児浦先生との対話 SGTのWorld Making Classとしての活動が始まる 歴史的・地政学的価値の転換(2)
★児浦先生との対話は、日本の中等教育機関が、地政学上どのような役割を世界に果たしていけるのかという話にまで広がりました。すでに、国際的な高等教育機関のリサーチセンターであるCGHE(The Centre for Global Higher Education)では、今回のパンデミック以前から高等教育機関の地政学的壁とそれをどのようにぶち破っていくか研究が進んでいます。
★同センターのリーダーはオックスフォード大学の Simon Marginson教授ですが、同センターのサイトのブログで頻繁に発信してもいて、勉強になります。東北大学や広島大学など日本の大学も当然協力していますが、それほど話題になっていないかもしれません。
★メディアの取り上げ方は、大学にしても高校にしても、名門大学とか名門高校とか、ランキングに沿って一つ一つ語るだけで、1989年以降、グローバル市民社会の共通の知の財産としての高等教育機関や高等学校の在り方をどうしているのかの情報収集をして、分析して発信することはありません。世界ランキングや偏差値ランキングや富裕層向けの学校紹介あるいはスキャンダル情報を中心とした情報がメインですね。
★ですから、本来は日本の大学も自分の大学だけではなくグローバル市民社会における自分たちの役割をリサーチして市民に提供していくことになるでしょう。今のところは、まだまだ国VS大学で学問の自由をどう守るかという話がメインで、ワールドクラスな国際的な大学間の協調の話は、専門家レベルの話にすぎません。
★同じことが中等教育機関にも言えます。もっとも中等教育機関は、専門家レベルでも国際的な協調関係を話し合い市民社会に目を向ける作業は行っていませんね。
★しかし、そもそも、そのよううな動きを現在文科省が行っているわけではありません。現状の学習指導要領体制ではなかなかできないし、改正教育基本法や改正学校教育法などにも、それが盛り込まれていないためになおさら動きにくいと思います。
★そこで、心ある文科省のメンバーが、IBなどの教育を導入しようというのですが、それとても、IBプログラムの消化に追われ、IB機構が国際教育機関として世界の教育をどう考えているか語っている人は少ないですね。かつて大学でIB研究の講座を持っていた時に、学生とそこらへんを議論しましたが、学生レベルでその点に関して調べる資料はすぐには手にはいらない状況でしたから、市民レベルにはそんなグローバルな教育知財が共有される段階ではないのでしょう。
★それにしても、CGHE にしてもIBにしてもそこにかかわるプロフェッサーはオックスブリッジです。AIの震源地もそうでした。私たちは、オックスブリッジの情報をなんとか収集するリサーチ機関をつくらないといけません。専門家レベルではなく、グローバル市民社会のレベルの話です。
★というわけで、CGHEの想定している高等教育機関に関する地政学的視野を中等教育レベルの21世紀型教育機構は転用的リサーチや構想を進めなくてはならないでしょう。現状ではCGHEのように投資をしてもらえる段階ではありませんが、そこもなんとかしていかなければというわけです。
★そういう意味では、地政学的には、日本に世界の中等教育レベルの学校が登場してくる歴史的必然があるので、そこに集中して構想力を発揮していこうというのが同機構の21世紀型教育研究センターです。
★児浦先生と私の構想は、組織的にはCGHEのような動きが親和性があります。幸い21世紀型教育機構の加盟校は海外大学進学実績を着々と出しているので、そのような動きになると一気呵成に加速するでしょう。
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