New Power Teacher(02) 太田晃介先生 知のクリエーター 探究の探究を生徒と共に生成
★昨夜は、<GLICC Weekly EDU 第38回 大阪市立水都国際中・高 太田晃介教頭先生との対話「国際バカロレア(IB)の学びと思考コード」>で、太田先生のお話を聴くことができました。現在1条校でIBスクールである水都国際で教頭を務め、学校マネジメントの多忙な中、高2のTOK(Theory of Knowledge)も担当しています。IBのディプロマのコアの1つである知の理論TOKは、新学習指導要領が設定している「総合的な探究の時間」のモデルの1つにもなっているので、学校関係者で知らない人はほとんどいないでしょう。
★しかしながら、小論文指導とTOKの指導の違いが明快に分かっているかとなると、必ずしもそうではありません。今回太田先生はIA(内部評価)のプロンプト(知を促す問い)を例に、同番組主宰者鈴木さんと実際に考え、TOKの極意を語ってくれました。IBのプログラムは門外不出の部分も多く、研修を受けなければ、ベールに覆われたままの部分も多いのですが、今回TOKの全貌と深さを知ることができました。
★詳しくは、ぜひご覧いただければと思いますが、一つだけ気づきをコメントしておきたいと思います。それは、TOKは、やはり探究の探究です。知を生み出す全人的に社会や自然とのつながりを新たに組み立てる視点をつくりだす学びではないかと気づいたのです。
★多くの探究の時間では、会社作りや貧困対策の政策や活動など具体物を創ることに注視されます。
★TOKも内部評価の展示方式の場合、具体的な制作物がつくられるわけですが、それは探究の時間でつくる具体的なものを生み出す知のシステムとしての具体物なのです。
★ですから、探究で起業プロジェクトを行ったとき、その起業がいかにしてうまれたのか、その生成システムを言語化したり視覚化したりするということなのです。
★それなら、起業だって、企画書があるのだから、それと同じかと言うと、そうではないのです。その企画書がいかにして成立したのかという知のシステムの見える化です。
★メタ認知と言えばそれまでなのですが、そのメタ認知のシステムはいかなるものかをさらに問うのがTOKです。
★そして、驚くことに、生徒によってその知のシステムは違うのです。
★当然、違ってよいのです。
★それが本当の意味でダイバーシティなのでしょう。
★異文化理解というのは、ものの見方や考え方、感じ方が違うわけですから、そこを理解するということは誰でもが了解しているのですが、そのそれぞれの文化におけるものの見方や考え方、感じ方のシステムはどうなっているのかまで、論じる人は、今までの国際理解教育ではほとんどいなかったわけです。
★IB教育がなぜノーブレスオブリージュなエリート教育、全人教育かと言えば、ここまで深く考え、解決策を考える戦略的思考が育成されるからです。
★IBの成立は、第二次世界大戦後の世界の平和の再構築のための人材育成プログラムとして生まれました。そして1989年ベルリンの壁が崩壊し、湾岸戦争が起こったころから、今の10の学習者像が形成されていきました。第二次世界大戦のようなことが再び起こらないようにするための知を生み出すにはいかにしたら可能かというのは、IB創設者の1人クルト・ハーンのアイデアであり、それはIBのアイデンティティでもあります。
★21世紀型教育機構は、IBプログラムは選択しませんでしたが、その想いは黄金律をコンセプトとしていることからもお分かりいただけるように、アイデンティティは共有しています。
★太田先生自身、IBの卓越性を認めつつ、IBコース以外の生徒に適合する新しい学びを模索しています。日本の大学入試制度が良いか悪いかを論じるのではなく、そのような現実を乗り越えるために適合化をしつつIBのエッセンスをベースにするというようなカリキュラムだと思います。
★もっとも、そのような太田先生の構えは、New Power Teacherであることを示唆するとともに、IBの10の学習者像そのものであることを象徴しています。ぜひYoutubeをご覧ください。
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