高校生の学びと成長に向けた「大学選び」溝上慎一著(東信堂)
★溝上慎一先生から著書を頂きました。ありがとうございます。<高校生の学びと成長に向けた「大学選び」偏差値をうまく利用する>(2021年8月30日 有信堂)がそれです。プラグマティックで、世界を変える野心的な著作です。そして、同書を読んだ生徒はいまここで力が湧いてくるでしょう。
★「偏差値をうまく利用する」という視点がまずすてきです。「偏差値にこだわらない」とかいうのではなく、「偏差値」の問題性を客観的な視点で冷静に見つめ、偏差値がみていないものを、見出し、それが結果的に偏差値が低くても、他の生徒が気づかないような宝物や秘密の花園を見つけたようというのです。
★偏差値が語り得ぬものを見出すという、偏差値を逆手にとる方法が書かれています。
★考えてみれば、偏差値は上位15%のためにあるようなものです。その15%の生徒が受験しようという大学の情報はマスメディアや受験情報誌が常に発信しますが(それでなければ売れないので)、それ以外の情報は、その大学が広報する場合にようやく世にでます。
★そういう意味では、自ら大学のサイトをみて、オープンキャンパスなどに出かけて、皆が気づかないような大学や学部学科を見つけるという手が、確かにあります。
★同書では、実際に偏差値で選ぶ受験生が少なくなっているというデータも掲載しています。先ほども言いましたが、受験生の15%が偏差値をまず気にするのです。それ以外は、大学や学部、学科の特色です。どうやらそういう偏りがあるのなら、残りの85%の中から宝探しをしようよということでしょう。大いに賛成です。
★また、大学を何を学びたいかで選ぶのではなく、どんな職業に就きたいからどういう大学や学部を選ぶのかと考えよというのも実に現実的で創造的です。
★それによって、大学で何を学びたいのか、何を研究したいのかがはっきりわかるからですね。
★しかも、未来は予測不能で、AIによってなくなる職業もあるわけです。ですから、未来にどういう職業があるのか、なぜあるのか、それは世界にとってどんな価値があるのかを、実はリサーチし考えぬくわけです。
★自分の興味と関心を仕事という現実態にするにはどうするかというのが、自分の就きたい職業をリサーチする考える、なければ起業するという壮大な話です。
★結局、自分の興味と関心=夢を実現する仕事=メカニズムを創るということです。世界を創るという話だったのです。
★それには、アクティブラーニングやPBLの講義を行っている大学を選びなさいと溝上先生は語るわけです。
★これらの講義は、予測不能な未来を、それでも見通そうとする学びです。
★こんな進路指導をするとしたら、しかしながら、一般選抜ではなく、総合型選抜にチャレンジということになるでしょう。
★宝物を見つけるには、うってつけの入試制度です。同書は溝上先生の戦略的な書です。ひそかに大学入試のあり方まで変えようという野心に満ちた書なのです。
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