聖学院 善きサマリア人のたとえを社会実装 グローバルイノベーターが生まれる理由
★聖学院は、海外大学の実績やオンライン授業の目覚ましい展開、思考力セミナーの先進性、プロジェクトベースの教育活動など頻繁にメディアに取り上げられる私立男子中高一貫校であることは、業界ではあまりにも有名です。内村鑑三、新渡戸稲造と同世代の石川角次郎が初代校長で、現在の礎をつくりました。内村鑑三もいろいろな私学の創設に影響を与えましたが、鴎友学園女子は有名ですね。新渡戸稲造も同様で、恵泉、普連土、東京女子大学などが有名です。いずれも、今も創設当時の魂を脈々と継承しています。
(タイ研修旅行2019 聖学院生×メーコックの子供たち集合写真。聖学院が毎年支援しているメーコック財団で:写真は「タイ支援プロジェクト2021のサイトから)
★石川角次郎の魂とは、もちろんキリスト教の精神ですが、当時の明治政府の富国強兵・殖産興業のための官僚近代教育と真っ向からぶつかり、自らもう一つの近代教育をつくり≪私学の系譜≫の道を開いたことです。
★今回のパンデミックで、医療現場はひっ迫し、たいへんなことになっています。医療従事者は常にトリアージの局面で悩み苦しみながら乗り越えている姿がニュースでも放映されています。救急救命士が搬送困難で命のリレーができない状況の中で奮闘している様子も放映されています。
★そのときに必ず議論されるのが、アメリカやカナダなど海外で制定されているサマリア法が必要なのではないかということです。新聞のニュースやコラムでも取り上げられるようになりました。聖学院の魂は、この海外などの精神と共振しています。そしてその魂に基づいて行動するのはこのサマリア法に通じるもので、これぞグローバルイノベーターのなせる業だと感服せざるを得ないのです。
★サマリア法というのは、聖書の善きサマリア人のたとえに由来しています。そのたとえ話は次のようなものです。強盗に襲われて半死半生の人が倒れていました。通りかかった祭司もレビ人といういわゆる今でいうアッパー層の人びとも通り過ぎてしまいます。そこへあるサマリア人が通りかかり、すぐに彼を助けて介抱します。宿屋に運んでその宿代まで負担するのです。キリストは、このたとえ話を語った後、当時の律法学者に問います。「この三人のうちで誰がこの倒れた人の隣人なのか」と、すると、律法学者たちは、サマリア人ですと答えます。
★律法学者は知識として隣人愛を知っているけれど、行動にあらわすことはできないでいるのです。ですから、未だに日本にはサマリア法が制定されていないのです。緊急事態で命のリレーをしなくてはならないときに、もし失敗してしまったら訴えられるという想いが、医療従事者や救急救命士の行動を躊躇させるというのが、メディアで指摘されています。
★サマリア法は、緊急時に悪意や故意ではなく、善意で救済し、それができなかったとき、責任を問われることはないと明記されているわけです。石川角次郎は、当時の律法学者(東大の学者)と論陣を張り、自ら別路線のつまり善きサマリア人としての人間教育を行う教育出動をしたのです。その際、東大にいては視野狭窄になると気づき、論争している場合ではない、米国で学び直そうと渡米します。帰国後≪私学の系譜≫を形づくるのです。当時の世界の通信・交通状況を思えば、命がけの行為です。日本の子どもたちの現状を見て、命がけでそれを救済する教育をつくったのですから、善きサマリア人の生きざまそのものです。
★今回、この石川角次郎を通して善きサマリア人のごとく行動している聖学院の生徒と教師が出現しました。パンデミックは世界中で困っている人々をさらに追い詰める状況をつくっています。ウィルスがつくったのではありません。世界の貧困格差を生み出している矛盾を抉り出す結果になっているのですが、それをつくったのは、もともと人間です。明治維新の時の富国強兵・殖産興業は、世界で、手を変え品を変え、脈々とつづき、その歪の蓄積が露になったということでしょう。
★キリスト教では、カラシダネのたとえ話がベースにあります。カラシダネとは、あのマスタードの種ですが、小さな種がやがて豊かな実を結ぶ大きな植物として成長するということです。聖書そのものがカラシダネだというのがキリスト教の発想です。そして、ある意味世界の半分に広がったのは、その証明でもあります。
★今回の聖学院の善きサマリア人の行動、聖学院ではこれをサーヴァントリーダーシップといって、大切にしているリーダーシップ論ですが、この行動が世界に広がることになるでしょう。
★それにしても、聖学院生は、このようなリーダーシップをとるのは本当に伝統として継承されています。そのことを証明する事実が、実は2008年12月16日にも起こりました。そのことについて、当時ホンマノオトに記しているので、ここに転記します。
<「聖学院の高2トリオ 男性の命救う(ホンマノオト 2008年12月20日)」
☆読売新聞(08年12月16日夕刊)によると、12月13日(土)昼、JR駒込駅で目の不自由な男性が転落。3人の聖学院の高2の生徒が、一瞬 の迷いもなく、救出アクション。男性がホームに引き上げられた数十秒後、電車がホームに入ってきた。
☆ホームには利用客が何人もいたが、すぐに救出の行動をとったのは、聖学院の生徒だった。このことについて、読売新聞は新聞メディアの性格上、あえて何も語っていない。あくまで、聖学院の3人の生徒それぞれのパーソナルな正義感と行動力を称えているだけだ。
☆しかし、これは聖学院で学んでいる教育の影響があると私は思う。というのも、一歩間違えれば、救出しようとした生徒の命も危ない。周りの利用客だって、無視していたわけではなく、迷っていたのだと思う。助けたいでも危険だというジレンマがあったと思う。
☆この躊躇をするかしないかは、決定的な違いなのだ。無心で救うその行動力は、やはり聖学院のサーヴァント・リーダーシップ育成の教育がベースになっていると確信している。」>
★まさに、善きサマリア人のたとえを実践しています。
★聖学院の生徒は、高度な英語力を身につけ、高度なICT技術を体得し、ハイクオリティなプロジェクト活動を行っています。結果、海外大学や国内大学の進学実績も飛躍しています。そして、その背景にサーヴァントリーダーシップがしっかりと根付いています。世界に通用するグローバルイノベーターは、善きサマリア人の魂を社会実装していなければならないことを実証しています。
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