学習塾・習い事の可能性 日本の大衆民主主義の期待値
★スポーツニッポン新聞社 2021/08/21 22:46によると、「俳優の鈴木亮平(38)が主演を務めるTBS日曜劇場「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(日曜後9・00)の第7話が15日に放送され、平均世帯視聴率は15・0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことが16日、分かった。」ということです。この高視聴率の高さは何でしょう。
★1つは、脚本家があの黒岩勉さんだったということもあるでしょう。社会派系の作品が巧みですね。今回の医療ドラマも、まさに今救命搬送ができない喫緊の課題を抱えている現状と言うこともあるでしょう。しかし、一方でドラマで救命救急の新しい解決策としてスマートシティならぬスマート救命室を創ってしまっているところがすごいですね。
★今回のパンデミックは、現場は凄いことになっていて、こんなことをいうと叱られますが、日本の公衆衛生がいかに質が高いかを世界に映し出しています。しかし、それでも回避できない問題があります。救急救命士の活躍ができる法的整備の歴史は実に凄いのですが、それは救急救命医との連携が拍車をかけてきました。しかし、それでも解決できない搬送できない事態。それを解決する一つの提案が今回の番組でもあります。
★もう1つは、何といっても主演が鈴木亮平さんというのもあるでしょう。背が高いし、モデルで活躍していたということもあるでしょうが、東京外国語大学出身で、C1英語レベルの持ち主です。中学の時からオーストラリアやアメリカに短期留学をしていたようです。これは、ネット情報ですが、英会話教室に通っていたからだということのようです。
★つまり、鈴木亮平さんのものの見方や考え方に影響を与えたのは学校生活ばかりか、英会話教室という学習塾や習い事の文化の影響ということがあるわけです。
★多くの子どもたちが今や学習塾や習い事の影響を受けています。医療従事者の話や英語というキーワードには敏感です。視聴率があがるのも了解できます。しかし、これは同時にmen for othersが大衆化しているということでもありましょう。日本の大衆民主主義が階層構造を作りながらも、階級構造は無化するというパラドキシカルな質の高さが今回の高視聴率に現れているような気がします。
★とはいえ、そんなことは、まあ、証明のしようがないので、また本間の妄想かということになりそうです。それでも、黒岩勉さんは1973年代生まれで、首都圏は中学受験の大衆化がちょうど始まる時代に小学校時代を過ごしています。 鈴木亮平さんは、1983年生まれで、首都圏は中学受験の大衆化の完成時代に小学校時代を過ごしています。
★お二人とも中学受験とは縁がないかもしれませんが、高校受験の学習塾・予備校や英会話教室をはじめとする習い事が最盛期を迎える時代を小学生として通過しています。サブカルチャーにもお受験ものが取り上げらっるようになっていた時代です。当然、キャッチしているでしょう。
★最近の中学受験は、この習い事出身の受験生が活躍できる新タイプ入試が盛況です。ますます学習塾・習い事文化が私立中高一貫校を支えることになっています。
★このような事態を嘆くのが20世紀型教育で、21世紀型教育は、学習塾や習い事の発展版の新しい学習コーディネーターとの連携まで迎え入れているぐらい学習塾と習い事との連携は進んでいます。国が法的に認可する学校組織と民間の学びの組織が文化として共存するのが日本の大衆民主主義の教育基盤です。吉田松陰先生が今も尊敬されているのは、そういう文化があってこそです。
★なんて当たり前のことを言っているのだろうと思われるかもしれませんが、このような状況を創れないのが、他国の現状です。今回のパンデミックが先進諸国でさえ、日本ほど自由に学習塾や習い事が生まれることはないということを私たちは知るようになりました。階級構造のある先進諸国では、アッパー層は塾に行く必要のない高額の学費の私立学校(日本の私立学校の10倍くらいの学費です)に通わせればよいし、そうでない階級層は放置されたままです。
★そして、ここ最近、アジアの情勢がそんな文化どころか教育そのものが危うくなっているシーンをニュースで目にします。国名をあえてだしませんが、影響は大ですね。そんな世界の情勢とは真逆なのが日本です。国の認める学びの組織と民間組織が連携でき、しかも大衆化している学びの文化があるのは日本の大衆民主主義の特徴でもあります。
★階層構造という格差は今後解決しなければなりませんが、公衆衛生や医療保険などの恩恵に浴することができる大衆がメインの日本です。階級構造に比べれば相当良い情況だと考え直すこともできます。ですから、各国のアッパー層にいない学びの意欲のある人々にとっては期待値が高い民主国家です。
★前回も言いましたが、この大衆は禅の十牛図でいう最終段階の悟りの境地の庶民の対話ができる当事者のことを意味します。GAFAがZENやマインドフルネスに憧れるのはそういう意味です。
★私たちは、ここを捉え返し、同町主義ではない、正しい大衆民主主義を探究し続けたいものです。
★そうしないと、続々世界のアッパー層がやってきて、労働集約型成果の果実を刈り取っていくようになります。実際、東京商工リサーチ情報部の坂田芳博さんお記事によると、2020年度の決算で、日本で役員報酬1億以上をゲットしているトップテンの8人は外国人経営者です。。。
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