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2021年10月

2021年10月31日 (日)

八雲学園の野望 3副副校長との対話

★先週の金曜日、GLICC Weekly EDUで、近藤副校長、菅原副校長、横山副校長とGLICC代表鈴木さんと対話しました。八雲学園では、中1から生徒は、多様な英語教育や国際イベントを体験し続け、高1になるころからいよいよ世界の舞台で自分の「世界」を広げ深め、発信するようになります。その行き着く先がROUND SQUARE(RS)という世界の私立学校の連帯団体の中で活躍していきます。この世界は、高等学校の世界的な最高峰の活動です。このRSを巡って八雲学園の野望について、3副校長と対話しました。ぜひご視聴ください。

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(GLICC Weekly EDU 第52回「世界の八雲学園 八雲学園の世界ー3人の副校長先生との対話」)

★八雲学園の生徒は、この最高峰の頂きに立って、日本の高校生が見たこともない世界の景色を眺め、日本の高校生がつなぐことができないネットワークを当たり前のようにつなぎ、自分の世界を深堀していきます。

★最近では海外大学に合格する生徒もでてきています。この重大な体験は、本当に自分を大きく変容させる体験で、海外大学準備教育で必要な自分とは何かをベースにしたエッセイライティングを作るのに大いに影響を与えています。

★また、総合型選抜にチャレンジする生徒も増え、やはり海外大学準備教育と同様に、自分とは何か、自分は社会にどう貢献できるかを体験を通して語れるようになります。

★そのような世界を舞台に学ぶ八雲学園の教育は、生徒が、グローバリーダーとして、ラウンドスクエアを創設したクルトハーンやノーベル賞受賞者のような活躍をする野望があるようです。生徒1人ひとりは才能がありますが、世界の最高峰の舞台の経験を通して、日本では思いもよらないような活躍をするのが当たり前という認識をもって、その才能を発揮していくわけです。ぜひ八雲学園の野望をご堪能下さい。

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今日の選挙の背景 Common Goodの光と影のスクランブル

★今回の選挙はパンデミックをどう味方にするかというショータイムだから、どうも微妙です。しかし、その背景は、2011年3・11からずっと世界同時的にCommon Goodつまり、共通善を巡る社会システム構築の文脈が見え隠れしています。すでに2010年からNHKの白熱教室でサンデル教授がコミュタリアン的な最高善を持ち出してきて、今回の新著もCommon Goodの話です。ですから共通善の政治哲学が今も世界の通奏低音になっています。

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★すでに、ドイツのハーバーマスさんがサンデル教授に共感してEUに広めたから、特にドイツはCommon Good寄りに動いたとまで言われています。そしてフランスのピケティさんやノーベル経済学賞のティロールさんは、格差社会を是正する提案をしていて、それもトレンドになりました。特にティロールさんは「共通善の経済学」という著書を世に出しています。

★若い学者のマルクス・ガブリエルさんや落合陽一さんも倫理資本主義やクリエイティブクラスなどのキーワードで共感しているのをNHKが放映しもいます。

★東大准教授の野原慎司さんも、アダム・スミスの共感をキーワードに資本主義の共通善よりの話をしながら、そうはいっても危うさもあることを日本経済新聞の「資本主義の進化を考える」というシリーズで論じています。

★共通善の政治・経済・哲学がトレンドになっていることは事実ですね。教育ではというとゴールデンルールを理念に21世紀型教育機構の加盟校がやはり動いています。中学入試の革新的な勢力になっています。

★しかしながら、一方で、J.J.ルソーが一般意志と共通善をさらりと置き換えているために、啓蒙思想的なアプローチは、常にヤヌスの側面で、大きな政府→全体主義的傾向→監視資本主義などという批判的警鐘もならされてもいます。

★「監視資本主義」の著者ズボフさんは、ハンナ・アレントとも親和性のある発想で、GAFA帝国に警鐘をならしているわけですね。しかし、一方でザッカーバーグさんはメタバースに取り組み、ニューコモンズのジレンマを新しく持ち出しました。

★第3の近大の光と影がハイブリッドな空間で生まれています。これが今日の選挙の背景にある文脈でしょう。ざっくりしすぎですが(汗)。

★さて、岸田政権のデジタル田園都市構想は、第3の近代を触発するのでしょうか、触発したらしたで、それはユートピアなのかディストピアなのかどうなるのでしょうか。それを決めるのは私たち国民?そうだといいのですが。そう簡単ではないでしょう。

★私にできることは、粛々と21世紀型教育を進化させるしかありません。アクティブにコモングッドを追究するしかないわけです。

                                             (投票しながら思ったこと)

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2021年10月30日 (土)

全国私学教育研究集会 京都大会 「本当の論点は私学のガバナンスの独立性をいかにして持続可能にするかだった」

★10月21日・22日、京都で全国私学教育研究集会が開催されました。私は全体会が行われた21日にしか参加できませんでした。22日の分科会で塩瀬准教授の問いのデザインについての講演をお聞きしたかったのですが、仕事の都合で残念でした。先生の著書を熟読して自己研鑽することにします。ただ、今回全体会で、かなり衝撃的だったのは、全国から集まった各私立学校の先生方400名弱と共有した情報でした。どのくらい伝わったかわかりませんが、2006年の教育基本法改正当時以上に私学危機の論点が吉田晋先生(日本私立中学高等学校連合会会長・富士見丘学園理事長・校長)と平方邦行先生(一般財団法人日本私学教育研究所所長)から語られたことでした。

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★それは、学校法人のガバナンスについては、経済財政運営と改革の基本方針2019(令和元年6月21日閣議決定)に基づいて、令和2年1月に「学校法人のガバナンスに関する有識者会議」が設けられ、議論の取りまとめが令和3年3月から始まっていることに関係します。すでに会議は8回行われています。

★要するに、文科省が「学校法人ガバナンス改革」によって、私学に行政指導をしやすくする戦略的攻略をしているということでしょう。これは教育基本法改革の時もそうでしたが、やはり全国私学集会をバックに吉田先生や近藤先生(東京私立中学高等学校協会会長)が、押し返しました。

★今回もその攻防戦の真っ最中だということがよくわかりました。今騒がれているある大学のガバナンスの混乱状況は、その規模からいって行政が動かざるを得ない事態を生んでいることもあり、ある意味しかたがないのですが、私立大学と私立中高では、ガバナンスのサイズも違うし、何より研究と教育の決定的な違いがあり、大学や福祉法人と同様の規制をかけるというのは、確かに問題です。

★多くのメディアで、明日の選挙を控え、国家が大きな政府に向かっていることを論じ始めていますが、吉田先生と平方先生の講演に耳を傾けながら、ひしひしとそれを感じました。

★明治維新以降、官学と私学は、常にこのような攻防戦を続けてきました。不思議ですが、隙あれば私学はつぶされてきたし、公立学校と同様の機能を果たすように規制されてきました。そのたびに、私学は教育の自由を標榜し、ミニマムでは学習指導要領などを遵守するが、それ以上の教育の自由を果たしてきたわけです。

★しかし、今回の学校法人ガバナンス会議は、直接規制するというより、理事会・評議員会のあり方を財務チェック寄りにし、教学の機能を結果的に弱めようとしているわけです。

★私立学校は現場と理事会・評議員会のシナジー効果で成立していますが、現場は私学教育の資格を取得して勤務しているわけではないので、基本学習指導要領をベースにして勤務し始めます。それをガバナンスによって、建学の精神に基づいて学習指導要領以上の人間力を形成する教育の自由を遂行しているわけです。

★さすが、文科省だなあと思うのは、ならば、ガバナンスの教学面を弱めてしまうという戦略をとったわけです。助成金を出している以上、そこのチェックは当然です。会計士、税理士、弁護士がガバナンスのチェックを強化することによって、理事会のメンバーは教学の専門家は校長だけにしていくわけです。

★すると、校長は経営的な側面から教育の自由を規制されやすくなるわけです。アイデアを実行するなら、資金調達してこいということになります。ですが、校長は生徒募集・広報において、現場の教師と協力して定員を維持するのに精一杯というのが現状です。

★明治維新からこの≪官学の系譜≫と≪私学の系譜≫の攻防戦はずっと続いています。行政は、法規制を巧みに使って、法は法であってそれ以上でも以下でもないという法実証主義的手腕で、教育の自由を間接的に規制するのが常套手段です。

★ですから、目の前の仕事を回すのに手いっぱいになっていると、私学なのに公立と変わらないという事態になりかねません。

★≪官学の系譜≫側からはそれの何がダメなのかということになるわけです。

★そこで、平方先生は、「思考コード」「アクレディテーション」「クリエイティブクラス」というキーワードを使って、21世紀型教育を共に推進しようというわけです。

★20世紀型教育というのは、日本においては、明治以降の近代教育の話で、21世紀型教育はそれを超えようよという話です。要するにそれぞれ≪官学の系譜≫、≪私学の系譜≫が対応しているのです。

★吉田先生は、ガバナンス改革に対し、私学の財務面や行政面の規制強化に対する行政の動きに対して闘い、平方先生は教学面の規制強化に対して闘っているのです。

★ところが、この行政の戦略は、先述したように、巧みで表面化していないために、現場では公立も私立も相変わらず学歴階層構造の椅子取りゲームに目が向くように環境を作っていきます。

★このシステムは、一握りのクラスしか幸せにしないシステムだということは、今回のパンデミックでみな気づいています。それゆえ、このシステムが抑圧してきた「女性」「公正な配分」が、明日の選挙のキーワードになっています。

★意識が高まったことは喜ばしいのですが、それがうまくいくかどうかは現状の教育システムでは難しいかもしれません。

★珍しくネガティブじゃんと思われるでしょうか。そんなことはありません。制度はなかなか変えらませんが、良質な21世紀型教育を行う自由はまだ規制されていませんから、そこはやっていけばよいとポジティブなのです。

★ただ、これはタブーなのではっきり言えませんが、先進諸国で、私立大学の比率が多いのは日本なのです。アメリカよりも多いのです。当然私立中高の比率も多いでしょう。これは明治維新から始まっているのです。この定量的データは、行政のデータでも明らかです。

★なんだ教育の自由が日本は進んでいるということではないかと思うかもしれませんね。表面的にはそうだし、そうあって欲しいと思いますが、なぜ私立学校が多いのかというシステムの問題を考えたら、そう安穏としていられないのです。

★ここから先はもういうことはできません。表現の自由はここまでです。同調圧力の壁があることを言うにとどめておきましょう。この壁があるから、教育産業が成り立っているというジレンマということです。

★このジレンマをはっきり語る教育ジャーナリストはもちろんいません。吉田先生と平方先生は、そのことを熟知しているからこそ、闘っているわけです。ここをどう突破するか。Z世代もそこは近づけませんね。

★京都から帰ってきてから、21世紀型教育をより進化/させ強化することの意志を自ら静かに奮い立たせている日々です。しかし、これは戦略的にならざるを得ません。仲間の先生方、共にお願いいたします。

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2021年10月29日 (金)

女子校の時代再び

本日の日本経済新聞(2021年10月29日 18:00)「政策動かすSNS 政治家投稿9年分調査、女性・子育て増」の記事は、中学入試における女子校の復権に結びつくエビデンスではないかとふと思いました。今年の春の中学入試の女子校人気は、冬の時代と言われていた女子校不人気を払拭するような風でした。そして、その勢いは2022年入試においても衰えていない。むしろ増しています。

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★それは、各中学受験シンクタンクがすでに語っていることですが、GLICC代表鈴木さんと対話したYoutubeの反応が高いというのも何か相関があるかもしれません。

★そのYoutubeは、GLICC Weekly EDU 第3回「中学入試編~首都圏の注目すべき33の女子校~」です。私自身もう一度視聴してみようと思います。

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学校林パウロの森で自然体験や生態系探究

★聖パウロ学園は、学校林パウロの森で、生徒が自然体験や生態系探究、イノシシと闘いながらの畑づくりなどをしています。このパウロの森は、八王子市の北高尾山地に位置し、23ha(東京ドーム5個分)の広大な面積を有しています。乗馬クラブもあり、生徒は体育の時間に馬術体験もしています。2007年に国土緑化推進機構のモデル学校林に認定されましたから、パウロの森くらぶが組織され、森の保全や整備をしています。そして、学園と連携してパウロ自然体験(PNP)もロングホームルームや探究の時間で実施しています。

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★パウロの森は、近隣の小学校にもくらぶのインストラクターといっしょに自然体験の場として使われたりしています。もともと里山ですから、まさにコモンズの機能を果たしているわけです。植物や動物の生態系を麻布大学の生命・環境学部の先生方と生徒は協働して探究してもいますから、彼ら自身が、その先に新しいコモンズの世界を見通すことになるかもしれません。

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(右上左から、松本先生、大久保先生、渡邊先生。高1の担任団です。教師も生徒と共に無心で自然体験できる聖なる場でもあります)

★この時期は、中間テストが終わり、しばし秋の恩恵に浴するイベントとして、学年ごとにPNPを行います。今回高1は、インストラクターの方々と対話しながら、森のアスレティックスーペースの遊具づくりをしていました。

★一学期の時に伐採していた木材もほどよく乾いたころを見計らっての作業でもあります。

★コロナ禍でなければ、カレー作りなどもしてさらに盛り上がる自然体験です。

★このような体験ができるのも、パウロの森くらぶのインストラクターの方々のおかげです。森の知識、森の豊かさに感謝し、森の自然のルールを熟知しているからこそ、子どもたちが安心して森の中で活動できます。しかし、ルールを逸脱すると、自然は猛威をふるうというのは、自然災害が多いこの国に住んでいる私たちは知っています。しかし、最近、直接そのような自然と接する機会が少なく、すっかりネットニュースで知っているつもりになっているだけということは多いですね。

★今回のパンデミックで、そのことを思い知らされました。PNPは、そのことを感じいる学ぶ機会でもあります。エゴはどんなに小さいか、大きな存在とコミュニケーションをとることの重要性。その存在の大切さ。。。

★さて、パウロのもう一つの学校エンカレッジの生徒はジャガイモやなすび、トマト、いちごなど一年中、畑をつくっていますが、イノシシに掘り返されないように格闘しています。イノシシの被害は、今や全国的に大きな被害になっています。各自治体で対策を練っているので、パウロ生の中から新たな対策案を講じることができるかもしれません。

★それにしてもイノシシは、実に賢いということが最近の動物行動学から証明されているらしいのです。麻布大学の江口教授はその専門領域の第一人者で、お話を聴くにつれ、イノシシの人間の裏をかく戦法は、なかなかどうして地政学的です。昨今の海洋を巡る軍事力のつばぜり合いなど、なぜあのルートを航海するのか、イノシシの戦法を通して了解出来てしまいます。

★自然から学ぶとは、多くの科学者や詩人が語っていますが、まさにそれを私も実体験しています。

★パウロの生徒にとってこの自然環境は当たり前の環境です。しかし、江口教授が述べるように、宝の山です。日常の中に新しい価値や意味を見出す学びこそ探究の第一歩だし、その出発点は、結構一生ものになります。

★幸せの青い鳥とはこのいことです。たくさんの気づきを得ることを祈っています。。。ウム。祈ることももちろん大事ですが、いかに生徒が好奇心旺盛になるか、授業で刺激を生み出すにはいかにしたら可能か。先生方と対話し続けたいと思います。

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2021年10月27日 (水)

麻布大学 江口祐輔教授 地球共生系の発想をパウロの森でも生徒と共有

★本日午前中、麻布大学生命・環境科学部教授江口祐輔教授が、聖パウロ学園に御来校。理科の澁谷先生といっしょにパウロの森に分け入り、イノシシの生態のリサーチのための仕掛けをしてくださいました。いずれ探究ゼミのメンバーである生徒と調査するためにです。江口教授によると、パウロの森は宝の山だそうです。最近自然と共生する都市づくりや社会づくりというのは注目されていますが、それをつくる前に私たちが動植物に対する先入観を実体験をしながら払拭する必要がそもそもあるそうです。たしかにそうですね。多くの話をたくさん聴きながら、頭で考えている自分を反省しました。

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★江口教授は、島根県のフィールドワークセンター(島根県美郷町)長でもあります。NHK「サイエンスZERO」にも出演しています。このフィールドワークセンターについては、麻布大学のサイトでは次のように記述されています。

<本学生命・環境科学部は美郷町の協力により、フィールドワークセンター(場所:島根県美郷町粕渕)を開設し、動植物のフィールドワーク、野生動物を用いたジビエ料理の加工技術、食品衛生管理の国際基準「HACCP」などの教育・研究を実施します。麻布大学は獣医系・生命科学系大学としての特色を活かし、有害鳥獣被害対策の指導・支援の拠点として、地域連携による新たな教育・研究を展開していきます。>

★食や動植物の新しい価値を見出し、新しい自然と社会と精神の循環を生み出すセンターということでしょう。

★パンデミックで、この循環がいかに重要であるか、世界中が身に染みています。

★今後このような研究はますます注目されるでしょう。

★美郷町のようにはいかないでしょうが、パウロの森もそのような新しい循環を見出す場となればと思います。そして麻布大学の教授と学生の皆さんとその場に立ち会えるパウロ生に未来の希望を期待したいです。

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筑波学院大学 21世紀型教育を標榜する大学誕生

筑波学院大学は、2022年から本格的に21世紀型教育を実施する大学となります。英語重視と資格試験重視の2コース制のようですが、4つの専攻に進みます。東大のシンフリのように、リベラルアーツを体得してから専攻に進むという流れのようです。インターナショナル型大学ともいうべきでしょうか。あるいは米国のリベラルアーツ型大学が日本に誕生したといったらよいのでしょうか。とにかく、斬新です。

★もともと2005年に、東京家政学院筑波女子大学を共学化し筑波学院大学に名称変更して、さらに2019年に「VISION2040」の構想を策定して、2022年を迎える準備をしていたようです。

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★勤務校に「つくば21C教育フォーラム」という筑波学院大学21世紀型教育研究所報第3号が届き、いよいよ21世紀型教育を行っている初等中等教育学校に直結する大学が誕生するのだと感動しました。

★というのも、初等中等教育段階で、PBLやアクティブラーニングの中で学び、C1英語を取得した生徒が、今までの偏差値の高い大学に行ったとしても、20世紀型の講義がほとんどの場合、戸惑ってしまうというケースも少なくなかったからです。

★筑波学院大学のいわゆる偏差値は現段階では高くはないかもしれませんが、中高で海外大学準備教育が広がっている今、学費の面で海外には行けないと落胆している生徒にとって、海外と同質のリベラルアーツ大学が日本にあるじゃないかとなれば、それは救いになります。

★今後、小さな大学は、筑波学院大学のような路線に舵をきるでしょう。とはいえ、21世紀型教育を大学で行うのは、人材的に難しいのです。しかし、10年後、高3生の人口は100万人をきります。準備はせざるを得ないのです。

★私立中高一貫校が21世紀型教育を開始したのが、10年前です。今では中高レベルでは、21世紀型教育は一般名詞になっています。大学レベルも10年後は、そうなっているでしょう。そのとき、旧態依然とした大学は淘汰されてしまうのは、歴史を顧みれば推察するに難くはないでしょう。

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2021年10月26日 (火)

人気上昇座標 聖学院、八雲学園、かえつ有明、和洋九段女子の位置の意味

★前回、人気上昇の理由は2つあると紹介しました。1つは革新価値志向性、もう一つは学歴価値志向性。そして、革新価値志向性が理由で人気上昇の学校を見出すには、首都圏模試センターのデータが有効だと述べました。しかしながら、学歴価値志向であれ、革新価値志向であれ、倫理を有するかしないかの2通りあるのですが、そこまでは読み取れないと。ともあれ、前者を倫理経済乖離市場価値、後者を倫理経済合一市場価値と呼びましょう。それで、座標を描くと次のようになります。

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★リーマンショックの後からダボス会議で新しい資本主義が論じられています。その新しい資本主義は、革新価値の領域ではありますが、脱階層システムの方なのか、well-beingシステムの方なのかは、議論の分かれるところです。今回のパンデミックでも新しい資本主義は謳われていますが、やはりどちらかは、明快ではありませんが、マルクス・ガブリエルさんや落合陽一さんは、どうやら倫理資本主義の立場のようですから、well-beingシステムを模索しているのかもしれません。

★さて、受験生の保護者の中で、well-beingシステムを望んでいる保護者は、聖学院、八雲学園、かえつ有明、和洋九段女子を選びます。

★この4つの学校は、建学の精神から教職員が筋鐘入りのwell-being派です。人気上昇校101にも入っています。革新価値を求めながら伝統価値とのバランスをとる学校もあります。この学校も、well-beingを標榜するのですが、伝統価値と倫理経済合一価値の差異を意識していないので、教職員が2分しています。どちらの勢力が強いかで、well-being派か弱者救済派かに分かれます。

★弱者救済派は、前提が強者と弱者です。慈善家は、基本勝ち組です。ですから、みながwell-beingとは限らないのです。

★つまり、4つのシステムとはどのような存在者を尊重するかという違いがあるのです。

★学歴価値システムは、学歴階層構造の中の上位層=ファーストクラスを尊重します。格差社会ですね。

★脱階層システムは、コンピテンシー格差社会です。テクノロジー重視社会ですね。GAFAが目指す社会です。テクノロジーを習得している存在者が尊重されます。

★弱者救済システムは、カリスマ主導の配分社会です。配分する側と配分される側が前提ですから、カリスマ存在が尊重されます。

★well-beingシステムは、すべての存在者がクリエイティブクラスです。

★現実は、こんなに簡単に分けられませんが、システムを構成するメンバーが、ファーストクラスを尊重したり憧れたりする存在者、テクノロジーを有する人材を尊重する存在者、カリスマを尊重する存在者、クリエイティブクラスを尊重する存在者のうちどの存在者の割合が多いかで、そのシステムの種類が決まるのでしょう。

★これは、学校の組織だけの話ではありません。企業や、行政、社会、世界においても同じです。

★したがって、人気上昇校のうち、well-beingシステムの学校が選ばれれば選ばれるほど、社会には希望がともる可能性大なのです。だって、選択者がそもそもクリエイティブクラスだからです。

★この4座標をみなが意識すると、well-beingシステムへと変容するシフトがでてくるかもしれません。今までは、意識していなかったので、well-beingだと思っていたけれど、実際は脱階層システムだったり、弱者救済システムだったりしてきたわけです。

★ただ、はっきりしていることは、学歴階層システムだけは、well-beingシステムだと間違いようがないということです。白熱教室のサンデル教授も、最近そうはっきり断言する著書を書いているぐらいです。メリトクラシーは悪なのだと。ちょっと驚きです。

★世の中の多様性とは、このような互いの価値の均衡点を巡る関数関係ということでしょうか。結局は、存在者の意志の力によるのでしょうか。ニーチェ的ですね。。。

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2022年中学入試 人気上昇校101 首都圏模試センター公開データから見えるコト 

首都圏模試センターの合判模試の度数分布データは、月々の志望校登録者数が集計されています。しかも公開データですから、4月から各学校を志望する数の推移をみていくことができます。それが集計されているわけではないので、自分でたどる必要がありますが、受験生の保護者にとってはありがたいデータです。そして私にとっても実に有効なのです。

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★私の勤務校は中高一貫校ではなく、高校だけなので、このデータは直接必要ないと言う方もいます。しかし、実は貴重なデータです。このようなデータからは、官庁や他のシンクタンクにはない重要な意味を見出すことができます。

★というのも、中高一貫校の教育の質と高校だけの教育の質では、その革新性に10年の開きがあります。当然中高一貫校の方が先進的です。特に首都圏の中高一貫校は先鋭的です。なぜかというと、高校の1学年の人口は100万人です。首都圏の中高一貫校は5万人です。つまり5%です。この5%が何を示唆するか?すぐにおわかりだと思います。富裕層・準富裕層が多い集団です。

★この層は、保護者自体の意識がはっきりと2分されています。1つは学歴階層構造で勝ち組になることを志向する価値意識(学歴価値観)、もう一つは脱学歴階層構造というイノベーションに意義を見出す価値意識(革新価値観)です。そしてその2つは、それぞれ次の2つの価値意識に分かれます。1つは勝てば官軍というリバタリアン。もう1つは、倫理的価値意識を持っている人々。この倫理観はさらに二つにわかれます。勝ったら弱者を支援する必要があると感じる倫理観。そもそも格差を創るような社会をいかにしたらつくらないかというwell-beingを大事にするサーバントリーダーシップの倫理観。

★細かい分類までは、首都圏模試センターのデータではわかりませんが、学歴価値観と革新価値観はわかります。合判模試は、4月から9月までは、その両方の価値観を持った方々の子弟が受験しますが、10月からはいわゆる難関校志望者は減ります。多くの生徒はそれ以外の学校を探している方々の子弟が受験するケースが多くなるのが合判模試なのです。

★首都圏模試センター自身が、合判模試以外に最難関模試を実施しているところからもそれはわかります。

★難関校の志望校動向は、出願の時に明らかになりますが、隔年現象があるだけで、大幅に増えも減りもしません。ですから、生徒募集の革新性はないわけです。

★しかし、それ以外の学校は、生徒募集の革新性は毎年すさまじくk、見事な創意工夫が行われています。最近では、保護者の眼が磨きがかかっていて、広報と教育そのものの両方の革新性が一致しているのしていないのかを見抜きます。

★ですから、人気上昇の中高一貫校は、高校だけの学校の10年先を邁進している先進的な教育を行っているのです。大いに学ぶべきです。そういう意味で、首都圏模試センターのデータを読み込むことは私にとっては大切なのです。ちなみに、首都圏模試センターのデータを多角的にみていくと、次の101校が人気上昇中です。この中に革新教育を行っている学校がたくさんあります。ということは、いよいよ日本の教育も変わり始めるということでしょう。

【男子校】

聖学院
成城
高輪
獨協
日大豊山
明大中野
慶応普通部
城西川越
城北埼玉
静岡聖光学院

【女子校】


跡見学園
大妻中野
神田女学園
共立女子
佼成学園女子
実践女子学園
品川女子学院
十文字
昭和女子大学附属昭和
女子美大学付属
聖ドミニコ
玉川聖学院
桐朋女子
トキワ松学園
中村
日大豊山女子
富士見丘
文京学院大学女子
三輪田学園
山脇学園
和洋九段女子
神奈川学園
カリタス女子
湘南白百合
聖セシリア女子
捜真女学校
横浜共立学園
横浜女学院

【共学校】

郁文館
開智日本橋
かえつ有明
工学院大学附属
国学院久我山
駒込
桜丘
サレジアン国際学園
実践学園
品川翔英
芝浦工大附属
順天
城西大学附属城西
聖徳学園
成蹊
玉川学園
多摩大聖ヶ丘
多摩大目黒
帝京
東海大学付属高輪
東京成徳大学
東京電機大学
東京農業大学第一
東洋大学京北
日本工業大学駒場
ドルトン東京学園
日本大学第一
日本大学第二
八王子学園八王子
広尾学園小石川
文化学園大学杉並
文教大学付属
宝仙学園共学部理数インター
武蔵野大学
明治学院
明治大学付属中野八王子
明星
目黒日本大学
八雲学園
安田学園
立正大学付属立正
神奈川大学附属
関東学院
関東学院六浦
鶴見大学附属
東海大学相模
桐光学園
日本大学
日本大学藤沢
森村学園
横浜創英
光英VERITAS
昭和学院
専修大松戸
東海大浦安
開智
春日部共栄
埼玉栄
栄東
西武学園文理
獨協埼玉
星野学園
細田学園

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2021年10月24日 (日)

世界の桐朋女子

★今年は、桐朋女子の同窓の活躍が目立ちます。パンデミックの中グレートリセットのビジョンを掲げ、新しい資本主義や気候変動の未来を見据えたテクノロジーの研究成果やグローバルな政策についてダボス会議は継続して議論しています。そのダボス会議を運営しているのは世界経済フォーラムですが、その世界経済フォーラムJapan代表江田麻季子さんは桐朋女子のOGです。各メディアでその活躍ぶりは頻繁に取り上げられています。

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★そして、今回ショパン国際コンクールで、反田恭平さんと小林愛実さんはダブル入賞しました。NHKによると、「2人は幼なじみ。高校も1学年違いで、名門・桐朋女子高等学校の音楽科に通いました」ということです。桐朋女子には子供のための音楽教室もあり、そこで学んだアーティストに、中村紘子さんと小澤征爾さんがいます。

★仙川キャンパスには、昔から今も、そしてこれからも世界で活躍する生徒がユニークな学びをおくっています。ユニークでなければそもそも世界で活躍できないのかもしれません。

★そのユニークな教育について、首都圏模試センターのサイトには詳しい記事が掲載されています。

 学校特集「桐朋女子中学校・高等学校2021」「ことばの力」を育み、物事に取り組む姿勢をつくる教育 「Learning by Doing」…多くの経験を通して学び、創造力あふれる女性の育成を目指す

★音楽家ではない中高一貫の方でも、実は芸術の学びが豊かです。ジョン・デューイのPBLの考え方も根づいていて、21世紀型教育を創設当時から先取りしていました。それゆえ、当時からユニークだったわけです。しかし、時代はようやく桐朋女子に追いついてきたわけです。

★世界の桐朋女子となった今、未来はどこを見つめているのでしょう。11月5日(金)、GLICC Weekly EDUで、主宰の鈴木さんと桐朋女子の吉川陽大先生と対話します。お楽しみに。

 

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なぜ今「対話」なのか?中原淳先生のZoom研修と神崎史彦先生とのZoom対話から思うコト。

★金曜日の夜から今朝の真夜中にかかて、久々学びの時間を過ごしました。金曜日は、工学院のSGT5人と聖パウロ学園のSGT1人と鈴木さん主催のGWEでZoom対話をしました。対話がコンセプトメイクやセンスメイクに実に効果的であるという実感を抱けました。

★また、昨日の午後は、電通育英会主催の「リーダー育英塾カンファレンス2021」というオンライン研修にも参加しました。このカンファランスは、反転授業よろしく、講師の溝上慎一教授と中原淳教授の各40分の動画を予習したうえで臨みます。前半は、お二人の対談が中心で、リーダー育英熟卒業生の事例プレゼンとパネルディスカッションでした。そのあとブレイクアウトセッションでしたが、こちらは参加しませんでした。そういう意味では、私は真面目な参加者ではありませんね(汗)。

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★2014年に出版された中原淳先生と溝上慎一先生共著の上記の本を読んだときからお二人の研究はときどきフォローしてきました。ちょうど21世紀型教育機構本格稼働2年目で、PBLの効用や効果を検証する方法を考えていた時だったので、「トランジション」という考え方は、大学進学実績や偏差値以外の検証アプローチだなと。そのうち「総合型選抜」や「ポートフォリオ」の話と相まって、この「トランジション」を現実的なものにしようとしたのが、海外大学準備教育へのカリキュラムづくりという話になっていきました。

★一般選抜への準備だと、必ずしも「トランジション」的な発想が組みにくいわけです。一方通行型講義形式の授業で結構有効なので、アクティブラーニングやPBLの正当性、信頼性、妥当性のうち特に妥当性を現場で共有することが難しかったわけです。

★今となっては総合型選抜の準備教育でいけるのですが、それは2020年まで待たなければならないというのが現場の事情でした。ですから、PBLのトランジション効果を測るのは、海外大学準備教育という選択になったわけです。検証というのは、残念ながら理論的なものではなく(それゆえ、理論的な点につては両教授をフォローしてきたわけです)、あくまで海外大学進学実績の飛躍でした。それは2019年くらいからじわじわとでて、今となっては当たり前になってきています。

★この海外大学準備教育とC1英語は重なり、現場では受け入れられやすかったし、PBLは当然必要な環境でもあったわけです。

★そして、C1英語にしてもPBLにしても、それからパンデミックで、同機構が初めから取り組んでいたテクノロジー環境の1つである1人1台環境はオンライン授業にも適応でき、21世紀型教育の肝は「対話」ということになったのです。

★PBLで対話のない授業はないし、C1英語でスピーチやエッセイライティングで「対話」をしない授業はありえません。オンライン授業でも動画を流すだけの授業はあり得ず、必ず小論文とフィードバック、対話が行われています。もし対話がなければ、オンライン授業はリアルな対面授業に比べれば見劣りがします。しかし、対話が行われると、対話が見える化されるので、深い学びが展開します。ただし、やはり12人が限界ですが。

★この対話は、中原教授が言うように、みな最初は苦手です。会話と対話はもちろん違っていて、会話が得意でも対話となると、本質的な局面で話しますから、哲学的になったりします。難しくなります。しかし、小さな気づきの達成感の連続が生まれれば、対話のライブ感みたいなものがしっくりくるようになります。カンバセーションとダイアローグの違いは、欧米では当たり前です。そしてダイアローグは欧米では、きちんとトレーニングされます。日本の教育では、それがないだけでのことで、日本人が対話の能力がないということではありません。

★神崎先生の対話は、先生の仕事が終わってからでしたから、その対話は、たいてい真夜中になります。昨晩、いや今朝もそうでした。今の時期は総合型選抜のピークの時期ですが、総合型選抜は、ほぼ海外大学準備教育とシンクロします。AO入試の時もそうだったのですが、一芸入試の名残があるものもあり、シンクロというところまでは到達していなかったと思います。

★ところが、今回の高大接続改革は、一見とん挫したとおもわれがちですが、国際バカロレアやAレベルの研究が、文科省を始め、大学側でも進みました。留学生や帰国生も入学させる戦略も進みましたから、当然それは総合型選抜にも影響を及ぼすわけです。

★そうすると、対話というコミュニケーションシステムに移行しなければ総合型選抜もなかなかうまくきません。

★ところが、日本の教育に、センスメイキングというコミュニケーションを行う教育はまだないのです。意味は読み解くものであって、見方を変えるトレーニングは、持続的にはないのです。偶然、心ある教師が、何回か授業で無意識の内に行うということはあるでしょうが。

★ところが、文科省は「対話的・主体的で深み学び」と言っているわけです。しかし、対話について、あるいは主体的について、さらには深い学びについても、具体的なものは示されていません。新しい酒も古い容器に入れられてしまうわけです。元の木阿弥なのです。

★神崎先生とは、神崎先生が行っている対話システムという内容物を収納する容器であるフォームをいかにしたらトランスフォーム出来るかのかという対話になりました。クリエイティブクラス100万人プロジェクトを稼働しながら、見つけていこうということになりました。

★というわけで、「対話」が必要だということはわかっているが、「対話」をトレーニングする場が用意されていないというのが現状で、その場はPBLという場を授業に導入することで当面は行っていかなければならないのですが、本来ならカリキュラムの中に哲学カリキュラムのようなものをいれなければならないかもしれません。倫理や公共などの教科はまだまだ知識ベースで対話ベースのプログラムになっていないからです。もちろん、この教科がPBLになれば問題ないのですが、それはシステムではなく、教師次第という属人的なレベルです。それだと高3生100万人すべてがクリエイティブクラスにはなれないのです。そこを何とかしようというのがクリエイティブクラス100万人プロジェクトです。

★神崎先生も二子玉川に本社機能を移行されたのを機に本格的にこのプロジェクトをやっていこうということです。みなさん共にお願いいたします。

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2021年10月23日 (土)

工学院と聖パウロのSGTと対話 自然体・ダイナミック・柔軟なPBL。希望の教育がここにある。

★昨夜2時間弱、GWE(GLICC Weekly EDU)で、工学院のSGT5人と聖パウロのSGT1人と主催者鈴木さんと対話をしました。両校は21世紀型教育機構の加盟校で、思考コードを意識したPBL(Project based Learning)をふだんの授業の中で展開しています。2013年ころから本格的にスタートしています。最初の頃は、PBLって何からはじまり、思考コードもまだ開発途上の中からのスタートでした。しかし、今は、鈴木さんが「自然体だし、いきこんでPBLをやっているぞというわけではなく、ふつうにPBLがデフォルトになっていますよね」と語っているように、PBLは当たり前という雰囲気になっているのが、しみじみ伝わってくるすてきな対話になりました。

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(オンラインでもこんなに豊かな表情が伝わってくるのは、さすがSGTのみなさんですね)

★参加メンバーは、工学院からは、教務主任の田中歩先生、国語科の臼井先生、保健体育科の柴谷先生、社会科の柳田先生、家庭科の片瀬先生。聖パウロからは数学科の伊東先生。

★それぞれの教科のPBL観のコンセプトと具体的な取り組みをじっくり聴くことができます。また世の中的には、だいぶ思考コードが広まってきたものの、まだまだ授業でどのようにそのコードが生かされているかは未知数です。しかし、両校のSGT(スーパーグローバルティーチャー)の経験から、そこを知ることができます。実に柔軟で、ダイナミックで、生徒の共感的コミュニケーションが育つのかがわかります。

★おもしろいのは、それぞれの教科が独自のPBLを展開する多様体になっているにもかかわらず、PBLの出発時点では「好奇心・興味・関心」を生み出す仕掛けに相当時間をかけ創意工夫をしているというバックヤードの営みがポイントだということです。

★先生方は、「好奇心・興味・関心」から出発さえできれば、生徒のモチベーションや探究へのGRITは生まれるのだという確信を持つ一方で、すべての生徒が教科という授業の性格上、毎回毎回「好奇心・興味・関心」を持っているわけではないという現実があるという共通認識も持っています。だからこそ、その状態をどうひっくり返すかにチャレンジするのがおもしろのだというダイナミックなマインドがあるわけです。そんな話をしている様子は感動的です。ぜひご視聴して感じて頂きたいと思います。

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★この「好奇心・興味・関心」は結局は共感的コミュニケーションという希望と愛の雰囲気が学内に染みわたっているからこそ生まれてくるのだということにも改めて気づかされました。しかし、何よりこの「好奇心・興味・関心」を生徒が持つ瞬間をラーニングパターンカードさながら書き起こしてしまっている工学院の先生方のセンス・発想力・行動力に驚愕でした。

★かわいい絵になった生徒の「好奇心・興味・関心」を生んでいるときの状況と表情がなんともいえないいい感じです。

PBLの深イイ話と生徒を思うカワイイ話を聴くことができます。希望の教育を感じることができます。ぜひご視聴ください。

★中間テストや進路指導、生徒募集など行事がスクランブル状態のこのお忙しい時期に、秋の夜長のいとおもしろき対話をありがとうございました。今月31日、先生方がファシリテーターで活躍するセミナーにも参加させていただきます。またよろしくお願いいたします。

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2021年10月22日 (金)

クリエイティブクラス100万人プロジェクト 21世紀型教育センターのSGTリーダーも出動

★10月31日(日)、<次世代SGTオンラインセミナー「授業デザインツール」>があります。その準備のために、主催者の21世紀型教育研究センターのSGTリーダーがZoomミーティングをしました。今回は工学院のSGTが亭主です。そのため同校の田中歩先生が、工学院のSGTと話し合った企画案を提出し、聖学院の児浦先生、和洋九段女子の新井先生、21世紀型教育機構の理事・事務局長の鈴木さんとブラッシュアップしていました。

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★聖パウロ学園の伊東教諭と私は、勉強のためオブザーバー参加しました。この動きはまさにクリエイティブクラス100万人プロジェクトの先鋭的な動きだなあと感じ入りました。

★当日の模様や感想を終了後、お知らせしますね。

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2021年10月21日 (木)

第18回ショパン・コンクール 24歳のカナダのブルース・リウさんが優勝

★昨日第18回ショパンコンクールが終わりました。優勝はカナダのブルース・リウさん。今ファイナルで演奏したリウさんのピアノ協奏曲をYoutubeで聴いていますが、ちょっと驚きでした。これは、24歳の青年が弾く音ではないなあと。若きショパンが、その情熱がほとばしっていて野心に満ちていたころ創作したコンチェルトの音ではないなあ。

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★めちゃくちゃナチュラルでたしかに美しい音色だけれど、連続性と非連続性の差異が明快な引き方で、他を圧倒しているなあと。

★これがよいのかわるいのかわからないけれど、ショパンの創作時期をずらした感じ。老成しているとか悟っているとかそういうことではなく、コンチェルトというより、エチュードを弾いているおうなズレが新しさを感じます。

★ポーランド的でないのに、オーケストラをうまく前のめりにさせる弾き方はなんでしょう。

★水の音が表現されているという感じ。ピアノがファツィオリだったということもあるのかもしれません。

★新しい解釈をショパンコンクールの審査員が求めたということでしょうか。リウさんは、最近はあのダン・タイ・ソンさんに師事していたというのも関係しているのかもしれません。

★素人の私の考えなどどうでもよいですね。そのうち評論家がいろいろ言い出すでしょう。ショパンコンクールの自己変容について語る人がでてくるのを楽しみにしています。

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クリエイティブクラス100万人プロジェクト 動いています。

★2030年までは、高校3年は全国で100万人います。今年から10年間は、ぜひとも偏差値にかかわりなく、100万人みんながクリエイティブクラスになって、18歳成人として巣立ってほしいと願っています。ですから、そのような活動チームは、みなクリエイティブクラス100万人プロジェクトを稼働させていると名付けたいのです。

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★このように名付けると、そんな大きな組織を作るのかという話になりますが、そんな意図はないのです。たんに、今回のパンデミックで、今までの教育や仕事では乗り越えられない何かがあると思ったそれぞれの地球市民が、それぞれのチームをつくって、当然本質的なSDGsやクリエイティブクラスとしての動きをしているわけです。

★私も21世紀型教育機構の仲間とそういう活動をしていますが、他にも違う活動をしていながら、クリエイティブクラス100万人プロジェクトを遂行している人々やチームがあります。落合陽一さんなどその代表格ですね。私は落合さんはテレビやYoutubeや本で拝見するだけですが、「クリエイティブクラス」というワードを共有しているのを知って、やはりこれだなと。

★先日Zoom対話をした鹿児島純心のシスター久松校長も、別路線ではありますが、21世紀型教育を推進しています。ここでも新しいつながりが広がる可能性が見えてきました。「ぶどうの木プロジェクト」となるかもしれません。

★そんなことを考えていたら、今年の1月18日の記事「2021年中学入試情報(22)新渡戸文化学園の存在の意味が広がる。新しい教育文化の在り方。」のアクセスが急上昇しました。古いブログ記事は、サーチによってアクセスされるので、新渡戸文化学園が注目される何かがあったのだろうと思い、「平岩国泰 新渡戸文化 中学入試」でand検索してみました。すると、トップページの中に現れました。理事長平岩先生の名前をいれないと、でてきません。したがって、これは平岩先生が何か活躍しているのだなと思い、同学園サイトを開くとやはりそうでした。

「子どものものづくりのこれから~キッズデザイン賞 内閣総理大臣賞 受賞記念~」という記事が掲載されていました。同記事にはこうあります。

<新渡戸文化学園には、世界初の学校内VIVISTOPである『VIVISTOP NITOBE』があり、日々子どもたちがクリエイティブ活動にいそしんでいます。そこで昨年始まった「VIVISTOP NITOBE FURNITURE DESIGN PROJECT」。こちらの活動スペースに置くイスを、実際に使用する5年生が高知県佐川町のデザイナーと一緒に制作するプロジェクトです。このプロジェクトが、2021年9月にキッズデザイン賞の最優秀賞である内閣総理大臣賞を受賞しました!!! >

★まさにクリエイティブクラスが生まれるプロジェクトです。詳しくは同記事をご覧ください。ともあれ、ここでもクリエイティブクラス100万人プロジェクトが稼働しているわけです。「クリエイティブクラス100万人プロジェクト」というフォームを当てはめてみると、おそらくいっぱい動いていることがわかると思います。

★脱成長だけれど進化する倫理資本主義が生まれる予感がします。

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2021年10月20日 (水)

World Makingの時代 覚書(06)世界を作るとはどういうことか。本質を見通すことも、いやこそ世界を作ること。

★勤務校の数学科教諭とは、定期的に対話をしています。中間試験シーズンだったので、今月は月一回だけだねといいつつも、終了するや否や対話しようと。1)躓きのポイントとその解消の方法、2)それから授業で行っている20%ルール(理系クラスは100%だそうです)。各時間最低20%は思考力型問題を考える機会を設定するのですが、それに対応する問いを中間テストでどう出題したか、生徒の反応はどうだったのかという2点について対話をしました。

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★おもしろいのは、本質という意味での基礎基本を整理することが大切だという話で盛り上がったことと、三次元を二次元に「置き換え」て整理するスキルのトレーニングが必要だなという話などがでたことです。

★本質=基礎基本、「置換」「変形」「ショートカット(削除)」などなどの用語は、ふだん当たり前に使っている言葉ですが、実はネルソン・グッドマンの語る「世界制作の方法」というシンプルなスキルの一部です。

★数学というのは、結局関数関係という世界ですから、計算の仕方を覚えるのでなく、その論理的な推理の世界という本質に立ち還るとそのまま世界モデルになります。

★とはいえ、それを生徒に直接延べ伝えたとしても、ピンときません。

★そこで、先生方は、問いに仕掛けを作っているということもわかりました。数学的純粋な世界を、リアルな世界の状況に重ね合わせてみたらどうなるのか。意外とそこが結びつかないのだと。

★このことは、キャリアデザインでも同じではないかとジャンプしました。自分の未来を見通しても、それがいまここで行動していること・考えていることになかなか結びつかないわけですからと。

★純粋数学という見えない本質と現象という見える状況が結びくかどうかは、未だ見えない自分の未来の見通しと、いまここで見えている自分の言動が結びつくかどうかにかかわっているのだと。

★結局、両者を受け入れる「受容」と「関心」という非認知能力がなければ数学的世界を作ることはできないのだというところまでいきました。

★だから、そこを養うにはどうしたらよいのか。対話は尽きません。

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(聖パウロ学園の思考コードは1枚ですが、実際には4重構造の複雑系になっています。それを一枚にしているので、直観的に使う受容力が必要です。パウロの教員はそこはあっという間にクリアします。)

★そんなとき、思考コードを媒介にして、生徒と問答している数学的世界はどのあたりなのかについて対話していくと、生徒によって違うのですが、どの生徒にも共通する領域も見えてきます。教員によって違いはあるものの共通する部分もでてきます。

★それが中間テスト20%ルールの部分の違いに反映しますが、その差異が教員同士の刺激にもなります。

★本質と現実のギャップ。これを埋めることこそ世界を作ることなのかもしれません。数学的世界では、基礎基本とは、どうやら知識習得ということとは違うようです。本質を見通し、それを状況に適用する。その適用が純粋な世界、本質的世界を注いでいくのでしょう。それがトランスフォーメーションに移行するわけですね。

★関数的な世界の循環、それはまさしく好循環を生み出す根源です。エラーを見つけて修正していく。そういうモニタリング思考が文系的にはクリティカルシンキングというのでしょう。

★根源なき世界か、根源からの世界か。すなわち、関数なき世界か、関数あり世界か、世界作りの意味の再確認ができました。

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21世紀型型教育機構 SGTのためのWMLセミナー 新たなPBL始まります。

10月31日(日)、21世紀型教育機構は、SGT(スーパーグローバルティーチャー)の授業デザインをブラッシュアップするためにセミナーを開催します。今回はさらに、PBLをWML(ワールドメイキングラーニング)に進化させる目的があるようです。参加は機構加盟校限定ですが、開催終了後、概要は動画が公開される予定です。スーパーバイザーは工学院の田中歩先生。ファシリテーターは、知っている限りですが、工学院の臼井先生、柴谷先生、柳田先生、片瀬先生の予定です。参加人数が多い時には、聖学院の児浦先生、和洋九段女子の新井先生が助っ人となるでしょう。

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★さて、もともと、同機構は、授業デザインのときに思考コード(各校独自に開発)を意識していますから、ステージ1では自己の世界を経めぐり、ステージ2では、仲間と世界を共同編集して、自己と他者の世界へシフトし、ステージ3では、世界観やそれを現実化するモデルや政策、モノそれ自体を創ってしまうfor others段階になります。

★今やPBLというと、同機構に限らず多くの学校で実行するようになりました。しかし、まだまだ探究などの限られた時間で行われるのが現状で、教科の授業で行われるのはこれからでしょう。

★一方、同機構は、授業でも行っていますが、ステージ3まではまだ温度差があります。

★それゆえ、知識習得×論理的思考というステージ2で終わりがちです。

★探究だけではなく、授業でもPBLを行っているということで満足するのではなく、クリエイティブクラスというタレント・テクノロジー・トレランスを育成するステージ3まで、きっちりやろうという意志が機構の各学校のマネージャーが集まる会議で立ち上がったのです。

★ステージ1だけのPBLやステージ2までのPBLを行っている学校も、PBLをやっていると言えますから、21世紀型教育機構は世界観、そのモデル、そのモデルに基づいた解決策や作品などなどを創るレベルのPBLをやっているということを示すために、機構のPBLはWML(ワールドメイキングラーニング)だと言い切ろうとなったのです。

★わかりやすいイメージとしては、東大の推薦入試や慶応大学などの総合型選抜で提出する書類や小論文以上のものができてしまうという感じです。各教科の授業の中でです。そんなことできるのかあ?!と思う方もいるでしょう。生徒の力を信じるとそれはできるんですね。すでに実践しているところもでてきています。

★密度の濃いWMLに挑戦するSGTが集結します。21世紀型教育機構でWMLをはじめ、これが全国に広がれば、みんなクリエイティブクラスになり、日本の脱成長的進化を生み出すでしょう。倫理資本主義ベースの民主主義ということです。楽しみです。

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日本私学教育研究所平方邦行所長との対話 <研修コード>に基づいた研修構想 ≪私学の系譜≫の現代化

★先週土曜日、日本及び東京私学教育研究所所長の平方邦行先生と対話しました。現在平方先生は、一般財団法人日本私学教育研究所の理事・所長、日本私立中学高等学校連合会常任理事、一般財団法人東京私立中学高等学校協会 常任理事、東京私学教育研究所 所長に就任されていています。また文部科学省の高大接続関連のワーキンググループにも長年かかわっています。

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★また、21世紀型教育機構の会長でもあります。私は、この機構を平方先生といっしょに立ち上げたスターティングメンバーの一人として、今もこうして対話の機会を頂けるわけです。

★とはいえ、このような役職に先生は就いていますから、全国を駆け巡っています。コロナ以前は、世界も駆け巡っていました。ですから、先生との対話は、月に一度お会いすることができるかどうかという貴重な機会です。

★ですから、そのテーマはいつも革新/確信/核心の話に集中します。

★つまり、常に、東京のみならず、全国の私学、そして私立公立を問わず、日本の教育をどう変えていくのか、2089年からバックキャスティングして対話するのです。しかし、そのような時代の精神の読み取りと見通しは、教育制度、学校組織、カリキュラム、生徒募集など具体的な実践に一気通貫していなければというプラグマティックな話に行き着く来ます。

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★ですから、私学教育研究所は、全国の私学の研修を企画運営しています。理事長校長などスクールガバナンスの研修と現場の教師の研修、現場の教員の委託研究支援という学校のマクロとミクロの両面から研修サポートしているのです。

★平方先生は、神は細部に宿るという考え方を持っていますから、教育制度や学校組織、カリキュラム、生徒の成長、生徒募集などすべてが収束しているのが日々の1つひとつの授業だというのです。

★だから、時代が変わって、大学入試や学校組織のあり方が変わろうとしても、授業が旧態依然としたら、教育は変わらないのだと。

★したがって、授業を講義形式中心からPBL型授業に変えるのだという活動をずっとしてきたわけです。これからも、もちろん続けます。

★しかしながら、知識習得型をPBLでやっていたのでは、実は元の木阿弥であるということも理解していますから、思考コードを作成して、知識習得×論理的思考×創造的思考のコンセプトを教師も生徒も共有すべく活動してきたのです。

★つまり、PBLでルーブリックをつくっても、そのルーブリックが、知識習得の枠内であったら、何も変わらないのです。そういう意味で思考コードはルーブリックのモニタリングをできるわけです。ルーブリックは授業デザインの際の授業目標の精緻版ですから、必要ですが、枠組みの広さはモニタリングしておく必要があるのです。

★そして、日本及び東京私学教育研究所は、そのようなコンセプトを実行できる研修を行っていきますから、自らも思考コードに基づいた研修デザインをしなくてはなりません。現場が知識習得×論理的思考×創造的思考の枠組みで行おうとしている時に、研修では、それを満たさないことを行っては齟齬が生じるからだと語るのです。

★研修プログラムは、テーマ項目については「内容」が全面にでます。内容が魅力的でなければ、参加者は集まりませんから、テーマは大事です。しかし、その背景にはどこまでそのテーマを深く参加者と共有するのかという仕掛けも重要です。このような研修は、一般には講演スタイルが中心になりますから、講師はたしかに深く広く話されます。

★参加者は、感動し、いい話だったということになりますが、それがどれだけ深く身につき、現場に持ち帰ることができるかという仕掛けは必要です。

★最近では、ワークショップ型の研修も増えてきましたから、仕掛けることが可能です。そこで、思考コードに基づいた研修コードを創ろうということになったそうです。まずは東京私学教育研究所の研究員が開発しているということです。

★また、一方で学校組織を運営する理事長校長の研修には、平方先生は思考コードをベースにした運営コードとしてアクレディテーションを提唱していく予定です。

★21世紀型教育機構は、思考コードに基づいたPBLを推進していますし、PBLをコアに学校全体が好循環になっているかどうかをモニタリングするためにアクレディテーションを行っています。世界の私立学校では、このアクレディテーションは当たり前です。説明責任やモニタリングは、民主主義では当たり前だし、それがインディペンデントな私立学校なら、国からモニタリングされるのではなく、自らリフレクションするのが当然だからです。

★日本では、それがないから、偏差値という外部評価に学校選択者は頼らざるを得なかったのです。偏差値という統計手法がわるいわけではありません。アクレディテーションもまた外部評価ではありますから、むしろ外部評価というのは参考エビデンスとして必要なのです。

★ただ、評価視点が1つだと、学校選択者の志向性を視野狭窄にしてしまうおそれがあるのです。評価視点は多様にしなければ学校選択者のそれぞれの志向性にマッチングできないでしょう。

★もちろん、そうなると評価視点のそれぞれの相関が計算されるようになり、つまり因子分析が進み、それぞれの学校の強み弱みがはっきり見えてきます。しかし、それは偏差値のようにランキングにならないし、そのモニタリングの結果をみて、学校がさらに洗練する努力をしていけばよいわけです。

★洗練度の度合いが学校選択者の目の付け所になるというのは、互いに幸せなことでしょう。

★平方先生は2089年からの見通しというコンセプトを語りながら、思考コードとアクレディテーションを現地に赴いて伝道しています。歴史は、やがて平方先生を21世紀の私学人として刻印するでしょう。20世紀の私学人内村鑑三、新渡戸稲造の如く。

★≪私学の系譜≫の現代化が生まれているということでしょう。

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2021年10月19日 (火)

鹿児島純心 シスター久松校長と対話 神様にも人にも喜ばれる女性に パンデミックの時代だから見える人間の真理

★昨日、鹿児島純心女子中・高等学校(以降「鹿児島純心」)の校長久松久美子先生と対話する機会を頂きました。つないでくださったのは、神崎史彦先生です。校長久松先生のことは、私はシスターとお呼びすることの方が多いかもしれません。3人の対話は、シスターによる祈りを分かち合い、3人で主の祈りを唱えるところから始まり、シスタ―の祈りを分かち合いながら終わりを迎えたからです。つまり、特別な意味があるのです。

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★さて、シスターは、校長として、鹿児島純心の教育について、明快・簡潔・感銘が三位一体になっているお話をされます。しかも、ビジョンとその具現化の両方がきちんとセットになっています。リーダーたるもの、シスターのように、シンプルでインパクトあるビジョンを語り、かつそれが具体的に染みわたる実行力のあることを示すタラントが必要なのだということに改めて気づきました。

★自分がそのようなリーダーシップを発揮していないことに気づき、気を引き締め直しました。そして、ビジョンと実行力をつなぐものは、やはり対話なのだということも了解できました。

★シスターは、鹿児島純心の教育は建学の精神の実行だと確信に満ちた質感のある言葉で語ります。すなわち、「神様にも人にも喜ばれる女性」になる教育なのだと。これは、今回のパンデミックで、世界中の人が望む希望のロゴスです。

★というのも、パンデミックは、格差を押し広げ、弱い立場にある人間が世界中で窮地に陥る事態を生み出し、従来の経済社会や価値観ではその絶望をどうすることもできないことを明らかにしてしまったからです。

★したがって、大事なことは絶望を希望に変える発想力・判断力・実行力ですが、それをシスタ―は「人に喜ばれる女性」という存在になるとシンプルに表現しているのです。そして、パンデミックの時代だからこそ、その「喜ばれる」というロゴスの真理性と重みの意味は大きく深いのです。

★シスターは、「喜ばれる」には、人と人のつながりが大前提だと語ります。パンデミックで、この当たり前の「つながり」が実に得難い大切なものであることを世界中の人々が共有したのです。シスターはこうも続けます。このことは当たり前で、こもっていては喜ばれないのだと。だから、教師も生徒も外に目を向け外との関係を大切にするのは当たり前なのですと。

★そして、外とはグローバルも、これまた当然ながら、含むのですと。ですから英語だってきちんと学ぶ必要があるし、言語の必要性は、多様性の中でこそ力を発揮するのだというのです。

★しかも、互いにわかり合えるところからはじめるのではなく、むしろ互いにわからないというところからコミュニケーションは始まるのだから、受け入れる心と穏やかで寛容な感情を育てることは学びの土台でもあるのですと。

★同校は21世紀型教育を促進していますが、それが革新的だから行っているのではなく、ディスカッションや対話の学びが、建学の精神を教師も生徒もみんなで分かち合うために必要だったという根源的必然性から促進しているのだということが了解できました。

★また、21世紀型教育の1つの柱であるPBLは、学びのツールとして見える化する仕掛けがたくさんあります。

★シスター久松校長は、自分たちだけでは、暗黙知として行っているものの真価が意外とわからない。それゆえ外と結びついて対話をしたり、見える化することによって、その真価と自分たちが向かい合うことができるし、自分たちの中に大切なものがあることの確認は自信にもつながると語ります。それは生徒も同じだと。

★なるほど、神崎先生が、鹿児島純心の探究の授業の仕掛けと、それによって生徒が認知能力と非認知能力の両方をトルネードさながら豊かにしていくプロセスを見える化したときには、実に腑に落ちるものがありました。

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★さらに、思考コードで、生徒さん1人ひとりの知と情の豊かな成長ポートフォリオを見える化していたのも、ロゴスとエビデンスの両方があるので、学内で分かち合うだけではなく、その検証は、学外においても共有できます。

★神様にも人にも喜ばられる女性の存在の魅力が学内外に広まることは、幸せの精神を広める社会貢献そのものです。それに、鹿児島純心の教育を、結果的に魅せることにもなります。

★生徒募集の成功を超えて、より広く人間の幸せとは何かをいっしょに考え創っていくプロジェクト・カラシ種が巧まずして動き始めているのを感じました。感動です。そして、その動きを神崎先生も私も共に分かち合い、稼働させていかなければと共振しました。

★かくして鹿児島純心は、進路実績も良好だし、学びも好循環を生成しています。この循環をさらに広げていくカトリック学校の使命も果たしています。だからこそ、多様な外部団体との連携や生徒の主体的な社会課題を解決する動きなども活発です。ですから、生徒のみなさんは好奇心旺盛になり、もっとおもしろいことに挑戦してみようと自らの精神性が拡大し、つながりも広がっていくのでしょう。

★それについては、いずれまたお話したいと思います。

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教育は人生の準備ではなく人生そのものという倫理資本主義を土台とする民主主義の風?!

★昨日、今年1月4日に掲載した記事<「教育とは生き方そのもの」へシフト(01)グレートリカバリーの意味>のアクセスが急浮上しました。正月のNHKの番組に登壇したマルクス・ガブリエルさんや落合陽一さんのトークを見て・聴いて、その感想をメインに書いたものですが、そこからデューイにも飛んでいます。

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★まあ、このページの内容というより、あるキーワードをサーチした方々が、立ち寄っただけでしょうから、大事なことは何をキーワードとしてサーチしたかです。

★おそらく、「新しい資本主義」をめぐる関連キーワードなのでしょう。私もいくつかサーチしていたら、テレ朝の「未来をここからプロジェクト」というサイトに行き着きました。そこでは、マルクス・ガブリエルさんが倫理資本主義を提唱していて、倫理と経済は相反しないのだと語っています。

★なんと渋沢栄一の道徳経済合一説とシンクロするじゃないかと思いつつ読んでいたら、この発想はカントに由来するとマルクス・ガブリエルさんが言っている箇所が目に入りました。そういえば、カントと同時代人のアダム・スミスも道徳感情論を講義していましたね。

★100年ぶりどころか、200年ぶりの新しい資本主義ということでしょうか。

★ともあれ、テレ朝の記事が掲載されたのは、今年の7月16日です。マルクス・ガブリエルさんの新啓蒙主義の哲学が、NHKばかりか他局に拡大しているという事実が大事ですね。

★新しい資本主義、ステークホルダー資本主義、里山資本主義、倫理資本主義・・・・・・・。呼び名は様々ですが、弱い立場の人々の幸せを世界同時的に考えるようになったことは、どうやらこのパンデミックのもう一つのインパクトなのかもしれません。パンドラの箱。

★いやむしろ、黄金律の復権。2021年ぶりのドキドキです。黄金律は勤務校のスクールモットーです。頑張ります。

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2021年10月17日 (日)

富士見丘学園に末松信介文部科学大臣電撃的視察。

★仕事柄、文部科学省のサイトは頻繁に見るのですが、今朝開いて、驚きました。いきなり末松信介文部科学大臣が富士見丘学園を視察しましたと語り始める動画が目に飛び込んできたのですから!どういうことかというと、新着情報のトップ記事が、15日(金)に掲載されていた「末松信介文部科学大臣記者会見録」でしたから、クリックしたのです。すると、冒頭の2分間、富士見丘に視察に行って、先進的教育を見ることができたという旨を大臣が自ら詳しく語っているではありませんか。

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(富士見丘学園理事長・校長吉田晋先生 同校サイトから)

★驚き急いで、facebookに貼り付けました。しかしながら、考えてみれば、富士見丘学園の吉田理事長・校長は中教審メンバーの時代に、時の下村博文文科大臣の整合性のない教育政策に臆することなく直言し、大臣の怒りにふれたのですが、まったく動ずることなく、日本の教育のため、何より子どもたちのために、それ以降もますます本物教育のあるべき姿を文科省に提唱し続け、自らもSGHやWWL校のスーパーモデルとして21世紀型教育の範を垂れてきたのです。

★そして、2018年には、私立の中学校・高等学校及び中等教育学校の教育に長く従事し、その功労が顕著な者及び私立学校教育の振興に特に功績のあった者に対して表彰される、私立中学校高等学校教育振興功労者表彰において「文部科学大臣表彰」を受賞されたのです。

★それに、ご自身の学校だけではなく、日本私立中学校高等学校連合会会長として、日本全国の私学の教育のために奔走し、その先には、公立学校も含めたすべての子供たちのための教育の質向上のために尽力しているのは、教育関係者なら知らない人はいません。そのことは、優秀な文科大臣のブレインは情報収集済みです。

★今月4日、岸田内閣が発足した翌日、末松大臣は会見の中で、「岸田首相は聞く力を発揮され、私は見る力を発揮する」というような旨を述べていたはずですから、さっそく言行一致を見せたのでしょう。富士見丘学園視察は、そのような歴史的文脈からいって必然だったのです。

★そんなことを考えていたら、吉田晋理事長・校長及び教頭白鶯訓彦先生からそれぞれ当日の様子がわかる情報やデータがメールで送られてきました。facebookをご覧になったのか、それとも以心伝心なのかわかりませんが、日曜日であるにもかかわらず、この俊敏力こそ、24時間体制で教育の襟を正す緊張感を持続可能にしている証なのだと感じ入りました。そして私も学ばねばと思った次第です。

★それにしても、その情報を見るにつけ、今回の視察はやはり末松大臣の行動力をみせつける電撃的なもので、ほぼ抜き打ち同然の視察だったということがわかりました。

★12日火曜日の夜7時過ぎに文科省から打診があって、水曜日の午前には正式に、次の日の木曜日の午後に伺いますという一報が入ったそうです。火曜日の夜7時過ぎに打診があって、次の日の朝電話があったということは、ほとんど明日行くからよろしくというのに等しい連絡です。

★しかし、吉田晋先生は、21世紀型教育機構の前会長時代にアクレディテーションを機構で実施することを断行していましたから、いつでも先進的授業を行っているため、今日伺うでも構わないですよという姿勢でいるのでしょう。実際、アクレディテーションの結果はハイスコアです。そういう準備が整っているのですから、二つ返事でウェルカムですということになったようです。

★末松大臣が訪れたときには、当然秘書官、審議官、警護官などの行政官が10人以上連れ立っていたようです。当然心あるメディアも同行しているはずです。そして、大臣の第一声はやはり次のようなものだったそうです。「岸田総理は聞く力を仰っているので、私はそれに足して見る力をとの思いで、事務方に最初に私立学校の優れた教育を見たいと依頼したところ、WWLの指定校であり先進的な教育を実施している富士見丘中学高等学校が良いのではと、それと吉田先生にもご挨拶が出来るということで、急で申し訳ないが訪問した」と。

★そして、予定にはない教室にも積極的に視察にはいり、高校生と対話をしまくったようです。富士見丘の生徒は全員グローバルリーダーとして育っていますから、その的確な対応や対話ぶりに大臣も日本の教育の希望の光を見たことでしょう。子どもはやはり国の宝なのだと。

★吉田先生は、その姿を見守りながらこう感じたそうです。「生徒たちの物おじしない堂々とした姿に、私自身、大変誇りを感じました」と。

★以前から久しい間、そして今も、これからも、日本の教育のために全国を奔走し、世界の教育をリサーチしたり、国際交流のために世界中を飛び回っている吉田先生。さらに自治体や国とタフな交渉をして、日本の教育に本物の光を放ち続けています。私たち私学人も惜しみなく協力しなくてはと心の底から改めて意志を固める日曜日となりました。吉田先生、及び富士見丘の先生方これからも頑張ってください。私も微力ながら、協力して参ります。

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100年ぶりのパラダイム転換と評価する神田眞人財務官の意味 グローバル教育を標榜する私学教育関係者はどう捉えかえしますか?

★先週木曜日、アメリカで開催されたG20で、法人税の最低税率を15%に定めることをメインとする国際課税のルールの見直しを支持するとする共同声明を採択。今年7月にベネチアで開かれたG20ですでにその路線は敷かれていたから、岸田政権も「新しい資本主義」という言葉や「配分」という言葉を使いやすかったわけです。

★難しいことはわかりませんが、私学教育関係者にとって重要なことは、神田眞人財務官が、国際課税のルールが100年ぶりに変わったことに対し、「パラダイム転換」だと述べたということを各メディアが一斉に取り上げたことでしょう。

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★何も、私学教育関係者が財務官とシンクロしたなどということを言いたいわけでは全くないことは強く断わっておかねばなりません。大事なことは灘・東大出身の財務官が、お金の側面からパラライム転換などという言葉を使ったという事実です。

★私学関係者は、カタカナ語を使うことに対しては控えめですし、21世紀型居郁機構のメンバー校以外はパラダイム転換などという言葉を使うことは思っていても公の席では言いません。誰に気遣っているのかわかりませんが。。。日本人が一番好きなお金の話で、日本人の一番好きな東大、しかもやはり大好きな灘出身の、しかも財務次官と同じレベルの財務官のお墨付きをもらえたということが重要なのです。

★今まで心の中で思っていた方々も、パラダイム転換!望むところだと言わざるを得ないわけです。

★1989年ベルリンの壁が崩壊して、グローバリゼーションが急激に広がったのですが、翌年、すぐにお茶の間に流れたのは「百年ぶりの世紀末・・・」から始まる「胸がドキドキ」という歌でした。「名探偵コナン」のオープニングテーマ曲です。コナンのアニメは今も放映されていますね。

★この100年ぶりの世紀末とは、1989年の100年前のフランス革命後に出版されたウィリアム・モリスの「ユートピアだより」(1890年)の雰囲気を、作詞作曲者のバンド「THE HIGH-LOWS」さんが念頭に置いていたかどうかはわかりませんが、モリスというアーティストとそのロックバンドが、「自由」「平等」「共有」のミーム(文化遺伝子)を有しているということは考えにくいことはないでしょう。

★そのミームを学者の斎藤幸平さんが<人新生の「資本論」>で爆発させて、ニューコモンズの世界を開いているのは、まさに世界同時的に地球市民が「100年ぶりの世紀末」で「胸がドキドキ」しているのでしょう。

★ダボス会議もリーマンショック以来「新しい資本主義」について、手を変え考えてきて昨年は「グレートリセット」だなんて言っていたわけですから、岸田政権が「新しい資本主義」と語るマインドセットはかなり前から準備されていたのでしょう。

★それぞれ思惑は別々ですが、エンターテイメントが100年ぶりの世紀末を歌い上げ、学者もまた人新生の資本主義を歌い上げ、21世紀型教育機構も1989年の100年先の2089年から教育を考えることを提唱し、政治家も新し資本主義を公約として掲げ、そしていよいよ金庫番の財務官までもが100年ぶりのパラダイム転換だと宣言するのです。日本もだいぶ様変わりするのが現実的になってきたのではないかという予感がします。

★もちろん、100年前のウイリアム・モリスの「ユートピア」は、歴代のユートピア論同様、ディストピアを内包しています。原題は「News from Nowhere」なのです。

★多くの人々が語っても、「どこにもない」未知なる、つまり正解のない世界創りなのです。過去に引きずられることなく、2089年から構想する必要があるのはそういうわけです。はてさて、わたしたちは、自身の成功体験や方法を捨てられるでしょうか、そのようなフォームをトランス・フォームすることができるでしょうか。その謙虚さのみが、2089年のZ世代の成果を導くでしょう。

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2021年10月16日 (土)

神崎史彦先生 50回目のGWEで語る。学びの本質は君自身にあると。

★昨夜(15日)、GLICC Weekly EDUは50回を迎えました。GLICC代表鈴木さんといつものアイデアフラッシュ的な対話をしていたときに、Youtubeで発信しようかとなりました。その1週間後、鈴木さんから始めますよ、ライブ感を大事にアドリブでと誘われ始まりました。一年前のことです。アイデアをすぐ形にする鈴木さんのパワーにはいつも驚かされますが、さらに昨日とうとう50回迎えました。俊敏力と継続力の両方を持っている鈴木さんには、教育の希望を感じます。

★そして、そのタイミングで、神崎史彦先生がゲストとして出演してくださいました。お忙しい中、ありがとうございました。テーマはこんな感じでした。GLICC Weekly EDU 第50回「自己変容型マインドを生み出す総合型選抜ーKANZAKI METHOD 神崎史彦先生との対話」。中身が濃いので、ここで説明すると長大になりますから、ぜひご視聴ください。

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★カンザキメソッドは多様だし複雑系ですが、その中で私たちと共有しているシステム思考を中心に、生徒が自らを見つめ社会を見つめ、その両方を統合した世界アイデンティティを創る、自己変容型マインド生成過程をシステム思考を媒介にしていくという対話がメインです。

★そのとっかかりを、神崎先生がよく話題にする「氷山モデル」のメタファーからはじめました。そしてそれをループ図に転換して、最終的にはロバート・キーガン教授の自己変容型マインドを生み出す教育方法と評価方法に照合しながら、総合型選抜の学びの妥当性・信頼性・真理性を対話していきました。

★今回の学習指導要領は、そこまで要求していますが、それを現実態にするには、その器、フォームが必要です。ところが、残念ながら新しい酒を古い容器にいれることになり、可能性を実現することはなかなか難しいというモニタリングにもなっています。

★文科省は、鈴木さんや神崎先生の話に耳を傾けることも必要かもしれませんね。「聞く力」の政権に届くことを期待しています。

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2021年10月15日 (金)

21世紀型教育機構 SGM(スーパーグローバルマネージャー)部会開催 新機軸始まる

★2011年に立ち上がった21世紀型教育機構(当時は「21世紀型教育を創る会」)は、今年10年を迎え、いろいろな動きを開始しています。すでに、SGT(スーパーグローバルティーチャー)育成のためのセミナーが3回行われ、加盟校のPBL授業やSTEAM教育などの質が豊かになり、蓄積されてきています。質の向上はしかしながら、大切なものが故に、市場では見えにくく、せっかく良い教育を行いつつも、その質がもたらした大学合格実績で多くの場合はじめて評価されます。たしかに、各加盟校の大学合格実績は伸びてきたし、海外大学進学実績は目覚ましく、ようやく市場で認知されるようになりました。

★しかし、同機構のミッションは、自分の学校がよければそれでよいということではないのです。善き教育は共有して、日本の教育や世界の教育に広げ、世界の痛みを引き受け、解消できる教育出動を使命としています。それがゆえに、昨日14日、加盟校のSGM(スーパーグローバルマネージャー)が集結し、現場の若き教師SGTが積み上げてきた質を大きな力に転換すべく、従来のビジョンのフォームを新たなビジョンにトランスフォームする対話をしました。

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★フォーム。つまり型というのは、質という可能態を現実態に変容させる大切な役割を果たします。デザインとか見える化とかいう言葉に置き換えるとわかりやすいかもしれません。ただし、生徒の可能性を引き出す形成的評価の「形成」=「フォーマティブ」という意味を込めて「フォーム」という言葉を使った方が教育の領域では意味があります。ともあれ、すでにSGTの教育の質は、各加盟校のPBLという型=フォームによって生徒の才能を可能態から現実態にシフトしています。

★SGTのミッションとしては、面目躍如です。一方SGMにとっては、その現実態は、日本や世界の教育を変える可能態でもあります。マネージャーは、この豊かな潜在的な可能性を、現実態に変容させるビジョンを立てる役割を担っています。新たな型を生成する必要があるのです。そして今回のパンデミックは、そのトランスフォームの必要性を促したのです。

★2011年、機構の出発点は3.11でした。10年後の2021年、機構のビジョンのトランスフォームの背中を押したのは今回のパンデミックだったのです。

★加盟校が教育で引き受ける日本の痛みは、実は世界の痛みに通じていたわけです。

★このような課題意識を理解しない方々は、21世紀型教育機構を合同説明会の集まりだと思っています。加われば人が集まるかどうかの損得勘定を考えるわけです。どのように思われようが、構わないわけですが、問題は、教育に携わる経営陣がその程度のことしか考えない、日本の教育の痛みはまずは解消しておく必要があります。

★そこで、理事会は加盟校の経営陣が集まる定例会以外に、校長あるいはその学校の次代をマネジメントする代表メンバーを集めて、SGM部会を新たに発足しました。

★今回のテーマは、21世紀型教育機構の新たな市場創出、新たな教育開発についてです。最終的な決定は理事会、定例会を通して公表されるでしょうから、ここではまだ発表はできません。ただ、世界を巻き込むダイナミズムを教育から生み出すことになるとだけお伝えしておきましょう。

★20世紀初頭までは軍事力・政治力が絶望を生み出しました。20世紀後半は、経済が世界を席巻し、格差を生み出しました。21世紀は、絶望と格差を引き受け、希望と正義を取り戻す教育=知が出動するのです。それゆえの21世紀型教育なのです。

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2021年10月13日 (水)

八雲学園の当たり前は世界の当たり前。でも日本では高根の花。

首都圏模試センターのサイトに、八雲学園の記事<教育キーワード「英語4技能」についてのインタビュー動画>が掲載されています。30分強ですので、もしかしたら29分あたりから見て、それから最初から見ると、八雲の凄さがよくわかります。

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★どういうことかというと、八雲学園の英語教育は、最終的にラウンドスクエアという世界の私立学校との国際交流を、全校で取り組むところにいたるということが決定的ということです。

※「ラウンドスクエア」に関しては、次のページを参照→「革新的教育×自己変容型マインド(06)岩辺みどりさんの記事で、ラウンドスクエアと八雲学園が紹介される。」

★今はコロナ禍で、リアルな交流はできませんが、世界がアフターコロナかwithコロナに入ったところで、再会するでしょうから、世界中のエスタブリッシュスクールのメンバーが集結して世界の痛みについて語り合います。

★また、200校以上の世界の高校と頻繁に交換留学を行います。互いに学校全体で留学生を迎え入れますから、国際交流が一部の生徒だけで運営されるということがないのです。

★2カ月ごとにいろいろな学校からの留学生を受け入れているので、まさに学内インターナショナルスクール的なシーンが映し出されます。

★それが八雲学園の当たり前の景色だし、同時にラウンドスクエアの同盟校にとっても当たり前の景色です。

★しかし、この景色は、日本の一般の高校では珍しい景色でしょう。未来のグローバルリーダー同士の交換留学ですから。

★この高次元の当たり前の国際教育が得難く、かつとても大切だと気づく方はまだまだ少ないのですが、いずれこのすごさがわかるでしょう。すでに、海外資本が日本の中等教育に着々と進行してきています。

★八雲学園が本当に世界標準だということがわかる時が到来しています。

★さて、なぜ29分頃から視聴してから最初に戻りましょうと指摘したかというと、このような高次元の国際交流の段階に至る段階的な英語教育の軌跡をたどることができるからです。

★帰国生上でもないのに、英語力や国際的教養を身に着けていくイメージを追うことができます。

★しかも、母校で段階的に成長したボッサム先生もナビゲートしていますから、なおさら実感を抱くことができるのです。

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2021年10月12日 (火)

今週のGLICC Weekly EDU50回記念 神崎史彦先生出演!

今週15日(金)のGLICC Weekly EDU(GWE)は50回を迎えます。私はコメンテータートして90%は出演していますが、主宰の鈴木裕之さん(GLICC代表)は、皆勤賞です。毎回、多くの革新的教育と自己変容型マインドを生み出す見識者に出演して頂いています。鈴木さんの広い視野と深い問題意識があるからこそ、みな出演を快諾してくださるのです。継続は力なりと言いますが、毎回発見が多く、それを私たちも実践において活用させていただいています。さて、今回50回の記念すべきGWEには、あの神崎史彦先生が登壇!鈴木さんとの対話は大いに盛り上がるでしょう。

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★11月にはカンザキジュクが二子玉川にオープンする予定でもあります。

★今なぜ二子玉川なのか?

★今なぜ総合型選抜なのか?

★今なぜシステム思考なのか?

★今なぜ思考コードなのか?

★今なぜ世界創りなのか?

★などなどは神崎先生の探究プログラムではすべてつながっています。

神崎先生と鈴木さんの創造的対話をぜひご視聴ください。

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2021年10月10日 (日)

新しい資本主義を創る教育

★岸田政権になって、「新しい資本主義」が注目を浴びています。期待というより、ほんまかいなあ、所得倍増なんてあり得るんかいなあという懐疑心やネガティブファンタジーですね。これは世論でしょうか。あるいは格差をつけられている側の発言でしょうか?どうやらそうではないかもしれませんね。withコロナ時代の経済社会について、雑駁ですが、システム思考風にループでチャート図を作ってみました。

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★当面は、アフターコロナにはなりませんから、withコロナ時代の経済社会ということになります。今回のパンデミックによって、従来の経済社会、NHKが命名する言葉はインパクトがあるので、それを使うとすると「強欲資本主義社会」がダメージを受けました。しかし、実際には、そのダメージは製造業を中心にV字回復をしているし、そうでない産業はまだL字型曲線を描いているので、K字型回復曲線を描いています。

★しかも、このパンデミックによって貿易がうまくいきませんし、格差社会を生み出した象徴である地球温暖化や気候変動に対して脱炭素社会の動きがありますから、ますます化石燃料の産出にブレーキがかかっています。

★ところが、グローバル経済社会ですから、サプライチェーンが国境を超えています。新型コロナウイルス感染数が急激に減ったときに製造業はV字回復になります。まだまだ化石燃料が必要ですから、化石燃料の需要>供給というアンバランスが、化石燃料の高騰を生み出したわけです。

★産油国はそれを計算していたかもしれませんね。そんなわけで、インフレになるけれど、1人当たりのGDPは、日本の場合のように自給率は低いは、産業の空洞化はしているはでは、賃金が上がらず、格差は広がるばかりです。もともとK字型回復曲線ですから、このインフレとスタグネーションの関係もK字型で、ギャップを開いたまま成長曲線は描かれます。いわゆるスタグレーションだとメディアや評論家が騒いでいる経済現象が起こるわけです。

★しかしながら、一方で脱炭素社会に向かったり気候変動に対応する都市社会設計が進んでいるわけで、すでに新しい資本主義は岸田政権が唱えるまでもなく世界では進行しているのです。リーマンショック直後のダボス会議では、ゲイツやバフェットらが集まってすでに「新しい資本主義」だとか「ステークホルダー資本主義」だとか知恵を集結してその構想がデザインされ始めているのです。

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★ノーベル物理学賞を受賞した真鍋さんの気候変動モデルが再び注目を浴びているのは、脱炭素社会へのシフトを望んでいるからでもありましょう。

★しかしながら、新しい資本主義社会は、その肝になるメタバース資本主義のサイクルの資金調達をどこから持ってくるのかの解決がまだ未知数Xのままですから、そう簡単にはパラダイムシフトするわけではないのです。

★当面はまだwithコロナですから、実は強欲資本主義と新しい資本主義とメタバース資本主義は、共生しながら進んでいくでしょう。ですから、新しい資本主義に懐疑心を持っている方の軸足は、強欲資本主義にあり、さらにそこで富裕層というポジショニングをゲットしているファーストクラスです。

★そのファーストクラスは、いまのままで十分リッチなわけですから、分配の正義論を持ち出すリベラル・コミュニタリアニズム的な発想は余計なイデオロギーです。

★一方で、格差をつけられている側は、新しい資本主義に期待はするものの、もともとダボス会議で出てきているお話です。結局は富裕層にとって都合のよい気候変動対応社会になったり脱炭素社会になるだけで、格差社会は変わらないのではないかという懐疑心と不安を払しょくするのは容易ではありません。

★強欲資本主義を支えてきたのが20世紀型教育ですから、21世紀型教育は新しい資本主義やメタバース資本主義をいかにデザインしていけるのか、マネジメントしていけるのか、イノベートできるのかというWorld Making Skillsを活用できる3T能力を身につける必要があるでしょう。

★このWMスキルと3T(タレント・テクノロジー・トレランス)には、パトスとエートスとロゴスという自己変容型マインドもセットされていなくてはなりません。

★20世紀型教育に慣れ親しみ、基礎学力を鍛えていればよいと考えている方々は、今すぐ社会が変わるわけではないから、関係ないと無関心かもしれません。無関心は愛の反対語ですから、これは少し困ったものなのですが、実際問題、上記のシステム思考風チャート図にあるように、Xの部分のアイデアがない限り、まだまだ強欲資本主義は併存するのです。

★ミラーワールドとかメタバースというのが、SFの世界からもう少し現実的になったならパラダイム転換は大きく動き出すはずです。

★先日すぎやまこういちさんが亡くなりました。1986年中学受験の大衆化の幕あけに、ドラクエが登場しました。

★今では、それはeスポーツに広がり、ポケモンGOやあつ森のようなメタバースをイメージする世界も広まりました。VRが拡大バージョンする空間もできつつあると聞き及んでいます。

★1986年の9年後、Windows95が発売され、PC1人1台の世界が開かれました。21世紀にはブログが席巻し、リーマンショックや3.11以降はSNSが広がっています。そして2020年はテレワークの拡大。およそ10年単位で、確実にサイバースペースのテクノロジーは進化しています。

★シンギュラリティ―という話も現実味を帯びています。2030年には気候変動の対応が想像を超えるテクノロジーによる進化が起きているでしょう。

★強欲資本主義の根っこは、産業革命以降ずっと化石燃料の覇権をめぐる競争や戦争だったわけです。さて2030年以降はどうなっているでしょう。21世紀型教育は、たんじゅんに21世紀になったからそう呼んでいるわけではありません。

★生産エネルギーのパラダイムシフトに伴う経済社会のパラダイムシフトが産業革命以降ようやく到来したのです。その新しい経済社会、それは岸田政権が思い描くようなものではおそらくないもっとダイナミックなものでしょうが、ともかく、その未知なる社会ステムを生み出すクリエイティブクラスを生み出す教育を意味するのです。

★昨日も、21世紀型教育機構の意味を懐疑する学校のオーナーがいるのだけれどと聞き及びました。文句があるなら、私に連絡をくださいとお伝えくださいと話しました。そのような方々は、ご自身が旧パラダイムを保守しているからそう言っているのだということに、つまり古い格差社会製造フィルターで認識をしているのだということに気づいていないわけです。いつでも対話いたします。

★新しい地平を切り開いたすぎやまこういちさんのご冥福を祈りながら、新しい社会を創る教育を仲間と共に模索していきたいと思います。

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難関校攻略ハンドブックでわかること

★前回ご紹介した首都圏模試センターが出版している「難関校攻略ハンドブック」は、いろいろなことがわかって実におもしろいですね。その中でも、私は9つの思考コード領域の割合の違いで、その学校の思考力の幅や深さの特色を暗号解読するのが楽しかったです。

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★判定校35校の4教科分の思考コード分析がズラリと並んでいるページを読んでいると、たしかに、どこの学校もロジック中心に考えていくわけですが、その問題を解けるように学ぶ準備段階では、国語だとイマジネーションを使うなあとか、算数だと数学的直観が必要だろうけど、それには量が質を生むという涙ぐましい努力が必要なのだろうなあとか、理科だと推理力のトレーニングも必要だっただろうなあとか、社会だと社会課題まで自分なりの視点で捉え返しながら学びを積む必要があるなあとか思い巡らしました。

★やはり御三家の問題はそのような特徴が色濃くでていましたね。

★もちろん、イマジネーションを大切にしているのか、数学的直観を大事にしているのか、推理を大事にしているのか、社会課題の洞察を必要とするのか、はたまた、すべて大事にするのかは学校によって違います。

★さらにおもしろかったのは、判定校35校のうち80%は、算数においてB3の問題を出題していて、ここは一般化しなくてはならない問題が多いはずですから、量から質を生み出し、数学的直観を養う学びが必要な学校が難関校はやはり多いということがわかりました。

★同模試の判定校に入学する総数は、中学入試市場の18%くらいですから、それ以外の学校の科目入試は、ほぼ知識とロジックだけでいけるはずです。

★しかし、そのA軸とB1くらいだけを、何年もかけて勉強するのは、ちょっと問題があります。イマジネーションや数学的直観、推理力、社会課題への洞察力は受験するしないにかかわらず、必要だからです。この能力はこれからの社会をサバイブするスキルでもあります。

★そこに気づいた方は、適性検査型や思考力入試など新タイプ入試も併用することをおススメします。

★実は、中学入試の準備学習段階で、このサバイバルスキルを自在に使える能力を身につけてきた生徒が、中学入学後飛躍的に伸びることは、各学校の生徒の追跡調査で明らかになってきているのです。

★大学入試なら、総合型選抜で進路準備をしてきた生徒がそれに相当します。海外の大学の場合は、多くの場合そうですね。

★このように、思考コードは学びの過程において、未来を見据えた環境を設定しているかどうかをモニタリングするのにも役立ちます。

★なお、C軸の学びをたくさんやる環境にないのが、日本の教育で、国際バカロレアと比べると明らかです。B3のような難問をいくら学んでも、C軸思考をたっぷり活用する学びをやらないと、「コンセプト・レンス」を自ら創ることができないのです。もちろん、私の独断と偏見ですから無視してくださって構わないのですが、このレンズがないと、マニュアルで動くしかないわけで、自己変容型マインドは到底養われないのです。

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首都圏模試センター 「難関校攻略本」出版 思考力とは何か?思考力のトレーニングの仕方とは?

首都圏模試センターは、昨日9日から17日にかけて、「難関合格スキル模試」を実施しています。基本は同センターと連携している塾が会場ですが、自宅受験も行っています。この模試の特色は、35校の難関校に絞って、予想問題が作成され、ピンポイントに判定できるということでしょう。そして、従来の模擬試験にない画期的な特色は、徹底的に、分野、問いの形式、思考コードなどの多面的な視点で受験生1人ひとりの強み弱みを分析し、強みをさらに強くし、弱みを強みに変える思考スキルは何かをサポートするデータがわかるということです。

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受験生には、難関校攻略本「難関校攻略ハンドブック」が配布されます。もちろん、受験しない方もこの本をAmazonなどで購入することができます。

★35校すべての受験科目の思考コード別割合も掲載されているので、それぞれの学校の思考力の捉え方がわかります。思考力と言っても定義は学校によって違っています。思考力を大事にしていませんという学校はまずないですが、どの範囲までどの深さまでを思考力としているかは、学校によって違います。

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★入試問題は学校の顔ですから、A軸中心の学校だと、環境順応型マインドを育てる環境が充実し、B軸型中心だと自己主導型マインドを育てる環境が充実し、B3とC軸がメインだと自己変容型マインドを生成する環境が充実しています。

★自己変容型マインドの場合、C軸だけでなく、B3もというのには理由があります。問題としてはB3に分類される問題も、準備としての学びの段階では、C軸思考を使います。受験本番の時には、C軸思考を経過した類題となりますから、そこからはもはや創造性や批判的な思考はいらないのです。

★思考コードは、学びのどの段階にあるかもわかるのですね。

★C軸の問題は、未知の問題をその場で考えていくわけです。これも入試が終われば、受験生にとっては、A軸やB軸の問題になるのです。

★さて、同模試では、次のような難関校の判定ができるようですが、詳しくは同センターのサイトをご覧ください。

【第1志望判定校(以下の学校から必ず1校を選択)】
●男子
開成
麻布
武蔵
駒場東邦
栄光学園
聖光学院
慶應義塾普通部
筑波大学附属駒場
早稲田
早稲田実業学校中等部
早稲田大学高等学院
渋谷教育学園幕張

●女子
桜蔭
女子学院
雙葉
豊島岡女子学園
フェリス女学院
早稲田実業学校中等部
渋谷教育学園幕張

【第2~第6志望の判定校(上記第一志望校、下記の学校から5校を選択)】

●男子
海城
桐朋

本郷
立教新座
浅野
慶應義塾湘南藤沢
慶應義塾中等部
渋谷教育学園渋谷
東邦大学付属東邦
市川
栄東

●女子
鴎友学園女子
吉祥女子
浦和明の星女子
横浜共立学園
横浜雙葉
洗足学園
慶應義塾湘南藤沢
慶應義塾中等部
渋谷教育学園渋谷
東邦大学付属東邦
市川
栄東

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2021年10月 9日 (土)

革新的教育×自己変容型マインド(08)湘南白百合の探究学習 内在的価値とその成果

昨日8日(金)、GLICC Weekly EDU 第49回「世界を舞台に活躍する女性を輩出するー湘南白百合学園中学高等学校教頭水尾純子先生との対話」で、湘南白百合の教頭水尾先生とGLICC代表鈴木さんと対話をしたということについて、前回ご紹介しました。

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★水尾先生のお話をお聞きしながら、湘南白百合の探究学習が、生徒1人ひとりの<視点>の顕在化、<興味>の拡張化、<関心>の深化をもたらしていることが了解できました。

★リサーチ、仮説推理、議論、編集、プレゼンのサイクルが中1から高3に到るまで行く層にもわたり積み上げられています。積み上げというより螺旋状に上昇しているということがわかりました。

★イギリスの数学者であり哲学者でもあるトゥールミンのモデル「三角ロジック」が丁寧に活用されているし、問題発見とその解決策の提案をする際に、システム思考によって、関連領域も見つけているということもわかりました。

★トゥールミンもシステム思考の生みの親であるドネラ・メドウズも亡くなっていますから、その考え方や業績は普遍化し、いろいろなスタイルで探究学習の考え方の基礎として流れ込んでいます。したがって、三角ロジックとかシステム思考という言葉を生徒が意識しているわけではないでしょう。

★しかし、お話をお聞きしながら、その2つの知のアイテムを実用化しているなあと感じていた矢先、2019年の東大工学部の推薦入試(現「学校推薦型選抜」)で合格した生徒さんの小論文の答案をもとに水尾先生が話されました。すると、その答案には、三角ロジックとシステム思考がそのまま記述され図式化されていました。

 平成31年度 東京大学工学部推薦入試 小論文課題


以下の設問を読み、小論文解答用紙(別紙)に解答しなさい。(600~800 字、図中の文字は含まない。)

私たちの食について考えよう。食は、美味しく、楽しく、健康的に、安く、早
く、安全に、無駄なくなど、様々な価値基準から論じることができる。あなたが
入学後に取り組みたい工学分野の研究や開発によって、どのように食の価値を
向上させることができるか、独自の考えを具体的に記しなさい。必要に応じて自
筆の図を用いてもよい。

★取り組みたい研究の仮説を立てる時に、データを収集して裏付けるのですが、このデータは何か文献をカット&ペーストすればよいというものではないわけです。その生徒さんは、様々な体験や仮説実験によって得たデータなどを収集して分析をして、研究の重要性の根拠づけをするわけですが、ある意味データのデータとしての有効性や妥当性を証明するというファクトの信頼性・正当性づくりをしています。

★そのうえで、研究の関連領域やそれがどこにつながっていくのかループ図を描いているのです。システム思考はこのループ図が循環しない場合どうなるかを予想することができるので、問題発見ができるわけです。問題発見ができれば、再び仮説推理を発動するわけです。

★東大の課題は、食を、美味しく、楽しく、健康的に、安く、早く、安全に、無駄なくなどの様々な価値基準からアプローチするループ図を描き、その循環が途絶えることによる価値の低下を見つけ、そこを修復することで価値の向上を生み出す研究・開発について論じるわけです。当然、三角ロジックとシステム思考は工学的問題発見とその解決のビジョンを描くときに役立ちます。

★中1からの探究学習の螺旋的な上昇進化が、最終的にこのような問題を科学的に同時に価値の向上という倫理観も生成しています。

★そして、食の価値の向上を深く受けとめ創造していくのは、生徒自身です。人類の食問題の価値を多角的にアプローチして工場させる循環を構想できる生徒の内在的価値が高く豊かであることは言うまでもないでしょう。

★湘南白百合の革新的教育が、生徒の内在的価値を豊かにしていくということは、これこそが生徒の自己変容型マインドを生み出す学校なのだということの証しでしょう。

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湘南白百合 生徒の内在的価値を高める教育。

昨日8日(金)、GLICC Weekly EDU 第49回「世界を舞台に活躍する女性を輩出するー湘南白百合学園中学高等学校教頭水尾純子先生との対話」で、湘南白百合の教頭水尾先生とGLICC代表鈴木さんと対話をしました。湘南白百合の緻密でダイナミックな教育をお聞きし、日本も女性が活躍する時代が本当に到来すると確信しました。

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★グランドデザインが策定されていて、多様な入試、教科学習、探究、行事、国際交流、企業をはじめとする外部団体とのコラボレーション、ICT教育、進路指導、同窓生の協力など、多岐にわたるアクションにその精神が浸透していて、まるでマインドが樹液に流れ、その循環が豊饒なぶどうの木(カトリックの精神の象徴でもあります)を生成しているかのようです。

★いろいろな活動をやっていても、このような精神が生徒1人ひとりの内面に循環していない場合は、見た目はダイナミックですが、生徒1人ひとりの内在的価値が豊かになりません。

★学校選択をする場合は、この生徒の内在的価値が豊かかどうかが決めてですが、なかなかこれは見えません。何せ内面の光は目には見えないけれどとても大切なものだといわれているのですから。

★ところが、湘南白百合は、広報担当の教頭水尾先生の発想力と表現力、そしてなんといっても見方を変えるコンセプトレンスに示されているように、生徒自身もまた自らのオリジナルの価値を表現し、やはりコンセプトレンズで同じものを見てもコペルニクス的転回を生み出す能力を有しています。

★発想力・表現力・コンセプトレンズは、基礎学力に偏りがちな日本の教育ではなかなか得にくいものであるということは、多くの人が痛感しています。そして予測不能な時代にあって、変えたいと思いつつも、なかなかハードルが高いというのも現実です。

★この閉塞感を希望に変える教育が湘南白百合にはあります。詳しくはぜひ動画をご覧ください。目からウロコです。そして希望の光が飛び込んでくることでしょう。

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2021年10月 8日 (金)

湘南白百合 愛と自由と真理と。そしてイノベーティブ。自己変容型マインドの内なる光。

★本日、湘南白百合の教頭水尾純子先生とGLICC代表鈴木裕之さんと対話します。テーマは、「世界を舞台に活躍する女性を輩出するー湘南白百合学園中学高等学校教頭水尾純子先生」です。

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★カトリック女子校は、たしかにどこも素敵な教育を行っていますが、その魅力を外部と共有することはなかなか難しいようです。

★それは、愛と真理と自由に満ちた実践であるがゆえに、表現しにくく、わかる人にはわかるという雰囲気だからです。

★ところが、湘南白百合は、イノベーティブな教育出動をしているため、世の中の人が困っていることにダイレクトに応えてくれる期待と魅力が生成されるのです。

★中高生が困っていたり悩んでいることは何でしょう。それを克服してどう変わりたいのでしょう。そしてそれにこたえる湘南白百合の教育とは何でしょう。対話を通して尋ねてみたいと思います。

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2021年10月 7日 (木)

京華女子 「思考コード」開発 中学入試でルーブリックとして活用か?

★京華女子中学・高等学校(以降「京華女子」)の二俣潤也先生(国語科主任)と山岡大祐先生(広報副主任)が、聖パウロ学園にご来校くださいました。本校教頭の小島綾子先生と教育コラボレーションについて対話することが目的だということでした。

※二俣潤也先生:国語科主任、次世代教育推進委員会委員長、教育相談主任、吹奏楽団顧問。山岡大祐先生:広報副主任、社会科教諭、演劇部顧問

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(写真は、同校サイトから)

★私も少し対話に参加させていただきました。お二人は、ち密で大量のルーブリックを先生方と創り上げました。そのためのチームワークづくりで大活躍しているようです。神は細部に宿るという言葉がありますが、拝見させて頂いたルーブリックは全教科全学年、そして多面的なアプローチで編集されています。

★これぞカリキュラムマネジメントの醍醐味だなと感じ入りました。

★しかし、その詳細情報を今度は思考コード開発に転換して、9つのレンズで授業デザインやテストデザイン、生徒とのコミュニケーションデザインなどを行うというのです。また、あのロバート・キーガン教授の自己変容型マインドに到る発達段階まで読み解き、リーダーシップとは何かについても思考コードで語り尽くすのです。

★そして、来春のすべての入試問題のデザインや評価で活用してみるという話もでました。さすがです。詳しくは今度またインタビューしたいと思います。

★ともあれ、こんなに柔軟な知性の持ち主が京華女子にはたくさんいるのだと聞いて、サプライズでした。

★私立学校では、まだまだ集団主義的な組織作りが一般的ですが、京華女子は、クリエイティブクラスが自由な発想と対話で満ちているのでしょう。一方で進学実績もきっちり出しています。

★したがって、理想への情熱というだけではなく、理想と現実のギャップを、ワンチームで緻密なリサーチと鋭い洞察力で突き抜けていく断固たる覚悟があると、お二人の柔らかい眼差しと知性から感じいりました。遠いところ本当にありがとうございました。

★そうそう、それと俊敏力ですね。先生方がお帰りになったあと、日本私学教育研究所の所長平方邦行先生から電話がありました。二俣先生の力作みたかいと。思考コード的発想が私学に広がることは、未来をつくるZ世代の幸せを考えるうえで極めて有効だから、また対話しよう!という電話でした。なんという結びつきの速さ。

★と思っていたら、今度は情報誌の編集者から、今注目している学校はどこですかとメールが入りました。京華女子もその一校として、今述べたような内容を注目理由として書いて送りました。

★おっ♪何かが動いているなあと予想したくなるのは、どうやら、しかたがありませんね。教育のダイナミズムがまたまたウネリ始めました。

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2021年10月 6日 (水)

工学院×聖パウロ 好奇心からWorld Making Learning作りへ 希望の教育がここにある

★八王子市には21世紀型教育機構の加盟校が2校あります。工学院大学附属中学校・高等学校(以降「工学院」)と聖パウロ学園高等学校(以降「聖パウロ」)がそれです。両校の先生方とZoom対話をしました。ちょうど、真鍋淑郎さんが、ノーベル物理学賞を受賞したニュースがでたばかりで、こんな真鍋さんの言葉が記事になっていました。「最もおもしろいのは、好奇心に基づいた研究だ。私は気候変動の研究を本当に楽しいと思ってやってきた」(朝日新聞 2021年10月6日 7時15分)。

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★両校とも、生徒のモチベーションや興味・関心、マインドセットを大切にしていますから、この話題は自分たちの学びとシンクロするなあという感じで対話が始まりました。

★PBL型授業を行うと、当然好奇心は重要なポイントです。それに工学院は、学習者中心主義ですから、生徒に寄り添いながらも手を放して自由な発想が生まれる共感的コミュニケーションを大切にしています。興味や関心を持つ仕掛けをどうするかは、先生方はいつも議論をし共有しています。

★聖パウロも少人数ですから、対話をするのが日常になっています。興味と関心を生み出す学習ツールを工夫しています。

★工学院の場合は、さらにその学習ツールをオリジナルで創ってしまっています。そこはパウロの先生も大いに刺激を受けていました。東京と言えども八王子市は地政学的には受験生の数という点でアドバンテージがあるわけではありません。

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★ですから学習ツールのパッケージをつかっているだけでは、経営的には安心できません。両校は学びと生徒募集は表裏一体ですから、オリジナリティに自然とこだわるのです。もちろん、生徒がワクワク、キラキラ目を輝かすのでなければ意味はありません。

★しかしながら、教師自身がオリジナルの学習を教科横断的に議論して創り上げる時の盛り上がりは、生徒にとっても同期するものだという確信は、ふだんからの教師と生徒の信頼の絆から手ごたえを感じるのだそうです。

★それに両校とも高3の学年にかかわっているメンバーもいて、生徒が志望理由書や小論文を編集する時に、生徒自身が興味と関心を広げ深める体験をしていることが極めて重要だということは身に染みてわかっています。

★10月22日(金)、GLICC Weekly EDUで、工学院と聖パウロの先生方が複数集まって、生徒の興味と関心を生み出すPBL型仕掛けについて多様なアプローチで語ります。そして、それがWorld Makingに拡大していくことについて、つまりPBLの自己変容と教師と生徒の自己変容をダイナミックに生み出す理由について語ります。ここまで語れるのは、このメンバーだからこそということもあるでしょう。

★まさに、希望の教育がここにはあります。そう感じいることができました。先生方、ありがとうございました。

★そうそう、八王子が希望の教育の拠点になればよいなあと思っています。それには教育関係の皆様のご協力が必要です。何卒宜しくお願い致します。

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2021年10月 3日 (日)

水都国際の取材記事 my TYPE9月号に掲載される

首都圏模試センターは「shuTOMO」の別冊バージョン「my TYPE」という中学入試情報誌も発行しています。その9月号に、大阪市立水都国際中学校・高等学校(以降「水都国際」)の取材記事が掲載されています。

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★多くの先生方と生徒のみなさんの学びの取り組みやそれを通してのびのび発想する様子が詳しく取材されている記事です。

★記事の中には、教頭太田晃介先生もインタビューを受けています。

★水都国際は、自治体と民間が連携して統合されて成立している学校で、公立学校でありながら私立学校の色合いが濃い、来るべき五学校のシステムのスーパーモデルです。

太田先生とは、特にTOKをメインに対話している<GLICC Weekly EDU 第38回 大阪市立水都国際中・高 太田晃介教頭先生との対話「国際バカロレア(IB)の学びと思考コード」>というYouTube動画も公開されています。

★首都圏の受験生が受けることはできませんが、革新的教育を実施し、なおかつ生徒が自己変容型マインドを内燃させるようになる学校とは何かについて理解しようとするとき、大きなヒントになります。

★ぜひ「my TYPE」をお買い求めください。また、YouTubeもご視聴ください。

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shuTOMO10月号 子どもたちのこれからの資質・能力を生み出す中学入試を特集

★本日10/3(日)、首都圏模試センターの小6第4回・小5第3回「合判模試」が各会場で行われています。同時にそのときに中学入試情報誌「shuTOMO10月号」が会員の家庭に郵送されます。もちろん、非会員の方も購入することができます。Amazonでもポチることができます。同書の画期的なことは、中学入試の人口動態などが、大学入試や社会の動態と関連しているという背景情報及び中学入試問題が子どもたちのこれからの資質・能力を見据えた問いの塊であるという学びの情報が論考されている点です。

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★10月号は、今回のパンデミックで明らかになったICTとの関りによる新しい資質と能力がテーマになっています。教育・ICTコンサルタントや宇宙コミュニケーションで活躍している福原将之さんが10ページの大論文を寄稿しています。

★ついこの間までは、3Rから3Xというシフトまでがやっとだったのですが、パンデミックによって、MITメディアラボが唱えていた3XwithAIの時代がやってきたことがわかる感慨無量の論考です。

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★そして、この3XwithAIの資質能力が、中学入試でも必要だということを、㈱声の教育社の常務取締役の後藤和浩さんが語っています。今年の市川中の理科の問題を例にとっていますが、これはなるほど3XwithAIの資質能力を予見させる問題です。

★トビバッタの2つの形態の図を見せて、「孤独相」と「群生相」の図はそれぞれどれかを考えさせる問題です。バッタに限らず生物は、環境の変化によって色や形態を変態させる場合があります。環境の変化の中でサバイブするためにそうなるのでしょう。厳しい条件の時には、生き残ろために、強化された形態になります。

★このような自己変態は、予測不能な人間界においても同様で、最近ではハーバード大学のロバート・キーガン教授の「自己変容型マインド」が注目されています。

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★3XwithAIは、まさに自己変容型マインドを形成する資質能力です。日本私学教育研究所所長の平方邦行先生の論考は、まさにそこを論じています。そして、そのような資質能力を生み出す問いを生み出す場として首都圏模試センターは「思考コード」を生み出し、活用しています。

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★この思考コードのことについては、首都圏模試センターの代表取締役山下一社長と開発にかかわっている本間の対談が毎月連載されています。

★そして、その実装編として、思考コードが晶文社の「中学受験案内」が紹介されています。晶文社のみなさんが、同書で読み取れる学校情報や学力情報について発信する論考です。

★何より企画編集の皆さんによる豊富な学校情報が鮮やかでわかりやすい記事になっています。受験生の胸に希望をともすことでしょう。

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2021年10月 2日 (土)

革新的教育×自己変容型マインド(07)八雲学園や工学院に代表される絶望を希望に変える教育の場を求めて GLICC代表鈴木さんと言いたい放題。小さな気づきが大きな変化を生む。

★昨夜、<GLICC Weekly EDU 第48回「自己変容型知性を伸ばす学校はどこか?ー首都圏中学入試の新しいトレンド」>で、本番組主宰者で、GLICC代表鈴木裕之さんと対話しました。いつもはだいたいゲストをお招きし対話するのですが、折に触れ中学入試や大学入試、グローバル教育などを俯瞰する話題を共有します。

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★幸い保護者の方から質問をお寄せいただくようになりましたので、教育全体にかかわる場合は、鈴木さんと二人で対話することになります。今回のトピクも、保護者の方からの質問がきっかけでした。「革新的教育を行っているからと言って自己変容型知性は必ずしも育たない、環境順応型や自己主導型で終わることのほうが多いのではないか?」という質問です。

★たまたま、ロバート・キーガン教授とピーター・センゲ教授の考え方に影響を受けていたので、この質問に回答できるかもしれないと思い、鈴木さんと同番組で企画することになりました。

★今回48回を迎えていますが、ここまで、デューイをはじめとする元祖プラグマティストの考え方やピアジェやレヴィストロースの発想を汲むMITメディアラボの教授陣、ハーバードのガードナー教授などの話も折にふれしてきました。もちろん、今回のように前面にはだしてきませんでしたが。

★もう30年以上前に、鈴木さんとわたしは、ある中学受験専門塾のカリキュラム大改定の時期にいっしょにプロジェクトチームを組んで、カリキュラムデザインやテスト評価のコーディング開発をしていました。授業に関しては私は今でいうPBLをやっていて、これは孤独でした。周りからはうるさい授業だと嫌がられていました。個別最適化記述指導は、インターネットはまだなかったですから、f網というネットワーク(全教室がファックスネットワークでつながっていました)を活用して行いました。こちらは、現在富士見丘の副教頭の佐藤先生と二人で、複数の教室と実施しました。さすがに、これは好評でした。

★こういう現場で仕事をするときに、鈴木さんとわたしは、当時池上嘉彦先生の文章が入試頻出だったので、インタビューにいったりして、言語学や記号論に影響を受けました。また児童文学も入試で頻出されていたので、児童文学を出版ている銀の鈴社とも提携をしました。

★記号論は物語構造論にもつながるので、児童文学は実におもしろかったし、池上先生もロジックばかりではなく、イマジネーションを伸ばす教材を作りなさいとアドバイスしてくださっので、小学校3年生のテキスト開発はその路線でチャレンジしました。これは正解が1つではないので、教室からも講師からも大不評でした。しかし、力があって教師や講師の信頼もされているフランス語堪能な講師が、このテキスト使った授業が一番楽しいよとインフルエンサーになってくださり、その後好転していきました。

★記号論は、当然コミュニケーション論につながりますから、ハーバーマスとも結びつきました。ハーバーマスのコミュニケーション論は、社会学的視点だけではなく、またまたピアジェやエリクソン、コールバーグなどとも結びつきました。

★こういう流れの中で、権力的コミュニケーションから双方向的コミュニケーションへというビジョンでカリキュラムやテキストをデザインしたわけです。制作過程で出会った先述した先人の多様な知恵をインテグレート(格好よく言っているだけで、都合よくといったほうがよいかもしれません)していったわけです。

★それぞれ独立した後も、IBやPBLの情報を共有し、21世紀型教育機構を立ち上げる企画をしたわけです。今は事務局長は鈴木さんが務めていて、私は大船に乗った心持で、ついていっているわけです。

★そういうこれまでの多様なアカデミックな流れが、ロバート・キーガンには、すべてあるので、対話しやすかったわけです。しやすかったというより、言いたい放題対話できました。

★多くの方が、主体性が大事だと言っていますが、その主体性がキーガンのいう自己変容型マインドまで意識していないというのが現状です。これは、日本私学教育研究所の所長であり、21世紀型教育機構の会長の平方邦行先生もいつも語ることです。

★しかしながら、数少ないながらも八雲学園や工学院は、自己変容型マインドを生み出す環境。自生的な変容組織になっています。

★昨年も、ふとしたことで知り合った保護者が、直前に受験相談してほしいというので、2時間くらい行いました。ラウンドスクエアの話をしたときに、知らなかった。もっとはやく情報を入手していたらこんなに苦しまなかったと語り、実際に説明会に参加しました。

★そして、すぐにメールが送信されてきました。「決めました!ラウンドスクエアだけではなく、多様な国際的な行事があって、楽しそうとうちの子が言うんです。それに、高校生のプレゼンテーションに魅せられました。帰国生でないのに、あんなに思慮深くポジティブな姿勢で話せるようにうちの子もなるかしら。そうなりたいと私も憧れました」と。

★このように、八雲学園は在校生だけが自己変容型マインドを豊かにしていくのではなく、いわゆる偏差値にこだわって学校選択をして苦しんできた保護者の認識の眼鏡までもトランスフォメーションしてしまうわけです。

★絶望を希望に変える教育の場が八雲学園にはあるわけですが、そのことに気づける方は幸いです。そして、八雲学園のみならず数は少ないとはいえ、工学院などのように、まだまだそのような学校はあるのです。

★受験市場における小さな気づきが大きな変化を巻き起こす。そう願っています。

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2021年10月 1日 (金)

革新的教育×自己変容型マインド(06)岩辺みどりさんの記事で、ラウンドスクエアと八雲学園が紹介される。 

岩辺みどりさんの記事(eduJUMP! 2021年9月13日)<リーダーを生み出す世界的な私立学校のネットワーク「ラウンドスクエア」>で、ラウンドスクエアからグローバルリーダーが生まれる奥義と加盟校である八雲学園が紹介されています。

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9月23日に「革新的教育×自己変容型マインド(05)八雲学園にアクセス急上昇」という記事を書きましたが、おそらく、岩辺さんの記事を見た方が、「ラウンドスクエア」や「八雲学園」をサーチしたからではないでしょうか。

★ラウンドスクエアについては、ぜひ岩辺さんの記事をご覧ください。

★1つ指摘しておきたいのは、ラウンドスクエアに加盟するには、革新的な教育を行っていなければならないということです。革新的とはICTを使っているということを意味するわけではありません。

★もちろん、八雲学園はICTを当たり前のように活用していますが、革新的ということは世界の痛みを引き受け解決するためにアクティブに行動したり、ときに自ら省察のためにアクティブ・ノンアクションを起こしたりして、本質的な問題を解決する大きな共感の渦を巻き起こしていくグローバルリーダーの育成をする教育を実行していることを意味します。

★そのようなリーダーの能力について、ハーバード大学のロバート・キーガン教授はこう語っています。

●既存の仕組みを疑う能力
●共通のビジョンを呼び覚ます能力
●意見対立に対処する能力
●問題を解決する能力
●権限を委譲する能力
●人々に自信をもたせる能力
●良好な人間関係を築く能力

       ロバート・キーガン; リサ・ラスコウ・レイヒー.
             「なぜ人と組織は変われないのか ― ハーバード流 自己変革の理論と実践」(Kindle の位置No.424-429)

★八雲学園の多様な行事は、すべてプロジェクトで行われますが、それぞれのリーダーは、みな上記の7項目を果たしています。

★革新的教育を断行して、自己変容型マインドをもったリーダーで満ちている学校。それが八雲学園です。

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