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2021年9月12日 (日)

平方邦行先生との対話 2089年からの教育構想

★昨日、平方邦行先生と対話をしました。平方先生は、今年の春、工学院大学附属中高の校長を任期満了で退任し、一般財団法人日本私学教育研究所の理事・所長、日本私立中学高等学校連合会常任理事、一般財団法人東京私立中学高等学校協会 常任理事、東京私学教育研究所 所長に就任。現在は、全国を飛び回り私立学校と2089年からの教育構想を共有しています。

Hirakata

(首都圏模試発刊の教育情報誌「shutomo」から。)

★また、中学受験の模擬試験会社の首都圏模試センターが発刊する新しい教育情報誌「shutomo」でもインタビュー記事が連載されています。テーマは思考コードと21世紀型教育についてです。

★平方先生は、21世紀型教育機構の会長でもあり、拡大マイルストーンとして2089年からの教育構想をビジョンとして打ち出しています。1989年のベルリンの壁崩壊の時から2089年にかけて教育の進化について、私もいっじょに考える機会を得ています。

★現在平方先生が各地でセミナーや講演を行う際、アイスブレイクで、その地域で世界を変えた人物について対話します。東北に行けば、当然宮沢賢治なども話題にしますが、平方先生は生物の教師であると同時に技術の教師でもあり、なんといっても群馬を代表する彫刻家です。

★ですから、その地域のアーティストの作品を通して、その生きざまがPBLそのものであるという落とし込みをしていきます。具体的なことはあまりに教養と博学の広さゆえに、私などにはついていくのが大変ですが、ジョブスのプロデュースした<think different>と同じトーンを共有するところから始まります。

★世界を変えるのはクレージーだと。もちろんそのクレージーは、それがゆえに天才であり、今やだれもがクリエイティブクラスになれる(ジョブスの動画は数々の超有名天才が登場しますが、最後は無名の少女の眼がパチッと開くところで終わります)のだ。そういう教育が21世紀型教育の哲学だというのです。

★21世紀型教育のベースであるPBLは、19世紀末から20世紀初頭に生まれたプラグマティズムの継承進化です。特に日本においては、1898年に明治憲法が成立し、アジアで近代国家に踏み切った画期的な年です。そのときに、官僚近代は、このプラグマティズムを排除しています。一方で、当時から私学はそのプラグマティックな精神を継承しています。そして、これもまた89年です。こうして89年を100年スパンでたどっていくと、1789年はフランス革命であり、1689年はイギリス名誉革命です。

★近代民主主義国家が広まったのは、第二次世界大戦後ですから、そういう意味では、新しい世紀を迎えるたびに新しい息吹が生まれ、保守勢力とせめぎ合い、89年に革新的な爆発が起こるという近代民主主義の進化のサイクルがあるのかもしれません。

★そういう意味で、1989年ベルリンの壁が崩壊して、インターナショナリズムからグロ―バリゼーションへのシフトが始まったときに、平方先生は、そこから100年先を見通す作業をしました。

★そして、このグローバリゼーションは当然webが絡んでいます。AIがからんでいます。したがって、一部の天才が世界を牽引するのではなく、すべての人がクリエイティブクラスになって世界を創る=World Makingをする2089年がやってくるのだと。

★一見壮大ですが、その実践は、私立中高一貫校が、思考コードとアクレディテーションを行うことによって、大学入試全体に影響を与える。つまり、偏差値ランキングで学校を選ぶのではなく、生徒が自分の才能にあった大学や学部学科を探す時代になるのだと。私はそれを宝物探しに転じることだと表現していますが、それはいいねと言う話になりました。

★いずれにしても、一部の富裕層がお金という宝物を所有する時代から、すべての地球市民が自分のタレントという知財=宝物を使って共生する時代になるのだと。

★しかし、それは私立中高一貫校で思考コードとアクレディテーションを活用するところから始まるのだと。ダイナミズムの根本は、最初の決断が指数関数的な曲線を描くことです。神は細部に宿るという平方先生の2089年教育構想の戦略です。もちろん、私も恩師平方先生と歩みます。

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