の発想どまりだったでしょう。

★さて、このwebですが、そこに接続するデバイスがどんどん進化し、ネットの仕組みもどんどん変化しました。ブロックチェーンが開発され、メタバースという新しいVRの世界が、パンデミック・ショックをのり超えるために一気に広がりました。

★そんなカタカナ語を知らずとも、緊急事態宣言のときに多くの子どもたちが「あつもり」を楽しんだり、その前から「マイクラ」で都市空間を設計してきました。そして、VRも。オンライン授業やテレワークが進み、リアルスペースとサイバースペースのハイブリッドが進んだのです。

★リアルスペースの限界を超越して、SDGsの議論も世界に広まりました。システム思考やループ思考は、webを介して多様性がつながっていく身体性と親和性がありました。

★しかし、ついこの間までは、リアルスペース>サイバースペースでしたが、現在はリアルスペース<サイバースペースです。私たち人間の知識は身体性によって影響をうけているという認知科学の研究が進んでいます。研究成果を調べなくても、トリックアートのだまし絵は、リアルな身体性に影響を受けている私たちの認知能力や非認知能力の存在を示唆しているでしょう。

★そしてさらに、リアルスペース≒サイバースペースという感覚になるのが、本格的なメタバースの時代です。エ~ッ!?と思われるでしょう。あくまで、感覚です。メタバースというスペースは、リアルとサイバーという二項対立を感覚上統合していしまいます。リアルなスペースで、私という物理的な存在は一回性です。メタバースでも同じことが起こります。

★SNSでは、匿名性やフェイクで、自分の存在の分身を作ることができました。もちろん、メタバースでもできるのですが、それには価値が付与されません。NFTというアイデアは、利益を得るために考案されていますが、しかし、一回性の価値を高めるためのブロックチェーン機能が稼働しています。

★凄いことが起こります。ユートピアよりディストピアになる懸念の方が大きいかもしれません。しかし、2030年までに加速し、そのようなイノベーターが、求められ、日本国内では、不足すると考えられています。もはや偏差値優秀生という、リアルスペースの知識を暗記したり活用したりしているだけでは歯が立ちません。

★どの大学でもデータサイエンスをすべての学科で学ぶ機会を創るようになるらしいですが、根本的に違うのです。

★“Think global, act locall.”は、“Think metaversality, act transcendently.”に変わります。

★メタバースは空間の話ですが、metaversalityはuniversalityの次元が変わった「普遍性」の意味です。

★ここらへんは、まだうまく表現ができません。しかし、私が論証するまでもなく、「普遍性」の次元が変わる時代がやってきました。

★この次元を創造できる思考力を養える学校が今後サバイブできます。以上のようなインスピレーションの刺激を与えてくれたのは、年に1,2度長い対話をする友人です。1994年に颯爽と海外から私の目の前にやってきて、私を海外につれまわし、webの世界に誘い込んだ張本人です。しかし、彼が私と対話して予想した様々なことはすべて当たっています。今回も当たるのではないかと思っています。

★そうそう友人の所属している学校は、すでにメタバースを多くの生徒が活用しています。

★私の方は、パウロの森の普遍性の次元をmetaversalityにバージョンアップすることだなと感じています。

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2021年12月13日 (月)

知識偏重教育はなぜダメか?知識は共通財で競争財ではない。

★今や、知識偏重教育は、おかしいとは、誰もが思うでしょう。でも、実際には、大学入学共通テストなどのように、知識偏重教育を是正しようと誕生しているはずのテストですが、知識の多寡によって、知識を扱う速度によって、スコアがついて、スコアの程度によって大学の合否や大学選択の選別がなされています。あきらかに、知識は競争財として扱われていますね。その時点で知識偏重です。これは知識自由を奪うものであり、言論の自由を阻むものです。ゆえに、知識偏重教育は、民主主義国家においては悪なのです。

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★しかも、知識は言語処理システムだけの話ではなく、身体化された知識であるという考え方も、認知心理学の世界では久しく研究されてきました。もし、それが信頼性があり、妥当な説だとしましょう。すると知識競争によってランキングがつけられることは、身体性の差別を生み出している可能性もあります。民主主義国家では許されないことでしょう。もちろん、この民主主義は啓蒙思想以来追究されてきた民主主義を意味し、最近の民主主義サミットに対抗して出てきた専制主義は民主主義と矛盾しないという考え方には適合しません。

★それはともかく、知識は人類にとって共通財であって、等しく配分されなければなりません。それを競争財として活用して、ランキングをつけることは、教育格差や貧困格差を生み出すトリガーです。

★共通財としての知識をグローバル市民として活用できるトレーニングは必要ですが、知識を競争財として誤用するのはそろそろやめにしましょう。共通財として知識を扱う学びを実践する教育にパラダイムシフトしていきましょう。

★今すぐに変わらないでしょうが、指定校推薦や総合型選抜などの入試の意味や意義を捉え返すことで、その突破口は見えてくるはずです。身体化された知識の学びをそぎ落とす一般選抜を見直すのは、啓蒙主義以来の普遍的民主主義国家であろうとするなら、検討してもよいではないでしょうか。

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2021年12月11日 (土)

八雲学園 生徒が自らの成長実感について自ら語り継ぐ。画期的生徒によるメッセージ動画3本が素敵です。

★昨夜10日、GWE(GLICC Weekly EDU)で、八雲学園の副校長菅原先生と対話しました。今年、同校は共学化して4年目を迎えています。ですから、現高1は、その共学化1期生です。今回菅原先生は、中1から高1各学年女子生徒、男子生徒が出演して、メッセージを語る動画を3本作成して対話してくれました。それぞれ2分で、共学化によって女子生徒、男子生徒がそれぞれどう成長していくかそのバトンが受け渡されているのがはっきりわかります。まずは、Youtube番組<GLICC Weekly EDU 第58回「八雲学園副校長 菅原久平先生との対話『Round Square、八雲レジデンス・・・グローバル教育と生徒の自己変容』」>をご視聴ください。

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★菅原先生が作成した3本の動画のテーマは、①「八雲学園の好きなところ」②「自分が成長したと思うところ」③「受験生へのメッセージ」です。いずれも、中1は初々しく語り、中2は八雲学園の行事の楽しさを語り、中3は、プレゼンテーションすることの意味を語り、高1はチュータ制度やネイティブスピーカーの教師との出会いによりいかに自己理解を深めたのか語っています。

★自分が体験して視野を広げ、その体験の意味を自分の世界に取り組み捉え返し、世界と共有していく成長の過程が見事に証明されています。

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★私も来年から高校の新学習指導要領が本格実施されるこのエポックに、学校の捉え方を変える眼鏡として、新分類表を作成していますが、八雲学園は、その分類表の中で、X3に位置するということが番組の中で対話できました。ぜひご視聴ください。<GLICC Weekly EDU 第58回「八雲学園副校長 菅原久平先生との対話『Round Square、八雲レジデンス・・・グローバル教育と生徒の自己変容』」>

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宝仙理数インター 生徒が輝ける学校  新宿から10分の好立地

★先週3日、宝仙理数インターのお二人の先生と対話しました。生徒が主役になってやりたいことを学んでいく学校の様子を多角的にお聞きしました。その多様で多角的で多層な教育の顔として、今ではたいへん有名ですが、日本で一番多い多様な入試を実施しています。

★つまり、生徒が輝ける学校として有名なわけですが、生徒が輝くには、選抜入試という偉そうなハードルを設定するのではなく、自分の才能を発揮できる場を設定することです。それが入試の時から行われるわけです。もちろん、博学的な知識に興味があるというのも才能ですから、従来型の入試もありますが、それは選抜ではなく、その認知的な才能を発揮できる場としてあるのでしょう。詳しくは、ぜひ<GLICC Weekly EDU 第57回「宝仙理数インター教頭中野望先生との対話『知的で開放的な広場』」>をご視聴ください。

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★そして、そのような多様な入試にワクワクしながらチャレンジして入学した生徒の皆さんが、もっと目を輝かせながら挑戦と失敗を繰り返しながら、自らを鍛えていく人間として育っていくわけです。その仕掛けの多様な視点については、教頭の中野望先生がわかりやすくかつ詳しくスピーチしてくださいました。

★その視点を具現化して画期的・進歩主義的な学びの展開を生き生きと話してくださったのが米澤貴史先生(教務部長・理数インター科主任)。形式化して毎年同じことを繰り返す授業が一般的ですが、米澤先生は、その一般的なコトを常にひっくり返していく姿勢が、生徒と同様チャレンジグです。

★変化し続ける精神を不変の軸として教師も生徒もいっしょに学んでいき、いつでもどこでもコペルニクス的転回が生まれている学校です。論より証拠、ぜひ<GLICC Weekly EDU 第57回「宝仙理数インター教頭中野望先生との対話『知的で開放的な広場』」>をご視聴ください。

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2021年12月 9日 (木)

パウロの森 ドーパミンで自他肯定感 創造力と未来力と人類愛

NHKの「“快楽” ドーパミンという天使と悪魔」(初回放送日: 2021年9月9日)は、パウロの森の活用へのヒントになりました。同サイトによると、<「やめられない。止まらない」。どんな民族も人類は「快楽」を求めてきた。その源がドーパミン神経だ。脳に生まれた原始の神経細胞であり、ヒトの高等な脳もその支配下。衝動的行為や依存症を引き起こす“悪魔”の側面も持つ。しかし、そこから生まれた「快楽」は、私たちの「学習」のシグナルであり、「未来」を予測させ「人類愛」へと導いてくれる力そのものだという。ドーパミンは何を教えてくれるのか、快楽の根源を妄想する。>とあります。

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★今、理科の先生とパウロの森を活用した思考コードC3のプログラムをどう創るのかプロジェクトを立ち上げています。来年の夏は、リスク調査をするために、「パウロの森を活用したイノベーションキャンプ」のプレを私もエンカレの先生方とやろうと思っています。

★イノベーティブなアイデアを生むプロジェクトとともにイノベーティブなアイデアを生み出す前頭葉の活性化プロジェクトでもあります。

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★勤務校のスクールモットーは、黄金律ですからドーパミン神経が生み出す「人類愛」に通じます。創造力と未来力と人類愛(CFA)。まさに自他肯定感を生み出す森です。現在行っているPNPはすでに自他肯定感を生み出していますが、それを検証することにもなると思います。

★「パウロの森」思考コードの仮案も理科の先生と作りました。いずれ公開します。

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2021年12月 7日 (火)

中高一貫校選択のための学校新分類(4)八雲学園のポジショニングはもちろんX3。帰国生入試受験者数前年対比140%。

★本日7日、八雲学園の副校長菅原先生、副校長横山先生、副教頭近藤嘉彦先生、中学副部長衛藤先生と対話をしました。説明会の参加者はいつも予約はすぐに埋まり、先日実施した帰国生入試の受験者数も前年対比140%だったということです。ラウンドスクエア加盟校の八雲学園という重要性に、帰国生が気づき始めたわけです。そこら辺の事情はGLICCのサイトをご覧ください

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★いろいろ対話の内容は多岐に渡りましたが、要は、利益獲得のために教育をするのではなく、理念実現のために教育をするのが八雲学園なのだということを改めて確認できました。

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★そのことについて、今週の金曜日、菅原先生とGLICC Weekly EDUで対話します。在校生の受験生へのメッセージ動画なども交えて対話します。八雲学園のポジショニングは、学校新分類表では、X3にあるという理由について深く対話することになるはずです。ぜひご視聴ください。またご報告します。

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放蕩息子のたとえ話 芸術・文学・心理学・政治経済学のプロトタイプ 新しいカトリック学校のために

★カトリック学校の一つの課題は、聖職者の高齢化問題があります。勤務校のように、神父、シスターが常駐していないカトリック学校が増えていくという問題です。それでも、多くの学校の校長は信者であるという場合が多いのですが、それも必ずしもそうでないというケースも増えてきています。勤務校の場合は、ミサや宗教の時間はありますし、校長をはじめ理事会メンバーは全員信者ですから、カトリック学校の最小限の条件は満たしているかもしれません。しかし、大事なことは教育活動全体にカトリックの精神が染みわたっているかです。

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★さて、それをどうするか。このような課題は、常にイノベーションを起こします。今までは、ミサは神父様のネットワークに頼んで、宗教の先生にカトリック精神はお願いするというカタチをとってきました。それを、学内全体で広めるにはどうしたらよいかとなりますと、当然対話を巻き起こります。これがやがてイノベーションにつながります。

★勤務校の場合、聖書の中の黄金律をスクールモットーにしているため、学内で広めることに対する姿勢ははじめからあります。NY国連でもノーマン・ロックウェルのモザイク画をディスプレイしています。黄金律を謳っている作品です。そして、これはキリスト教のみならず、民族も、人種も、宗教の違いを超えて共通するルールだと国連はみなしています。

★したがって、信者であろうとなかろうと、黄金律を尊敬し実行することは、グローバル市民として大切なことなのです。グローバル教育を行う基礎には、この精神があることは大切です。したがって、教師は、この精神を胸に、生徒と対話し、小論文指導をし、進路指導をします。医療関係や介護の道に進む生徒は、今回のパンデミックで、この精神の重要性を深く受け止めて取り組みます。

★上智や南山大学などのカトリック大学に進む生徒も、神学部に進む生徒のみならず、経済や経営に進む生徒も、強欲資本主義ではなく黄金律的配分の正義に基づいた経済社会システムを考えるチャレンジをします。そして、カトリック大学ではなくても、法学部や政治経済学部に進む生徒も、ニューコモンズの新しい流れを黄金律的な発想と重なることに気づいて、構想を練ります。

★カトリック学校に進む生徒や新しい経済や都市構想を考えている生徒、SDGs関連や哲学に進む生徒の中には、私に問答をして欲しいと訪ねてくるので、対話をします。

★そんなことをしているうちに、いっしょにワークショップをしてくれる教師もでてきました。今では、その教師は複数いて、自分の授業でも創意工夫しています。カトリック精神の分有が生まれてきたとき、私たちは自己変容型マインドを共有することになります。

★それは、エンカレッジコースでも同じです。10月以降各学年各クラス、後期の特別講座を2回ずつ受け持つのですが、学年の先生方や日大文理学部のインターンの学生のみなさんとコラボして行っていきます。

★通奏低音のテーマは自己認識とアガペーです。表のテーマは、物語分析方法を学ぶです。前期はダ・ヴィンチの最後の晩餐をメインに暗号解読的アプローチで、表現を読み解く作業をしました。後期は、聖書を物語としたとき、物語分析をどうしていくのかをメインに登場人物の感情分析曲線をツールとして介してワークショップを行いました。参加した教師もインターの学生も、生徒と一緒に分析します。

★昨日は3年生の最終講座だったので、「放蕩息子のたとえ話」を使いました。勤労・勤勉・倹約と自由奔放贅沢三昧の対比や嫉妬と改心と愛が凝縮された物語で、後世の芸術や文学、心理学、政治経済学のプロトタイプになった有名な箇所です。

★ですから、即興劇を演じてもらうところから始まりました。兄と弟と父とナレーターを買って出てくれる生徒がいたので、配役はすぐに決まりました。他のメンバーは、全員友人だったり、祝いの席のメンバーだったりと教室全体がインプロ劇場です。

★そのうえで、感情分析曲線で分析する個人ワークをします。物語を読むだけではなく、ロールプレイをしていますから、当事者意識が広がっています。ここは以前と比べ物にならない程のスピードでできたので、自分のシートを語るダイアードを行いました。語り合うのではなく、語る人と傾聴する人の役割を明確にわけるペアワークです。シャッフルしていくので、仲間の考えや感じたことを共有できます。他者との違いをリスペクトすると自己の考え方や感じ方をリフレクションすることができます。自分で自分に即して感じる機会を創りたかったわけです。

★でも、直接自分を見つめることは避けています。感受性豊かな生徒が多いので、直接そこには向かいません。あくまで、自分で自分に寄り添う姿勢を大事にします。

★そのあと、心理学でもこの物語は活用されるという体験をします。兄と弟のメンタルモデル分析です。そして、そのあとに父の役割について考えます。一般の物語や小説では、このような父はいないので、バッドエンドになりがちです。聖書は救いが明示されているので、そこはたしかに心理学の肝かもしれません。もっとも、フロイトの流れでは、この父はまた別のキャラに読み替えられるわけで、複雑です。

★この分析もダイアードで盛り上がりました。

★時間がなかったので、「放蕩息子のたとえ話」は政治経済的アプローチではどうなるかについては、講義で終わってしまいましたが、サンデル座標で分析してみました。

★来年の高校の新学習指導要領では、各教科は、自然現象や社会課題にどう結びつくのか、社会実装としてどう役に立つのかが問われます。だとするならば、聖書も解釈にとどまらず、社会の制度設計にどうすでに役立っているのかを学ぶ機会を増やしていくことは重要です。

★新しいカトリック学校は、あらゆる分野ですでに社会実装されている聖書の発想を取り出して共有することとその発想でさらなるイノベーションを生み出す機会をデザインするということではないかと思っています。

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2021年12月 6日 (月)

中高一貫校選択のための学校新分類(3)学校新分類バージョンアップ 成長マインドの項目を追加

★本シリーズで活用している学校新分類表に「成長マインド」の項目を追加。変化が激しい昨今では、自己変容型マインドが生まれる環境が注視されています。今までの学校環境は、環境順応型か自己主導型マインドが生まれるケースが多かったわけです。この項目をいれると、私たちはZ世代の学校環境をどうせざるを得ないかがわかると思います。

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★もし自己変容型マインドを切に願うなら、偏差値にかかわらず、X1、X2、X3の領域にある学校を選んでみようとかなるし、自己主導型か自己変容型かどちらかでよく、やっぱり偏差値が高い学校がいいとなると、C3を選べばよいのです。

★自己変容型マインドは、成人になってからだとなかなか達成できないといわれています。来年2022年から18歳成人です。中高一貫校や高校は、この自己変容型マインドについてどうするのか真剣に考えたほうがよいと思います。

★いずれにしても、学校、塾予備校、保護者が、どのマインドを願っているのか、そのマッチングがズレたとき、互いにたいへんです。今後、このマッチングのズレについて考えていきたいと思います。

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2021年12月 4日 (土)

存在の意味の創造(01)生徒理解における相互のズレの軌道修正の過程 超越論的PBLのビジョン

★勤務校のエンカレッジコースで教師及び生徒と対話していると、教育とは人間存在の意味を創っていく生き生きとした体験を生み出していくことだと身に染みて感じます。どうしてそう感じるかというと、エンカレッジという教育の場がそもそもそうなっているからです。そこには、「教える」「ケア」「才能を生み出す」とい3つが統合されて生徒1人ひとりの存在を共に織りなしている場となっているからです。

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★教師は教える過程で、生徒1人ひとりが、ネガティブな感情やポジティブな意志、ネガティブな言動、ポジティブな言動の関係態に触れます。この組み合わせは生徒によって違います。したがって、たとえば、教師は、ポジティブな言動をとっていても、ネガティブな感情を実際には持っていたりする存在に寄り添うことになります。

★3年生の総合型選抜や指定校推薦のときの指導では、ネガティブを受け入れながら、それをポジティブに転換できる可能性を懸命に探ります。しかも、教師は押し付けることはしません。押しつけると、開かれた才能が一気に閉じてしまうという経験を何度もしているからです。

★しかしながら、あるところまでくると、教師と生徒は強い信頼関係の場の中にいることになり、それに気づかないので、生徒は教師は決して押し付けているのではないのだという理解に到達します。こうして相互に理解のズレの軌道修正が行われていきます。

★ところが、今度は、教師は、もしこれが外の世界にでたときに、再び理解のズレが起こり、ネガティブ感情や言動がうまれるのではないかと心配になります。そこで、内部内外部である私と生徒の対話をセッティングします。

★とはいえ、私だってケアの精神を背景に有しながら対話するわけですが、そのことが直接言葉で表現されていなくても、生徒が察知する感受性を育んできたときに、響き合いますし、その響きの音を実際の外界に出たときにも、絶やすことはないだろうという確信を共有しあえたところまでいけるとよいなあと思っています。

★もちろん、大事なことは、理解のズレから対話は始まるものだという真理を共有することが大事だなあと最近は思っています。

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★上の表は由佐美加子さんと天外伺朗さん共著の「ザ・メンタルモデル 痛みの分離から統合へ向かう人の進化のテクノロジ 2019/8/31」からヒントを得て作成しました。実際の生徒と対話するときに生徒の存在の意味の理解の糸口をみつけるときに活用知すようにしています。

★また、エンカレッジの教師は、日大の文理学部の教授や大学院生、学生と連携して生徒理解をフッサール現象学に基づいて展開しています。生徒の存在の意味を現場と研究の成果を結び付けながら行っています。

★私もそのチームの1人土屋弥生先生(日本大学文理学部准教授)にアドバイスをもらっています。特に「生徒理解におけるフッサール現象学の意義」(「臨床教育学研究第9巻」2021年3月31日)で展開されている理論には啓発を受け、エンカレの教師(フッサール現象学を基礎とした体育教育の実践をしている)に教えを乞うてもいます。

★同論文のビブリオの中で扱われているマックス・ヴァンマーネン,著「生きられた経験の探究―人間科学がひらく感受性豊かな“教育”の世界」2011/5/1も、刺激的でした。

★ただ、ヴァンマーネンの教授法はへルバルト主義を暗黙の了解としているため、プラグマティズム流儀のPBL主義者である私にとっては、受け入れる時に組み替えなければなりません。そのうえで、エンカレの教師と対話する時は、逆に私の流儀をいったんヘルバルト主義に差し戻して理解のズレを修正するという対話をしています。

★そうすることで、今度はPBLをエンカレの教授法の中に活用してもらえるシーンも出てきました。

★勤務校の2つの学校を往復している私にとって、今までのPBLのあり方は、万能でないことが了解できたし、ヘルバルト主義とプラグマティズムを統合する超越論的PBLの必要性に気づきました。

★この視点からすると日本の教育はまだまだ抑圧的であり、その中での手法論や学習理論は、抑圧をフラットという言葉で転移的強化をすることになりかねないといくことも了解できました。

★今のところ、これについて対話できる仲間はまだ少ないのです。というのも、超越論的PBLについて新しい言葉を私自身がまだつくれていないので、対話ができていないということです。

★これから精進していきたいと思います。

※異なる主義や理論を組み換える超越論的な方法は、成城学園の青柳先生から教えて頂いた三角ロジックの弁証法的な展開を活用します。弁証法的な展開は三角ロジックの連鎖をつくることなのですが、それを行う時に、deduction、induction、abductionという3つのdutionという数学的推理方法を活用します。

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2021年12月 2日 (木)

中高一貫校選択のための学校新分類(2)伝統的の意味 実務的なカント主義といってもよいかも 麻布と成城学園を例に

★日本の近代官僚教育は、東大の初綜理加藤弘之が、啓蒙主義的な影響やキリスト教的な影響を切り捨てて、福沢諭吉や石川角次郎(聖学院の初校長)と袂を分かったところからはじまるということでしょう。加藤弘之は、はじめ福沢諭吉らと啓蒙主義的な発想を大事していたが、転向といわれているように、俗流進化論的な発想に変わった。

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★この加藤弘之の転向は、明治日本が1989年の近代憲法を制定した時の発想に合わせざるを得なかったからというのもある。この明治憲法はフランス型ではなく、ドイツ型。ドイツ型と言えば、哲学ではヘーゲルに代表されるかのように錯覚されるかもしれないが、当時のドイツの法学界は、ヘーゲルを捨てていた。ヘーゲルは啓蒙主義的なグループに位置するから、そこまで意識していたわけではないだろうが、当時の近代国家は、もっと実務的な路線だった。

★この実務的というのは、実は2通りあって、それはカントの流れを実務的にしたものとヘーゲルの路線を実務的にしたものがある。前者の代表がヘルバルトであり、後者の代表がプラグマティズムの路線をとったデューイやパース、ジェームズである。

★日本の近代官僚教育は、さらに民法や商法の法律進化論の影響を受ける。それは教育も制度設計されるわけだから、憲法や民法、商法の影響を受けざるを得ず、そういう意味では、ヘルバルト主義が公立であれ私立であれ継承された。

★その流れの中で、大正自由主義教育のようにデューイをはじめ米国の進歩主義教育を取り入れた私立学校がでてきたわけである。とはいえ、そのシェアは私立学校と言えども多くはなかった。公立学校でも取り入れられたが、教育全体というよりは、教育手法という取り組み方だったと思われる。

★それに、今では、現場において、ヘルバルト主義だとかデューイ主義だとか意識して教育を実施しているところはほとんどないだろう。だから、こんな話は何か意味があるのだろうかと思われる方が多いに違いない。

★とはいえ、一方通行型の講義主義というのはよくいわれるが、これはヘルバルト主義の合理的教授法のおそらく典型だろうし、インストラクショニズムというのも、ヘルバルト主義の延長だろう。意識はしないが時代拘束性の中にある。意識しなくてよいのかどうなのか。。。

★ともあれ、このシリーズで学校分類で使っている「伝統的」というのは、ヘルバルト主義のことを言っている。ヘルバルト主義は、表面的にはカント主義で、カント自身が意図していたかどうかわからないが、認識論と道徳と美学をきっちり分けて考えている。わかりやすさ、明瞭さを重視する。つまり、客観と主観を分ける二元論をベースにしているが、その主観も客観的に説明できるという立場だろう。客観的に形式化できる主観が道徳であり、それ以外の主観は恣意として排除されるがちな教育である。

★興味と関心を引き出す心理学を大事にはするが、すべての主観を受容するわけではないから、近代国家を形成する知識や技術に興味と関心があるという主観が選択され、それ以外は排除されるから、自ずと教育格差が生まれるシステムがそもそも包摂されていた。この教育格差は、経済格差にストレートに反映する。

★私立学校の中には、その危うさに気づき、「自由」という言葉で、その排除されたものを拾い上げていった学校がある。麻布はその代表格だったのではないか。それでも、基本はヘルバルト主義だっただろうから、その伝統を修復して「自由」を回復するカント的というか啓蒙的普遍主義を議論し続けたという意味で、「伝統的普遍校」というカテゴリーに入れようと思う。記号で表せばC3。

★一方、デューイなど進歩主義的な教育、いわばアンチ・ヘルバルト主義から始まったのは成城学園である。成城学園は、そこからヘルバルト主義も取り入れる。しかし、再びデューイ的な路線も快復している。21世紀型教育とは、いわばプラグマティズム教育の現代化を果たしていると言えるから、現在の成城学園は、普遍的21世紀型教育校のカテゴリーにはいるだろう。番号でいえばX3の場所である。

★思考コードの領域でいえば、麻布は、A軸思考とB軸思考は掛け算だが、C軸思考は足し算。成城学園は、A軸とB軸とC軸は掛け算。東大の一般選抜は、A軸×B軸で解けるものばかり。推薦入試は、A軸×B軸+C軸。帰国生対象の入試はA軸×B軸×C軸。

★欧米の海外大学は、A軸×B軸×C軸。それゆえ普遍的21世紀型教育校から海外大学に進学する生徒が目立ち始めたわけである。日本の近代教育は150年も経っていないのだから、当然ヘルバルト主義を換骨奪胎するところまではいっていないだろう。換骨奪胎か脱構築かヘルバルト主義とは別路線をとるのか。今回の学習指導要領はアンチ・ヘルバルト主義も接ぎ木した。接ぎ木だから、画期的かどうかはわからないが、これまで7回学習指導要領とは、8回目の今回の改訂は一線を画すことは確かだろう。はたしてどうなるのか。ともあれ、ようやくヘルバルト主義一本ではないことが国家ベースで静かに宣言された。

★日本という国家自身も何か変わろうとしているわけだ。さて、国民は?あいかわらずわかりやすさ。ヘルバルト主義の象徴用語である。わかりすさは、何か専門的な領域から解放されているかのように使われているが、それもまたヘルバルト主義という専門的な用語なのである。実務的こそ近代国家の大好きな専門的な言説なのである。一見すると、その真逆の官僚用語は、あくまでわかりやすさの重要性を浸透させるための戦略的用語だったのかもしれない。厳密性と明瞭性のパラドクス。

★わかりやすさの浸透は、近代官僚国家の戦略だったするならば、格差を生み出すには、わかりやすさを流布させる必要があったのであろう。伝統的普遍校の1つである私立学校出身の岸田首相。その政策も伝統的普遍主義。格差を是正しようとするけれど、格差を根本的になくそうとはしないのかもしれない。

★希望は普遍的21世紀型教育校にあるということだろう。

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中高一貫校選択のための学校新分類(1)分類表からわかる3つの格差に巻き込まれないために

★中高一貫校を選択する場合、全国の高校の中でどういう位置づけにあるかを鳥瞰して選択するということは、中学受験界においてはそれほどなかったかもしれません。ここでは、今のところ高校1学年の生徒数はおよそ100万人ですから、その中でどういう位置に中高一貫校があるかをながめてみましょう。

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★あくまで統計上の話であり、100万人が、中学受験の模擬試験を受けているわけではありませんから、上記表のような偏差値がでるかどうかは定かではありません。仮にそう想定しておこうということですが、実感としてはそう遠くはないと思います。

★また、世帯年収もこんな調査は世の中にありませんから、あくまで推測ですが、世帯年収1000万円以上いかなければ、私立中高一貫校はなかなか通わせられません。平均するとこんなところになるのは妥当でしょう。

★あくまで、中高一貫校を選択する際、どのような意味の学校を選択しようとしているかを考える際の参考になる枠組みだくらいにお考え下さい。

★これを見て頂くと、まずわかることは、教育格差と経済格差の両方が、教育の制度設計のあり方に生まれる原因がありそうだということなのです。

★そして、この制度設計を変えようとすることも大事ですが、いますぐには無理ですから、この制度の矛盾に自分の子どもがダメージを受けないようにするには、どうしたらよいのかを考える参考にしてもらえればと思うのです。

★教育格差や経済格差に巻き込まれないために、偏差値競争でがんばろうという価値観のご家庭は、そういう学校を選択すればよいし、偏差値で選ぶのは難しいし、そもそもそういう価値観はないという場合は、水平的多様性を考慮に入れている21世紀型教育校を選べばよいのです。

★しかしながら、この両方の格差に巻き込まれないにしても、ともすると、未来格差には巻き込まれるかもしれません。偏差値勝ち組でも、それだけしか考えていないと未来格差のダメージを受けることがあるのです。

★つまり高偏差値の大学にはいったのだけれど、未来を拓くことができない可能性があるというわけです。逆に教育格差も経済格差も乗り越えられる大学に入った場合、未来においても幸せを得ることができるという学校選択もあるのです。

★学校で未来が決まるわけではありませんが、学校の選び方というその価値観は、未来を決める大きな影響力があるものです。

★今後は、この表について、少し詳しく話していきましょう。

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