難関校攻略ハンドブックでわかること
★前回ご紹介した首都圏模試センターが出版している「難関校攻略ハンドブック」は、いろいろなことがわかって実におもしろいですね。その中でも、私は9つの思考コード領域の割合の違いで、その学校の思考力の幅や深さの特色を暗号解読するのが楽しかったです。
★判定校35校の4教科分の思考コード分析がズラリと並んでいるページを読んでいると、たしかに、どこの学校もロジック中心に考えていくわけですが、その問題を解けるように学ぶ準備段階では、国語だとイマジネーションを使うなあとか、算数だと数学的直観が必要だろうけど、それには量が質を生むという涙ぐましい努力が必要なのだろうなあとか、理科だと推理力のトレーニングも必要だっただろうなあとか、社会だと社会課題まで自分なりの視点で捉え返しながら学びを積む必要があるなあとか思い巡らしました。
★やはり御三家の問題はそのような特徴が色濃くでていましたね。
★もちろん、イマジネーションを大切にしているのか、数学的直観を大事にしているのか、推理を大事にしているのか、社会課題の洞察を必要とするのか、はたまた、すべて大事にするのかは学校によって違います。
★さらにおもしろかったのは、判定校35校のうち80%は、算数においてB3の問題を出題していて、ここは一般化しなくてはならない問題が多いはずですから、量から質を生み出し、数学的直観を養う学びが必要な学校が難関校はやはり多いということがわかりました。
★同模試の判定校に入学する総数は、中学入試市場の18%くらいですから、それ以外の学校の科目入試は、ほぼ知識とロジックだけでいけるはずです。
★しかし、そのA軸とB1くらいだけを、何年もかけて勉強するのは、ちょっと問題があります。イマジネーションや数学的直観、推理力、社会課題への洞察力は受験するしないにかかわらず、必要だからです。この能力はこれからの社会をサバイブするスキルでもあります。
★そこに気づいた方は、適性検査型や思考力入試など新タイプ入試も併用することをおススメします。
★実は、中学入試の準備学習段階で、このサバイバルスキルを自在に使える能力を身につけてきた生徒が、中学入学後飛躍的に伸びることは、各学校の生徒の追跡調査で明らかになってきているのです。
★大学入試なら、総合型選抜で進路準備をしてきた生徒がそれに相当します。海外の大学の場合は、多くの場合そうですね。
★このように、思考コードは学びの過程において、未来を見据えた環境を設定しているかどうかをモニタリングするのにも役立ちます。
★なお、C軸の学びをたくさんやる環境にないのが、日本の教育で、国際バカロレアと比べると明らかです。B3のような難問をいくら学んでも、C軸思考をたっぷり活用する学びをやらないと、「コンセプト・レンス」を自ら創ることができないのです。もちろん、私の独断と偏見ですから無視してくださって構わないのですが、このレンズがないと、マニュアルで動くしかないわけで、自己変容型マインドは到底養われないのです。
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