人気上昇座標 聖学院、八雲学園、かえつ有明、和洋九段女子の位置の意味
★前回、人気上昇の理由は2つあると紹介しました。1つは革新価値志向性、もう一つは学歴価値志向性。そして、革新価値志向性が理由で人気上昇の学校を見出すには、首都圏模試センターのデータが有効だと述べました。しかしながら、学歴価値志向であれ、革新価値志向であれ、倫理を有するかしないかの2通りあるのですが、そこまでは読み取れないと。ともあれ、前者を倫理経済乖離市場価値、後者を倫理経済合一市場価値と呼びましょう。それで、座標を描くと次のようになります。
★リーマンショックの後からダボス会議で新しい資本主義が論じられています。その新しい資本主義は、革新価値の領域ではありますが、脱階層システムの方なのか、well-beingシステムの方なのかは、議論の分かれるところです。今回のパンデミックでも新しい資本主義は謳われていますが、やはりどちらかは、明快ではありませんが、マルクス・ガブリエルさんや落合陽一さんは、どうやら倫理資本主義の立場のようですから、well-beingシステムを模索しているのかもしれません。
★さて、受験生の保護者の中で、well-beingシステムを望んでいる保護者は、聖学院、八雲学園、かえつ有明、和洋九段女子を選びます。
★この4つの学校は、建学の精神から教職員が筋鐘入りのwell-being派です。人気上昇校101にも入っています。革新価値を求めながら伝統価値とのバランスをとる学校もあります。この学校も、well-beingを標榜するのですが、伝統価値と倫理経済合一価値の差異を意識していないので、教職員が2分しています。どちらの勢力が強いかで、well-being派か弱者救済派かに分かれます。
★弱者救済派は、前提が強者と弱者です。慈善家は、基本勝ち組です。ですから、みながwell-beingとは限らないのです。
★つまり、4つのシステムとはどのような存在者を尊重するかという違いがあるのです。
★学歴価値システムは、学歴階層構造の中の上位層=ファーストクラスを尊重します。格差社会ですね。
★脱階層システムは、コンピテンシー格差社会です。テクノロジー重視社会ですね。GAFAが目指す社会です。テクノロジーを習得している存在者が尊重されます。
★弱者救済システムは、カリスマ主導の配分社会です。配分する側と配分される側が前提ですから、カリスマ存在が尊重されます。
★well-beingシステムは、すべての存在者がクリエイティブクラスです。
★現実は、こんなに簡単に分けられませんが、システムを構成するメンバーが、ファーストクラスを尊重したり憧れたりする存在者、テクノロジーを有する人材を尊重する存在者、カリスマを尊重する存在者、クリエイティブクラスを尊重する存在者のうちどの存在者の割合が多いかで、そのシステムの種類が決まるのでしょう。
★これは、学校の組織だけの話ではありません。企業や、行政、社会、世界においても同じです。
★したがって、人気上昇校のうち、well-beingシステムの学校が選ばれれば選ばれるほど、社会には希望がともる可能性大なのです。だって、選択者がそもそもクリエイティブクラスだからです。
★この4座標をみなが意識すると、well-beingシステムへと変容するシフトがでてくるかもしれません。今までは、意識していなかったので、well-beingだと思っていたけれど、実際は脱階層システムだったり、弱者救済システムだったりしてきたわけです。
★ただ、はっきりしていることは、学歴階層システムだけは、well-beingシステムだと間違いようがないということです。白熱教室のサンデル教授も、最近そうはっきり断言する著書を書いているぐらいです。メリトクラシーは悪なのだと。ちょっと驚きです。
★世の中の多様性とは、このような互いの価値の均衡点を巡る関数関係ということでしょうか。結局は、存在者の意志の力によるのでしょうか。ニーチェ的ですね。。。
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