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2021年5月20日 (木)

非属の才能教育(15)ダイナミズム的思考が才能開示のカギか?

★生徒は、1人ひとり賜物という才能を持っています。しかしながら、それが何か生徒自身も教師自身も気づかないことがあります。それは学校という古典的な校務分掌によるものでもあります。校務分掌の思考様式は、基本ツリー構造です。役割分担がツリー状になっていて連続体になっています。

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★しかし、実際には、それでは学校組織、特に私立学校は小規模組織ですから回りません。もしツリー構造のままだと、能力のある先生や機能的に便利な先生に仕事が集まり、亀裂が生じます。

★ですから、基本的にはツリーでありながら斜めの線が複雑にはいってつながり、セミラティス型になっています。近代の鉄塔建築はその象徴だと言われています。

★勤務校の聖パウロ学園も小規模組織ですから、セミラティス型になっています。これによって安定的な組織運営が循環します。これは定常状態です。したがって、安定はしますが、学びが均一になる場合もあります。そうなると、それぞれの才能の運動がダイナミックになりません。すると才能が働きださないので、生徒自身も教師も気づかないということが起こります。そこで、21世紀型教育を導入し、定常と離散の往復運動としてのダイナミズムを生み出す仕掛けをデザインしているわけです。

★21世紀型教育は、そこにダイナミズムを起こそうと、定常状態を保守しつつダイナミズムを生む環境づくりをしています。PBLという学びを導入しているのはそういうことです。聖パウロ学園も21世紀型教育機構の加盟校ですから、才能を生み出す学びの環境をメンバー校同士情報共有をしながら創っているのです。

★定常状態→離散状態→定常状態→離散状態→・・・というダイナミズムを、授業の中で、行事の中で、部活の中、生徒会活動の中で創り出します。しかしながら、問題は外枠だけでは、そのダイナミズムを生徒自らが生み出すことができません。外枠は、ある意味支援装置です。昔々「巨人の星」という漫画ありました。星飛雄馬が養成ギブスをはめてトレーニングしていました。それを外した時自ら力を発揮できるかどうかが大切なわけです。

★私のように年寄りは、腰の力を補強するのに、サポータをまいたりしますが、それをはずすと元の木阿弥です。それでは生徒は困ります。

★そんなわけで、内側からダイナミズムを生み出し、才能が活性化するにはどうしたらよいか?その回答は世の中には、ほとんど見当たりません。多くの学校は、何かないか外部のパッケージを導入しますが、それも養成ギブスあるいはサポータのようなもので、外枠です。あくまで、外発的モチベーション装置です。

★もちろん、それによって内発的モチベーションを生み出す生徒もいますが、そう多くはありません。

★さてさて、どうしたらよいのか?そこで、勤務校の先生方とゆっくり対話をしながら、とはいえ、時間がないので、10分とか、30分とか、人によって、部署によって違います。

★そんな中で、数学科の先生方は毎週、定期的に対話の時間を生み出してくれます。もともとセミラティス構造というのは集合論的な発想ですから、数学科の先生方は、新しい線が補助線として加わるだけだと思っているのかもしれません。理科の先生方も月に一度定期的に少し長い時間を用意してくれます。もっとも、理科の先生方は量子力学的な思考様式なので、セミラティス構造の周りを飛び回るスピン的な発想を持っているので、事あるたびに瞬間的な対話が弾みます。

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(左から伊東先生、佐藤先生、松本先生。関数で社会現象を読み解いたり、コラムを集合論的に読んだりするにはどうするか対話をしています。連続テキストを非連続テキストにスピン変換するということでしょうか)

★実は数学科の先生方も確率論的な発想がありますから、結局はそこは量子力学と結びつきます。理数発想は、定常状態→離散状態→定常状態→離散状態→という連続と非連続のダイナミズムを生み出す思考様式を持っているのでしょう。

★では、他の教科はどうかというと、実は社会だと矛盾の連続物語を生み出す教師ばかりなので、それもまたダイナミズム思考様式です。英語と国語は言語ですから、論理的文章のように定常状態の学びとプレゼンや文学のメタファー活用のようにスピンする状態をダイナミックにやはり行き来します。

★体育科は、守破離のダイナミズムで展開する授業がすでにベースでした。

★生徒は、これらの教科すべてに立ち向かうわけです。もし言葉や活動、素材が違っても、ダイナミズム思考という点で共通していると焦点化できたらどうなるでしょうか?

★おそらく養成ギブスを外しても自らダイナミズムを生み出すことができるようになるのではないでしょうか。

★そのための仕掛けは今のところ企業秘密ですが、着々と先生方が進めています。実にシンプルな仕掛けですが、実行するのは難しい新しいPBLの挑戦です。これができるには、セミラティス×スピンαの思考様式が必要です。組織作りは、思考様式の反映でもあると感じる今日このごろです。

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