<超人気>を持続可能にしている学校の共通点~2つのコンプレックスをクリアできる自己変容型マインドが生成されているコト
★今年は、21世紀型教育機構の学校以外にも深いお話をお聞きする機会が多くなりました。昨年までは、数だけでいえばもっと多くの学校の先生方と話をしてきましたが、どちらかというと戦略的な話が多かったような気がします。生徒募集の方法、カリキュラムマネジメントの方法、進路指導の方法、PBLの方法等々。私はプラグマティックな価値を大切にしているので、もちろん、今も方法論とその実践的検証を重視する点は変わりません。方法とは私にとっては、存在の価値が生成される関数的な環境設定ですから、理論と実践と方法は循環的な統合をしていると考えています。
★今年は、学校における経営陣や教師、生徒、保護者のそれぞれの存在価値を生み出す組織の方法について対話する機会が増えました。そういう意味では、方法論の新たな局面で対話するようになったということかもしれません。関数の次元や係数が増えたというコトでしょう。毎週金曜日、GLICC代表の鈴木裕之さんの主催するGWE(GLICC Weekly EDU)に出演させていただいていますが、そこで、そういう局面に毎回出会っています。また、私立中学高等学校協会やカトリック連盟の多様な会合に参加する機会も増えました。
★その中で、3年くらい人気が上昇し、その後ある一定の実質倍率を持続可能にしている<超人気>学校の組織のあり方として共通しているコトがあることに気づきました。また逆にこの共通点を持っていないと、人気が上昇しても、失速することもあるという恐ろしさがあるコトにも気づきました。
★その気づきのレンズを知ったのは、あの文嚮社から出版されているチョン・ジョヨンさんの「SIGNAL 10億分の1の自分の才能を見つけ出す方法」文嚮社 2021/9/10 チョン・ジュヨン (著), 鈴木沙織 (翻訳)」がきっかけです。10月から東洋経済ONLINEで、チョン・ジュヨンさんが同書から少しずつ引用しながら、折々のニュースに関連させて、同書を紹介している記事の連載を見て、知りました。
★それとホンマノオトで以前からご紹介しているロバート・キーガン教授の考え方やコトラーとクリスチャン・セーカー共著のブランド・アクティビズムという新しいマーケティングの考え方がスクランブルしたからです。
★この複数の著作をスクランブルに導いたのは、勤務校で生徒と対話している聖書のマインドです。そこには、スクランブルで現われた2つのコンプレックスの克服方法について書かれています。
★その克服すべき2つのコンプレックスというのは、ヨナ・コンプレックスとアカンタ・コンプレックス(アカンタ:棘)です。その言葉を使ってはいませんが、聖書に収録されているパウロの手紙などで問い続けられています。ダ・ビンチはそれをあの「最後の晩餐」で描いています。
★考えてみれば、シェークスピアのアンビバレンツというテーマにも通底しているかもしれません。夏目漱石やフロイトの著作がロングベストセラーなのもこのテーマが通奏低音さながら響いているからかもしれません。
★この存在のパラドクスを解く方法をブランド・アクティビズムとして学内外に浸透させている学校が、人気上昇の期間を経て、失速せずに<超人気>に行き着いているわけです。
★2024年から2045年にかけて、生徒数が急激に減少していきます。岸田政権のみならず世界同時的に新しい資本主義を巡って当面K字型格差成長をしていく状況に直面します。まずは2022年問題があります。都市からの転出率が増加が止まらなければ、いろいろな領域で淘汰が始まります。学校も例外ではありません。
★そのとき、生徒のみならず、生産年齢人口に相当する人々は、みなこの2つのコンプレックスに襲われます。すでに襲われているのですが、もっと露になるということです。それがゆえに、我が子には、この2つのコンプレックスをクリアできる学びの場(学校だけではなくなるでしょう)を探し始めます。
★経営陣も自身にふりかかる2つのコンプレックスを乗り越える自己変容型マインドを求められるのは、教師や生徒、保護者と同様です。
★しかしながら、これは内面にふりかかる相互主観のブランド・マーケティングの挑戦です。心理学的な理論ではなく、プラグマティックな経済社会も巻き込む関数循環関係ですから、新市場が創出され、ようやく新しい資本主義を支える根本的な循環の泉を生み出すでしょう。もちろん、デジタルツインな世界づくりです。現政権がそこを捉えているかどうかはわかりません。
★デジタル田園都市構想がこれにあたるかどうかもまだ定かではないですが、2022年問題のようなゆらぎは、日本だけではなく、すでに世界でも起きています。空間の囲い込みは新しいコモンズとしてメタバースの世界に移行し、コモンズの悲劇をクリアすることになります。
★またまた、本間は馬鹿げたことを言っているといわれるでしょう。1998年のときもそういわれました。2011年のときもそう言われました。2021年の今もそう言われています。長いスパンの未来は予測はしにくいです。しかし、10年くらい先まは、すでに多様で多角的な情報であふれています。それといまここで起きているけれども近代以降なかなかクリアできない根源的問題を照らし合わせれば、だいたいの予測は誰にでもできます。
★もちろん、明日はどうなるかはたしかに予測不能です。しかし、それが地球滅亡というほどの予測不能というものではないでしょう。いや、もちろん宇宙の話をしだすとそれすら予測不能です。それゆえ、推理しながらいまここで根源的な問いをクリアしようとする意志の力が求められるのでしょう。その意志の力が生成される組織のあり方が肝要だということなのかもしれませんね。
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