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2021年10月24日 (日)

なぜ今「対話」なのか?中原淳先生のZoom研修と神崎史彦先生とのZoom対話から思うコト。

★金曜日の夜から今朝の真夜中にかかて、久々学びの時間を過ごしました。金曜日は、工学院のSGT5人と聖パウロ学園のSGT1人と鈴木さん主催のGWEでZoom対話をしました。対話がコンセプトメイクやセンスメイクに実に効果的であるという実感を抱けました。

★また、昨日の午後は、電通育英会主催の「リーダー育英塾カンファレンス2021」というオンライン研修にも参加しました。このカンファランスは、反転授業よろしく、講師の溝上慎一教授と中原淳教授の各40分の動画を予習したうえで臨みます。前半は、お二人の対談が中心で、リーダー育英熟卒業生の事例プレゼンとパネルディスカッションでした。そのあとブレイクアウトセッションでしたが、こちらは参加しませんでした。そういう意味では、私は真面目な参加者ではありませんね(汗)。

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★2014年に出版された中原淳先生と溝上慎一先生共著の上記の本を読んだときからお二人の研究はときどきフォローしてきました。ちょうど21世紀型教育機構本格稼働2年目で、PBLの効用や効果を検証する方法を考えていた時だったので、「トランジション」という考え方は、大学進学実績や偏差値以外の検証アプローチだなと。そのうち「総合型選抜」や「ポートフォリオ」の話と相まって、この「トランジション」を現実的なものにしようとしたのが、海外大学準備教育へのカリキュラムづくりという話になっていきました。

★一般選抜への準備だと、必ずしも「トランジション」的な発想が組みにくいわけです。一方通行型講義形式の授業で結構有効なので、アクティブラーニングやPBLの正当性、信頼性、妥当性のうち特に妥当性を現場で共有することが難しかったわけです。

★今となっては総合型選抜の準備教育でいけるのですが、それは2020年まで待たなければならないというのが現場の事情でした。ですから、PBLのトランジション効果を測るのは、海外大学準備教育という選択になったわけです。検証というのは、残念ながら理論的なものではなく(それゆえ、理論的な点につては両教授をフォローしてきたわけです)、あくまで海外大学進学実績の飛躍でした。それは2019年くらいからじわじわとでて、今となっては当たり前になってきています。

★この海外大学準備教育とC1英語は重なり、現場では受け入れられやすかったし、PBLは当然必要な環境でもあったわけです。

★そして、C1英語にしてもPBLにしても、それからパンデミックで、同機構が初めから取り組んでいたテクノロジー環境の1つである1人1台環境はオンライン授業にも適応でき、21世紀型教育の肝は「対話」ということになったのです。

★PBLで対話のない授業はないし、C1英語でスピーチやエッセイライティングで「対話」をしない授業はありえません。オンライン授業でも動画を流すだけの授業はあり得ず、必ず小論文とフィードバック、対話が行われています。もし対話がなければ、オンライン授業はリアルな対面授業に比べれば見劣りがします。しかし、対話が行われると、対話が見える化されるので、深い学びが展開します。ただし、やはり12人が限界ですが。

★この対話は、中原教授が言うように、みな最初は苦手です。会話と対話はもちろん違っていて、会話が得意でも対話となると、本質的な局面で話しますから、哲学的になったりします。難しくなります。しかし、小さな気づきの達成感の連続が生まれれば、対話のライブ感みたいなものがしっくりくるようになります。カンバセーションとダイアローグの違いは、欧米では当たり前です。そしてダイアローグは欧米では、きちんとトレーニングされます。日本の教育では、それがないだけでのことで、日本人が対話の能力がないということではありません。

★神崎先生の対話は、先生の仕事が終わってからでしたから、その対話は、たいてい真夜中になります。昨晩、いや今朝もそうでした。今の時期は総合型選抜のピークの時期ですが、総合型選抜は、ほぼ海外大学準備教育とシンクロします。AO入試の時もそうだったのですが、一芸入試の名残があるものもあり、シンクロというところまでは到達していなかったと思います。

★ところが、今回の高大接続改革は、一見とん挫したとおもわれがちですが、国際バカロレアやAレベルの研究が、文科省を始め、大学側でも進みました。留学生や帰国生も入学させる戦略も進みましたから、当然それは総合型選抜にも影響を及ぼすわけです。

★そうすると、対話というコミュニケーションシステムに移行しなければ総合型選抜もなかなかうまくきません。

★ところが、日本の教育に、センスメイキングというコミュニケーションを行う教育はまだないのです。意味は読み解くものであって、見方を変えるトレーニングは、持続的にはないのです。偶然、心ある教師が、何回か授業で無意識の内に行うということはあるでしょうが。

★ところが、文科省は「対話的・主体的で深み学び」と言っているわけです。しかし、対話について、あるいは主体的について、さらには深い学びについても、具体的なものは示されていません。新しい酒も古い容器に入れられてしまうわけです。元の木阿弥なのです。

★神崎先生とは、神崎先生が行っている対話システムという内容物を収納する容器であるフォームをいかにしたらトランスフォーム出来るかのかという対話になりました。クリエイティブクラス100万人プロジェクトを稼働しながら、見つけていこうということになりました。

★というわけで、「対話」が必要だということはわかっているが、「対話」をトレーニングする場が用意されていないというのが現状で、その場はPBLという場を授業に導入することで当面は行っていかなければならないのですが、本来ならカリキュラムの中に哲学カリキュラムのようなものをいれなければならないかもしれません。倫理や公共などの教科はまだまだ知識ベースで対話ベースのプログラムになっていないからです。もちろん、この教科がPBLになれば問題ないのですが、それはシステムではなく、教師次第という属人的なレベルです。それだと高3生100万人すべてがクリエイティブクラスにはなれないのです。そこを何とかしようというのがクリエイティブクラス100万人プロジェクトです。

★神崎先生も二子玉川に本社機能を移行されたのを機に本格的にこのプロジェクトをやっていこうということです。みなさん共にお願いいたします。

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