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2021年5月 7日 (金)

教育のアップデート~2022年に向けて(18)教育法規から見る「授業」 現場で学習理論が役立たない理由

★2017年に改訂学習指導要領の告示がなされ、順次2020年小学校で、2021年中学校で実施され、そして2022年からいよいよ高校でも本格実施となります。

★学習指導要領については法規的拘束力があるという判例になっています。となると、「授業」もそうなることになります。

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★とはいえ、憲法と教育基本法、学校教育法などの教育関連法規(といっても、下位法律がたくさんあります)の枠内であれば、相当自由に現場ではできるのですが、そうはいっても大枠はあります。

★たとえば、授業は「主体的・対話的で深い学び」とあります。主体性とは何か?対話的とは何か?深いとはどこまでか?学びと勉強って違うのか?などは憲法や教育基本法、学校教育法などには細かく規定されていません。

★文部科学省の通知や中教審答申を読み直せば書いてあるのかもしれません。しかし、膨大過ぎてと思っていたら、「時間がなくても効率的に学べる」という帯がついている本を見つけました。

★久保田 正己さんの著書「学校管理職試験 法規の攻略法 〈第1次改訂版〉」学陽書房2019/4/11がそれです。

★それによると、<習得・活用・探究という学びの過程の中で、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう「深い学び」が実現できているか>という箇所が、膨大な量の答申などの文言から選択されていました。

★これは、すごいなあと。というのも、授業を「習得・活用・探究」の過程と捉えているところを選択しているわけです。「習得」だけの授業も成り立つし、「習得・活用」だけの授業も成り立つからです。

★また、「探究」をいれることによって、教科の授業と「総合的な探究の時間」を横断的につなぐことを規定しているわけです。

★そして、各教科の問題解決の特質や「創造」という言葉にまで言及しています。

★これがもし法的拘束力があるのなら日本中どうなるのでしょう。あらゆる学校でこれを行わなければペナルティだなんてなったらたいへんです。

★一方で、もしあらゆる学校でこのような学びを実施したら大変結構なことです。

★もちろん、未履修のように見えるものではないので、やっているかどうかわかりません。したがってペナルティなどあるはずがないのです。

★もっとも、法的拘束力という外圧がないと学びがデザインできないなんて、本末転倒ですが。

★それにしても、法的拘束力があるとしながら、大きな声でアクティブラーニングなんてできるわけないよと暮番組で見識者が語っている放談はなんなんでしょう。

★もちろん、大学入試に直結させるほどの学習指導要領の法的拘束力について議論することは構わないと思います。まあしかし、明治近代国家日本が選んだ道は法実証主義です。法は法であってそれ以上でも以下でもないのです。

★さて、どうするか?こういうところをきちんと議論しないで、学習理論をぶん回しても現場では役に立たないというもどかしさがあるのです。

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