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2021年9月30日 (木)

自己変容型マインドが生成される仕掛けを作る教師の対話力

★今までは組織の中で主体的に考え・動ける能力を身につければそれでうまくいきました。そして、学校組織と会社組織、社会というのは相似形で同心円状にあったわけです。ですから、学校教育は生徒が卒業後の進路先で貢献できる主体性やそこにおけるOJTにすぐにつながる基礎学力を養っておくことが重要だったのです。

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★そして、このような社会は学歴社会・優勝劣敗主義・メリトクラシーが当然と思われています。ですから勝ち組の3%にとってハッピーであればよい社会です。エッ~!97%は振り落とされているのと驚かれるかもしれません。そういうわけです。しかし、気づかないようになっています。

★とはいえ、隠されているわけではないのです。総務省の家計調査をみれば、5階級に分けて年収調査が行われているのがわかります。働きに応じて配分が低い順から高い順位なっています。長い習慣で、当たり前になっているので。

★ところが今回のパンデミックで、それはどこかおかしいと世界中の人がきづいたわけです。今回の総裁選でも、配分の問題が話題になっていますし、所得倍増論も復活しています。嬉しい限りですが、しかし、比率は変わらないわけです。勝ち組は3%なのです。

★ですから、ステイクホルダー資本主義などと言われているように、この配分をもっと過激に変えようというわけです。

★そうなると、今までの基礎学力だけの教育では間に合いません。私立学校のように動けるところから動くわけです。教育活動を基礎学力以外に、面接指導、総合型選抜指導、小論文指導、探究活動、体験活動と広げているわけです。

★大学入試が一般選抜だけでなくなったというのもありますが、これらを大学入試に合格するための指導とするのか、それも当然行いますが、これらの教育を通して新しい人材育成をしようと考えるかによって全く違う教育の質になります。

★よく人材育成ではなく、人間教育だと熱く語る方もいますが、それはある意味思い込みです。学校教育だけで人間形成はできません。人間は個人が多様な人々との関係性の中で悲喜こもごもの葛藤と向かい合いながら形成されていきます。

★もちろん、そのような人間の存在問題を根っこにもちながら、生徒が自ら存在問題に向かい合える学びを意識することは必要ですが、ここをまともに道徳的な意識をぶつけた場合、たいていは狭い人間観を植え付けることになりがちです。

★あくまで、社会の中でサバイブする思考力・判断力・表現力などのスキルベースでよいわけです。ただし、予測不能な社会ですから、そこに対応できる柔軟なスキルを自ら生み出せる自己変容型マインドが生まれてくるような仕掛けをする必要があります。

★そのような仕掛けを作るには、人材育成という視点よりもう少し幅の広い人材開発の視点をもたなければなりません。教育活動を、

1)知性マネジメント

2)身体マネジメント

3)感情マネジメント

4)言語マネジメント

5)WMマネジメント(WM:World Making)

★という視点で捉え返す企画戦略室が学校においても必要になります。

★このマネジメントは社会変動による組織変動が起こるあるいは組織変動によって社会変動が起こるわけですから、これに対応できるトータルな人材開発マインドによって可能になります。

★人材育成も今まではその学校組織になじむ主体性でよかったわけですが、学校組織が慣習的に自己編変容しない場合、未来の人材は育ちません。学校も自己変容し、教師も自己変容する。ただし、それは自分軸をなくせということではないのです。むしろ逆です。自分軸を創るということです。それは人間の存在問題を引き受けることでもあります。

★主体性は、所属する組織の指示を積極的に遂行するだけで成り立ちます。指示待ちではなく、先回りするわけです。意識が高く、それを実行するフォームをつくるのですから、たしかに人材育成です。

★しかし、そこに自分軸がなくても主体性は生まれてしまいます。これがハンナ・アレントのいうアイヒマン問題です。もしかしたら、これが男子原理の本質だったかもしれません。世の中が、この原理がおかしいと気づき始めて、サブカルチャーで揺らぎ始めているのはエンターテイメントの商業主義と軽視することはできないかもしれません。

★やはり、フォームに自分軸という存在問題を引き受ける仕掛けが必要です。

★フォームに人間存在問題の魂がはいったとき、トランスフォームが起こり、自己変容型マインドが生まれます。

★このような変容が起こるには、教育活動における人材育成を人材開発マインドで捉え返す、あるいはモニタリングできる、言い換えると、ルビンの壺よろしく図と地を自在に反転させられる対話力が必要になります。果たしてその対話力とは?これがそう簡単ではないのです。(つづく)

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