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2021年11月

2021年11月30日 (火)

変容生成は、こちらとあちらのチームが自然と協働する仕掛けを創造するということだった。

★自己変容したいけれど、どうしてもドアを開けて向こうの世界に行くことができない。頭を抱え、うなだれ、ドアを開けられない自分にうちひしがれ、ますますそのドアは分厚く重くなっていく。そんな経験をしたことはありませんか。というよりも、多くの人がそういうときがあると思います。

★勤務校でもそういう状況になっている生徒も少なくありません。そんなとき、教師はすぐさま寄り添うし、対話をするし、励ましたり、見守ったりします。そして、それは1人教師が行うのではなく、複数で自然とプロジェクトになって協力します。生徒は、その期待に応えようとしますが、ドアの前でしゃがんでしまいます。そして、そんな自分を責める場合もあります。どうして先生方の愛情に応えられないのかと。

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★すぐさま、教師はフラットで自然な対話ができる教師に入れ替わります。自分たちは心理的安心を創っているはずだとおもっていたのですが、もしかしたら違う。ここは交代しようと。この段階で、交代を決意した教師は、実は自己変容を起こしているのです。がしかし、ここでは、生徒に注視しましょう。

★ここでいうドアは、壁でも構いません。歩みを阻む何かをたとえているだけです。そして、この阻むものは、実はものであれ精神的なものであれ、幻想なんです。エッ、精神的な壁やドアはわかるけれど、ものも幻想なのか。はい。ものそのものは幻想ではないのですが、開かないどうしようという認識は幻想です。技術があったり、ドアがこわれていなければ開くのですから、あかないはずはないのです。ものと認識の微妙なずれが、阻害要因です。

★精神的なドアも、実は同じだということがわかりました。どんなにこちらの世界ではげまされたりしても、勇気をもとうとしても、ドアは開かないのです。ドアが開くときは、自分の力で開けていると思い込んでいます。あるいは仲間が協力してくれたからだと思い込んでいます。

★実は、それはまだ不足した状態だったのです。向こうの世界に大切なものがあるという予測がないと、ドアは開かないのです。

★勤務校で、いろいろなドアの前で頭を抱えてしまう生徒のシーンに出遭います。その一つ一つをクリアしている教師の対話力と行動力に感動する日々ですが、クリアした時、共通している点は、こちらの世界とあちらの世界が互いにつながる、しかも自然とつながる場合、生徒はワープでもするようにドアの向こうに吸い込まれていくのです。ドアはなくなると言ってもよいかもしれません。

★私がこちら側にいる時もあります。先生方と協力してなんとか生徒自身が自らドアを開けられるようにあの手この手を使います。しかし、こちらの世界にいるだけでは生徒の変容はありません。何カ月にも及ぶことがありますし、瞬間に変わる時もあります。それはドアの幻影の強さによって違うのですが、ともあれ、ドアが開くときは、ドアの強度の違いがどうあれ、こちらの世界とあちらの世界がつながったときなのだということは身に染みてわかりました。

★ファシリテーターやカウンセリングマインドやコーチングや対話などは大切ですが、こちらの世界だけで行われている段階では、埒があかないのです。ところが、あちらの世界とつながったとき、状況は一変します。

★ですから、絆や愛情は大事なのですが、それはこちらの世界とあちらの世界の両方で行われることがどうやら重要なのです。

★わたしたちは、大きな目標を未来に投げ、そこに到達するように軽度のドアをいくつも並べ、一つ一つ開いて進みますが、途中で挫折する時があります。それは、大きな目標のあちらの世界を意識していないからです。大きな目標が大きなドアであり、その向こうがあるはずなのに、そこが最終地点だと思っています。この目標の立て方こそ、ドアの前で頭を抱えて進まない閉塞状況という幻影を生み出してしまうのです。

★学び続けるには、あちらの世界の大きな存在を認識することが必要だし、組織マネジメントは、ここが肝だったのかと生徒との対話で気づきました。変容生成には、こちらの世界とあちらの世界の両方のマネジメントが必要であり、これぞメタ・モニタリングだったのです。そして、これがインターサブジェクト(相互主観)が生まれる瞬間だったのです。

★こちらの世界だけではインターサブジェクトは生まれないのです。それは独善的主観というやつだったのです。自分はフラットでオープンだと思っているだけでは、独りよがりのトラップから自由になっていないということだったのです。

★今日は、そのような気づきをもらうシーンがあちこちでありました。グラウンドで、パウロの森で、教室で、廊下で、職員室で、学園長室で、次々とドアの開く音が響いていました。どうりで1万歩以上歩いていたはずです。感謝。

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2021年11月28日 (日)

自他肯定の境地は悟りではなく、いまここで生み出したいと思う今日この頃。

★多くの生徒ばかりだけではなく、教師も、いや市民も、自他肯定の境地をいまここで生み出せるにはいかにしたら可能か。これが今私に降りてきたことです。人間だれしも悩むし、自分のことを認めてもらいたいと言動をとります。しかし、それは自己表現ではなく、なぜ自分を認めないのだ、認めるように他者をコントロールしたいという欲求です。それは本当に自分がしたいことかというと、そうではないでしょう。

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★どんな人も、自分がやりたいことは、自分が幸せになること、それには他者も幸せになることでしょう。何をきれいごとを言っているのかといわれそうですが、人間の存在は、極めてシンプルなんです。でもこのシンプルなありのままの存在性に気づくには時間がかかるし、意外と達成しないまま孤独のうちに人生を閉じることになる場合も少なくないでしょう。

★でも、本当に孤独でしょうか?朝、生徒が来る前に学校に行きます。朝、準備する仕事(ハンコおす書類とか、スケジュールの調整の確認とか、精神性のコンディションの確認とか、あります)があるからですが、何よりも、パウロの森の息吹を吸い、命の響きに共振できることが、自分の小さな存在を支えてくれるような気がするからです。

★この響きが、生徒から聞こえてくるときもあります。対話をしたり、部活の時の声が森の奥からこだましてきたり、ハンドベル部の響きに耳を傾けたりするときに、それから問題が起きたときに先生方が真剣に語り、共に実行する時に。

★それらの時に、感じるのは、自然の大きな存在です。夜、パウロの森には、鹿が歩き、イノシシがあるき、ハクビシンが歩いています。その他多くの生命がパウロの森には生きています。朝、大きな天空とそれを受け入れるかのようなパウロの森に包まれて、自分もその命の1つであり、毎日、パウロの森からコンコンと湧き出る水を飲み、ああ森の生き物と同じ命の水を共有しているのかと思うと、孤独とは無縁だなあと感じるわけです。

★このような境地は、以前は悟りの境地で、いまここで到達できるものではないと思っていました。しかし、それはどうやら間違いですね。聖人や仏の道に進まなくても、市民一人一人が達成することができる道だと思うようになりました。

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★最近は、パウロの森をおりて、都心の会合に出る機会も多くなってきました。年末というコトでしょう。先日も、芝公園にあるホールで行われた私学振興全国大会に参加してきました。吉田会長(日本私立中高連合会)や近藤会長(東京私立中高協会)が、多くの私学人と共に、自分の学校だけではなく、私学全体、いや日本の教育全体をよくしようと、政治家に働きかけて、制度設計の改善やその持続可能性を組織的に対話し続けている姿を拝見しました。

★そこには、末松文部科学大臣をはじめ、元大臣クラスの議員も30人ほどやってきていて、互いに意志の確認をしていました。政治家の思惑もあるでしょうが、信念と思惑の揺れ動く中で、吉田会長と近藤会長の熱い信念の方を共有していた瞬間に出会えました。

★2人の私学人の高邁な精神と勇敢な姿勢は、すでに悟りの境地です。やはり、私たちは、いまここでその境地に達しないと、シンプルな、あるいはありのままの本来の人間存在を回復できないし、それは老人の行き着く世界ではなく、いまここで老若男女すべての市民の生きる権利だなあと思いました。

★自然という大きな存在、先輩という大きな存在。自分の存在とはかなりのギャップがありますが、そのギャップを埋める道を歩くことは、どうやら孤独ではなさそうです。

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2021年11月27日 (土)

二子玉川エリア クリエイティブクラス輩出の都市へシフトか?

★日経ビジネスX(2021.11.24)に面白い記事が掲載されています。「美大に通うエリートたち、リスキリングが革新を生む」がそれです。こんなパラグラフで始まります。

<閑静な住宅街として知られる東京都世田谷区上野毛。ここを創設の地とするのが、日本有数の芸術大学である多摩美術大学だ。大半の学部は東京都八王子市のキャンパスへ移ったため、幾分ひっそりとしているものの、上野毛キャンパス内の柱に貼られた「映画制作のスタッフ募集」のポスターや画用紙を持った学生が歩く姿は芸術大学そのものだ。

 11月初旬、そんな多摩美の小ホールに、約30人の社会人の男女が集まり、プレゼンテーションに臨んでいた。5人グループに分かれ、自分たちが課題と思うことを基にした事業やサービスの概要を発表していく。>

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★この多摩美のキャンパスは、環八沿いに面していて、そこから瀬田はすぐです。つまり大平元首相の自宅があったそうです。国分寺崖線の上にあり、そこから多摩川を西へ眺めながら、大平元首相は、あの田園都市構想を国土計画として提案していました。その構想は国土計画の五全総に引き継がれ、ガーデンアイランド構想とも呼ばれました。

★そんなわけでしょうか、大平元首相の自宅のすそ野には、高島屋の別館「ガーデンアイランド」が建設されています。田園都市計画は、日本の大名庭園にヒントを得たエベネザー・ハワードが建設したレッチワースの田園都市を視察した渋沢栄一の息子が帰国後、田園調布をつくり、この地に住まう人を募るために、五島慶太に依頼して、今の東急線や田園都市線のプロトタイプを建設していったわけです。

★五島慶太がどう思っていたかどうかはわかりませんが、ハワードの田園都市はユートピア都市です。環境にやさしく、配分が考慮された都市創りです。今でいうNGO的な都市です。

★宏池会の文脈であるこの都市構想は、岸田政権がデジタル田園都市構想として継承していますが、この二子玉川エリアは、今や楽天都市でもあります。なるほど、デジタル田園都市なわけですね。

★この都市のデザインは、さらに教養人だった大平元首相の想いも継承したかのように、多摩美をデザイン思考やアート思考の拠点として新たな局面を迎えようとしているのかもしれません。政府によって巧まれたというよりも、この国分寺崖線は、江戸時代から西から攻め上らないように監視する場所でもあり、大名の別邸があったのです。明治以降は、政財界人の別邸の地でもありました。高橋是清も住んでいたし、あの岩崎家の別邸もあります。その跡地の一部に聖ドミコ学園が建設されました。

★ガーデンアイランドから商店街を通り、玉川高島屋へいく道には二子玉川小学校があります。そこは中学受験生の拠点です。その真ん前にカンザキジュクが今月オープンしています。教養豊かな総合型選抜対策をメインとする神崎史彦先生の経営する塾です。デザイン思考もやはり活用するし、デジタル発信する予定の塾でもあります。

★その近くには、図工ランドと言って、人気のアートの塾もあります。オーナーは芸大出身だそうです。またハートフルアートという、不定期ですが、やはり近くの公民館で女子美族のアートワークショップが開催されています。大学院生や海外の美大に研究しにいった女子美の卒業生が中心に企画運営しています。これらのアート空間は、純粋にアートを楽しむ子どもたちが多いのですが、中には慶応幼稚舎や慶応横浜初等部を受験する子どもたちも活用しています。

★インターナショナルスクールの拠点でもあるし、多摩美のある環八から澁谷方向に歩いていくと三田国際や都市大等々力などもあります。桜新町まで行くと、そこにはお受験の拠点である幼稚園もあり、そこから駒沢公園の方向に進むと八雲学園があります。三軒茶屋の方に行くと世田谷学園や昭和女子大附属昭和もあります。二子玉川から多摩川を渡れば、洗足学園があります。そのようなエリアの中心にGLICCという鈴木裕之先生が経営するグローバル教育塾が新町にあります。

★二子玉川から大井町線をつかえば、かえつ有明にもつながっていきます。二子玉川から玉堤通りを成城学園方向にいくと20分くらいで東京都市大や成城学園、そこからさらに30分くらい行けば鴎友学園女子や恵泉があります。

★どうやらこのエリアは、経済的にも教育的にももともとプレミアムエリアといえるかもしれません。そこにDXとアートがつながってくるわけですね。不動産の2022年問題がどういう影響を及ぼすかわかりませんが、このエリアからクリエイティブクラスが生まれる新たな教育の文脈が創出されるのかもしれません。あくまで、妄想ですが(汗)。

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石川一郎先生の野望 GWEの対話で明かされる。

★昨夜、GWE(GLICC Weekly EDU 第56回「『2024年の大学入試改革』著者 石川一郎先生との対話」)で、全国を飛び回って本質的な教育の改革を説いている石川一郎先生と対話しました。今月、先生は、新著「いま知らないと後悔する2024年の大学入試改革 (青春新書インテリジェンス)」を出版されました。2016年から執筆し続け、今回7冊目です。

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★石川先生の教育改革の新しさは、道徳や行動心理学というよりは認知科学的アプローチを軸としているということです。道徳や行動心理学は、どうしても因果律ベースになり、「~しなければならない」が自由も大事だぇれど、規律をやはり主軸にしようとなりがちです。

★ところが、思考コードなどのように認知心理学的アプローチになると、多様な関係性や認知能力と非認知能力の均衡性などを柔軟に洞察する姿勢が前面にでてきます。そんな石川先生の認知的柔軟性が、本書では面目躍如とばかり発揮されています。

★今回の対話は、2024年の大学入試改革の明らかに見える部分から始まり、その実効性について水面下では複雑で、しかも結果的にそうなっているわけではなく、あえて反対派と推進派が生まれるように巧んでいる文科省の妙技が掘り返されます。近代教育は、常にアンビバレンツを包摂しているのですから当然で、それゆえ改革のエネルギが蓄積されるというなかなか不思議な世界です。

★しかし、それが結果的にジャーナリズムを活性化し、3歩進んで2歩下がりながら文明は進化していくでしょう。

★最後には、man for othersのマインドに基づいた石川一郎先生の壮大な野望が明かされます。希望とは、このような野望から生まれてくるのだと実感しました。ぜひご視聴ください。

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2021年11月26日 (金)

水平思考とチャンスクエスチョン機能

★聖パウロ学園の探究ゼミ。遅ればせながら私のゼミにもようやく風が吹き始めました。探究の時間を全部ゼミに充てるのではなく、人によって違うのですが、私の場合は、1コマ50分で7コマ。この短い時間で世界を創る体験を果たせるか?今日で5回目。ポストイットや多様なワークシートを使ってやってきたけれど、内側からあふれでてくるものがなかなかない。連続7コマではなく、9月から2月にかけて7コマだから飛び飛び。

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★何か一つのテーマに絞って、調べながら深めていくというBig Questin型は、今回あえてとりませんでした。have toではなく、want toでいきたいからです。よく興味と関心があるものとか好奇心旺盛になるテーマと言いますが、生徒は意外と心底という物に出会っていないものです。おそらく、自分でも気づかないwant toがあるはずです。

★自分の顔は自分で見ることはできないというテーゼがあるのですから、心底興味と関心のあるものはなかなか気づかないものです。

★そこで、今回は1枚のA4に三角ロジックのエッセンスを書き込み式の表にしてみました。そして、テーマやタイトルはあとで書き込もうということにして、データから書いていきました。いっぱいの蕎麦のデータです。全体で7分くらいの作業です。データを書き込むと、言いたいことや疑似主張が生まれてくるので、それを書く欄に書き込みます。次にそう主張したい理由。

★疑問や調べたいことを書く欄も埋めていきます。そうしてようやくタイトルを考えます。これは実は世界のコンセプト作りです。

★スムーズに全部書き込めませんが、おっ、これは政治的な視点が生まれたね。国際問題に発展したね。農業問題だなあ。健康の話だね。権力問題。ああ、戦争にならないようにしてよ。

★とかミニフィードバックをしていきます。自分の顔は自分でわからないので、ディスカッションの時間を設定すればよいのですが、時間がないので、1人1回はフィードバックをしていきます。それは自然と共有されていくので、一杯の蕎麦から始まって多角的な世界に広がるのをみな共有します。

★一杯の蕎麦の先入観を開いていく作業ができました。できたワークシートは全員プレゼン。

★自分の考えに潜むコンセプトに気づく。コンセプトを与える垂直思考ではなく、考える過程である水平思考からコンセプトに気づく。ワークシートに書き込む作業が、実はチャンスクエスチョンになっていたということに気づきました。

★夏休みの集中連続講座1コマ90分で4コマでやってうまくいったことを、探究ゼミでやろうとしてうまくいかなかkったのですが、引き算の美学で、1枚のワークシートに水平思考とチャンスクエスチョン機能を埋め込むことによって、蕎麦が多様な世界にジャンプするチャンスを生み出したわけです。

★問いが命と言われますが、ワークシートそのものが問いの機能を有するという方法もあったわけですね。

★没入と解放の50分。校長の探究ゼミは難しい!という声も聞こえてきます。自分でテーマを決めるのは、生みの苦しみですから、そうなります。しかし、だからといってテーマを決めてやることはしないで行こうと決めています。その代わりサポートツールは何が最適か。夏のメンバーとは違うツールを開発しようと。

★問題を与える個別最適化の誘惑に負けず、あくまでチャンスクエスチョン機能(関数ということ)のツールでサポートしようと。ツールというファシリテーションを創ることがファシリテーターの役割だとようやく実感した次第です。

★青柳先生、三角ロジックをチャンスクエスチョンシートに変換してみました。あのときの対話でヒントをいただき、ありがとうございました。今度お見せします。

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2021年11月25日 (木)

工学院中高 2022年入試も好発進! 破格のグローバル&イノベーティブ教育を生み出す教師陣がゆえ

★11月23日、工学院大学附属中学校・高等学校(以降「工学院」)の帰国生入試が行われました。尊敬する田中歩教務主任から「中学も高校も増えました。昨年度比120%です。ラウンドスクエアやケンブリッジ・インターナショナルなどの取り組みが評価された実感があります」と。

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同校ブログから。中川英語科主任の記事「International Youth Day2021をインドの高校生と共催」は、同校インターナショナルコースのすばらしさを象徴しています。

★また、12月25日のクリスマス説明会(中学入試)も、申し込みサイトを公開して3日で定員180名に達する勢いだということです。高校入試の方も順調だということです。

★グローバル教育やICTを活用したイノベーティブな教育環境が破格であることは有名です。多摩エリアの中でも最も先進的だという評判も広がっています。いや、日本でも最も先進的です。

★そして、その本質は、そのような破格の教育をデザインし、運営できるのは、教師陣が先進的で、日々自らハードルをあげて、クリアするマインドを持っているからだし、受容力ある共感性に満ちているからだということなのです。

★工学院は中高一貫校で、勤務校は高校だけの学校という違いはありますが、同じ21世紀型教育機構の加盟校である工学院が人気であることは、たいへん勇気づけられます!

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2021年11月24日 (水)

聖パウロ学園の若き教師の情熱 やれる気しかしない自己肯定感を内側から燃やす

★昨日23日聖パウロ学園は説明会を開催。4回目になりますが、定員は今回も満席。参加してくださった受験生・保護者の方々、そしてサポートしてくれた生徒と全員で対話型のウェルカム精神で自分たちの教育を熱く語り、論より証拠とミニPBL型体験授業を実施してくれた教員に感謝しています。

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★高校入試は、中学入試と違い、完全に入試のマーケット機能が働いているわけではないので、この状況を人気があるとかないとかそういうマーケティング的な発想は馴染まないなあと最近気づきました。首都圏の中学入試は、全国の小学校6年生約100万人のうちの5万人の話です。その多くが大学進学実績という外在的モチベーションで学校は選択しなくなってきましたが、とはいえ一定の有名大学に進学する層なわけです。

★公立小学校と私立中高一貫校が紳士協定を結んでいるということはなく、中学入試の生徒募集は、塾市場のニーズとどうマッチングさせるかということです。受験生も強気で受けて、万が一の時は、公立中学に行くことができますから、人生の進路を阻むものはありません。ある意味、自由に受験できます。もちろん、必ず私学にという場合は、偏差値に合わせてあるいは偏差値より生徒の個性を重視する新タイプ入試などを受験すれば、ほぼ私立学校にはいけます。垂直的序列の市場と水平的多様性の市場の両機能が今では働いています。

★ところが、高校は、今や98%が進学します。高校浪人はなるべくさせたくないというのが公立中学の指導だし、高校側も100万人の行方を垂直的序列競争をさせるより、水平的多様性を大事にし、それぞれの居場所になるように考えているし、教育行政もそのように働きかけていますから、中学入試のような競争市場にはならないのです。

★もちろん、そうはいっても現実は偏差値輪切りの配分になっているということもあります。聖パウロ学園は、偏差値でいえば100万人の真ん中です。生徒が一番多くかたまっているボリュームゾーンにあります。

★そうなってくると中学側が無理をさせずにといっても、逆に選択肢がたくさんあるソーンなので、熾烈な学力競争にならないのですが、生徒自身の想いと学校のエッセンスやビジョンなどのものの見方・感じ方が適合するかどうかという教育の質のマッチング競争にはなります。

★ですから、グローバル教育部長の大久保先生が語るように、弱みを強みに変える(学園の守護聖人パウロ自身のモットーでもあります)対話型教育に共感する受験生がたくさんいるということが、毎回たくさん参加してもらえる条件なのかもしれません。

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★大久保先生は、毎日生徒と対話し、生徒にやる気を出す行動を押し付けるのではなく、内側から自然と行動ができるようになるマインドセットを重視しています。グローバル教育部長として英語科主任として学年主任として先生方と対話する時も同じことです。21世紀型教育が目指すナチュラルリーダーとして面目躍如です。

★パウロ自身、ルターやカントに影響を与えた書簡を描いているわけですが、それは目からウロコというコペルニクス的転回を大切にしています。大久保先生をはじめ、パウロの教師は、たとえば、ネガティブ思考をポジティブ思考に転換させる価値認識の変容、つまり簡単に言えば、自己肯定感を高めることを生徒と共に日々対話しているわけです。

★内側の価値認識モデルづくり、数学科の先生方は、それを関数モデルで生徒と対話してくれているわけですが、日々それを基本的共通目標としているわけです。聖パウロの校長は、事ある度に話をするのですが、いつでもどこでも持ち時間は3分なのです。ですから、手を変え品を変え、価値観を変える見通しとそれを実現する実際的な内燃エンジンの話をするだけです。

★エンカレでも、特別授業をやるのですが、最近では、先生方がワークショップのファシリテーターをやってくれ、私の方はそのワークショップが、価値認識の転換という意味があるということを手を変え品を変えやはり話すだけです。

★弱い情況だからこそ強くなれる。自分の強さを知って怖気つくこともあるだろうと生徒と共有して、そのときはじめてエールを贈る共感的対話(腹痛が痛いと同じ表現ですが)ができるのですが、それを大久保先生をはじめ、パウロの教師は実践しています。

★対話は常に価値認識の変容とそれを実現する行動を導く認知と感情と行動が統合された行為です。ヨハネにある「はじめにことながあった」とはそういう意味です。そして、そのことは人間存在がwell-beingをゲットする最強の方法だと学園生活の中で確信しています。感謝。

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2021年11月23日 (火)

聖学院の思考力入試はタラント発掘入試

★かなり遅くなりましたが、ようやく聖学院の2019年の難関思考力入試の分析を開始しました。2022年入試からは「グローバル思考力特待入試」と名称が変更になりますし、もしかしたら、中身も変わるかもしれませんが、そのエッセンスは以前から変わらないでしょう。原稿が書きあがるには少し時間がかかりますが、時期も時期だけに気づいたことをメモしておきます。まずは、まことにタラントを発掘するスーパー思考力問題であると記しておきましょう。

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(聖学院思考力入試の問いは、思考の質がS字曲線を描くように配列されている)

★将来大学入試を一般選抜で受験するには、上記の図の点線の成長をすれば、なんとかなります。しかし、海外大学や総合型選抜を受験しようとすると、上記の図のようなS字型成長曲線を描くような才能者を見出したいわけです。同試験の定員が5名というところからもわかります。思考力入試は採点などコストがかかりますから、5名を選抜するためにわざわざ行うには、5名で東大合格20人分くらいの潜在的可能性発掘を巧んでいるということでしょう。

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★さらに、海外大学へとなると、できればギフテッド型の才能者を見出したいともなります。S字型曲線のように成長する生徒は、あるとき突然ブレイクスルーします。それまでは、国算テストで目立たないのですが、あるとき突然なのです。ところが、ギフテッド型は、いきなりインパクトがあるアイデアを出します。

★同入試問題は、S字型成長をたどっていくような問いのデザインがされています。そして、その中に、いきなり才能を爆発させるかもしれない問いも含まれています。

★同校には思考力入試が3種類あって、いずれもS字型成長曲線をたどるような問いのデザインになっています。また思考力入試だけではなく、特待生入試、英語特別入試もあり、国内生160人のうち40人が、それらの入試を経て入学してきます。それに国際生も加わりますから、才能者が30%シェアの学校なのです。

★30%という多様性は、十分にインパクトがあり、一般選抜で大学入試を受けようと思っている生徒に影響を与えます。ケミストリーが起こるわけです。それが聖学院を≪Z世代≫のグローバルでイノベーティブな才能を刺激する拠点とせしめているのです。

★なるべくはやく、記事をまとめようと思っていますが、しばらくお待ちください。

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中学入試の新しいものの見方・感じ方 マルチ・フレームワークが個性を表象する myTYPE11月号 特集

★「my TYPE11月号」の特集のアイデアは傑出!「フレームワークから見える自分の個性、学校の個性」がテーマ。あの大谷翔平選手のノートからページは始まります。大谷選手のノートで活用された「マンダラート」というフレームワークが、自分の強みをはっきりと表象し、自信をもって進めるようになることがまずは描かれています。

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★次のページは、多くの私立中高一貫校のキャリアガイダンスで活用されているパーソナリティと職業適性を分析するフレームワークである「ホランドモデル」です。

★さらに、次のページでは、首都圏模試センター取締役・教育研究所長北一成さんの「自己変容フレームワーク」です。「思い込み→未来」というシンプルなワークシートですね。これもキャリアデザインのワークショップでよく使われます。

★4つ目は、「思考コード」という知のフレームワーク。首都圏模試の知というのは、認知と感性などかなり包括的です。開発リーダーでもある同センターの代表取締役の山下一さんが語る「フレームを作るとフレームから個性がはみ出る」という逆転の発想はすてきです。

★2022年4月から、法改正により18歳で成人になります。今ままでは高校卒業して2年後ぐらいから成人の意識をもてばよかったのですが、2年早まりました。つまり、中高一貫校のキャリアガイダンスは、さらに前倒しになり、小学校5年生・6年生にも必要となってきたわけです。

★そこを俊敏に察知し、取材を重ねている同センターの編集はさすがです。

★未来の見通しを立てながら、いまここで何をやるのかGLITの精神で小さな変化を積み重ねていく。中学入試の準備のパラダイムシフトを首都圏模試センターは切り拓いているといえましょう。

 

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2021年11月21日 (日)

和洋九段女子の新井先生と2人の生徒との対話 PBLは新発見の場でありサバイバルリーダーの場でもある

★先週の金曜日(19日)、GWE(GLICC Weekly EDU 第55回「多様な入試とPBL授業ー和洋九段女子中高 新井誠司先生との対話」)で、和洋九段女子の教頭新井先生と在校生であるHanakaさんとMisatoさんと対話しました。PBL入試→PBL授業→多様なプロジェクト→コネクティッドスクールと体験が広がり世界を深堀していく和洋九段女子で生徒1人ひとりがこんなに成長するのかという感動の物語が展開された対話でした。

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★その内容は、文字では書き尽くすことができません。感動的な対話は、やはり論理だけではなく、豊かな心や感性の場となるからです。柔らかく逞しい、そして前向きな学園生活が伝わってきます。

★それに、PBL授業の意味をお二人は生き生きと語るし、何より驚いたのは、PBL的展開を、お二人は自らの活動の中に十二分に活用し、ファシリテーターの極意やプログラムのデザイン方法まで習得しているのです。

★どんな困難も、逃げることなく向き合うことで新発見をし、モヤモヤ感を晴れ晴れとした気持ちに転換して進んでいく二人。困難を乗り越えるための思考と想いを仲間と共有するサバイバルリーダーという役割をミッションとしている二人。

★新井先生は、二人のような生徒は、和洋九段女子にはたくさんいることを誇りに思うと。この感動は、ぜひ動画をご視聴して味わっていただきたいと思います。

★新井先生、Hanakaさん、Misatoさん、今回も感動をありがとうございました!

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11月26日石川一郎先生と「プロジェクト2089」の対話 2024年総合型選抜の変容?それに伴い探究も変容か?

★来年2022年、高校の新学習指導要領が本格実施。石川一郎先生はその生徒たちの卒業年度の大学入試改革がどうなるか新著を執筆し、ベストセラーとなっています。すでに多くのセミナーで講演されていて、大忙し。GWE(GLICC Weekly EDU)のご出演の日程が確定するのもなかなか大変でしたが、今週の金曜日26日、登壇いただけます。他県で仕事をされてからの出演ですから、本当に大活躍ですね。そんな時に、ありがとうございます。

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★石川先生は、多くの講演会やセミナーで、新著の内容を話されていますから、GWEでは直球の質問をしてみようと思っています。それは、2024年以降、総合型選抜はどのように変容するのか?そしてそれに伴い「総合的な探究の時間(以降「探究」)もどう変容するのか?自己変容は個人の話だけではなく、組織や制度にも及びますから。

★今、私学の経営者の方々と対話していると、総合型選抜は本当に継続するのかというダイレクトな質問をよく投げられます。これは、今来年に向け時間割を大胆に変えている作業の最中なので、そういう質問がでるのでしょう。というのも、経営者は、教師の働き方改革を迫られているからです。

★どういうことかというと、総合型選抜の準備は、学校内でやろうとすると、今度の時間割では、できないか、各教科に含めるかどちらかなのです。つまり、現状の総合型選抜は、教科の中に含めないと、放課後生徒と学ぶ時間をとるしかないのです。

★それは探究の時間を使えばよいではないかとなりますが、卒業単位は74単位以上で、探究の標準単位は、3から6となっています。卒業単位74だと授業時間数の4%から8%しか占めていません。たいていは卒業単位は90ぐらい設定しますし、探究は3ぐらいでしょうから、実質3%前後です。

★その時間内で、総合型選抜の準備は無理です。現状そういう試験だということです。公立の場合は、総合型選抜は塾・予備校でやってねでもいいでしょうが、私立学校は、総合型選抜の学びをどうするかは腕の見せ所で、魅力づくりにもなる領域です。しかし、労基は厳しいですね。これによって、働き方改革を進め、間接的に私学の公立化への道を開けてしまう恐れがあるのです。

★文科省はやはり巧みだなあと経営者と話していると感じるわけです。

★一方、大学側も総合型選抜はコストがかかりますから、今以上に増やすことはできません。もちろん、活用する学部学科は増えますが、定員はそう簡単に増えないでしょう。東大の推薦入試は、かつての後期試験同様、総定員の3%前後です。おそらくそういう形式でどこの大学も残るでしょうが、今と同じではないと思います。

★そもそも、今の総合型選抜は、専門的な領域というか、大学の1,2年で学ぶ内容にまで踏み込むことがあります。意外とその実態は経営者の間では知られていないのですが、そのうち情報が浸透していくでしょう。一般選抜はあれほど学習指導要領の制限があるのに、総合型選抜は何をやってもよい領域です。外国語の資格試験も一般選抜でははねのけられているのに、総合型選抜では、活用されたりしています。

★働き方改革から言えば、ここがまず制度設計を変えなければ、話にならないでしょう。大学側もそういう意味では、定員の3%ぐらいにおさえてくるでしょう。

★しかし、それでは、日本の経済社会全体にとっては、困ります。クリエイティブクラスをたくさん輩出しなければ外国人高度人材に頼るしかなくなります。多様性は大事ですが、依存するのは衰退の道しかありません。

★では、どうするのか?一般選抜の各教科の中に探究的な要素を入れ込むのです。早稲田大学の政経のような問題を行うわけです。総合型1本にする必要はなく、各教科の30%以上を小論文など思考力型形式にすればよいわけです。なんだ今の国公立大学の入試と同じではないかとなります。そうです。私立大学もそうなるということです。(中学入試では開成や麻布などは、もともとそうなっています。中学入試の新タイプ入試は、その開成や麻布の入試問題から知識問題を除いた思考型のところだけを手順を追って考えらえるように作成しています。すでに、ここに未来の大学入試のモデルがあるわけです。)

★そうなると私大は、採点が大変になります。したがって、大学入学共通テストが威力を発揮します。今も幾つかの大学で行っているように、足きりするわけです。これによって、定員の厳格化が維持され、定員充足の大学は増えるでしょう。

★とはいえ、高3生80万人時代は目の前です。どうするか?高校卒業生の大学入学率を今以上にあげるしかありません。そうすると30万人分は、大学入学共通テストを課すとメンタル面で大変なことになりますから、その部分は、大学共通テスト免除で、一般選抜に思考型の問題を多めに盛り込んだ形の入試問題が作成されるようになるでしょう。

★結局高校入学率と同じように、大学入学率を限りなく100%に近づける方向に向かうでしょう。諸外国ではすでにそうなっているところもあります。

★外国人高度人材と日本の学生が全員協働できる水準にもっていくには、そうならざるを得ないでしょう。英語と思考力(論理・批判・創造)は全員が学び、基礎知識は記憶するのが苦でない生徒は一般選抜のために活用する。それがいやななら、英語と思考力は身に着け総合型選抜で乗り越える。大学入学後、基礎知識はアプリでなんとかする。

★えっ!一般選抜もそうならないの?なりません。それでは、教育産業界は困るからです。教科書会社が困るからです。実は経済社会を支えるために、基礎学力を学んでいるということが明快になる時代です。でもそれは、SDGsを達成するのは、持続可能な経済社会を形成するためなのですから、同じ構造ですで、何が悪いという話になるでしょう(汗)。

★でも、すべての児童・生徒・学生がクリエイティブクラスになる道を開くことでもあります。AIがもっと浸透する2034年。そのときの大学入試改革は、一般選抜から基礎学力はなくなります。ポートフォリオでそれは必要なくなります。しかし、それはますますマインド監視社会になるので、ディストピアへの道でもあります。だからこそ、マインドフルネスが大切になります。

★いつの世も、ユートピアはマインドの中にしかないわけですね。現実はディストピアというアンビバレンツこそが人間存在なのでしょうか。もちろん、そこを打開するために、メタバースの世界が訪れるのですが、ますますマインド監視社会は進んでしまいますが、メタマインドフルネスの領域も開かれます。。。

★石川一郎先生とは、2089年までの教育の変容論をいつか書こうと話し合っていますから、26日は、そこへの入口になるぐらいの話になるでしょう。「2089年の大学入試改革」プロジェクト、つまり、「プロジェクト2089」を宣言するGWEになると思います。楽しみです。

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2021年11月19日 (金)

世界モデル作りの話は、多様なWhatの構成で。

★学校は、現状の世界理解だけ対話しているわけではありません。これからの世界作りの対話もします。しかし、そのときなかなかスリリングなのは、現状の世界理解の対話と決定的な違いがあるからです。現状の世界理解は、その世界を表現する既存の言葉があります。しかし、新しい世界作りには、そのための言葉を見つけなければならないのです。

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★新しい世界づくりをするために新しい世界言語を創るわけにはいいきません。ですが、既存の言葉で新しい世界作りを表現すると、いつの間にか古い世界に戻っていたりします。そこで、モデルをつくってシミュレーションするわけです。

★そんなとき、寺田寅彦のエッセイは大いに役に立ちます。特に、上記の本の中の「茶碗の湯」はいつも活用します。しかもこの気候変動の重要性を身に染みてわかっている≪Z世代≫と対話する時は、今も生き生きと光り輝いているエッセイです。

★ホワイトボードに、Uの字を描いて、お湯をここまで注ぐよと線を引きます。これ何?科学の話は、実はWhy?から入ることはないので、対話もリラックスできますね。なぜ?は価値観を含むので、いきなり重たいのです。世の中のなぜ?はしかも本質的なものではなく、因果関係を聞いているだけなので、視野狭窄になりがちです。そして、それがいつの間にか価値になるのです。視野狭窄が生み出す価値はイデオロギッシュで、抑圧的なので実はしんどいですね。

★それはさておき、この線の下と線の上で何が起きているのか?と問います。対流と蒸発とと即答。ですから、サイクルの矢印と温泉マークみたいな線を書き込みます。次に、ガラス板で蓋をするよとまた線を引きます。眼鏡をしたままお風呂に入ると何が起きると聞きながら、ガラス板がどうなるか問います。当然くもると即答ですよね。曇っている様子をズームアップすると?水滴がとなります。ですからガラス板を表している線に粒々を表す小さな〇を並べていきます。

★で、この粒はどうなるのと。落ちていくでしょうと即答ですよね。

★で、今度は隣に日本列島と太平洋描いて、暖流と寒流の交差する潮目を描きます。ここらへんまでくると当然生徒は、茶碗の湯の「事実」は、地球規模の自然現象を表現する「見立て」の話だったのかあとなります。

★かくして、whatだけで対話をしていきます。そして、ファクトをメタファーに置換えます。科学の話は、便宜上理由は聞きますが、それはすべて時間と空間と離散集合の関係であって、そこに価値は入らないのです。でも、その関係に興味を持ったり好奇心を抱くとき、価値が生まれてきます。それはなぜか?わかりません。

★なぜ地球があるのかわからないのと同じです。でも、ファクトを描くメタファーというモデル作りをすると、価値が生まれて来るという事実があるのです。

★ただ、世界を闇雲につくっていても、疲弊感が漂うだけで、価値がある行為であっても、価値を感じて生きていくことができない場合が多いですよね。

★世界作りは、どうやらまず世界モデル作りからかもしれません。そして、その世界モデルを現象に当てはめてみる。するとそこに世界が出現します。次にそのことについて対話します。すると、そのモデルで説明ができないことに気づきます。

★再び、モデルを作り直します。すると、また新たな世界が生まれてきます。スリリングですよね。

★現状のモデルの理解確認しかしない人は、現状のモデルの正当性をマウンティングするために、なぜなぜなぜを連発します。同調世界を押し付けます。なぜが好きな人は変化を好みませんね。ここらへんが、総合型選抜のトレーニングの時のジレンマです。新しい世界を創りたい生徒はいっぱいいるのに、大学がどこまでそれを求めるかは予測不能です。ただ、わかることは、なぜですか?という問いは多いので、やはり圧倒的に既存の世界理解の問題が多いということです。小論文であっても。

★もちろん、大学や学部学科によって違いますから、そこをリサーチ分析して、生徒とは相手をみて、互いにまずは理解し合える関係づくりをしようと作戦をたてています。

★というのも、新世界ばかりが世界ではありません。なぜという因果関係を確認して現状理解をすることと諸関係を見出すモデル作りをすることのバランスが大切です。これが世界ですから。生きるということですから。

★昨日もエンカレッジの2年生12人と、茶碗の湯の話からはじまって、気持ちを読み取る関数グラフモデル作りをして、四コマ漫画に適用したり、即興ロールプレイをして、そこに現れる気持ちの変化をモデルを活用してそれぞれチームに分かれて対話しました。

★言葉だけで対話するのは難しい刻々変化する気持ちの世界も、世界モデルを自分で創って、それを媒介として対話すると、いい空気が生まれます。その空気こそが価値なのでしょうね。

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2021年11月17日 (水)

教育の2022年問題 パンドラの箱を開けた改革かもしれない。。。

★不動産の2022年問題は、東京の私立学校にとっては経営上警戒しなければなりません。すでに今回のパンデミックで国も東京都も財政は潤沢でないことは明らかですから、ここのところスクラム組んで私立学校関係者は議員に訴えかけていますが、それ以上に経済的には危ういですね。スタグフレーションもやってきているようですから、トリプル経済不安定要素が忍び寄っています。

★1986年以降の中学受験の大衆化は、バブルがはじけて長引く経済の空白の影響で、1998年・1999年にいったんストップがかかりましたが、脱ゆとりの波に乗って、再び右肩上がり。しかし、リーマンショック以降2013年まで下降します。経済要因は私学経営にはストレートに影響します。しかし、2022年に高校の新学習指導要領が本格実施することで、2013年から始まった新しい学びの教育改革は初等中等教育すべてにわたって行き届くことになります。この流れに乗って、いやこの流れを牽引して中学受験はそれ以降右肩上がりを続けています。

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★ところが、その2022年本格実施の高校の新学習指導要領は、どうやらパンドラの箱を開けてしまいました。2022年は経済的にも教育的にも危うさがあるわけです。それはともかく、新学習指導要領は、全ての教科等を、①知識及び技能、②思考力、判断力、表現力等、③学びに向かう力、人間性等の3つの柱で再整理したわけです。この3つの柱を実践するために「主体的・対話的で深い学び」という名のアクティブラーニングやPBLをやるのです。

★なんだ本間が日ごろ言っていることじゃないか、何が問題なんだといわれるでしょう。たしかに、そうなのですが、指導要録において、各教科の3観点で評価する段になって、急に<「学びに向かう力・人間性等」に示された資質・能力には、感性や思いやりなど幅広いものが含まれるが、これらは観点別学習状況の評価になじむものではないことから、評価の観点としては学校教育法に示された「主体的に学習に取り組む態度」として設定し、感性や思いやり等については観点別学習状況の評価の対象外とする必要がある>というのです。

★つまり、「学びに向かう力、人間性等」=「主体的に学習に取り組む態度」+「感性や思いやり等」として、「感性や思いやり等」は観点別学習状況の評価から外すとあるわけです。

★要は、客観的に評価しづらい主観的なものは外すということです。これが、総論賛成各論反対となり、新しい学びを進めない大きな理由です。進もうかなと思ったら、でもやっぱり評価は客観的でないととなるわけですから、好奇心や興味・関心は大事だよと言いながら、現場では評価しないわけだから、結局はやらないわけです。

★いや、やっているつもりでも、そこを評価しないので、結果的に元の木阿弥だということです。

★しかし、感性や思いやり等についてその育成をやめるとは言わないわけです。となると、評価しないわけですから、この部分の研究はストップします。何が問題か?

★研究はしないけれど、実際には主観が現場で溢れるということです。現場では、今までの客観と主観の図式で捉えるしかないですわけで、主観は抑圧するか野放しにするかどちらかの指導になるわけです。

★このことがパンドラの箱を開けたことになるのですが、そのことにピンとこないのが世間なのです。GIGAスクール構想って喜んでいると、実はどんどんパンドラの箱は広くのです。SNSの光と影がここから生まれている可能性が大なのです。いよいよ、世界の終わり。。。

★現場では、今、大急ぎで、パンドラの箱が閉じられる前に、最後に箱に残される希望をつかみとろうと必死です。

★この希望をつかめば、客観と主観の近代の生み出した効率的なものの見方だけれど、矛盾をたくさん生み出したアポリアを解消することができるかもしれません。村上春樹さんが1985年に描いた世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランドの最初のページにはこんなことばがあります。

<ただ前後の状況を考えあわせてみて、エレベーターは上昇しているはずだと私が便宜的に決めただけの話である。ただの推測だ。根拠というほどのものはひとかけらもない。:村上春樹. 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上下)合本版(新潮文庫) (p.13). 新潮社. Kindle 版. >

★推理はするけれど、根拠は実のところない。それでも・・・・。そういう不安定な時代の世界の終わりは、新しい世界の誕生となるのでしょうか。村上春樹さんがこの本を出版した頃、すでに哲学や社会学、文化人類学、心理学などでは、この客観と主観の図式を解決するアイデアがたくさん議論されてきました。

★その必要性が、教育現場にもようやく降りてこようとしているのか、スルーしてしまうのか。今のところここを現場レベルで議論している教育学者やコンサルタント、ジャーナリストの方はいないですね。そんな本書いたら売れませんからね。もちろん、評価の方法を書いている本はいっぱいあるのですが、現場で起こっていることにマッチングするものはなかなかありません。ほとんどがノイズです。でも、売れれば、経済が循環するから、それはそれでよいわけですが。

★ノイズを遮断し、いまここに現場にある本物のシグナルを察知する仲間が増えることをただただ期待しています。

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2021年11月14日 (日)

由佐美加子さん 新著<ザ・メンタルモデル ワークブック: 自分を「観る」から始まる生きやすさへのパラダイムシフ>出版

★由佐美加子さん。U理論や学習する組織に親和性を共にしている友人―佐野先生や金井先生、川上さんーを通して、前々から噂は聞いていましたし、一度Zoomでお会いしました。それから、ドローダウンプロジェクトに誘われて、私は本を購入するくらいしか協力できていないのですが、その本を介して、自分なりに生徒と対話もしています。また、その生徒との対話が背中を押してくれて、パウロの森と結びつけたプログラムができないかどうか、勤務校のPBLを得意とする数学科教師やフッサール的省察を実践している体育科教師と対話も始めてもいます。まだまだ一粒のカラシダネ段階ですが(汗)。

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★その由佐さんが、新著<ザ・メンタルモデル ワークブック: 自分を「観る」から始まる生きやすさへのパラダイムシフト  2021/11/12 由佐 美加子 (著), 中村 伸也 (著)>を出版しました。まだ予約受け付け中で、手にしていませんが、ド近眼がゆえに、kindle版がでたら、ポチります。その時を待つまで、既刊の<ザ・メンタルモデル 痛みの分離から統合へ向かう人の進化のテクノロジ 2019/8/31 由佐美加子 (著), 天外伺朗 (著)>をポチりました。

★高校生が内面の景色を立ち上げたり、世界観レンズを磨いたり、内面の魂をどうやって生成していくのか、どうやって隣に座って対話していくのか試行錯誤・探索の日々ですから、同書の4つのメンタルモデルは響きました。

A 価値なしモデル「私には価値がない」
B 愛なしモデル「私は愛されない」
C ひとりぼっちモデル「私は所詮ひとりぼっちだ」
D 欠陥欠損モデル「私には何かが決定的に欠けている」 

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★このメンタルモデルという自己と向き合う対話は、実は20世紀型教育では排除されてきた実践です。それがゆえに21世紀型教育で、そのような魂の対話を取り戻そうとして、学力定着のためのPBLではなく、魂の連帯の息吹を生み出すPBLを仲間と提唱し、共感し、実践しているわけですが、学力定着という客観的な知識を覚えればよいーそしてそれは同時に主観的なものや創造的なものは評価できないんだから、排除すると置き換えることができますーという近代の影の勢力との攻防にふと疲れている自分を見出す時があります。

★しかし、こちらがつかれている時も、そのとき排除したってなくなるわけではない生徒たちの主観がサイバー世界でその光と影を増幅しているのです。起業家精神旺盛な主観が広がっている場合もあるし、まさに4つのメンタルモデルがそれぞれ自己統合しないで、分離されたまま、さまよい閉塞している様子も広がっています。

★どうやって、魂の連帯を取り戻せるのか。同僚の教師と日々取り組んでいるわけです。ということに同書は改めて気づかせてくれました。明日からまた手を広げて立ち臨んでいこうと勇気をもらったような気がします。

★朝から、妻と私たちの家族のメンタルモデルはどれだろうと盛り上がりもしました。妻とインドネシアで生活している娘もその夫もアーティストです。夫の方はバイオアーティストで、そのチームはGoogle協賛のスプリントで優勝して、今度MITでプレゼンらしい。もっともZoomですが。まさにドローダウンを私より先に実践しています。

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★芸術音痴の私だけが、違う世界にいるんですが、妻は子供のためのお絵描き教室を母校の美大生と開催しながら、同時に人類誕生以前の文化人類学的考察とかいうテーマでリサーチし、テンペラ画や染色的絵画を描いています。

★娘は、ジェンダー関連のアーティストたちとリサーチアートをやっています。息子が生まれて、仕事と子育ての両立に悪戦苦闘して妻とラインで毎日のように連絡をとりあっています。妻も私(山の森の学校なので単身赴任でたまにしかいっしょにいられませんが)も画面越しに孫と会えるのは喜びです。テクノロジー万歳って感じです。

★ともあれ、芸術とは無縁の私ですが、芸術はそれぞれ何か大きな存在との対話ですから、教育も何かつながりはあるでしょう。いずれにしても、そんな大きな存在と自分たちの小さな存在のギャップをどう弁証法的に=対話的に近づけながら、その大きな存在の本質が何か明らかにしたいというメンタルモデルはたしかに、あるなあと同書を読んで、妻と共感しました。つまり、私たちのメンタルモデルは、欠陥欠損モデルなのかもしれないと。

★そして、まさかメンタルモデルは遺伝するわけではないよねと。でも、親和性と遺伝はどこか関連するかもしれないと。

★いつもは、絵画や音楽、アートワークを介しての対話が多いのですが、今朝は久々本を介して対話。読書のすばらしさを再発見しました。ありがとうございました。コモングッドに向けて明日からまた歩んで行けそうです。

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2021年11月13日 (土)

New Power School デジタルツインで教育市場を創出する局面へ World X education Market(世界変容型教育市場)

★先週、小田原で、私学経営研究会に参加していた時、プログラムの合間で、日本&東京私学教育研究所の所長平方邦行先生とデジタルツインやメタバースの世界変容(World X)型教育市場の立ち上げ局面について雑談しました。フッサールの相互主観がコモングッドに共感できる対話が学校現場でいかにしたら可能になるのかがテーマでした。このテーマは、現状どこも手を付けていないので、現場は悲鳴を上げています。

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★この苦難を乗り越えるには、リアルな世界ではそもそも収拾できないでいるわけですから、ここにいくら道徳を持ち出してもうまくいきません。ハイブリッドは、まだリアル>サイバースペースなので、根本的な解決はつかないのです。

★相互主観のコモングッド問題は、メタバースからやってきているので、そこにポジショニングを置かなければ解決がつきません。

★この点に関して、日本の教育市場はまったく動けていません。市場が働かない公立学校では、このメタバースの発想は生まれてこないシステムになっているので、やはり私学に期待がかかるのですが、それに気づいている学校というより人材はまだまだいません。もちろん、S大学の1年生Nさんと私たちはNさんが卒業するときには、そうなるように準備をしています。

★マーケットはある程度

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★新市場というのは、アーリーマジョリティまで拡散しないと動きません。今、ようやくNew Power Schoolの勢いが増し、首都圏の中学受験市場では、アーリ―アダプター領域を超え、したがってキャズムを乗り越えて、アーリーマジョリティ領域まで少し食い込みました。

★イノベーター理論の各領域のシェア率は、科学的に検証されているわけではありませんが、50,000人の首都圏中学受験生の学校選択をカテゴライズすると、ぴったり当てはまるのです。

★しかし、GAFAの動きがはやく、ハイブリッドではなくデジタルツインのメタバースの世界に突入しているので、日本のNew Power Schoolの中にも、すでに発想が古くなってしまっている学校がでてきました。マーケットがないので、コンサルタントやICT系の企業は、目に見えるもので商売をしますから、当面New Power Schoolは次のステージが見えない期間が続くでしょう。2024年までは、2011年ころに生まれたNew Power Schoolの仕掛けを追い続けるでしょう。ここにNew Power Schoolのプラトー状態が続きます。

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★現状のNew Power Schoolは、上記座標の第3象限、第4象限のどちらかに与しています。この座標はもはやOld Power Schoolは組み込んでいません。それは別の座標でカテゴライズする必要があるだけです。いずれにしても、2025年から、Old Power Schoolは、Z世代の次の世代にとっては、スーパーOld Power Schoolになるので、放置しておいても、マーケットから退いていきます。もちろん、起死回生で変容して復活することはありますが、そのときは、世界X教育市場か経済X教育市場かどちらかにポジショニングを決めているでしょう。

★結局、ここにいるのは、開成、麻布、女子学院ということになるでしょうね。それから、もちろん、現在のNew Power Schoolからそのどちらかのマーケットに位置するところがでてくるでしょう。

★平方先生としては、私立学校は、世界X教育市場を創出する側に回って欲しいとビジョンを創っていますが、最近ではリバタリアンの学校やコンサルタントが斜めから切り込んでくるので、経済X教育市場創出の勢いと競争関係になると思います。

★とはいえ、それは2024年からなので、この3年間で準備をしようということです。

★当然グローバルシチズンシップを広げる動きになりますが、このグローバルシチズンは、あくまで、世界X教育市場というデジタルツインの第1象限で活躍します。経済X教育市場は、グローバルリバタリアンが活躍します。

★私立学校の良いところは、未来を見ながらいまここで対応しながら働けることです。企業は未来を見ても、実際は目の前のマーケットで比較優位の競争を避けることはできません。

★これほどまでの新しい世界変容がなかった20世紀は、未来と言っても、効率性や実用性の向上だけで成功できたのですが、デジタルツインになると、その効率性は非効率性に転じ、実用性は無用の長物になっていく可能性が高いのです。

★本間はまた馬鹿なことを言っているといわれるでしょうが、こう語っているうちに、デジタルツインな世界で、世界変容型教育市場に投資する方が現われてくるでしょう。期待しています。

★法改正や制度設計の再構築がちょっと時間がかかりそうなので、そこをショートカットできる方法を考えねばなりませんが、現状の制度設計でそれが出来る領域もあります。すでにそこをつかって、リバタリアン教育市場を拡大しているところはあります。

★そこが、インターサブジェクトのルネサンスに火をつければ、一気呵成に経済X教育市場が立ち上がるでしょう。

★それに対応できるように、私立学校は世界変容型(世界X)教育市場を立ち上げる準備をしなければなりません。

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鈴木裕之さんとの対話 帰国生入試×英語入試×思考力入試が垂直的序列を破壊し、水平的多様性へシフトする。聖学院が注目されるわけも納得。

★昨日、GWEで、主宰の鈴木裕之さんと対話しました。テーマは、GLICC Weekly EDU 第54回「帰国生・国際生も注目! 英語/思考力入試ー本間勇人さんとGLICC鈴木の対話」でした。改めて、多くの気づきを得ました。鈴木さんありがとうございました。詳しくはぜひご視聴ください。ここでは、2つの気づきと、私が提示したグラフのミスを訂正させていただきます。何せ、リハなし、ストーリーなしのインプロライブだけに、ミスもあります(汗)。お許しください。

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★1つは、帰国生・国際生入試の入試問題を、思考コードで読み解いていくと、これは、もし日本語だと、開成や麻布、桜蔭の論述部分の問題、あるいは早稲田大学の政治経済学部の個別入試の総合型問題、つまり思考コードではB軸・C軸の問題が多数出題されているという事実が再確認されました。

★帰国生は、国語や算数、社会、理科の教科テストでは、開成や麻布、桜蔭に合格する生徒とは肩を並べることができない生徒もいるけれど、その生徒の素養は、開成や麻布、桜蔭に入る生徒以上の能力を持っている可能性があるということを示唆しています。

★そのような生徒が、今帰国生に爆発的に人気の聖学院、富士見丘、かえつ有明、文化学園大学杉並、三田国際、広尾学園などに入学していくわけです。それは偏差値という垂直的序列を壊していくはずです。

★また、もし英語で行えば、帰国生入試と同じ質、いやそれ以上になる思考力入試は、英語や国語や算数、社会、理科の教科では、開成や麻布、桜蔭に入れないけれど、C軸思考だけは、抜群の能力を持っているという生徒が入学していく聖学院が人気が高い理由は納得です。しかも、入学後、その生徒が目を見張るタラントの開花をし、結果的に大学進学実績も高めているのです。

★聖学院の児浦先生は、もはや大学進学実績がどうのこうのという話はしません。コモングッドを生み出す知と愛情を生徒と共有すれば、そして社会実装すれば、大学入試問題はもはや簡単なのだと。

★もう一つは、帰国生や国際生の過半数以上は、PBL授業でなければ、承服しません。だからPBL授業を行っているところを探します。聖学院や富士見丘など先ほど挙げた学校はすべてPBLをやっています。それから来週対話させて頂く和洋九段女子もPBL授業は実に質が高いのです。量もすさまじいですね。

★しかも、そのPBLは、特に英語で行っているコースは、授業の手法として行っているわけではないのです。グローバル・シチズンシップを同時に養うことにもなっています。

★つまり、PBLを拒否する学校は、国家追随型の発想があり、PBLをやろうとする学校はグローバルシチズンシップを大切にしている学校だという選別ができてしまうわけです。ちょっと恐ろしい気づきでした。勤務校もPBLをやってきてよかったとふと思いました。

★しかし、恐れずに言いますと、グローバルシチズンシップは、国家と市民社会の共生を考える発想があります。それゆえ、欧米の多くの民主主義国家は、ナショナルカリキュラムはなく、各自治体に委ねられています。日本も初等中等教育は、公立は国家の管轄、私立は自治体の管轄となっています。ときどき、折に触れ、国は、私立も国家に併合しようという動きをしますが。。。。

★いずれにしても、たとえば、J.S.ミルなどは、「自由論」の中で、表現の自由と翻訳されているところは、実はディスカッションの自由のことを言っているわけです。授業の中でディスカッションができるPBL授業をやっているかどうかは、そのような背景が見え隠れするわけです。

★私たち21世紀型教育機構の加盟校のPBLは、デューイ×パース×ジェームズのプラグマティストたちの発想を受け継いでいますが、彼らは、あくまで近代民主主義を生み出す教育を目指していました。その土台を形成する教育がPBLだったのです。特に聖学院は、キリスト教的なグローバルシチズンシップを創設以来育成する教育を持続可能にしています。

★それから、ミスしたグラフは次のグラフに置換えて頂きたいのですが、番組の中で使ってしまったグラフの傾向は、話の趣旨を変更することはありません。したがって、文脈に影響はありません。

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★これだけ、英語入試のシェアが広まっていく中で、中には、帰国生・国際生入試と同じような質感の問題を出題しているところが増えてきました。小学校5・6年生の英語教科化は、それに拍車をかけています。

★帰国生でなくても、思考力入試を受けなくても、英語だけで、入学する生徒もでてきていますが、それは思考力入試で入学する生徒と同じような傾向を生み出しています。

★誤解して頂いては困るのは、だから、御三家は衰退するなどということを言っているのではありません。水平的多様性が起こり、フラットになるだけです。多様な価値観のクラスターが生まれ、どのクラスターを選ぶかは自由です。サンデル教授ではありませんが、その価値観の比較優位的な能力主義の専制という今ままでの垂直的序列が崩れるというだけです。

★2022年の中学入試は、日本の教育の新たな地平を拓きます。私の勤務校は高校だけなので、受験という角度では当事者ではありませんが、私立学校の今後を洞察する身としては当事者です。ウォッチし続けたいと思います。

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2021年11月12日 (金)

聖学院の進化/深化/真価 コモングッドを追究するグローバルイノベーティブ教育が国内外で認知拡大

★GLICC Weekly EDUを主宰している鈴木裕之さんが、インパクト記事を掲載しています。「聖学院のオンライン国際生入試受験者数 500%増!」がそれです。同校は、思考力入試で、すでに国内の中学入試マーケットでは高く評価されていますが、いよいよ海外の中学入試プレイヤーにも高く認知されたという記事です。理由は同記事をぜひご覧ください。

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★21世紀型教育の先鋭的な推進校ですが、教育だけではなく経営もコモングッドを追究するZ世代にとって理想的かつ現実的なデジタルツインな学校です。マーケティングもブランドアクティビズムという全く新しい手法を活用しています。超大手広告代理店も、パンデミックを経験してここに気づきましたね。

★比較優位マーケティングから善なる言動によって人々が幸せになるというマーケティングに転換しているのです。メリトクラシー市場からwellbeing市場を創出する経済を教育イノベーションで活性化するまさに2089年を先取りした教育です。

★私もマインドだけでは追いつくのですが、聖学院のように理想的なものは現実的なものという実践はまだまだです。しかし、このようなスーパーモデルの存在意義は、日本、いや世界のZ世代にとって希望以外の何物でもないことは間違いありません。

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2021年11月11日 (木)

私学経営研究会 私立学校の働き方改革進む

★本日は、私学経営研究会理事長・校長部会に参加しました。1泊2日ですが、例によって私は初日だけ参加できました。といっても、午前中の開会式には間に合わず、事務局の方々にわがままを申し上げ、丁寧にご対応いただき、本当にありがとうございました。午後からは、お二人の弁護士先生による「私学の教員の労働時間管理について」でした。そしてその後、私の勤務校である聖パウロ学園の高橋博理事長・学園長の事例発表でした。経営インパクトのある話でした。テーマは「変形労働時間制」の経緯と苦労話と成功例などについて。

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★詳しくはさすがに企業秘密の部分が多いので、述べられませんが、働き方改革へ私学が動き始めている意志を感じました。その後、分散会で、弁護士の先生を交えて情報交換やアイデアについて対話がありました。

★制度設計の話と制度設計ではなかなかうまくいかない部分の両方がはっきりしたのは収穫でした。

★それを解決するには、労使関係の闘争や法廷論争ではなく、別の方法があることも気づきました。

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★勤務校は少人数だからやりやすいということがわかりました。

★改めて、少人数制は生徒のみならず教師のライフにも好循環を創り出せるのだと実感。

★いくら今の制度設計でリスク回避をしようとしても、教育の現場の根本的な問題は解決しないようです。

★経営者のためだけの働き方改革から、組織にかかわる教職員、生徒、保護者全体のライフをどうするのか、そのためのアイデアづくりの第一歩が始まったという感じです。教育は深いですね。深イイという意味と深刻という両方の意味をはらんでいますが。

★ともあれ、みなといっしょにがんばります。

 

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総合型選抜や適性検査型(思考力入試)の増加の意味~メタ相互主観の時代がゆえの対話の重要性

★大学入試ではまさに総合型選抜入試がピークを迎えている時期ですが、文部科学省によると2021年は2020年に比べ国公立大学学部で実施している同入試は増えています。おそらく2022年春までに行われる総合型選抜はさらに増えているでしょう。

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★一方首都圏中学入試における新タイプ入試(適性検査型入試・思考力入試・PBL型入試・自己PR入試等)も、首都圏模試センター教育研究所調べによると増えています。

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★2021年度入試において、総合型選抜を実施する国公立大学・学部の割合は、いずれも50%を超えています。また、首都圏中学入試における新タイプ入試実施校は30%を超えています。もちろん、これは実施校数であり、受験者数はまだそこまではいっていないでしょう。

★ただ、大事なことは、組織としての大学や学校が、従来の一般選抜入試だけではなく新しい入試システムを開発・導入するシェアが増えたというコトの意味です。

★一般選抜は、大学入試においても中学入試においても知識・技能が中心です。つまり思考コードで言えばA軸B軸の領域です。一方総合型選抜や新タイプ入試は、論理的思考・批判的思考・創造的思考、つまり思考コードでいえば、B軸C軸の領域です。

★これは、客観的な知識やデータを論理的に扱うだけではなく、生徒の主観も評価対象にしようという流れがマイナーではなくなったということを意味します。

★今までは、そんな主観的なアイデアは、評価できないよという話でした。ですから、授業も客観的とされている内容ばかりを扱っていたのです。何を言ってもいいかもしれないけれど、それは主観だからテストには関係ないと斬り捨てられてきた領域です。

★ところが、思考力というのは、主観が重要です。好奇心や興味関心、主体性を大事にするとなると、当然ながら主観の領域が加わります。多様な考え方や感じ方が大事だということは、シンプルには主観が大事だよというコトです。

★主観は自由です。この領域に対し、コントロールという指導が入ると、個性はだいなしになります。思想や表現の自由の領域でもありますから、指導は容易ではありません。しかし、この領域こそ、クリエイティブクラスの真骨頂があるわけです。

★この主観の領域を実は探究だとかPBLだとかいう学びの場に持ち込んだのが、今回の学習指導要領でもあります。

★個別最適化というのは、いまのところ、客観的知識記憶と操作の定着度の違いを細分化して、効率よく到達度を高めるシステムで、生徒の存在の成長には直接関係ありません。ですから、個別最適化をやっているということを誇らしげにしていると、いつのまにか生徒の存在は無視されているということもあり得ます。なお、個別最適化=ICTではありません。むしろICTは主観性の発露なのです。

★それはともかく、主観の部分を大切にしているチュートリアルを導入している学校や大学は、まさに主観の部分を大切にし、クリエイティブクラスが生まれる環境を作っていると言えます。そして、総合型選抜や新タイプ入試を実施している大学や学校は、そこを自覚しているということを意味します。

★しかしながら、この主観は恣意的なものも含みます。その正当性・信頼性は検証しまなければなりません。それゆえ、アブダクションという仮説型推理が重要なのですが、正当性・信頼性のある主観というのは、独善的でも恣意的でもないがゆえに、相互に信頼し尊重する主観です。これをインターサブジェクトというのだと思います。インタサブジェクトあるところに、コモングッドがあります。これがブランドアクティビズムという新しいマーケティングでもあります。マーケティングは主観を昔から扱う学問ですね。

★また横道にそれましたが、インターサブジェクトは日本語では、相互主観とか間主観と訳されています。第二次世界大戦前夜までフッサールが提唱してきた概念ですが、全体主義者には、こんな主観は危ういので、排除されたものです。実際ユダヤ人であったフッサールは追い詰められて亡くなります。100年たって、今ようやく教育現場に相互主観が導入されたわけです。

★総合型選抜では、志望理由書や口頭試問で、この相互主観をベースにした自分の考えを語らなければなりません。そして、さらに大事なことはこの相互主観が独善的でないことをモニタリングしておくことが大切です。このモニタリングを経て形成される相互主観をメタ相互主観と呼びましょう。

★現状の総合型選抜や新タイプ入試というアドミッション領域で起きていること、それをウケて授業でPBLが行われているというコトは、このメタ相互主観を尊重する時代になったというコトを示唆します。

★それゆえ、メタ相互主観の形成過程では、多様な葛藤が起こります。今までは客観的でないと抑圧していればよかったのですが、解放されたのです。望ましいことではありますが、学校現場ではその形成過程にありますから、様々な葛藤が沸騰し、内面のカオスを生んでいます。コーチングとカウンセリングを発揮しなければなりません。文部科学省はそこを乗り越える制度設計をしなければなりませんが、そこは全く動けていません。

★現場でなんとかしなければならない状況になっています。そして、一方で、その中でコーチングとカウンセリングを駆使するリーダーが現場から生まれていることも確かです。しかし、問題は彼らをリーダーとして認識する眼鏡を経営陣が持てるかどうかですが、そこは当面、現場と経営のギャップがあるでしょう。2045年に向けてこのギャップを埋める対話が噴出することです。

★そのギャップを埋めない組織は淘汰されます。メタ相互主観を尊重し生成する対話の時代だということは間違いないでしょう。

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2021年11月10日 (水)

<超人気>を持続可能にしている学校の共通点~2つのコンプレックスをクリアできる自己変容型マインドが生成されているコト

★今年は、21世紀型教育機構の学校以外にも深いお話をお聞きする機会が多くなりました。昨年までは、数だけでいえばもっと多くの学校の先生方と話をしてきましたが、どちらかというと戦略的な話が多かったような気がします。生徒募集の方法、カリキュラムマネジメントの方法、進路指導の方法、PBLの方法等々。私はプラグマティックな価値を大切にしているので、もちろん、今も方法論とその実践的検証を重視する点は変わりません。方法とは私にとっては、存在の価値が生成される関数的な環境設定ですから、理論と実践と方法は循環的な統合をしていると考えています。

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★今年は、学校における経営陣や教師、生徒、保護者のそれぞれの存在価値を生み出す組織の方法について対話する機会が増えました。そういう意味では、方法論の新たな局面で対話するようになったということかもしれません。関数の次元や係数が増えたというコトでしょう。毎週金曜日、GLICC代表の鈴木裕之さんの主催するGWE(GLICC Weekly EDU)に出演させていただいていますが、そこで、そういう局面に毎回出会っています。また、私立中学高等学校協会やカトリック連盟の多様な会合に参加する機会も増えました。

★その中で、3年くらい人気が上昇し、その後ある一定の実質倍率を持続可能にしている<超人気>学校の組織のあり方として共通しているコトがあることに気づきました。また逆にこの共通点を持っていないと、人気が上昇しても、失速することもあるという恐ろしさがあるコトにも気づきました。

★その気づきのレンズを知ったのは、あの文嚮社から出版されているチョン・ジョヨンさんの「SIGNAL 10億分の1の自分の才能を見つけ出す方法」文嚮社 2021/9/10 チョン・ジュヨン (著), 鈴木沙織 (翻訳)」がきっかけです。10月から東洋経済ONLINEで、チョン・ジュヨンさんが同書から少しずつ引用しながら、折々のニュースに関連させて、同書を紹介している記事の連載を見て、知りました。

★それとホンマノオトで以前からご紹介しているロバート・キーガン教授の考え方やコトラーとクリスチャン・セーカー共著のブランド・アクティビズムという新しいマーケティングの考え方がスクランブルしたからです。

★この複数の著作をスクランブルに導いたのは、勤務校で生徒と対話している聖書のマインドです。そこには、スクランブルで現われた2つのコンプレックスの克服方法について書かれています。

★その克服すべき2つのコンプレックスというのは、ヨナ・コンプレックスとアカンタ・コンプレックス(アカンタ:棘)です。その言葉を使ってはいませんが、聖書に収録されているパウロの手紙などで問い続けられています。ダ・ビンチはそれをあの「最後の晩餐」で描いています。

★考えてみれば、シェークスピアのアンビバレンツというテーマにも通底しているかもしれません。夏目漱石やフロイトの著作がロングベストセラーなのもこのテーマが通奏低音さながら響いているからかもしれません。

★この存在のパラドクスを解く方法をブランド・アクティビズムとして学内外に浸透させている学校が、人気上昇の期間を経て、失速せずに<超人気>に行き着いているわけです。

★2024年から2045年にかけて、生徒数が急激に減少していきます。岸田政権のみならず世界同時的に新しい資本主義を巡って当面K字型格差成長をしていく状況に直面します。まずは2022年問題があります。都市からの転出率が増加が止まらなければ、いろいろな領域で淘汰が始まります。学校も例外ではありません。

★そのとき、生徒のみならず、生産年齢人口に相当する人々は、みなこの2つのコンプレックスに襲われます。すでに襲われているのですが、もっと露になるということです。それがゆえに、我が子には、この2つのコンプレックスをクリアできる学びの場(学校だけではなくなるでしょう)を探し始めます。

★経営陣も自身にふりかかる2つのコンプレックスを乗り越える自己変容型マインドを求められるのは、教師や生徒、保護者と同様です。

★しかしながら、これは内面にふりかかる相互主観のブランド・マーケティングの挑戦です。心理学的な理論ではなく、プラグマティックな経済社会も巻き込む関数循環関係ですから、新市場が創出され、ようやく新しい資本主義を支える根本的な循環の泉を生み出すでしょう。もちろん、デジタルツインな世界づくりです。現政権がそこを捉えているかどうかはわかりません。

★デジタル田園都市構想がこれにあたるかどうかもまだ定かではないですが、2022年問題のようなゆらぎは、日本だけではなく、すでに世界でも起きています。空間の囲い込みは新しいコモンズとしてメタバースの世界に移行し、コモンズの悲劇をクリアすることになります。

★またまた、本間は馬鹿げたことを言っているといわれるでしょう。1998年のときもそういわれました。2011年のときもそう言われました。2021年の今もそう言われています。長いスパンの未来は予測はしにくいです。しかし、10年くらい先まは、すでに多様で多角的な情報であふれています。それといまここで起きているけれども近代以降なかなかクリアできない根源的問題を照らし合わせれば、だいたいの予測は誰にでもできます。

★もちろん、明日はどうなるかはたしかに予測不能です。しかし、それが地球滅亡というほどの予測不能というものではないでしょう。いや、もちろん宇宙の話をしだすとそれすら予測不能です。それゆえ、推理しながらいまここで根源的な問いをクリアしようとする意志の力が求められるのでしょう。その意志の力が生成される組織のあり方が肝要だということなのかもしれませんね。

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2021年11月 9日 (火)

桐朋女子の<凄すぎる>魅力 吉川陽大先生との対話

★先週の金曜日、<GLICC Weekly EDU 第53回「桐朋女子 ことばとコミュニケーションで成長するー吉川陽大先生との対話」>で、桐朋女子の広報担当の吉川陽大先生と対話しました。桐朋女子の名前は、卒業生のスーパー活躍で、メディアでよく取り上げられます。最近もジュネーブ国際音楽コンクールのチェロ部門で、上野通明さんが、日本人初となる1位に選ばれました。ついこの間もショパン国際コンクールで、反田恭平さんと小林愛実さんが、ダブル入賞を果たしたばかりです。3人とも桐朋女子高等学校の音楽科の同窓生です。同じキャンパスにある女子校も、芸術的な雰囲気で満ちていますが、まさに昨今注目されているアート思考は、創設当初からあると言っても過言ではないでしょう。

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★現在の桐朋女子の独特かつ自由な教育の基盤を築いたのは、生江義男先生が有名ですが、先生の教育改革は、今では多くの学校が注目し、実践し始めているところもあるぐらい先見性があったし、今になって他校で広まるというぐらいインパクトがあります。

★時代を超える教育改革というのは、普遍的で本物だということを体現しているわけですが、今も同校の日常に脈々と息づいている様子を吉川陽大先生は丁寧に具体的に生き生きと誇りをもって語ってくださいました。

★私がここで語るより、論より証拠、YouTubeをぜひご視聴ください。生徒の言葉を借りれば、<凄すぎる>桐朋女子の魅力を感じることができます。

 

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2021年11月 6日 (土)

工学院 高2探究論文発表会~文化としての思考コード

★工学院大学附属中学校高等学校(以降「工学院」)で、高2探究発表会が行われたようです。同校のサイトにバーンと掲載されていました。閲覧していると、発表者の1人が、「たくさんの人に共感してもらえた」と振り返っている言葉が目に飛び込んできました。こういう言葉をすんなり生徒自身が使っているところに、共感的コミュニケーションが同校の文化になっていることがわかります。

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(写真は、工学院の先生方がファシリテーターを行ったセミナーのプリントスクリーンと同校サイトの写真から作成)

★それから、たくさんのポスターセッションの写真が掲載されていますが、どれも魅せるプレゼンを行っている様子が映し出されています。思考コードでいえば<C3>領域で行われていることは明らかです。

★しかしながら、このコードを生徒が意識してつかっているかというと、工学院の場合は、この探究論文をすでに8年くらいやっていますから、もはや意識の中の文化として形成されているのだと感じました。

★文化としてというのは、もはや当たり前になっているということです。

★写真だけでなぜわかるんだと言われる方もいるかもしれませんね。たしかにそうです。実は、この間、工学院の先生方と、対話を積み重ねてきたからそれがわかるのです。

<GLICC Weekly EDU 第51回「工学院×聖パウロ 好奇心からWorld Making Learning作りへー希望の教育がここにある」>で、工学院の先生方と対話をして、その先生方がセミナーでファシリテーター行ったのですが、それにも参加して、そう感じたのです。

★工学院の先生方はPBL型授業を自然体で行いますから、思考コードはすでに当たり前のように意識の中で自動化されています。グローバルプロジェクトや今回の探究論文もプロジェクト型であります。したがって、思考コードは文化として通奏低音を響かせているのは当然でしょう。

★行事等でルーブリックとしての「思考コード」として活用する時もあるでしょう。評価目標を分析的に明らかにするために「思考コード」を活用する時ももちろんあるでしょう。しかし、心身化し文化としての「思考コード」が最強です。

★文化としての思考コードは、デザインとしてのアフォーダンスやマーケットにおける意欲を生み出すナッジとかと同様の機能を果たしているのかもしれません。

★教育目標としての思考コード、評価としての思考コード、学びの文化としての思考コード。使われ方は多様です。考えるとか感じるとか判断するとか、そんな簡単なわけはないということでしょう。

★わかりやすさは氷山の一角で、その水面下では複雑なループが絡み広がっているということでもありましょう。

★わかりやすさだけで、その背景は空っぽということもあります。工学院とは真逆の学校もあります。勤務校もそうならないように、工学院の先生方に学びたいと思います。

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思考コードやルーブリックが広まりつつあるというコトの意味

★よく、モノからコトへというクレジットがマーケティングで使われる。単品ではなく、インターネットなどがつながった事態そのコトがこれからは大事なんだという意味でしょう。ソサイエティ5.0なんだからということでしょうか。すでに、20世紀末からポストモダン批判として、社会学や科学コミュニケーションや文化人類学、哲学などで語られてきたことを商品化した言い方ですね。

★思想がマーケットで売れはじめることは、ものの見方や感じ方が変わるというコトで、モノからコトへというのは、新市場創出のアイコトバでもあったわけです。

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★中学入試で、思考コードやルーブリックというのが広まりつつあるのは、中学入試市場にも、モノからコトへという発想が浸透しつつあることを意味します。今までは、知識という単品のモノが、いろいろつながっていて、繋がっていく先で概念が変容したり、その新しい概念で考え方を創り出したりすることの魅力が語られるようになってきたというコトでしょう。

★相変わらず、思考コードなんてとかルーブリックなんてという方もいます。そういう方々に対し、君たちはわかっていないと目くじらを立てる方もいますが、そのわからないという方は、問題をA1領域でしかつくった経験のない方です。C3なんて問題をつくって、採点できないと思っている環境順応型マインドの段階の方なだけです。

★自己変容は、その方の問題ですから、そこに立ち入る必要はありません。どういう仲間を集めるかは、ガバナンスの問題ですから。

★ガバナンスが、A1認識しかでできない場合、C3までの認識視座をもっているメンバーはつらいだけです。そこで生きていこうと思ったら我慢するしかないですね。

★ガバナンスがC3までの視座があり、メンバーの中にA1の認識しかない場合は、労働関連法規で守られていますから安心です。

★かくして、思考コード問題は、学校においては働き方の問題にもかかわってきますね。あるいは組織開発や人材開発にもかかわってきます。

★いずれにしても思考コード的発想は、A1からの解放ですから、みな幸せになる一歩かもしれません。

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小中学時代に幾何を真剣に学ぶかどうかで、認識の仕方が変わる。多分。

★中学入試は、おそろしく幾何の問題がおんもしろい。ある中高一貫校では、中学時代は幾何の学びがメインになっているところも多いですね。マイクロソフトの入社試験の三角問題はとても有名です。なぜこのような問題を出題するのかネット上でわんさか語られています。

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★公式を暗記してあてはめる能力はいらないというメッセージでしょうか?たぶんそれもあるでしょうが、そうは簡単ではありません。トリックアートとして把握できるかどうかですよね。この図の背景に、直径10の円周が描かれているのが見えているのかどうか。ルビンの壺というやつです。

★数学とアートを結び付けたエッシャーのトリックアートを想起すればピンと来るでしょう。

★しかしながら、そう簡単な話でもなさそうです。もし、これがオックスブリッジのあの口頭試問でだされたら、このような三角形の存在理由やアイデンティティについても対話するのではないでしょうか。

★果たして、これは二次元に描かれているのか、描かれているとしたら、ユークリッド平面ではなく、トポロジーに変換しなくてはならないのではとか、そもそも立体で、鳥瞰する地点がどこなのか。かりに湾曲していたとしたら、どんな方程式で解くことができるのか。

★湾曲している屋根の場合だったら、最初は微積をつかうでしょうが、一般的な面積の公式に係数をかけて出す簡易な方程式を見つけるために使うだけだとか、なんとかいろいろ語れます。

★マイクロソフトのこの問題は、常識を見破る力とか多面的なアプローチができるかとかいう哲学入門的な発想よりも、現実にあるこの図をどのように捉え返して、デジタル処理できるか、そのアイデアをちゃんと出しなさいと言うことでしょう。

★それはともかく、こういう問題を議論すると、幾何と関数、特に三角関数や微積分がストレートに関係することがわかります。私たちがスライドで図をつくるとき、幾何の組み合わせの創意工夫はたしかに大事ですね。

★ところが、小中学校の教科書では、公式を覚える練習問題が山積しているだけで、幾何と関数の関係がみえてきません。

★一方、中学入試は、面積の問題にしても、等積変形など、関数的な計算をします。上記のマイクロソフの三角形も、等積変形すると、二次元ではこの図形はないなあということがすぐにわかります。

★中学入試で、旅人算などの速さの問題も、幾何と座標を結び付けて考えるようになっています。中学入試で方程式を使わないようになどという話は本当かどうかわかりませんが、線分図や面積図なんていうのは関数そのものでしょう。

★面積の問題は、そもそもが積分の問題です。

★幾何の問題は、関数的素養を養ううえで、もしかしたら有効なのかもしれません。トリックアートやトポトージ的な発想を中学時代に加えて幾何を学ぶコトができたら、関数的な認識を養えるでしょう。公式を覚えればそれでよいという認識はなくなるでしょう。

★関数的な認識の方法を身につけないと、アナログとデジタルを往復することができません。これができない教育がなされている現場で、教育改革が進むはずはないし、ましてルーブリックだなんて発想は、観点別という要素還元主義的な認識方法で足踏みしてしまうだけでしょう。

★様々な思考ツールが開発されていますが、あれはデザインロゴのように使われていて、関数的な発想や幾何、とくにトポロジー的な発想で使われていないので、残念です。

★とはいえマイクロソフトのような問い作りをしている先生方も現れています。入試問題的なシリアスな問いから、マイクロソフト的なポップな問い作り。中学入試の算数の問題にはそういう問題があります。麻布の問題はそうですね。それにアナログからデジタルに飛ぶ数の問題も出題されます。

★シリアスからポップへ、アナログからデジタルへ、そしてあるときはその逆へ。この往復関数発想が見える化される学びのホームベースは、幾何かもしれません。

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2021年11月 3日 (水)

第4回SGTセミナーを振り返って~21世紀型教育の教師と学校組織の関係をコーディングする。

10月31日(日)工学院の田中歩先生が総合司会を、そして工学院の若きSGTがファシリテーターとなり、授業デザインのツールをテーマに、オンラインでディスカッションが行われました。若きSGTが集まり、同時に若きSGTが順番にファシリテーターを行う、4回シリーズのセミナーの今期フィナーレを飾りました。

★21世紀型教育機構の理事の方々からその後電話やメールがきて、本当にSGTのクオリティーやパワーなど勢いが盛り上がっていて感動したと。一方で、21世紀型教育のSGTが心地よく力を発揮できる学校組織はどうしたらよいのかと質問がありました。いろいろ議論しましたが、やはりクライテリアが学校経営陣によって違うので、SGTという教師と学校組織のシナジー効果がまだインパクトがないのではないかと。

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★SGTの場合は、思考コードを共有していて、それをベースに多様なPBLが生まれています。それでいて、一つの大きなベクトルが見える化されています。クライテリア(基準)がはっきりしているので、それを意識して自由に創意工夫するとインパクトがあるわけです。目的志向型ではなく、基準ベースの自由なアクションがSGTというブランドを創出しているのです。

★この考え方は、新しいマーケティングの考え方です。コトラーとクリスチャン・セーカーがいっしょに開発したブランド・アクティビズムの考え方です。まだ邦訳がでていないので、教育の世界では、それほどしられていませんが、SGTの活動は利益主義でなく、コモングッド(共通善)を教師と生徒がコモンツール(共通道具)を創り、活用して学び、探究するので、無意識のうちに、新しいSGTブランドを市場にプロジェクト(投影)するのに成功しています。

★組織があらかじめ決めたブランド主義的な目的に向かうのではなく、コモングッドを市場で共有することでマーケットがブランドを創出する新しいマーケティングのコンセプトに成功しているのです。

★問題は、この新しいブランド・アクティビズムを学校組織が創り出せるかにかかっていますが、まだまだ初めにブランドありきという古いマーケティングや経営活動から脱することが難しいので、SGTのブランド・アクティビズムと理解のズレが生まれるか、そのズレに気づかないでいるかどちらかでしょう。

★ですから、学校組織も思考コードなどのクライテリアを共有して、それをベースにガバナンスやマーケティングを行っていくと、加盟校がそれぞれの手法で行っても、結果的にベクトルが1つになるのです。この手法はコミュニケーションという情報伝達共有ではなく、ダイアローグという新しい価値を生み続ける共感的な対話手法が必要です。

★コトラーやクリスチャン・セーカーのマーケティング的な考え方を、教育に変換すると上記のような図になります。とはいえ、私の独断と偏見にすぎませんが。

★ともあれ、そうすると、まだまだ教師と学校組織の関係はB2が多いわけです。加盟校のすべての教師は情熱的ですが、必ずしもみんながSGTではないのです。ですから、B2からC3に行くためにはどうしたらよいかという21世紀型教育のクリアする課題意識を共有できるかできないかが経営陣の腕の見せ所です。

★21世紀型教育機構では、このような議論をラディカルにできるのですが、機構以外で21世紀型教育を行っている多くのNew Power Schoolでは、まだA2やB1の状況が多いのではないかと思われます。

★20世紀型教育でも、ICTを導入することでC1くらいには位置できるので、マーケットでのインパクトがまだまだ学歴階層価値志向が強固ですね。

★21世紀型教育市場は、まだまだC3領域では拡大していないので、今後このC3での拡大をどうしていくのか。果たして経営陣が思考コード的な関数関係主義的な、つまり構成主義的な発想を持てるのか。

★もてなければ、日本の教育は、日本型学校教育という箱の中に収納されて、世界型学校教育を創れずに、終わります。2030年、脱炭素社会と言われていますが、そもそも衰退経済社会を起死回生にもっていける人材を生み出すことができないまま大変なことになっていくかもしれません。

★日本沈没はドラマの話で終わらないかもしれません。そうならないように、SGTとプログレッシブな学校組織がC3に向かうベクトルを生み出すブランド・アクティビズムをデザインしていきたいものです。

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2021年11月 2日 (火)

死者のためのミサ 亡くなった愛する人及びコロナ禍にあって犠牲になった方々を想い生きることの精神とは何かを捉え返す機会 

★今、モーツアルトのレクイエムを聴きながら、今日の勤務校での死者のためのミサを思い出しています。Requiemとはラテン語で、安息をという意味。鎮魂歌と訳されますが、死者の安らぎを祈るためのミサ曲といった感じです。レクイエムと言えば、モーツアルト、ヴェルディ、フォーレが有名ですが、フォーレは祈りというか観想の雰囲気のある柔らかい質感です。一方、モーツアルトとヴェルディは、結構激しいですね。フォーレはいきなり死者の安息へと誘いますが、特にモーツアルトは、死者の生前の嵐の中を通り抜ける生きざまを想起させるような曲想です。レクイエムなのに、静かになるどころか、自らの生を奮い立たせ、凄まじい生き様を生き続けよと逆にエールを贈られるかのようです。

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★多くのカトリック学校では、節目節目でミサを行うでしょう。プロテスタントの学校では、聖学院や女子学院のように毎朝礼拝を行っているところもあります。特にクリスマスや復活祭は大切な祈りの機会となるのでしょう。

★しかし、教会歴の11月の死者のための月に、信者あるいはその学校関係者という限定つきで行うことはあるかもしれませんが、それを超えて世界の人びとのことに思いを馳せることはそう多くはないかもしれません。

★カトリック学校といっても、今やどこも信者の生徒は多くはありません。今回も聖体拝領にならんだのは、数人の信者の生徒と上智の神学部に進むことが決まっている生徒たちでした。

★しかし、クリスマスなど、信者であろうがなかろうが、世界規模で行われる行事ですから、死者のためのミサも、もはや信者であるかどうかは問題になりません。

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★むしろ、コロナ禍及び気候変動による環境悪化、テロや専制的な圧政下で、苦しんでいる人々に<関心>の想いを馳せ、自分は生物学的あるいはフィジカルな生をいかに捉え返し、意味を見つけ、アクションを起こしてその意味を永遠の精神に持っていけるのか、生き様を描き続けることができるのか、関谷神父の言葉を借りれば、死ぬことによって永遠の命を生きるというパラドクスを解いてみせるのかに想いを寄せる機会となればよいと思います。

★不思議なことに、夏期講習以降、総合型選抜などの推薦型選抜の準備を契機に、生徒とスクールモットー(黄金律)をベースにした経営や哲学、正義論、法律論などについて対話する機会が増えます。いろいろな本や資料を読んだり、ミニ小論文をもとにピアレビューの昼休みを過ごしたり。

★生徒にとって、授業や部活、行事以外に、パウロの森やミサという体験も、宇宙規模の包括的な世界観作りのチャンスになっている可能性があるということを感じた日でした。

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女性のスーパーグローバルティーチャーは誰ですかと問われました。

★ある情報誌の編集者から、「本間さんなら、女性のスーパーグローバルティーチャーは誰を推薦しますか?3人を」と問われました。世の中にたくさんいるので、難問です。ですが、専門性が高いと同時に、哲学や思想など自分なりの世界観を持って発信できる先生、そして世界的視野をもって生徒の自己変容に影響を与えられるリーダーシップを持っている先生だろうなあと。あっ、それから思考コードや思考スキルなどを活用して暗黙知と形式知の往復が出来る先生。

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★そうなってくると、たくさんいるのですが、GLICC Weekly EDUで、鈴木さんと私と対話していただいた先生はみなそうだなと。で、たどってみたら、ちょうど3人の女性の先生とまるまる1時間話している動画がありました。

★26回めに、聖学院の本橋先生と対話。数学の教師でありながら多言語堪能で、数学は哲学というアプローチでPBLを行っています。新タイプ入試の思考力入試を一早く開発した先生であり、帰国生入試の広報でも活躍しています。先生が6年間担任して卒業していった生徒のみなさんは、みな自己変容しています。

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32回目は、成城学園の青柳先生と対話。広報部長で、日本教育史についての見識者。三角ロジックと思考コードをベースにしたPBL型授業を実践されている国語科教師でもあります。生徒が社会課題へ高い意識をもち、問題解決に対する思考力・判断力・表現力を豊かにしていける学びの場をプロデュースしています。理論と実践とマーケティングの統合力の手腕が優れている先生ですね。

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49回目は、湘南白百合の水尾先生と対話。広報部長かつ教頭で、学校のガバナンスから3ポリシーをデザインするリーダーシップがしなやかで強烈です。なんといっても、生徒と共に探究していく学びの理論が明快だし、学びの空間づくりもファシリテートしていくマルチインテリジェンスな先生です。

★実際に対話の内容を視聴していただければそのすばらしさがわかるので、エビデンス付きで以上の3人の先生をご紹介しました。

★まだ、直接お会いしたことがないのですが、様々なメディアで拝見する昭和女子大附属昭和の真下校長の革新的教育のリーダーシップパワーには、いつも刺激を受けています。大いに関心がありますということもお伝えしました。もっとも、真下校長はスーパーグロバルプリンシパルと言うべきでしょうが。

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2022年中学入試 三田国際の「超人気」の意味。

★ありがたいことに、ホンマノオト21をご覧いただいている方から質問がありました。その方のお子さんは「超人気」の三田国際を志望しているようです。したがって、<2022年中学入試 人気上昇校101 首都圏模試センター公開データから見えるコト>を見て、当然三田国際が載っているだろうと思い、見たら、載っていない。これはどういうことなのかというご質問でした。それは思ってもみなかった質問でした。私は、すでに本ブログの記事<三田国際学園 世界の学校へ突き抜ける 2027年中学受験地図はガラリと変わる。>で、同校は不動のポジショニングを得ていると評価していたからです。

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「AIに負けない自分で考える子どもを育てる 21世紀型教育」 2018/11/2 大橋清貫 著・本間勇人著」から 

★三田国際の場合、首都圏中学受験生約50,000人のうち、イノベーター理論でいう「イノベーター」というカテゴリーに入る保護者が選択する完全中高一貫校です。突き抜けた21世紀型教育を推進しているので、学歴階層構造にこだわっているレイトマジョリティーやラガードは選択することは稀でしょう。

★入学者は200人くらいでしょうから、結局イノベーターである1250人は、みな受験するでしょう。倍率は15倍(実受験者数/入学者)を超えますから、3000人強は受験するはずです。アーリ―アダプターから1750人受験するでしょう。三田国際に行きたいけれど、行けないから他の21世紀型教育推進校を受けようというメンバーもアーリ―アダプターにはいます。

★三田国際は相当難しくなっているので、結局イノベーター1250人とアーリ―アダプター1750人が受験して、それ以外は敬遠します。

★この状況の意味するところは、三田国際は不動のポジショニングを得ているということなのです。これは、いわゆるアーリーマジョリティやレイトマジョリティのボリュームゾーンの中で人気がじりじりと右肩あがりになっているという状況とは全く違います。

★中学受験生の保護者だから全員が進取の気性に富んでいるというわけではないでしょう。もしそうだとしたら、学歴階層構造がこれほど強固なはずはないのです。

★三田国際は、学歴階層構造の発想を超えています。その見識のとても豊かで高い保護者が受験生と共に探し当てる学校です。そういう意味では、質の高い人気です。それゆえ「超人気」だというわけです。

★そんな馬鹿な、アーリーマジョリティ―にだって広まるはずだといわれるかもしれません。それはたしかにそうでしょう。しかし、入学難度が高いのですから、敬遠されるでしょう。キャズムがと言われるかもしれませんが、それは企業のマーケティングの話です。売れば売るほど利益があがるという発想のお話です。

★しかし、私立学校の定員は決まっていて、大幅に超えて入学させることはできないのです。三田国際の場合、ある意味イノベーターを独占していますから、キャズムは全く関係ないのです。

★定員は一定ですから、質がうなぎ上りになるだけなのです。それを「超人気」というわけです。人気上昇とは志望者数が伸びるという意味です。つまり、量です。

★最初は人気は量から始まります。しかし、途中で難しくなるのですから、敬遠され質が高まる一方となるわけです。三田国際は量から質に完全に移行したのです。

★人気上昇という現象は、学校が進化する過程で生まれます。その過程を通過した三田国際は、質が上昇するようになるだけなのです。

★そのようにお答えした次第です。

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