2021年私学展(11)梅沢校長と梅田校長の気概
★私学展では、多くの21世紀私学人にお会いします。東京立正中学校・高等学校の校長梅沢辰也先生、文華女子高等学校梅田浩一校長もまさしく21世紀私学人。お会いでき、勇気を頂きました。私学人とは、私立学校に勤務していれば誰でもそうかというとそうではありません。仮に公立学校に勤務していたとしても私学人ということはあり得ます。
★私学人とは≪私学の系譜≫を引き継ぐ教師を意味すると私は常々思っています。2006年の戦後教育基本法が改正されるとき、麻布の前校長氷上先生と共立女子の元校長渡辺先生とワインをしこたま飲みながら、≪私学の系譜≫第一世代、江原素六と福沢諭吉、新島襄の精神を引き継ぐ私学人は誰なのか議論したことがあります。
★明治維新の激動の最中を生き抜き、≪官学の系譜≫につぶされそうになる私学を、もう一つの近代社会の在り方を対峙しながらサバイブするその気概を受け継ぐもの。その時の中では内村鑑三と新渡戸稲造が第二世代で、その弟子である第三世代の私学人が南原繁、矢内原忠雄、天野天祐、河井道、務台理作などの戦後教育基本法成立のメンバーだろうということになりました。
★渡辺先生は、ここにEUの父であり、共立女子の校訓に影響を与えたリヒャルト・クーデンホーフ・カレルギーも加えていました。リヒャルトは、自由はフランスとアメリカが勝ち得、平和はロシアが勝ち得たが、未だ友愛はどこの国も勝ち得ていない。被爆した日本こそ友愛革命をということです。これは共立女子の創設メンバーだった鳩山家に受け継がれましたが、鳩山由紀夫内閣時代にわけのわからないことになってしまい残念でしたが、ともあれ、リヒャルト。クーデンホーフ・カレルギーのもう一つの近代社会への想いは、戦後民主主義にも影響を与えていたことは否定できないでしょう。
★明治以来の日本近代官僚社会は、今も脈々と続いています。≪私学の系譜≫の第二世代の1人、開成の初代校長高橋是清は、生徒を東大に送り込み、内側から官僚社会を活性化しようとしました。それ以来、官僚の中にも≪官学の系譜≫と≪私学の系譜≫の2つの血が流れています。
★それゆえ、2021年の大学入試改革のように≪私学の系譜≫の文脈がかなり影響を与えたのですが、結局は≪官学の系譜≫の勢いに骨抜きにされたかのようでしたが、実際には≪私学の系譜≫の授業による改革は止めることができませんでした。つまり圧倒的な思考力を重視する授業です。私たちの仲間と推進しているPBLもその一つです。
★大学冬の時代は久しく続き、これからますますたいへんですから、各大学はそれぞれ創意工夫した入試改革を行っているわけです。外枠の制度について立ち向かうのではなく、枠に流し込むエネルギーの熱効率をあげる創意工夫ですね。それによって、型自体が変容するわけです。
★この手法を梅沢校長と梅田校長は得意としています。ほんの瞬間の立ち話でしたが、オールドパワーに屈するわけにはいかないのだという気概を共有しました。お二人に本間さんもNew Power Schoolの道を突き進むようにとエールを贈っていただきました。
★勤務校はすでにNew Power Schoolを歩んでいますから、そのNPSのOSのアップデートを先生方と共に行っていきたいと思います。どこかで、それぞれのNPSのアプローチが合力になるときがあることを誓い合って別れました。本当にありがとうございました。
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