成城学園(03)青柳先生の授業の挑戦 思考コード×対話型論証×ピア
★<GLICC Weekly EDU 第32回 青柳圭子先生との対話―成城学園「革新的伝統と革新的未来」>で、青柳先生と対話した際、授業の話題が当然出たわけですが、思考コードと対話型論証、そしてピアによる議論を組み合わせた新しい「主体的・対話的で深い学び」を展開されているということでした。画期的授業です。
★たいていの場合、国語の授業では、各単元終了後、ファクトとオピニオンをそれぞれ考えて小論文を作成するという授業が多いわけです。多いと言ってもアクティブラーニングやPBLでない場合は、最後の小論文を作成するところまではいかないでしょう。
★ですから、「たいていのアクティブラーニングやPBLのような授業では」と条件をはっきりさせたほうがよいかもしれません。
★さて、どこが画期的かと言うと、このような小論文は、まだ思考コードでいえば、B2くらいですが、青柳先生はそれをC3に変換するためにトゥルーミンモデルによる「対話型論証」を活用します。
★ファクトとオピニオンで論じている中にある根拠を反証する議論をするわけです。もちろん、個人ワークでもそこまで一人で行うことはできますが、それでは、素朴な反証しか出てこない場合が多く、予定調和的です。
(青柳先生との対話で本間が独断と偏見でイメージした図)
★そこで、青柳先生は、反証者(あ)、(い)、(う)・・・というように多様なピアで議論していこうというのです。
★自分の枠を仲間と協働して開放するわけですから、B2レベルからC3レベルに飛ぶ可能性が大です。
★もともと、成城学園は、最初からピアという関係性から学ぶシステムになっているようです。
★したがって、この思考コード×対話型論証×ピアという3つを一体化させる学びを展開するのは自然な流れなのかもしれません。
★とにかく、青柳先生は熱心にリサーチされます。そして、多くの先人の知恵を受容し、独自の授業として構成していくわけです。
★一度小学校から大学までの成城学園の先生方と対話をしたことがありますが、みな青柳先生と同じように、研究熱心で、共通の基準を探りながら、独自性を発揮していく進取の気性に富んだ才能の持ち主でした。
★教師どうしの在り方がすでにピアとしての存在です。
★成城学園のこのような教育は、自主自立を立ち上げられる個人が成長する場でありますが、その個人は<ピアとしての自己存在>だと思います。そしてその<ピアとしての自己存在>である生徒同士が対話型論証を協働していくのですから、学びのシナジー効果が溢れでるのは必然です。成城学園の雰囲気が魅力的なのは、その背景にこのような学びで満ちているからでしょう。
| 固定リンク
« 教育のアップデート~2022年に向けて(24)教育も地政学の時代 2022年から海外の名門校やIB校続々か? | トップページ | 教育のアップデート~2022年に向けて(25)聖ドミニコ学園の理事長山崎先生との祈りの対話 2021年は近代的自我の変容のときだった »
「創造的才能」カテゴリの記事
- 共愛学園前橋国際大学の児浦良裕准教授 未来のラボ都市づくりへ奔走(2025.03.21)
- 2025東大合格者発表のシーズン(12)足立学園 4年連続東大合格者輩出(2025.03.21)
- これからの教育(05)聖学院 創発型教育活動②(2025.03.21)
- これからの教育(05)落合陽一さんの「第3のてこ」ヒントにアービトラージ学習(2025.03.21)
- これからの教育(04)聖学院 創発型教育活動①(2025.03.19)
「中学入試」カテゴリの記事
- これからの教育(07)主体的というコト(2025.03.23)
- 2025東大合格者発表のシーズン(12)足立学園 4年連続東大合格者輩出(2025.03.21)
- これからの教育(05)聖学院 創発型教育活動②(2025.03.21)
- これからの教育(05)落合陽一さんの「第3のてこ」ヒントにアービトラージ学習(2025.03.21)
- 2025東大合格者発表のシーズン(11)筑駒117名合格、116名進学 公表される 聖学院の意義が光りだす(2025.03.21)
「創造的対話」カテゴリの記事
- これからの教育(07)主体的というコト(2025.03.23)
- これからの教育(06)八雲学園 グローバルリーダー着々(2025.03.22)
- 共愛学園前橋国際大学の児浦良裕准教授 未来のラボ都市づくりへ奔走(2025.03.21)
- 2025東大合格者発表のシーズン(12)足立学園 4年連続東大合格者輩出(2025.03.21)
- これからの教育(05)聖学院 創発型教育活動②(2025.03.21)
「PBL」カテゴリの記事
- これからの教育(05)落合陽一さんの「第3のてこ」ヒントにアービトラージ学習(2025.03.21)
- 2026中学入試準備(28)工学院と聖学院 成長するときの響きを聴く教師(2025.03.14)
- フュージョン広報(02)富士見丘のホームページ(2025.03.10)
- 私立学校の教育の質の展開(01)成城学園の生徒の視点(2025.03.09)
- 2026中学入試準備(24)インターナショナルスクールか私立学校かの時代の意味②私立学校が選ばれるには(2025.03.06)
「高校入試」カテゴリの記事
- これからの教育(07)主体的というコト(2025.03.23)
- これからの教育(06)八雲学園 グローバルリーダー着々(2025.03.22)
- これからの教育(05)聖学院 創発型教育活動②(2025.03.21)
- これからの教育(05)落合陽一さんの「第3のてこ」ヒントにアービトラージ学習(2025.03.21)
- これからの教育(04)聖学院 創発型教育活動①(2025.03.19)
「成城学園」カテゴリの記事
- 私立学校の教育の質の展開(01)成城学園の生徒の視点(2025.03.09)
- 青柳先生の教師のあり方=Beingは構造論的実存主義(2024.04.10)
- 22世紀型教育準備へ(15)成城学園 森の小径を歩いていくと世界が開かれる 随所に茶室の仕掛け(2024.02.24)
- 2025年変化する中学入試(28)ザ・成城学園に期待(2024.02.11)
- 2024年中学入試(34)成城学園 アート・プロデューサーが生まれる学校 ガブリエルと境教授から着想を得て(2024.01.06)
最近のコメント