100年ぶりのパラダイム転換と評価する神田眞人財務官の意味 グローバル教育を標榜する私学教育関係者はどう捉えかえしますか?
★先週木曜日、アメリカで開催されたG20で、法人税の最低税率を15%に定めることをメインとする国際課税のルールの見直しを支持するとする共同声明を採択。今年7月にベネチアで開かれたG20ですでにその路線は敷かれていたから、岸田政権も「新しい資本主義」という言葉や「配分」という言葉を使いやすかったわけです。
★難しいことはわかりませんが、私学教育関係者にとって重要なことは、神田眞人財務官が、国際課税のルールが100年ぶりに変わったことに対し、「パラダイム転換」だと述べたということを各メディアが一斉に取り上げたことでしょう。
★何も、私学教育関係者が財務官とシンクロしたなどということを言いたいわけでは全くないことは強く断わっておかねばなりません。大事なことは灘・東大出身の財務官が、お金の側面からパラライム転換などという言葉を使ったという事実です。
★私学関係者は、カタカナ語を使うことに対しては控えめですし、21世紀型居郁機構のメンバー校以外はパラダイム転換などという言葉を使うことは思っていても公の席では言いません。誰に気遣っているのかわかりませんが。。。日本人が一番好きなお金の話で、日本人の一番好きな東大、しかもやはり大好きな灘出身の、しかも財務次官と同じレベルの財務官のお墨付きをもらえたということが重要なのです。
★今まで心の中で思っていた方々も、パラダイム転換!望むところだと言わざるを得ないわけです。
★1989年ベルリンの壁が崩壊して、グローバリゼーションが急激に広がったのですが、翌年、すぐにお茶の間に流れたのは「百年ぶりの世紀末・・・」から始まる「胸がドキドキ」という歌でした。「名探偵コナン」のオープニングテーマ曲です。コナンのアニメは今も放映されていますね。
★この100年ぶりの世紀末とは、1989年の100年前のフランス革命後に出版されたウィリアム・モリスの「ユートピアだより」(1890年)の雰囲気を、作詞作曲者のバンド「THE HIGH-LOWS」さんが念頭に置いていたかどうかはわかりませんが、モリスというアーティストとそのロックバンドが、「自由」「平等」「共有」のミーム(文化遺伝子)を有しているということは考えにくいことはないでしょう。
★そのミームを学者の斎藤幸平さんが<人新生の「資本論」>で爆発させて、ニューコモンズの世界を開いているのは、まさに世界同時的に地球市民が「100年ぶりの世紀末」で「胸がドキドキ」しているのでしょう。
★ダボス会議もリーマンショック以来「新しい資本主義」について、手を変え考えてきて昨年は「グレートリセット」だなんて言っていたわけですから、岸田政権が「新しい資本主義」と語るマインドセットはかなり前から準備されていたのでしょう。
★それぞれ思惑は別々ですが、エンターテイメントが100年ぶりの世紀末を歌い上げ、学者もまた人新生の資本主義を歌い上げ、21世紀型教育機構も1989年の100年先の2089年から教育を考えることを提唱し、政治家も新し資本主義を公約として掲げ、そしていよいよ金庫番の財務官までもが100年ぶりのパラダイム転換だと宣言するのです。日本もだいぶ様変わりするのが現実的になってきたのではないかという予感がします。
★もちろん、100年前のウイリアム・モリスの「ユートピア」は、歴代のユートピア論同様、ディストピアを内包しています。原題は「News from Nowhere」なのです。
★多くの人々が語っても、「どこにもない」未知なる、つまり正解のない世界創りなのです。過去に引きずられることなく、2089年から構想する必要があるのはそういうわけです。はてさて、わたしたちは、自身の成功体験や方法を捨てられるでしょうか、そのようなフォームをトランス・フォームすることができるでしょうか。その謙虚さのみが、2089年のZ世代の成果を導くでしょう。
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