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2021年11月21日 (日)

11月26日石川一郎先生と「プロジェクト2089」の対話 2024年総合型選抜の変容?それに伴い探究も変容か?

★来年2022年、高校の新学習指導要領が本格実施。石川一郎先生はその生徒たちの卒業年度の大学入試改革がどうなるか新著を執筆し、ベストセラーとなっています。すでに多くのセミナーで講演されていて、大忙し。GWE(GLICC Weekly EDU)のご出演の日程が確定するのもなかなか大変でしたが、今週の金曜日26日、登壇いただけます。他県で仕事をされてからの出演ですから、本当に大活躍ですね。そんな時に、ありがとうございます。

Ishikawa

★石川先生は、多くの講演会やセミナーで、新著の内容を話されていますから、GWEでは直球の質問をしてみようと思っています。それは、2024年以降、総合型選抜はどのように変容するのか?そしてそれに伴い「総合的な探究の時間(以降「探究」)もどう変容するのか?自己変容は個人の話だけではなく、組織や制度にも及びますから。

★今、私学の経営者の方々と対話していると、総合型選抜は本当に継続するのかというダイレクトな質問をよく投げられます。これは、今来年に向け時間割を大胆に変えている作業の最中なので、そういう質問がでるのでしょう。というのも、経営者は、教師の働き方改革を迫られているからです。

★どういうことかというと、総合型選抜の準備は、学校内でやろうとすると、今度の時間割では、できないか、各教科に含めるかどちらかなのです。つまり、現状の総合型選抜は、教科の中に含めないと、放課後生徒と学ぶ時間をとるしかないのです。

★それは探究の時間を使えばよいではないかとなりますが、卒業単位は74単位以上で、探究の標準単位は、3から6となっています。卒業単位74だと授業時間数の4%から8%しか占めていません。たいていは卒業単位は90ぐらい設定しますし、探究は3ぐらいでしょうから、実質3%前後です。

★その時間内で、総合型選抜の準備は無理です。現状そういう試験だということです。公立の場合は、総合型選抜は塾・予備校でやってねでもいいでしょうが、私立学校は、総合型選抜の学びをどうするかは腕の見せ所で、魅力づくりにもなる領域です。しかし、労基は厳しいですね。これによって、働き方改革を進め、間接的に私学の公立化への道を開けてしまう恐れがあるのです。

★文科省はやはり巧みだなあと経営者と話していると感じるわけです。

★一方、大学側も総合型選抜はコストがかかりますから、今以上に増やすことはできません。もちろん、活用する学部学科は増えますが、定員はそう簡単に増えないでしょう。東大の推薦入試は、かつての後期試験同様、総定員の3%前後です。おそらくそういう形式でどこの大学も残るでしょうが、今と同じではないと思います。

★そもそも、今の総合型選抜は、専門的な領域というか、大学の1,2年で学ぶ内容にまで踏み込むことがあります。意外とその実態は経営者の間では知られていないのですが、そのうち情報が浸透していくでしょう。一般選抜はあれほど学習指導要領の制限があるのに、総合型選抜は何をやってもよい領域です。外国語の資格試験も一般選抜でははねのけられているのに、総合型選抜では、活用されたりしています。

★働き方改革から言えば、ここがまず制度設計を変えなければ、話にならないでしょう。大学側もそういう意味では、定員の3%ぐらいにおさえてくるでしょう。

★しかし、それでは、日本の経済社会全体にとっては、困ります。クリエイティブクラスをたくさん輩出しなければ外国人高度人材に頼るしかなくなります。多様性は大事ですが、依存するのは衰退の道しかありません。

★では、どうするのか?一般選抜の各教科の中に探究的な要素を入れ込むのです。早稲田大学の政経のような問題を行うわけです。総合型1本にする必要はなく、各教科の30%以上を小論文など思考力型形式にすればよいわけです。なんだ今の国公立大学の入試と同じではないかとなります。そうです。私立大学もそうなるということです。(中学入試では開成や麻布などは、もともとそうなっています。中学入試の新タイプ入試は、その開成や麻布の入試問題から知識問題を除いた思考型のところだけを手順を追って考えらえるように作成しています。すでに、ここに未来の大学入試のモデルがあるわけです。)

★そうなると私大は、採点が大変になります。したがって、大学入学共通テストが威力を発揮します。今も幾つかの大学で行っているように、足きりするわけです。これによって、定員の厳格化が維持され、定員充足の大学は増えるでしょう。

★とはいえ、高3生80万人時代は目の前です。どうするか?高校卒業生の大学入学率を今以上にあげるしかありません。そうすると30万人分は、大学入学共通テストを課すとメンタル面で大変なことになりますから、その部分は、大学共通テスト免除で、一般選抜に思考型の問題を多めに盛り込んだ形の入試問題が作成されるようになるでしょう。

★結局高校入学率と同じように、大学入学率を限りなく100%に近づける方向に向かうでしょう。諸外国ではすでにそうなっているところもあります。

★外国人高度人材と日本の学生が全員協働できる水準にもっていくには、そうならざるを得ないでしょう。英語と思考力(論理・批判・創造)は全員が学び、基礎知識は記憶するのが苦でない生徒は一般選抜のために活用する。それがいやななら、英語と思考力は身に着け総合型選抜で乗り越える。大学入学後、基礎知識はアプリでなんとかする。

★えっ!一般選抜もそうならないの?なりません。それでは、教育産業界は困るからです。教科書会社が困るからです。実は経済社会を支えるために、基礎学力を学んでいるということが明快になる時代です。でもそれは、SDGsを達成するのは、持続可能な経済社会を形成するためなのですから、同じ構造ですで、何が悪いという話になるでしょう(汗)。

★でも、すべての児童・生徒・学生がクリエイティブクラスになる道を開くことでもあります。AIがもっと浸透する2034年。そのときの大学入試改革は、一般選抜から基礎学力はなくなります。ポートフォリオでそれは必要なくなります。しかし、それはますますマインド監視社会になるので、ディストピアへの道でもあります。だからこそ、マインドフルネスが大切になります。

★いつの世も、ユートピアはマインドの中にしかないわけですね。現実はディストピアというアンビバレンツこそが人間存在なのでしょうか。もちろん、そこを打開するために、メタバースの世界が訪れるのですが、ますますマインド監視社会は進んでしまいますが、メタマインドフルネスの領域も開かれます。。。

★石川一郎先生とは、2089年までの教育の変容論をいつか書こうと話し合っていますから、26日は、そこへの入口になるぐらいの話になるでしょう。「2089年の大学入試改革」プロジェクト、つまり、「プロジェクト2089」を宣言するGWEになると思います。楽しみです。

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