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2021年9月10日 (金)

生徒理解と集合論と現象学的還元と本質直観

★先日、勤務校の数学科と一橋大学の今年の数学の問題🈩を通して、数学的思考が経済や経営、法律などにどう役に立つのかディスカッションしました。本日は日本大学文理学部の土屋弥生准教授に生徒理解と現象学的還元や本質直観がどう関係しているかご教示いただきました。

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★私たちは、普段、物事を理解する時に、認識の眼鏡を通すわけですが、素朴なまでにその眼鏡がないかのようにコミュニケーションをとっています。その眼鏡を自覚して先入観や偏見を外すことが現象学的還元というものらしいです。

★これをするのに、多角的な面からクリティカルシンキングをするのもいいのですが、現象学的還元は省察という行為によって、セルフリフレクションする方法です。

★この現象学的還元を作動させないで、コミュニケーションをとると、当たり前のものになっている眼鏡で、他者を観ます。他者も同じようにみます。すると、そこには互いの志向性が何か確認しないで理解しますから、当然トラブルが起きます。

★しかも恐ろしいことに、この互いにズレた他者理解をしていることに気づかないまま行き着くところクラッシュするわけです。けんかになる場合もあるでしょう。一方がストレスを感じて事件が起こることもあるでしょう。

★相互現象学的還元による間主観形成が大事だということです。

★しかし、それはいかにして可能か?省察とは何ぞや?

★それは、数学科と話し合った集合論の視野をもつことだということにつながりました。

★現象学的還元をせずにコミュニケーションをとっていると、それぞれ違う部分集合をみて、話をしているわけで、かみ合いません。また部分集合を包摂する全体集合に気づきませんから、視野狭窄になります。

★結局、コミュニケーションを救うのは数学的思考による現象学的還元をし、そもそも互いに何を志向しているのか、本質直観できる見通しを持つ必要があります。

★フッサールは、当時のナチスの台頭を生み出してしまう学問の危機を現象学的還元し、警鐘をならしますが、排除されます。しかし、歴史を振り返れば、フッサールのものの見方考え方は、見事に危機を生み出すメカニズムを見破る方法論をもっていたことを証明しています。

★したがって、今もまだまだ存在する抑圧的組織を解体し健全な組織に蘇生するには現象学的還元が有効だということでしょう。

★そして、その現象学的還元の省察は、数学的思考によって達成されるのです。3人の数学の先生方、そして土屋先生、ディスコミュニケーションの解除の方法のヒントを頂きました。ありがとうございます。

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