GLICC Weekly EDU(38) 佐野先生と金井先生の探究型読書と<ある>という「世界」
★佐野先生と金井先生と対話をする中で、「探究型読書」の話がでました。お二人は、編集工学研究所と協働しながらこの研究を行っています。Youtubeで配信されている中ででか、番外編で対話した中ででか記憶が飛んでいるのですが、何かの折に本との接し方について話題が移ったときのことです。私は、本を丸ごと読むということはしないので、キーワードや目次からこんなことが書いてあるのではと推理しながら読むというような話をしたら、お二人は、それは自分たちが研究している「探究型読書」でいう、キーワード読みとか目次読みですよと。
★なるほど編集工学研究所らしいなあと。というわけで、上記写真の本を読んでみました。もちろんつまみ食い読みですが(汗)。アナロジー読みというのもありましたが、これは私の場合は、置換読みですね。メタファー読みというのがあればもっと面白いなあと。これは私の場合は変換読みです。
★編集工学研究所の探究型読書は、長年の編集の学校の活動の成果を中高生にわかりやすくスキルマニュアル化したものなのかもしれません。私は今勤務校の数学科の先生方と、集合論読みの対話をしていますが、それにも通じるなあと。
★集合論は、結局メタファーとメトミニーとシネクドキというリベラルアーツのレトリックの数学的思考に変換したものです。そして、ラッセルらの論理階型的な考え方は、やはりレトリック論のデノテーションとコノテーションの相互入れ替えでおこるパラドクスを解く考え方です。
★要するに、私にとって、読解は、集合論と置換・変換で読めるのではと勤務校の数学科の先生方と対話をしながら仮説を立てています。
★そんなことを思いつつページをめくっていると、佐野先生が編集工学研究所の方と対話をしている章がありました。佐野先生はマインドに沿って話しているのに対し、編集工学研究所の方はスキルベースで話をしていて、対話の方法の差異が実におもしろいですね。それはともかく、こんな箇所がありました。
生徒の個性を伸ばすという点では、子どもたちを「見立てる力」がいるんですよね。チーム形成のための「見立てる力」という側面と、それぞれの生徒の状態をどう見るかという個別の「見立て」の両方が大事です。「この子はこの辺まで行ってるな」「こういうところ、ちょっと苦手になっているな」という具合 に。 それに対して、 個別に「 こういうの読んでみたらどう?」と提案したり、「あの子がその辺、深く探究しているから、あの子と一緒に考えてみたらどう?」と他の生徒との協力を進めたりする。 個人 へのアプローチとチーム形成のアプローチが同時に求められると思っています。 編集工学研究所. 探究型読書 (Kindle の位置No.1377-1382). Kindle 版.
★これはこれで、個人と相互主観的なチームの話でおもしろいのですが、実は編集の過程で、わかりやすさを優先した結果、背景に位置付けられた内容が隠されているなあと。これはルビンのツボ読みです。要するに憶測の反転なのですが(汗)。
★佐野先生が「見立て」という言葉をあえて使ったとき、これは「見る」という意味だけではなく、その背景に隠されたものがあります。隠されたというか、見るが「図」になり、表裏一体で「地」になtっているものがあるはずなのです。
★生徒1人ひとりの「ある」という内的な構成は、実際には見えないのです。ですから、生徒の状況は分析的に「見る」だけではなく、その状況を際立たせている「ある」の構成を「見立てる」わけです。この「見立てる」はアナロジー読みとかメタファー読みです。
★生徒の顔の表情や行動の表情や声の表情、息遣いの表情をメタファーとして、感じる以外にないのです。
★私の場合だったら、風とそれが奏でる響きを感じるということになります。
★目に見える状況が同じでも、その背景にある「ある」の構成が個人によって違います。ピーター・センゲはこれをメンタルモデルと呼んでいるのかもしれませんが、その「ある」の構成が違えば、状況/情況は同じでも、意味は違います宇。生徒のマインドの意味が違うのです。
★そこを佐野先生は「見立てる」と呼んでいるのではないでしょうか。
★対話とは、状況どうしの論理的な整合性を見つける次元と互いに違う「ある」の受容ができるかどうかの次元があります。そして、この「ある」をめぐっての協働と葛藤が、状況とは違う事態を生み出していくのです。佐野先生が発見的対話(私は創造的対話と呼んでいます)と語る時、おそらくこの次元の差異が気づきを生み出しているのでしょう。
★あくまで、私の臆見読みですが(汗)。
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