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2021年6月 6日 (日)

【速報】児浦先生第2弾「オンラインの場づくり」アイデア帳」出版!私はピアとしての自己存在である。

★今や八王子の住人になっている私ですが、ひさしぶりに自宅に帰ってきて机の上を見ると、聖学院の児浦先生の執筆が掲載されている「オンラインの場づくりアイデア帳」の新刊本と「大学時報05」の2冊が光を放っていました。児浦先生が贈ってくださったのです。ありがとうございます!どちらも児浦先生の傑作論考が載っています。

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 「そのまま使える オンラインの“場づくり"アイデア帳 会社でも学校でもアレンジ自在な30パターン 2021/6/7」ワークショップ探検部 (著), 松場 俊夫 (著), 広江 朋紀 (著), 東 嗣了 (著), 児浦 良裕 (著)

★今回のアイデア帳は、ご承知の通り、第2弾です。1冊目は、リアルスペースでのワークショップのパターン集で、2冊目は、パンデミックの最中多くの人がテレワークやオンライン授業で苦心しているメンタルケアと絆ケアに焦点をあてたオンラインワークショップのパターン30が掲載されています。

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★本書を読んで、目からウロコなのは、よくオンラインより対面だといわれる常識は、間違っているなあということです。問題設定が違うのだなあと。リアルでもメンタルケアは必要です。絆をつくるのは必要です。でも、対面だからといって、うまくいっていますか?もしうまくいっていたら、こんなハッピーなことはないのですが、必ずしもそんなことがないことは火を見るより明らかです。

★ですから、オンラインスペースでもいかにしたらメンタルケアができ、絆をつくることができるのかという挑戦が大事だということです。特にZ世代はデジタルネイティブで、リアルとオンラインの両スペースを往復して生きているわけです。

★両スペースでのメンタルケアや絆づくりのケアの方法を考えなくてはなりません。それぞれ違ってよいのです。

★そう、それぞれ違ってよいのです。このことは凄いことですね。だって、リアルスペースで解決できなかったことが、オンラインスペースで解決することができるかもしれないということだからです。また、逆もありますね。オンラインで解決できないことをリアルスペースでの対面で解決できるということなのです。

★ある意味、21世紀になって複眼思考が必要だと言われて久しいのですが、その社会実装がリアルスペースとオンラインスペースでの活動ということかもしれません。

★児浦先生を始め仲間の方々が執筆している両著は、もう一つ重要な歴史的意義を投げかけています。それは19世紀末から20世紀初頭に盛り上がったのですが、二つの世界大戦で社会の深層に追いやられていた本質的な人間観の復興です。その後の戦争やテロ、そして今回のパンデミックで、ようやく世の中にはっきりと浮かび上がってきた人間観です。

★それは個人とは内面において多様態だということです。リアルスぺースでは、私たちは、1人ひとり違います。外形は全く違いますね。しかし、内面においては、私たち自身、他者との交わりによって自分というモノではなく自分というコトが生成されているということに気づかなくてはならないのです。それを19世紀末から20世紀初頭にフッサールが発見したのです。もちろん、それはデカルトの省察の再構築ですから、近代的自我は、生まれるや省察されて物理的な個性ではないことは気づかれていたのです。

★しかし、それは世界大戦を予感する前夜に、平和を求める思想家や芸術家が明快に気づいたのです。しかし、オンラインはなかったのですね。フッサールの言う、インターサブジェクト(相互主観)や数学者の発見する論理階型やすべては関数的概念なんだとか、要するに要素還元主義に対する構成主義的な発想です。当時のペスタロッチやデューイもその流れですね。

★グローバル時代になって、多様性という意味が際立ちました。テレワーク時代になって、その多様性は内面においてもそうなのだということが身に染みて世界中の人が了解したのだと思います。私はピアとしての自己存在であるということが。

★両著は、この<ピアとしての自己存在>を創る場がワークショップという場であり、リアルとサイバーの両スーペースの往復で豊かに生まれてくることを予感させます。

★そして、その実践を中学入試で行ってしまっていることを、児浦先生が大学時報で詳細に論じています。

★ハンナ・アレントが両著を見たら、活動と仕事と労働の概念がワークショップによって変わる。第二次世界大戦で観た人間のリアリティの本質をワークショップが変えると言ったに違いないのではないでしょうか。

★そう、彼女のアウグスティヌスの愛の概念の体現がワークショップだったのだと。

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