工学院の田中歩先生と対話 好奇心旺盛になるPBL授業
★本日、工学院大学附属中学高等学校(以降「工学院」と表記)の田中歩先生(教務主任)と対話をしました。工学院と私の勤務校は東京私立中高協会の11支部の仲間であり、21世紀型教育機構の仲間でもあるので、いろいろな局面で情報共有のコミュニケションを行うことになります。
★いつものように、トピックは様々でしたが、どんな話も、最終的には、PBL授業で生徒のGrowth Mindsetがいかに膨らむのか、共感性が豊かになるのかについて収束していきます。
★授業デザインは、コンストラクショニズム(C)とインストラクショニズム(I)の掛け合わせでできますが、歩先生はC>IというPBLを実践します。また私の知っている同校の先生方も同様です。
★そして、C<Iでないがゆえに、極めて創造的な授業になります。それが故に生徒は好奇心に満ち満ちるわけです。歩先生と対話していると、ノーベル物理学賞受賞者のファインマンが、科学者の条件は、好奇心、開放的精神、疑問だと語っていたのをいつも思い浮かべます。
★PBLは問いを教師が提示するというより、生徒が自ら疑問を抱き仮説を立て検証していく推論過程を大切にしています。そのためには、議論も必要で、開放的精神、つまりGrowth Mindsetがポイントになります。
★何より、その発火点は好奇心です。
★こうなるには、教師がPBLをインストラクションしていくデザインを決めすぎると生徒の存在は一色に塗り固められます。
★余白が大事なんですが、歩先生のPBL授業は余白が多いかもしれません(笑)。
★いずれにしても、発火点は好奇心。興味と関心を生徒自身がどう生み出すか。
★工学院の先生方のすてきなところは、興味と関心あるものを追究していくことを大いに肯定しながら、片方で生徒が関心を持っていないものにも、興味と関心を生み出せる授業をしようとチャレンジしているところです。
★C>Iというのは、その証拠ですが、おもしろいことに、そのコツは教師によって違います。
★ふだんから共感的コミュニケーションベースの先生方は、そのことに気づいたとき、互いのコツを絵に変換して共有しました。
★ふだん慶応義塾大学の教授井庭崇さんのパターンランゲージを活用しているようですから、それを適用・発展させて自分たちで創ってしまったようです。
★来月、それについてGLICC Weekly EDUで対話しようと思います。PBLといっても多様体です。その多様性を大事にするのが歩先生です。教務主任のリーダシップが光ります。創造性は結局多様性から生まれます。
★勤務校の教師も歩先生と少しの時間でしたが対話することができ、刺激を受けていました。
★刺激を受けるとは興味と関心のモチベーションが生まれるということですが、やはり多様性の前提は共感的コミュニケーションです。出会うや否や、この足場(scaffolding)づくりができる歩先生の才能に改めて感銘を受けました。貴重な時間をいただきました。ありがとうございました。
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