【響】<13>New Nature Cityへ 着々
★今や多様な未来が描かれていますが、その全体集合はあるのでしょうか。全体集合があれば補集合もありますから、未来を描くのはなかなか大変んですけれど、描いてみたいと思うのはなぜでしょう。それはシンボル的なものに興味があるからともいえるし、胃袋で考えると未来を描きたくなるとも言えるし、身体性と内面性の相互座標にあてはめて考えてみたくなるからともいえる。。。卯田宗平さんが編者の「野生性と人類の論理」を斜め読みしてそう感じました。
★この本のテーマの野生性とドメスティケーションの関係は、人間と自然の関係のみならず、人間と人間の関係も示唆していていつもとは違うアプローチがおもしろいのです。レヴィ=ストロースを相対化しているので、読んでもみたかったのです。
★そして、9月から開く探究ゼミの大前提の理解や表現の枠組を少し広げておく準備にはちょどよい本だなと思っています。
★しかしながら、この本のテーマが全体集合になるわけではありません。
★もう一冊、落合陽一さんの「デジタルネイチャー」を論じた本は、今語られれている未来ビジョンや構想のすべてを包摂しています。凄い発想ですね。ゼミでは、同書の一部をどのようにイメージするかから対話しようと思っています。
★パウロの森を里山資本主義的にとらえるわけでも環境物理学や生命科学的にとらえるわけでもなく、もちろんそれぞれは大事なアプローチですが、全体集合ではないので、生徒自身が探究するのは構わないのです。というよりも、それぞれが自分の興味でどのアプローチをするのかは自由です。
★私の方は、ファシリテーターとして、それを包括する全体集合の枠組を創っておいて、そう、この枠組み=ファシリティーズ=枠組的道具ですが、生徒たちが立ち向かう探究の行手の壁となったりあるいは逆にテコになったりする枠組的道具を創るというファシリテーターをやるわけです。
★現状の探究がなんか物足りないという先生方もいます。それは、その足場が20世紀型枠組的道具だからです。それはすでに乗り越えられている部分が多いので、その枠組的道具では探究にはならないのです。
★研究者が、すでに発見や開発されているものやコトを研究することはないでしょう。リサーチとして確認することはあっても、それを乗り越えようとします。探究も似たところがあります。学者ではなくまだ高校生ですから、新らしい研究分野をというわけにはなかなかいきませんが、どんなパラダイムをつくるのかは、大事です。
★一般にあまりおもしろくない探究は、パラダイム、私の言葉で言えば枠組的道具が20世紀型だからです。ザッカーバーグさんも、それに気づいて、ユニバースからメタバースだと語り始めています。
★未来はようやく自然と社会と精神は循環する方向に向かっていますが、落合さんのように、その自然をデジタルネイチャーと読み替えることによって、枠組的道具立てが変わります。
★卯田さんの本も、野生性に憧れていた私の20世紀型枠組的道具をぶち壊してくれました。もちろん、家畜化や養殖化、栽培化などのようなドメスティケーションがよいというわけではありません。そもそも野生的思考はあるのか、ドメスティケーションはあるのかという問い返しです。
★最適化や、最高善という表現も、そもそも最適化とか最高善とは何だろうというのはわからないわけで、それは乗り越えられる枠組的道具です。コーチングは目標が物質的に明らかです。それが精神的なものでも物象化して目標化します。ファシリテーターは、その目標を捉え返す、枠組的道具を配置します。それをデザインと言えばデザインですが、デュシャンが美術館に泉と称して便器を芸術作品として枠組的道具をつくり、設置したのと同じで、どちらかというとアート的設置がファシリテートではないかと最近思っています。
★だから、教えないと言えば教えない。でも、枠組的道具は創作するわけです。たしかに授業のストーリーをデザインしないと言えばしないのです。しかしながら、枠組的道具はデザインするわけです。
★おそらく、この考え方はZ世代よりも、次の世代のα世代の発想に近いのでしょう。というのも、ストーリーのデザインはAIがやってくれますからね。
★AIが計算する枠組みを壊す枠組的道具立てが必要なわけです。つまり、AIの計算を部分集合として枠組的道具を全体集合とする。もっとも、それとて、AIはすぐに包摂し、部分集合にしてしまうんですが。ここらへんは、すでに落合陽一さんが語っています。落合さんや卯田さんを超える枠組的道具立ては難しいわけですが、現状はNew Nature Cityとしてしておきましょう。デジタルネイチャーとアンチ野生的かつアンチドメスティケーション的自然の融合体という感じでしょうか(汗)。
★もうすこし考えてみます。いつも定義をしないので、申し訳ございません。どうも演繹推理や帰納推理を丁寧にしないのは、私の弱みです。そこを仮説推理で巻き返すように実践で努力してみます(汗)。
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