World Makingの時代 覚書(02)プロセスフォリオがまだオンラインでできないわけ 技術の進化が追いついていないだけ
★セカサク(世界の作り方)ワークショップを勤務校の数学科の伊東教諭と協働しているわけですが、1人でやっているとなかなかできないプロセスフォリオのモニタリングが手に取るようにわかるのです。写真にあるような成果物や最後に書く三角ロジック400字論述は、あくまでポートフォリオです。
(伊東教諭とコラボ。セカサクワークショップで、「トリアージ」の思考実験を行ったときの成果物の一部。)
★プロセスフォリオとは、それぞれの成果物を創っているとき、思考・情緒・行動の3つの過程や絡み合いをモニタリングするわけです。すると、生徒1人ひとりの才能が見え隠れします。最終的な三角ロジック400字論述も、その論述の添削だと、書き方の学びに終わってしまう場合もあります。そのような論述になったのは、
❶マインドセットの過程
❷リサーチする過程
➌議論する過程
❹問題を発見する過程
➎問題を解決する過程
➏プレゼン成果物を編集する過程
➐プレゼンしている過程
➑フィードバックの過程
★このような8つの過程のそれぞれを形成的評価をしていくわけです。その形成的評価のルーブリックは、思考コード(勤務校の場合は、Paul Learning Code)でフィードバックしていくわけです。
★すると、各課程9つのコードで見ていきますから、9の8乗通りの視点が必要になります。また、一つの過程で組み合わせが複数ありますからたいへんです。ルーブリック使用だと、固定されてしまい。生徒の才能がみえてこないのです。
★そして、1人でワークショップをやっていると生徒のフロー状態に巻き込まれるので、俯瞰できません。ある生徒が考え込んでいる時、他のメンバーはどんな心情でいるのか、どんな行動をとっているのか、察知できません。まして、オンラインになるとそれは技術的にまだ無理です。
★写真や動画、テレビが断片情報しか流せないのと同じです。もちろん、そこから推理すればよいのですが、不確実すぎます。
★伊東教諭とコラボしながら改めてわかったのは、
1)思考コードをルーブリックとして使うより、学習の行動を変幻自在に生徒が自然と変容させるアーキテクチャーとしての使い方が有効だということ。
2)オンラインでは、まだまだプロセスフォリオはできないということ。たんに技術の進化の問題だったり、機材の複雑性・高コストだったりしますが。
3)よってICTやAIによる個別最適化は、今のところ21世紀型教育ではなく、あくまで20世紀型教育の領域でしかできないということ。
★しかし、広報的には、このことを表現するのは難しく、スモールサイズだからこそ、参加する生徒の実感が、じわじわと浸透していくのであって、大規模校だと、心ある教師が何かやっている程度で終わるということもわかりました。
★カリキュラムマネジメントとマーケティングの両立はいかにしたら可能か?まだまだやらなければならないことはあるなあと。チャレンジングな局面が立ち上がってきたわけです。
| 固定リンク
« 静岡聖光学院 突き抜けた21世紀型教育 SGM星野校長のマネジメントの本質がわかります。 | トップページ | World Makingの時代 覚書(03)12人の生徒×2人の教師×教室空間×サイバー空間×付箋紙×三角ロジック×思考コード×解決視点×世界制作方法 小さくてダイナミックなワールドが映し出される »
「創造的才能」カテゴリの記事
- 第113回GWE 星の杜 チェンジメーカーが生まれる教育環境デザイン(2023.01.28)
- 「主体的」を考えるヒントの1つか? ジルベール・シモンドンの新装版(2023.01.27)
- ドネラ・プロジェクト(27)ウサギアヒル 未来思考のC‐Question(2023.01.02)
- ドネラ・プロジェクト(24)教育における未来のトレンドハンティング ディビッド・クリスチャンの未来思考(2022.12.30)
- ドネラ・プロジェクト(23)価値自由と脱構造的コミュニケーションの狭間で果敢に活動している教育者たち(2022.12.27)
「21世紀型教育」カテゴリの記事
- 2023年首都圏中学入試動向(17)順天 前年の出願総数を超えるだけではなく、新たな潮流生まれる(2023.02.01)
- 2023年首都圏中学入試動向(14)筑駒と工学院 もうひとつの工学院の人気の理由(2023.01.31)
- 2023年首都圏中学入試動向(13)工学院 予想通り出願が増加中 その理由は?(2023.01.30)
- 第113回GWE 星の杜 チェンジメーカーが生まれる教育環境デザイン(2023.01.28)
- 「主体的」を考えるヒントの1つか? ジルベール・シモンドンの新装版(2023.01.27)
「創造的対話」カテゴリの記事
- 第113回GWE 星の杜 チェンジメーカーが生まれる教育環境デザイン(2023.01.28)
- 「主体的」を考えるヒントの1つか? ジルベール・シモンドンの新装版(2023.01.27)
- 今日は♯Education Day 質の高い教育とは?(2023.01.24)
- 大学入学共通テスト 社会の問いの背景 効果的な利他主義は有効か(2023.01.15)
- ドネラ・プロジェクト(27)ウサギアヒル 未来思考のC‐Question(2023.01.02)
「入試市場」カテゴリの記事
- ドネラ・プロジェクト(21)「主体的」の意味のアップデート キェルケゴールとウィトゲンシュタインとデューイを超えて(2022.12.21)
- ドネラ・プロジェクト(15)星の杜高校一期生の出願前年対比197%!それが示唆する時代背景に思いを馳せる。(2022.12.03)
- 今年の総合型選抜を通して見えたこと(2022.11.03)
- チエコトバ代表谷口梨花さんと対話~新しいキャリアデザインの小中高の出発点としてのモンテッソーリ教育(2022.08.27)
- 首都圏の住みたい街と私立高校在籍者数シェア(2022.05.22)
「PBL」カテゴリの記事
- 2023年首都圏中学入試動向(13)工学院 予想通り出願が増加中 その理由は?(2023.01.30)
- 第113回GWE 星の杜 チェンジメーカーが生まれる教育環境デザイン(2023.01.28)
- 今日は♯Education Day 質の高い教育とは?(2023.01.24)
- パウロのクリエイティブダイアローグ 父母の会のワークショップで(2023.01.23)
- 2023年首都圏中学入試動向(07)和洋九段女子 小さくて大きな動き(2023.01.22)
「聖パウロ学園」カテゴリの記事
- パウロのクリエイティブダイアローグ 父母の会のワークショップで(2023.01.23)
- ドネラ・プロジェクト(22)世界構築としてのSDGs 「ペタッとSDGs」を使って(2022.12.22)
- パウロの形成的評価(2022.12.15)
- ドネラ・プロジェクト(17)PBLの授業を実施していることが感動を生むわけ 1億総孤独とは真逆のリアリティがあるから(2022.12.07)
- ドネラ・プロジェクト(16)生徒の主体性 恐れのない組織づくりが生み出す(2022.12.05)
最近のコメント