World Makingの時代 覚書(06)世界を作るとはどういうことか。本質を見通すことも、いやこそ世界を作ること。
★勤務校の数学科教諭とは、定期的に対話をしています。中間試験シーズンだったので、今月は月一回だけだねといいつつも、終了するや否や対話しようと。1)躓きのポイントとその解消の方法、2)それから授業で行っている20%ルール(理系クラスは100%だそうです)。各時間最低20%は思考力型問題を考える機会を設定するのですが、それに対応する問いを中間テストでどう出題したか、生徒の反応はどうだったのかという2点について対話をしました。
★おもしろいのは、本質という意味での基礎基本を整理することが大切だという話で盛り上がったことと、三次元を二次元に「置き換え」て整理するスキルのトレーニングが必要だなという話などがでたことです。
★本質=基礎基本、「置換」「変形」「ショートカット(削除)」などなどの用語は、ふだん当たり前に使っている言葉ですが、実はネルソン・グッドマンの語る「世界制作の方法」というシンプルなスキルの一部です。
★数学というのは、結局関数関係という世界ですから、計算の仕方を覚えるのでなく、その論理的な推理の世界という本質に立ち還るとそのまま世界モデルになります。
★とはいえ、それを生徒に直接延べ伝えたとしても、ピンときません。
★そこで、先生方は、問いに仕掛けを作っているということもわかりました。数学的純粋な世界を、リアルな世界の状況に重ね合わせてみたらどうなるのか。意外とそこが結びつかないのだと。
★このことは、キャリアデザインでも同じではないかとジャンプしました。自分の未来を見通しても、それがいまここで行動していること・考えていることになかなか結びつかないわけですからと。
★純粋数学という見えない本質と現象という見える状況が結びくかどうかは、未だ見えない自分の未来の見通しと、いまここで見えている自分の言動が結びつくかどうかにかかわっているのだと。
★結局、両者を受け入れる「受容」と「関心」という非認知能力がなければ数学的世界を作ることはできないのだというところまでいきました。
★だから、そこを養うにはどうしたらよいのか。対話は尽きません。
(聖パウロ学園の思考コードは1枚ですが、実際には4重構造の複雑系になっています。それを一枚にしているので、直観的に使う受容力が必要です。パウロの教員はそこはあっという間にクリアします。)
★そんなとき、思考コードを媒介にして、生徒と問答している数学的世界はどのあたりなのかについて対話していくと、生徒によって違うのですが、どの生徒にも共通する領域も見えてきます。教員によって違いはあるものの共通する部分もでてきます。
★それが中間テスト20%ルールの部分の違いに反映しますが、その差異が教員同士の刺激にもなります。
★本質と現実のギャップ。これを埋めることこそ世界を作ることなのかもしれません。数学的世界では、基礎基本とは、どうやら知識習得ということとは違うようです。本質を見通し、それを状況に適用する。その適用が純粋な世界、本質的世界を注いでいくのでしょう。それがトランスフォーメーションに移行するわけですね。
★関数的な世界の循環、それはまさしく好循環を生み出す根源です。エラーを見つけて修正していく。そういうモニタリング思考が文系的にはクリティカルシンキングというのでしょう。
★根源なき世界か、根源からの世界か。すなわち、関数なき世界か、関数あり世界か、世界作りの意味の再確認ができました。
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