【響】<10>総合型選抜の意味 men for others としての<自分>とは何かへの道
★勤務校における夏期講習中は、特別講座を同僚と協働して実施したり、推薦入試の志望理由や小論文の書き方について対話する日々を送っています。専門的な知識や技術的なことや具体的な志望理由書や小論文作成については各教科の先生方や担任の先生方がトレーニングしたりコーチングしたりしていますから、私自身は、ものの見方や考え方・感じ方を広げ深めるワークショップ形式の対話を行っています。とはいえ、三角ロジックと3ダクションの推論は共有します。
(勤務校の教室から見える景色)
★人数的には、3学年合わせて25人くらいです。小規模校だと、1人の生徒は授業で10人くらいの教科の先生と対話できます。講義を受けるというより、対話型の授業ですから、客観的な知識のシャワーを浴びつつ、一方で、生徒の主観的な価値の形成に良い影響を与える対話ができます。
★良い影響とは、教師が<men for others>の価値を共有していますから、生徒の主観的価値と教師の主観的価値の相乗効果が生まれるということです。これを善なる協働主観の形成と言ってもよいかもしれません。
★それ以外に12人マックスの探究ゼミや個人面談が頻繁にあります。平均すると教師1人が教科の授業以外に深く対話する生徒数は20人前後です。したがって、1人の生徒は部活や生徒会・各種委員会の活動もありますから、複数の教師と深い対話ができます。
★私が今回25人(3学年合わせた)の生徒と対話するというのも、以上のような教師一人当たりが深い対話をする生徒数がそのぐらいであるという教育環境が日常であるからだということであり、特別なことではありません。小規模校の教育づくりの一環であり一貫性というわけです。
★私は、ワークショップの後、400字の小論文を課します。ワークショップの単なるまとめというのではなく、ワークショップの中で生徒自身が暗黙知として見つけた問いを形式知に転換して出します。そして、必ず、その問いを考えることが自分にとってどんな意味があるのかを条件として付け加えます。self sense makingは世界作りのコアです。
★総合型選抜に挑む高3とは、自分とは何かをストレートに問いつつ、一方で学部学科に関する問いを出します。自分と現象や事象に関する問いをカップリングしています。高1と高2には、現象や事象に関する問いの中で自分の意味を考えるようにしていて、まだ自分とは何かをストレートに考えることはしていません。
★他局面に出会ったときに自分は何を感じ、何を考え、何を判断し、何を行うのか。そのような多様性の中で、一貫した自分が見えてきます。
★したがって、総合型選抜は、高3になって突然準備するというのではなく、高校1年から多様な学びに向かい合いながら<自分>とは何かをリフレクションし続けるself sense makingのプロセスが肝要だなあと、改めて認識している最中です。実際、今の高1の学年団はすでに日々そうしています。
★そして、その<自分>がmen for othersとどう関係があるかということも当然考えていくわけです。それには、現象や事象の分析と問題点の発見というプロセスが大事だったのです。
★そのときに、men for othersを倫理的側面だけで考えないようにしています。倫理的自由論、政治的自由論、経済的自由論、法律的自由論、技術革新的自由論、生命科学的自由論、そしてカトリック校なので、スピリチュアリティ的自由論というように、多角的に問うていきます。最終的には、一貫性のある<men for others としの自分>が見えてくると思います。
★そしてそれは少なくとも4の7乗通り(これに思考コードを単純に入れるだけで、36の7乗通りになるのです)ありますから、極めて個性的な一貫性となるのです。
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