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2021年7月23日 (金)

New Power Teacher(05)阿弥先生の算数の授業 言語と数学のスクランブルPBL

★今月初旬、アサンプション国際小学校の教務主任阿弥博子先生は、公開授業研究を行ったとメールをいただきました。そのときの指導案やシラバス、多様なワークシートを拝見し、感動しました。私は、以前、中学受験と大学受験の塾のアドバイザーや中高一貫校のアドバイザーを中心にやってきたのですが、小学校のアドバイザーを行ったのは、6年前のアサンプション国際小学校が初めてでした。

★そして、そのとき、阿弥先生と出会いました。当時私の言葉が、帰国生の大学入試における小論文や志望理由書のプロジェクトベースの学び(PBL)で使っていたものが多かったと思老います。つまり、高校の帰国生を対象に活用していた言葉を使っていたために、最初は阿弥先生にわかるまで質問攻めにあっていました(汗)。

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★中高一貫校の先生方も最初は、わかりやすく説明して欲しいとよく質問されましたが、3カ月もするとギャップが埋まったので、同じ感覚で阿弥先生ともコミュニケーションしていました。しかし、言葉の意味の問題ではなく、生徒の発達段階に応じて、言葉を開く必要があると気づくのには時間がかかりませんでした。

★小学生に寄り添いながらPBL授業を懸命に行っている阿弥先生をはじめとする同校の先生方の姿をみていて、ストレートに小学生と共有できる言葉を見つけなくてはとハッとしたのでした。しかしながら、それは私にとっては、難しい道のりでした。ところが、阿弥先生は諦めず、PBLの授業の指導案やシラバスを単元が変わるたびに提示してくれて、それをベースにリファインしながらPBLのプロトタイプを共に創っていきました。

★阿弥先生が、小学1年生と共有できる言葉でPBL授業のプロトタイプをつくってくれるので、私は大いに学ぶコトができました。たしかに小学1年生と高校3年とでは言葉の世界が違います。その違いを無視してはアドバイスはできないと反省と気づきの連続でした。

★そんな6年間の阿弥先生との対話を思い出しながら、今回の研究の計画を拝見しました。驚いたのは、それは算数の授業だったのです。阿弥先生とはずっと国語のPBL授業をベースに対話してきたので、算数のこれほどパーフェクトなPBL授業の報告書を共有したのは、6年間の中で初めてだったからです。

★しかし、そのシラバスを見たとき、阿弥先生と子どもたちの対話や図形のデザインに嬉々として集中している様子がパッーと脳裏に広がりました。モーツアルトの楽譜を見ただけで、あのすてきな旋律が全身に響くのと同じ感覚でした。

★阿弥先生にとって言語と数学が見事にスクランブルエッグならぬスクランブルPBLになっているのです。

★PBLの真骨頂である、創造力を働かせながら三角形や四角形の合同条件を発見していくPBL授業。さらに、生徒が対話によって協働性や心理的安全性をつくっていける仕掛けも当然ありました。PBLは最終的にオーディエンスにプレゼンしますから、今回のオリ・パラのエンブレムの分析を生徒がして、新しいデザインを考案するところまで追究しています。

★小5の子どもたちがワクワクしながら表現活動をしている様子も目に浮かびます。エッシャーの絵も活用したそうです。エッシャーの絵に対して、これまた子どもたちの反応はすてきだったそうです。

★アサンプション国際は6年前に、共学化、グローバル教育、PBL、ICTという環境で、21世紀型カトリック教育を推進する改革を行いました。今では阿弥先生が同僚と協働するプロジェクトを広げ、全員がPBL授業を展開しています。

★生徒募集も良好です。やはり革新的な教育と生徒によりそい非認知的な能力をサポートする先生方の質の豊かさは、保護者に響きます。

★それにしても、阿弥先生はロイロノートなどを駆使してICTも自在に活用します。ロイロの思考ツール自体、数学的思考の発想が盛り込まれていますから、阿弥先生の言語と数学のスクランブルPBLと相性がよかったということもあるでしょうが、何より阿弥先生にとっては、生徒と知の共有の場をリアルとサイバーのハイブリッドで形成しているところがICT活用の本意でしょう。

★それから、今回の三角形と四角形の合同を扱う単元は、その伏線がきちんと小学校1年せの時から体系的に連なって阿弥先生がデザインしてきたということもポイントです。これは、生徒の発達段階に応じてですが、その体系はマシーン的な発想ではなく、成長物語というストーリー仕立てになっています。

★言語と数学のスクランブルというのが、5年になってできるのは、このような小学校1年生からの成長ストーリーが描かれてきたからでしょう。改めて教育の奥深さに気づきました。

★この6年間、多くの小学校の先生方とPBLの研修を行えたのも、阿弥先生との対話の継続のおかげです。

★今私の勤務校は高校だけですが、生徒と対話をしながら小学校1年生からどのようなストーリーで非認知能力や認知能力が育ってきたか想いを馳せることにしています。不足している部分は、高度な学びの中に、小学生や中学生とのPBLの要素を織り込むこともあります。知識を補うということより、思考のプロセスで抜けているピースを見つけて埋めていくという作業に近いかもしれません。

★今回のパンデミックで、昨年度から阿弥先生との対話はZoomやメール、チャットで行われているのですが、継続していただけることで、多くの気づきをもらいます。本当に感謝です。いつもありがとうございます。

★もう一人対話を継続している小学校の教師と阿弥先生とZoomで対話する機会を作れたら、さらなるケミストリーが起こるのではと思っています。

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