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2021年10月10日 (日)

新しい資本主義を創る教育

★岸田政権になって、「新しい資本主義」が注目を浴びています。期待というより、ほんまかいなあ、所得倍増なんてあり得るんかいなあという懐疑心やネガティブファンタジーですね。これは世論でしょうか。あるいは格差をつけられている側の発言でしょうか?どうやらそうではないかもしれませんね。withコロナ時代の経済社会について、雑駁ですが、システム思考風にループでチャート図を作ってみました。

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★当面は、アフターコロナにはなりませんから、withコロナ時代の経済社会ということになります。今回のパンデミックによって、従来の経済社会、NHKが命名する言葉はインパクトがあるので、それを使うとすると「強欲資本主義社会」がダメージを受けました。しかし、実際には、そのダメージは製造業を中心にV字回復をしているし、そうでない産業はまだL字型曲線を描いているので、K字型回復曲線を描いています。

★しかも、このパンデミックによって貿易がうまくいきませんし、格差社会を生み出した象徴である地球温暖化や気候変動に対して脱炭素社会の動きがありますから、ますます化石燃料の産出にブレーキがかかっています。

★ところが、グローバル経済社会ですから、サプライチェーンが国境を超えています。新型コロナウイルス感染数が急激に減ったときに製造業はV字回復になります。まだまだ化石燃料が必要ですから、化石燃料の需要>供給というアンバランスが、化石燃料の高騰を生み出したわけです。

★産油国はそれを計算していたかもしれませんね。そんなわけで、インフレになるけれど、1人当たりのGDPは、日本の場合のように自給率は低いは、産業の空洞化はしているはでは、賃金が上がらず、格差は広がるばかりです。もともとK字型回復曲線ですから、このインフレとスタグネーションの関係もK字型で、ギャップを開いたまま成長曲線は描かれます。いわゆるスタグレーションだとメディアや評論家が騒いでいる経済現象が起こるわけです。

★しかしながら、一方で脱炭素社会に向かったり気候変動に対応する都市社会設計が進んでいるわけで、すでに新しい資本主義は岸田政権が唱えるまでもなく世界では進行しているのです。リーマンショック直後のダボス会議では、ゲイツやバフェットらが集まってすでに「新しい資本主義」だとか「ステークホルダー資本主義」だとか知恵を集結してその構想がデザインされ始めているのです。

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★ノーベル物理学賞を受賞した真鍋さんの気候変動モデルが再び注目を浴びているのは、脱炭素社会へのシフトを望んでいるからでもありましょう。

★しかしながら、新しい資本主義社会は、その肝になるメタバース資本主義のサイクルの資金調達をどこから持ってくるのかの解決がまだ未知数Xのままですから、そう簡単にはパラダイムシフトするわけではないのです。

★当面はまだwithコロナですから、実は強欲資本主義と新しい資本主義とメタバース資本主義は、共生しながら進んでいくでしょう。ですから、新しい資本主義に懐疑心を持っている方の軸足は、強欲資本主義にあり、さらにそこで富裕層というポジショニングをゲットしているファーストクラスです。

★そのファーストクラスは、いまのままで十分リッチなわけですから、分配の正義論を持ち出すリベラル・コミュニタリアニズム的な発想は余計なイデオロギーです。

★一方で、格差をつけられている側は、新しい資本主義に期待はするものの、もともとダボス会議で出てきているお話です。結局は富裕層にとって都合のよい気候変動対応社会になったり脱炭素社会になるだけで、格差社会は変わらないのではないかという懐疑心と不安を払しょくするのは容易ではありません。

★強欲資本主義を支えてきたのが20世紀型教育ですから、21世紀型教育は新しい資本主義やメタバース資本主義をいかにデザインしていけるのか、マネジメントしていけるのか、イノベートできるのかというWorld Making Skillsを活用できる3T能力を身につける必要があるでしょう。

★このWMスキルと3T(タレント・テクノロジー・トレランス)には、パトスとエートスとロゴスという自己変容型マインドもセットされていなくてはなりません。

★20世紀型教育に慣れ親しみ、基礎学力を鍛えていればよいと考えている方々は、今すぐ社会が変わるわけではないから、関係ないと無関心かもしれません。無関心は愛の反対語ですから、これは少し困ったものなのですが、実際問題、上記のシステム思考風チャート図にあるように、Xの部分のアイデアがない限り、まだまだ強欲資本主義は併存するのです。

★ミラーワールドとかメタバースというのが、SFの世界からもう少し現実的になったならパラダイム転換は大きく動き出すはずです。

★先日すぎやまこういちさんが亡くなりました。1986年中学受験の大衆化の幕あけに、ドラクエが登場しました。

★今では、それはeスポーツに広がり、ポケモンGOやあつ森のようなメタバースをイメージする世界も広まりました。VRが拡大バージョンする空間もできつつあると聞き及んでいます。

★1986年の9年後、Windows95が発売され、PC1人1台の世界が開かれました。21世紀にはブログが席巻し、リーマンショックや3.11以降はSNSが広がっています。そして2020年はテレワークの拡大。およそ10年単位で、確実にサイバースペースのテクノロジーは進化しています。

★シンギュラリティ―という話も現実味を帯びています。2030年には気候変動の対応が想像を超えるテクノロジーによる進化が起きているでしょう。

★強欲資本主義の根っこは、産業革命以降ずっと化石燃料の覇権をめぐる競争や戦争だったわけです。さて2030年以降はどうなっているでしょう。21世紀型教育は、たんじゅんに21世紀になったからそう呼んでいるわけではありません。

★生産エネルギーのパラダイムシフトに伴う経済社会のパラダイムシフトが産業革命以降ようやく到来したのです。その新しい経済社会、それは岸田政権が思い描くようなものではおそらくないもっとダイナミックなものでしょうが、ともかく、その未知なる社会ステムを生み出すクリエイティブクラスを生み出す教育を意味するのです。

★昨日も、21世紀型教育機構の意味を懐疑する学校のオーナーがいるのだけれどと聞き及びました。文句があるなら、私に連絡をくださいとお伝えくださいと話しました。そのような方々は、ご自身が旧パラダイムを保守しているからそう言っているのだということに、つまり古い格差社会製造フィルターで認識をしているのだということに気づいていないわけです。いつでも対話いたします。

★新しい地平を切り開いたすぎやまこういちさんのご冥福を祈りながら、新しい社会を創る教育を仲間と共に模索していきたいと思います。

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